2018年07月22日

漢心/漢意(からごころ)

中国的なものの考え方。
中国の文化に心酔し、それに感化された思想を持つことを、
江戸時代の国学者が批判的にいった語。
→ 大和心(やまとごころ)

本居宣長が提唱した思想概念・批評用語の一つ。
宣長の言わんとするところを噛み砕いた説明がありました。
*
「漢意」というサングラスをかけて世の中を見ているようなものだ。
サングラスをはずして自分の目(日本人としての目)で世の中を見てみよう。
と宣長は提案する。
*

「漢字」「漢語」「漢学」「漢王朝」「漢民族」・・
中国の代名詞のような「漢」。
「漢」という字は「乾」に通じ、
“水の流れていない川”を表す形声文字です。
中国の川の名前「漢江/漢水」を指します。

「漢」カン
1、天の河。
2、中国の川の名。漢水。
3、中国の王朝の名。
4、男。
5、中国に関することがら。

少し前の日経に「漢字」の由来が載っていました。
*
確認することができる最も古い漢字は、
紀元前1300年あたりから使われていた甲骨文字や金文。
中国統一は紀元前202年頃で、
漢王朝ができる1000年も前に使われていました。
漢字の「漢」は“漢民族”の「漢」です。
漢民族が話す言葉を「漢語」といい、
書くための文字が「漢字」。
400年も続いた漢王朝は劉邦が建国。
劉邦が最初に領地にして支配したのが、
現在の陝西省南部にある漢水上流地域でした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E6%B1%9F_(%E4%B8%AD%E5%9B%BD)
この河の名に基いて自ら漢王と名乗り、
国号を「漢」と定めたのでした。
*
ということで、漢王朝は漢水が由来でした。

前漢(紀元前206〜8年)と後漢(25〜220年)
2つの王朝を総称して「漢王朝」と呼ばれます。

最後に、漢の付く熟語を見ておきます。

天の川 = 銀漢・雲漢・天漢

▽“男”を意味する熟語
好漢・悪漢・巨漢・酔漢・痴漢・暴漢・凶漢・
熱血漢・冷血漢・無頼漢・門外漢

「漢奸」(かんかん)
中国で、敵に通じる者。売国奴。
特に、抗日戦争下、日本に協力した者をいう。

「奸」 カン
よこしまで悪賢いこと。また、その人。










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2018年07月15日

異体字(いたいじ)

字体が違っているけれど、音と意味は全く同じ字のこと。
本字(正字)、俗字、誤字、略字などもひっくるめて異体字と呼ぶこともあるようです。
常用漢字では、異体字は使わないことになっています。

以下のような字があります。
栄----榮
円----圓 
応----應 
沖----冲
虎----乕
涙----泪
湧----涌
富----冨
体----躰
淵----渕
灯----燈 
杯----盃
作----做
辺----邊・邉
浜----濱・M

「異字体 一覧」を見ると、1083字もありました!
http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/itaiji_list.jsp

◇「新字体」と「旧字体」
新字体とは、1949年告示の当用漢字字体表で、
正字体として認められた漢字のこと。
第二次世界大戦後、
政府が漢字の表記を簡単にしようと、多くの漢字が簡略化されました。
例えば、「國」→「国」
簡略化される前の漢字を「旧字体」
簡略化された新しい漢字を「新字体」と言います。
旧字体は公的には使われなくなりましたが、人名などに残っています。

「新・旧字対照表」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/cl/koten/newold.htm

◇「高」と「」
「高」(くちだか)と「」(はしごだか)は、
新字体と旧字体ではありません。
「」は「高」の異字体ですが、
元々は「」で、「」から「高」に変化したようです。
「」は「はしごだか」というように、“はしご” を表しています。

◇「吉」と「つちよし」
(つちよしの漢字が入力できません)
「つちよし」は「吉」の異体字です。
「吉」は “士” で「さむらいよし」
「土」+「口」は “土”で 「つちよし」と呼ばれます。
さむらいよし「吉」は常用漢字で名前に使えますが、
「つちよし」は、常用漢字でも人名用漢字でもありません。
「吉」が残ったいきさつ。↓
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp/2011/05/19/yoshi/
吉野家・吉兆は「つちよし」でした。
それにしても、上が長いか下が長いかの差。まぎらわしい。

