2020年09月27日

つい(終/遂)

1、物事のおわり。終局。最後。
2、生命のおわり。
多く「ついの」の形で用いる。


〇「終の事」(ついのこと)
結局はそうなること。

〇「ついのすみか」
最後に安住する所。

〇「ついのわかれ」
最後の別れ。死別。

〇「ついのみち」
人が最後に通る道。死出の道。

〇「ついのけぶり」
火葬の煙。

「ついの〇〇」というと、
しっとりとした言い方になりますね。


「すみか」(住み処/住家/棲家/栖)

「棲」
1、すむ。すまう。すみか。
2、す。ねぐら。鳥の巣。

「栖」
1、す。ねぐら。鳥の巣。
2、すむ。すみか。


「香華」(こうげ)
仏前に供える香と花。

「散華」(さんげ)
花をまいて仏に供養すること。


「ご愁傷様」はお葬式での定番言葉ですが、
「愁傷」という熟語には馴染みがありませんでした。

1、嘆き悲しむこと。
2、相手を気の毒に思うこと。

・愁傷の眉をよせて、手を束ねているよりほかないのである。
・女たちは髪を振り乱して、愁傷の叫びをあげた。
・われらにあるは、ただ哀惜と愁傷と頬に流るる涙のみ。

ちなみに、
「御〜様」の言い方は多いですね。
・ご苦労さま
・お疲れさま
・おじゃまさま
・お互いさま
・お蔭さま
・おあいにくさま
・お世話さま
・お粗末さま
・お待ち遠さま

こういったねぎらいや気遣いの言い方は
江戸時代後半くらいからみられるそうです。








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2020年09月20日

寄せる

・寄せては返す波(近づく)
・口を耳に寄せて話す
・額にしわを寄せる(集める)
・義援金が寄せられる
・便りを寄せる (届ける)
・思いを寄せる
・1と2を寄せると3になる(数を加える)
・友人宅に身を寄せる(一時的に世話になる)
・他人のことに寄せて文句を言う(かこつける)
・今夜、寄せてもらいます。(訪問する)
へりくだった言い方。

「寄せる」はたくさんの表現がありますが、
昨今、SNSなどで新しい使い方が広まっているようです。
私はSNSと距離をとっているので、気づきませんでした。

▼新しい用法
・自分のものまねに、本人が寄せてきた。
・〇〇にめちゃくちゃ寄せてるけど似てない。
・演技で誰かを参考にしたり、寄せるようなことはしない。
・流行の〇〇ヘアスタイルに完璧に寄せてやる!
・外見を彼氏の好みに寄せてみる。
・背景とか80年代に寄せてる?

「まねる」「似せる」には偽物感が漂いますが、
「寄せる」には否定的なニュアンスが薄いように感じます。
そういう「寄せる」の肯定的なニュアンスが広まった要因かもしれません。


意味が変わった言葉はたくさんありますが、
「せいぜい」(精精)もそうです。
「精」には元々 “力を尽くす” という意があり、
2つ重ねた「精精」は
“力の限り” “精いっぱい” が本来の意味で、
「せいぜい頑張って」は
“精いっぱい頑張って” という激励の言葉でした。
現在は否定的な意味での使い方が多くなっていて、
「せいぜい頑張って」なんていうと、
嫌な顔をされてしまいそうです。


「せいぜい」(精精)
1、能力の及ぶかぎり努力するさま。できるだけ。精いっぱい。
・せいぜいおまけします。
・せいぜい養生して下さい。

2、できるだけ多く見積もってもその程度であるさま。たかだか。
・高くてもせいぜい1万円だろう。
・頑張っても完成できるのはせいぜい1日10個くらい。


<「せいぜい」と「たかだか」の違い>
「せいぜい」
〇その上限に達することを目標にする意。
・せいぜい努力します。
・せいぜいお大事に。
〇それほど期待はしていないという気持ち。
・相手は強豪揃いだ。せいぜい頑張るさ。

「たかだか」
上限の程度を大したことではない、とみる気持ち。
・工事費はたかだか10万円
・集まってもたかだか50人だろう。









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2020年09月13日

いたいけ

漢字にすると「幼気」
1、子供などの痛々しく、いじらしいさま。
2、幼くてかわいいさま。
3、小さくてかわいらしいさま。いとけない。

いたき(痛き)+ け(気)
「いたきけ」の音変化で、
心が痛むくらいいじらしいさま。


「いじらしい」
幼い子供や弱い者などの振る舞いが、
何ともあわれで同情したくなる感じである。
けなげでかわいそうなさま。


「いとけない」(幼い)
おさなくて小さいさま。あどけない。


「いたいけない」(幼気ない)
という語も使われているようです。
「いたいけな」と「いとけない」とが混同されたもの。
「ない」は「いとけない」「せつない」「はしたない」
などと同じ接尾語で、
意味を強調し、形容詞化する働きをもちます。


かわいい・いたいけ・いじらしい・可憐
これらの語に共通しているのは哀れみの感情です。

「かわいい」は江戸初期までは、
“かわいそう” という意味でした。
「かわいい」の語源をたどると、
かほはゆし (顔映し)
↓ かははゆし 音変化
↓ かはゆし 短縮
↓ かわゆい 口語
↓ かわいい

