2018年05月21日

おかしい

読者の方から、
「可笑しい」「奇怪しい」と漢字が変わる「おかしい」を
取り上げて欲しいというメールをいただきました。

日々混乱することなく使い分けているわけですが、
これも声のトーンや表情があればこそ。
ただ単に「彼はおかしい」と書いてあったら、
どうおかしいのかわかりませんね。

「おかしい」は、大きく3つの意味に分けられると思います。
1、面白い・おどけた「可笑しい」
2、奇妙な・怪しい 「奇怪しい」
3、つじつまがあわない

「おかしい」は古語「をかし」から来ています。
「をかし」の意味をみると、
1、興味深い。おもしろい。
2、風情がある。情趣がある。
3、美しく魅力的だ。
4、優れている。立派だ。

現在とだいぶ様子が変わりました。

室町時代以降、
「をかし」は滑稽味を帯びているという意味に変化しました。
世阿弥の能楽論では狂言の滑稽な様を「をかし」と呼び、
これが江戸時代に滑稽本などに受け継がれて、
現在の滑稽味のあるという「おかしい」に至ったようです。

「おかし」を語る上で清少納言の「枕草子」は外せません。
「枕草子」は「をかし」の文学と言われています。
同じ平安文学として並び評されるのが「源氏物語」。
こちらは「あはれ」の文学。
「をかし」と「あはれ」はどちらも訳すと “趣深い” となります。
その違いを端的に言い並べると、
「をかし」--- 客観的・理知的
「あはれ」--- 主観的・情緒的

感動して思わず発する声「あはれ」が名詞になり、
平安時代には形容動詞としても使われるようになりました。
感嘆・喜び・愛情・悲しみ・同情など、
すべて心にじんとくる情感を表します。
江戸時代以降、
「あはれなり」はもっぱら「哀れ」の意に用いられるようになりました。
また「あっぱれ」は、感嘆の「あはれ」から派生したものです。

最後に「面白い」にも触れたいと思います。
「面白い」は、
「面」が “目の前”、
「白」が “明るくてはっきりしている” を表し、
目の前が明るくなった状態を指しています。
転じて、楽しい・心地よいなどの明るい感情を表します。









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2018年05月20日

過去も未来も意味する「先」

「先」って、
過去も未来も意味する言葉だと気づきました。
三省堂 大辞林を見ると、
13個も意味が載っていました。
私たちは細かい意味の違いなど意識せず、
自在に「先」を使いこなしていますが、
改めて「先」の意味を確認してみます。

「先」/「前」(さき)
1、物の先端。
・先のとがった棒

2、進んで行く一番前。先頭。
・行列の先

3、時間的に早いこと。
・先に出かける

4、順序が前であること。
・代金を先に払う

5、その時よりも前。以前。
・先に申したとおり

6、後につづく部分。つづき。
・早く先を読みたい

7、これからあとのこと。将来。前途。
・先が思いやられる

8、そこより遠い所。
・この先は行き止まり

9、出かけて行く場所。
・旅行先 ・出張先 ・勤め先

10、取引や交渉などをする相手。先方。
・先の出方しだい

「先」の漢字は「先」/「前」とあります。
「先」の意味することは、
大きく “時間” と “空間” に分類できそうです。
この観点から「先」と「前」の違いを見ていきます。

<時間>
先(さき) ⇔ 後(あと)(のち)
前(まえ) ⇔ 後(あと)
・お風呂とご飯、どっちを先にする?
・ご飯の前にお風呂にする

★過去も未来も意味する「先」
・先に述べた通り(過去)
・先を見越した増産体制(未来)

(未来)この先 ≠ この前(過去)
先日 ≠ 前日
先週 = 前週
先月 = 前月
先年 ≠ 前年

こうして比べてみると、
微妙に違っていて、面白いですね。

<空間> 順番・方向・位置関係
前(まえ) ⇔ 後(うしろ)
先に進む = 前に進む

前 --- 物理的方向
先 --- 意識が向かう方向
といったニュアンスを感じます。










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2018年05月19日

蛇口(じゃぐち)

「蛇口」という呼び名は、
形が蛇の形に似ているからではありませんでした。
日本で最初に水が供給されたのは明治20年の横浜。
道路の脇に設けられた共用栓からだったそうです。

共用栓はイギリスからの輸入品で、
ヨーロッパの水の守護神であるライオンのレリーフがついていました。
どこかの高級スパにあるようなライオンの口から水が出る蛇口でした。
その後、共用栓が国産化されていく過程で、
ライオンから日本の守護神である龍のデザインに変わっていきました。
龍は空想上の生き物で、元になったのは蛇です。
始めは「龍口」と呼ばれていたようですが、
水神様では畏れ多いということで蛇(ジャ)が使われ、
「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれました。

なんというガチガチのネーミング!
専用栓が付くようになって今のような「蛇口」となりました。
また、
「龍口」を小さくしたものなので「蛇口」という説もあります。

ちなみに「蛇口」を引くと、
水道水などの液体を運ぶ管の出口部分、
あるいはその部分の器具のこと。
水栓、カランともいう。

「水栓」が蛇口と同じ意味だったとは知りませんでした。

「水栓」
給水設備で、開閉操作を行うものの総称。蛇口。
ハンドルやレバーを回して開閉や水量の調整を行うものが一般的。
そのほかにも散水用などさまざまな形状があります。