「崎」の異字体「ア」は「たつさき」と呼ばれます。

「島」の成り立ちは、「山」+「鳥」
渡り鳥が休む海中の山 →「島」
山と島の組み合わせで、「嶋」「嶌」という異字体があります。

ちなみに、
姓の漢字には制限がありませんが、
「名」に使える漢字は「常用漢字」2136文字+「人名用漢字」863文字。
これらの漢字以外は子供の名に使えません。








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2018年07月08日

勤怠(きんたい)

勤勉と怠惰。また、出勤と欠勤。
勤惰(きんだ)

総務の方は「勤怠管理」でお馴染みの語だと思います。
漢字も音も硬い言葉です。
「勤しむ」と「怠ける」を管理する?
私は「怠」の字に違和感を覚えます。
怠けている社員に目を光らせるための管理。
そんな使用者側の上から視線を感じます。

Webを見れば、
総務の方も「勤怠管理」の語に違和感を持たれているようです。
*
「勤怠管理」はタイムカードの新種で、
出勤、退勤、休暇、休憩などの勤務に関する
時刻・時間の実を管理し、
精励・怠惰の状態を把握するものではないはずです。
本来「勤務管理」「出退管理」等の表記が自然だと思います。
*
それに対する回答が、
*
勤怠とは出勤や退勤をはじめ、
休憩や休暇などの「出勤状況」を示すものです。
社員の残業時間、出社日数、休暇日数などを把握し、
就労規則など、ルールを遵守しているかを管理することを
一般に勤怠管理と呼んでいます。
*
「出勤」+「退勤」→「勤退管理」と思うところですが、
勤務時間だけではなく、
より広い労働状況を把握するものということですね。
とはいえ、
労働基準法に「勤怠」という単語は出てこないということですし、
「勤務管理」「就業管理」でもいいのではと思ってしまいます。

「勤怠」の語源やいつ頃から使われるようになったかは
わかりませんでした。
ご存じの方、教えて下さい。

「勤しむ」(いそしむ)
熱心につとめ励む。精を出す。

「勤しむ」の類語を見ると、
頑張る・出精する・奮励する・奮闘する
努力する・敢闘する・鋭意努力する
粉骨砕身する・全力を尽くす
努力を払う・努力を注ぐ・努力を傾注する

どれも力の入った感じがする語ばかりですが、
「勤しむ」は柔らかい響きがあります。

「勤」 キン・ゴン・つとめる・いそしむ

<「勤/務/努」(つとめる)の使い分け>
「勤」---- 会社などで毎日のように仕事する
「務」---- 与えられた仕事をする
「努」---- 力をつくす

「怠」 タイ・ダイ・おこたる・なまける・だるい
心がたるんでなまける。

「惰」 ダ
だれてしまりがない。だらける。

「惰気満満」(だきまんまん)なる語がありました。
だらけた気分に満ちているさま。
やる気がまったくないさま。

だらけきっていることなんですが、
“満々”で、前向きの感じがしてしまいます。笑









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2018年07月01日

こなれた

・おなかがこなれてきた
・こなれた着こなし
・こなれた接客

などと使う「こなれた」の漢字、思い浮かびます?



「塾れた」です。

「塾れる」(こなれる)
1、食べた物が消化される。
2、世慣れて円満になる。かどがとれる。
3、物事に熟練する。
4、調和の取れた状態になる。
5、動きがおさまり、落ち着いた状態になる。

「熟」 ジュク・うれる・こなす・こなれる
1、煮る。煮える。
2、(果実などが)うれる。
3、(作物が)みのる。

・熟れた果実----うれた
・熟れた味噌----なれた
・熟れた翻訳文--こなれた
・熟み柿(うみがき)
・熟柿(じゅくし)
・熟れ鮨(なれずし)

果物などが熟した「塾」(じゅく)は、
擬態語の「じゅくじゅく」を思い浮かべます。

「熟れ」(なれ)は「慣れ」と同語源。
「塩なれ」という語があります。
塩味のとげとげした味を弱めること。

塩化ナトリウム含有量99.5%以上の精製塩は、
とげとげした塩見を感じます。
これを「塩角」(しおかど)と言います。
一方、自然塩は塩化ナトリウムが80%程、
他は塩化マグネシウムなどのにがり成分。
にがり成分が塩見をやわらげる効果を、
「塩角が取れる」「塩角がない」などと表現します。