古語「かはゆし」
1、恥ずかしい。気まりが悪い。
2、見るにしのびない。かわいそうで見ていられない。
3、かわいらしい。いとしい。


小さいものを守ってあげたい気持ちは本能でしょうか。







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2020年09月06日

縦覧(じゅうらん)

自由に見ること。思うままに見てまわること。
・縦覧随意


「縦」はたて糸が由来。
本来の「縦」の意味は
“ゆるめる” “放つ” “ほしいまま” ですが、
「たて/よこ」の「たて」に借用されて広まりました。

「横」
旁の「黄」は 門を閉める閂(かんぬき)のこと。
“ふせぐ” “とめる” 意をもちます。
閂は木でできた横棒であるところから、
「よこ」という意味に使われるようになりました。
「横」にはネガティブな意味があります。
横着・横暴・横柄・横領・横行
「横」にも “ほしいまま” という意味がありますが、
強引で乱暴なほしいままです。

「たて/よこ」の本来の対になる漢字は「緯」と「経」。
両方とも糸偏で、織物のたて糸とよこ糸です。


「縦覧」は見知らぬ語でしたが、
固定資産税を払ってらっしゃる方はご存じかと思います。
Web検索で、自治体の説明が多数ヒットしました。

▽縦覧と閲覧の違い
「縦覧」
〔土地・家屋価格等縦覧帳簿〕で、
自己の固定資産の評価額が適正であるかどうかを他の固定資産の評価と比較し確認するための制度。

「閲覧」
自分の土地・家屋の評価額などを記載した〔固定資産課税台帳〕を確認するための制度。

いずれも毎年一定期間、見ることができます。


「公職選挙法」では
「閲覧」と「縦覧」を明確に使い分けていましたが、
平成28年12月に行われた公職選挙法の一部改正により、
縦覧制度は廃止され、閲覧制度に一本化されました。


一般的な意味の「閲覧」は、
書物・新聞・書類・ウェブページなどの内容を
調べながら読むこと。


「笑覧」(しょうらん)
自分の物を他人に見てもらうことをへりくだっていう語。


「詳覧」(しょうらん)
くわしく見ること。ていねいに目を通すこと。


「照覧」(しょうらん)
1、明らかに見ること。はっきりと見ること。
2、神仏が御覧になること。


「照臨」(しょうりん)
太陽や月が下界を照らす意から。
1、神仏が人々を見守ること。
2、君主が国土や人民を統治すること。君臨。
3、貴人の訪問・臨席などを敬っていう語。









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2020年08月30日

ごめんください

「ごめんください」もおもしろい言葉ですよね。
他家を訪問した時の挨拶の言葉であり、
人と別れる時の言葉でもあり、
若い方には馴染みがないかもしれませんが、
電話を切るとき、
わびるときにも使います。

「ごめん」は「御免」です。
尊敬を表す接頭語「御」に
“許可” を意味する「免」。

正式に許可や認可することを、
その決定を下す者を敬っていう語でした。
それが室町前期には、
自分の無礼をわびながらも
許してもらいたいという表現の
「御免あれ」「御免候」が使われました。
その後、
「御免くだされ」「御免させてください」
といった挨拶の言葉になり、
「ごめんください」になりました。
お宅へ上がらせて頂くことへの
許しを請う意味合いが込められています。

新潟県では「ごめんください」が
「こんにちは」「初めまして」「さよなら」
として使われています。

「御免」(ごめん)
1、正式に免許・認可することを、
その決定を下す者を敬っていう語。
・名字帯刀がご免になる。

「天下御免」(てんかごめん)
公然と許されること。
はばかることなく堂々と振る舞えること。

2、役職などを解かれることを、
その決定を下す者を敬っていう語。
・お役ご免となる。

3、嫌で拒否する気持ちを表す語。もうたくさん。
・戦争は二度とご免だ。

4、過失などをわびるときや許しをこうときに言う語。
・遅くなってご免。

5、他家を訪問したり辞去したりするときに言う挨拶の語。

鎌倉時代に生まれた「御免」という言葉が、
室町時代から表現に変化がうまれ、
江戸時代以降には拒絶・断りの表現にも用いられるようになりました。


「すみません」も感謝と謝罪が同居する不思議な言葉です。
呼びかけにも使いますね。
「済む」+打消しの助動詞「ぬ」=「すまぬ」
「すまぬ」の丁寧語「すみませぬ」が原型。
「ぬ」を「ない」に替えた形が「すまない」
「済む」は「澄む」と同源で、
“終了する” といった「済む」の意味の他に
気持ちがおさまる。気持ちがはれる。
とった意味も表わします。
相手への謝罪に用いる「すみません」も
相手に失礼なことをしてしまい、
このままでは自分の心が澄みきらないことを表わします。
感謝の意の「すみません」は、
“何のお返しも出来ず、すみません” の意から。
心が澄みきらない意から離れ、
謝罪を表すようになってからの表現です。
依頼や呼びかけの際に用いる「すみません」は
軽い謝罪の意味からと考えられます。


「感謝」と「謝罪」
「謝」も “あるがとう” と “ごめんなさい” が同居しています。
「言」+「射」
“言葉を放つ”
真っすぐに届けるイメージがあります。








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