「栓」(せん)
1、管や穴の口をふさぐもの。栓塞・血栓
2、管の先などに取り付けた開閉装置。給水栓・消火栓

「カラン」も見てみましょう。
水栓金具の事。
お湯と水がひとつの蛇口から出る混合栓も含む。
最近の住宅用のカランの形状としては、
レバーひとつで吐水量や吐水温度の調整ができる
シングルレバー式のカランが一般的。

「カラン」はオランダ語のkraan(鶴クラーン) から来ています。
蛇口の長い管が鶴ににていることから。










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2018年05月18日

体裁(ていさい)

1、外観
2、一定の形式
3、世間体
4、口先だけの言葉

よく使うわりには、漢字が浮かびませんでした。

・体裁よく包む
・論文の体裁をなさない
・体裁を気にしない人
・お体裁を言う

「体」の読みは
タイ・テイ・からだ

・体良く(ていよく)
・体たらく(ていたらく)
・体もない(たいもない)
「タイ」と「テイ」で迷います。

「裁」
1、布や紙を切る。裁断する。
2、訴訟や物事を判断して処置する。さばく。定める。
3、手紙を書く。文章を作る。


“世間体” という意味では「面目」があります。

「面目」(めんぼく)
1、 世間や周囲に対する体面・立場・名誉。世間からの評価。
2、物事のありさま。ようす。

「面目」(めんもく)
1、「めんぼく」と同じ
2、 顔かたち。顔つき。
3、 おおもとになるもの。おきて。

・面目ない(めんぼくない)
・面目を保つ(めんぼくをたもつ)
・面目丸つぶれ(めんぼくまるつぶれ)

「もく」と「ぼく」の読みで迷います。
「面目躍如」はどちらの読みもあります。

“体裁が悪い” という意味で「みっともない」があります。
「みっともない」は、
「見たくもなし」

「見とうもない」

「見ともない」

「見っともない」
と変化したもので、
本来は「見たくない」という意味から、
「見たくもないほど見苦しい」となりました。










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2018年05月16日

なるほど

学者やコメンテーターなどの話しを受けて、
司会者などが「なるほど」という相槌を連発しているのを耳にしますが、
皆さんは気になりませんか?
私はどうしても「なるほど」が上からものを言っているように聞こえてしまうのです。
Webでも「なるほど」が取り上げられていました。

「なるほど」は、
他からの知識・意見や現実の状況などに対して、
その正しさ・合理性などを認める気持ちを表すといわれます。
相手からの情報・意見などである場合には、
評価するというニュアンスが生じるため、
目上の人への相槌としては用いられにくいと考えられます。
一方、
正しさ・合理性を認める対象が現実に観察される状況・事物であれば、
相手の発話を受けての相槌とはなりませんから、
目上の人であっても礼をかくことにはなりません。

やはり不遜であると受取られるようです。

ではどういった相槌があるでしょうか?

「いかにも」は時代がかっていますね。
「ごもっともです」
「おっしゃる通りです」
うーん。どうでしょう。
以外とうまい相槌ってないものですね。

それから、
「なるほどですね」もよく耳にしますが、
これは「なるほど、そうですね」が短縮したもの。
短縮せずに言ったほうがいいようです。

相槌と言えば、
おもしろい狂歌を紹介します。
・世の中は 左様然らば御尤も そうで御座るか確と存ぜぬ
(さよう いかにも ごもっとも そうでござるか しかとぞんぜぬ)
今の言葉にすれば、
「はい」
「まったく」
「そうですよ」
「そうなんですか」
「よくわかりませんけど」

この5つの相槌で聞き上手まちがいなしです。

ところで「狂歌」と「川柳」の違いは?

「狂歌」(きょうか)
五・七・五・七・七
社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込んだパロディ形式の短歌。
独自の分野として発達したのは江戸時代中期。

・白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき
(松平定信の厳しい改革より、田沼意次の多少裏のあった政治の方が良かった)

・泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず
(上喜撰とは玉露茶の商品名。濃茶を飲むと興奮するように、たった4隻の黒船に驚き、心配している)

「川柳」(せんりゅう)
五・七・五
俳句の季語のような制限がない。
江戸町人文化を背景に盛んとなる。
サラリーマン川柳は人気ですよね。
おかしみの底に悲哀が漂っていて共感してしまいます。

ついでに「都々逸」(どどいつ)も見てみましょう。
七・七・七・五の音数律に従う。
元来は、三味線と共に歌われる俗曲で、音曲師が寄席や座敷などで演じる出し物。
主として男女の恋愛を題材として扱ったため情歌とも呼ばれる。
江戸末期、初代の 都々逸坊 扇歌によって大成される。
・御貴殿の心ひとつでこの剃刀が 喉へゆくやら眉毛やら
・夢に見るよじゃ惚れよがうすい 真に惚れたら眠られぬ










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