熟成やアミノ酸などの添加物を加えたりすると、
塩分濃度は同じであるのに
塩辛味が減ったように感じます。
この現象を「塩なれ」といいます。

<「熟」の熟語>
熟知・熟考・熟慮・熟察・熟視・熟思
熟成・熟達・熟練
成熟・円熟・習熟

「熟客」(じゅっかく)
なじみの客。

「熟荒」(じゅっこう)
豊年で米価が下がり、かえって農民が困窮すること。


「こなれた」は、ファッション業界でよく使われています。
・こなれた大人のゆるかわシニヨン
・こなれたポニーテールアレンジ
・こなれた女らしさ思いのまま
・ビジネスマンのこなれたカジュアルスタイル

「こなれ感」
頑張っておしゃれしてきました感を出さない着こなし。

「抜け感」
キメ過ぎない。スキを作る。

「カジュアルダウン」なんていいますね。

ファッション用語は時代と共に変わりますから、
何を指しているのか混乱します。
・スパッツ → レギンス
・チョッキ → ベスト → ジレ
・チャック → ファスナー → ジッパー
・カッパ → レインコート
・腕輪 → ブレスレット → バングル









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2018年06月24日

逼塞(ひっそく)

1、 落ちぶれて世間から隠れ、ひっそり暮らすこと。

2、江戸時代の武士や僧侶に科された刑罰の一。
門を閉ざして昼間の出入りを許さないもの。


「逼」はあまり使われていない漢字で、
熟語も「逼迫」ぐらいしかありません。

「逼」 ヒツ・せまる
事態が差しせまる。身動きできない。


江戸時代には、謹慎という刑がありました。
「逼塞」も謹慎の1つです。

「謹慎」の現在の意味は、
1、言行をつつしむこと。
2、一定期間、出勤や登校などを差し止める処罰。
3、3番目の意味が、刑罰の「謹慎」です。
江戸時代、上級の武士に適用された名目上の刑で、
門戸を閉じて昼間の出入りを禁じたもの。

謹慎は罪の程度により呼び名が変わります。
刑の重いものから並べると、
蟄居 > 閉門 > 逼塞 > 遠慮 > 隠居 > 差控

「蟄居」(ちっきょ)
自宅の一室で謹慎。

「閉門」(へいもん)
門扉・窓を塞ぎ、昼夜ともに出入りを禁止。

「逼塞」(ひっそく)
門戸を閉ざし、白昼の出入り禁止。

「遠慮」(えんりょ)
自主的な自宅謹慎。
夜間のひそかな外出は黙認。来訪は許される。

「差控」(さしひかえ)
自宅謹慎。
門を閉ざすが、潜門(くぐりもん)から
目だたないように出入りできた。

寛保二年(1747)に「公事方御定書」が制定後は
これに基づき裁判が行われました。
江戸時代は身分によって
適用される刑罰が違っていました。
<適用される身分と刑罰>
///共通///
死刑のうち切腹と斬首以外、遠島、追放、
押込、敲き、預かり、晒し、市中引廻、闕所、入墨

///庶民のみ///
手鎖、戸閉、過料、叱り、非人手下、人足寄場

///武士のみ///
切腹、斬首、改易、役儀取上げ、
蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控

///僧のみ///
追院、退院、一宗構い、一派構い、
蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控

///女性のみ///
奴、剃髪 

「押込」(おしこめ)
一室に閉じ込め、外部との接見も手紙のやりとりも禁止。

「敲き」(たたき)
肩・背・尻をむちで打つもの。

「預」(あずけ)
親族などの私人の元で拘禁状態に置くこと。

「闕所」(けっしょ)
死罪・遠島・追放などの付加刑で、
田畑・家屋敷・家財などを没収すること。

「隠居」(いんきょ)
すべての役職を解かれ、
家禄はすべて相続人に譲渡。

「奴」(やっこ)
人別帳から除き、奴隷の身分にするもの。
引取りを希望するものがあれば下げ渡し、
多くは娼婦として使役された。

現在の「遠慮」は、
多くは“控え目にふるまうこと”
という意味で使われていますが、
本来の意味は“遠き慮(おもんばかり)”で、
遠い先々のことまで見通して、よく考えること。
深慮の意でした。

「謹」 キん・つつしむ
1、言動に注意してかしこまる。細かく気を配る。
2、相手に対して恭敬の意を表す語。

「慎」 シン・つつしむ
手落ちのないように気を配る。

「遠慮」と「謹慎」は意外と近い言葉でした。








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