2009年11月08日

「任せる」と「委ねる」

「任せる」と「委ねる」の違いはなんだろうと思いました。
辞書を見ると、

「任せる/委せる」(まかせる)
1、仕事などを他にゆだね、その自由にさせる。
・子どもの自主性に任せる
2、相手の好きなようにさせる。
・運を天に任せる
3、そのままにしておく。ほうっておく。
・成り行きに任せる
4、自然の勢いのままにする。
・足に任せて歩く
5、従う。

「委ねる」(ゆだねる)
1、処置などを人にまかせる。また、すべてをまかせる。
・全権を委ねる
2、すべてをささげる。
・政治に身を委ねる

それぞれが持つ意味の広がりに違いはありますが、
「まかせる」はそもそも「任」「委」どちらの字も当てられていますし、1の意味においてはどちらも“ゆだねる”“まかせる”と言葉が重なっています。
違いを発見したかったのですが、ほぼ同じ意味のようです。
個人的には、比べると「任せる」の方にやや重圧を感じます。

この二つの漢字が合体したのが、
「委任」(いにん)
ある物事の処理を他の人にまかせること。
似た意味に、
「委託」(いたく)があります。
自分の代わりを人に頼みゆだねること。

この意味の説明から「委任」と「委託」の違いは認められませんが、法律用語としての使い方には区別があります。
他人にものを頼むことが「委託」で、
法律行為を頼めば「委任」になります。
そして、委託契約には「委任契約」と「請負契約」があります。
「委任契約」は、行為(作業や事務)に対して報酬を支払い、
「請負契約」は、行為の成果に対して報酬を支払います。
「委任」の場合は、業務の遂行責任を負うというもので、必ずしも結果が目的ではありません。
「請負」の場合は、いくら労務を提供しても仕事が完成しなければ報酬は得られません。




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2009年11月07日

早急(さっきゅう/そうきゅう)

非常に急ぐこと。至急。

先週、政治家の発言で「さっきゅうに」という言葉が耳に入ってきました。
そういえば「さっきゅう」という言い方があったことを思い出しました。
「早急」
でも、普段「そうきゅう」と使っているような・・・。
・早急な対応を望む
いったいどちらの言い方が正しいのだろうという疑問が湧いてきました。
これもまた移行期にある言葉なのか。

Webで調べてみると、
「早急」の読み方に関しては、いろいろな説があることがわかりました。
1>
もともと「さうきふ」からきた言葉で「そうきゅう」が正しく、
「早速」などの影響から「さっきゅう」が後で生まれたという説。
2>
もともとは「さっきゅう」で、「早朝」などの影響から「そうきゅう」が後で生まれたという説。
どちらの説も決定的ではないようです。
放送局によっても読み方は異なっていて、
民放各社が<1>の見解をとって「そうきゅう」を使い、
NHKが<2>の見解をとって「さっきゅう」としているそうです。

「早」の読みは、
ソウ・サッ・はや-い
難しい読みには、
早乙女(さおとめ)、早苗(さなえ)、早生(わせ)、早稲(わせ)

「早」には“夜明け”“朝”という意味があります。
対義語は「晩」
ちょっとおもいつきませんでした。
早---晩
速---遅

「早晩」(そうばん)
名詞)早いことと遅いこと。また、朝と夕。
副詞)おそかれはやかれ。いずれ。




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2009年11月01日

あり得る(ありうる)

起こる可能性がある。当然考えられる。

・あり○るよね
・あり○る気がする
・あり○るんじゃない
私はよく「う」と「え」の間で舌が迷うことがあり、
常々「ありうる」って言い回しずらいなーと思っていたんです。
今回調べてみると、苦手な文法の話しが全面に出てきて理解に苦しみましたが、そのあたりの事情がわかりました。

元々、古語に「あり得」(ありう)という語がありました。
意味は“生きていることができる”
それが「ありうる」に変化し、口語として定着したものです。
一方、単体で使う「得る」は、
元々古語の「得」(う)という言葉で、
それが「うる」と「える」の二つに変化しました。
今では「える」の方が一般的になっています。

「ありうる」は文語の「うる」の活用が残ったものです。

以下に活用を並べてみます。
■文語「うる」(下二段活用)
ありえ(ず)---ありえ(たり)---ありう---ありうる(こと)---ありうれ(ども---ありえよ
■口語「える」(下一段活用)
ありえ(ない)---ありえ(ます)---ありえる---ありえる(こと)---ありえれ(ば)---ありえよ

●現状の「ある得る」の活用
ありえ(ない)---ありえ(ます)---ありうる---ありうる(こと)---ありえれ(ば)---ありえろ

否定形が「ありえない」なので、「ありえる」と誤読する人も多く、「ありえる」派の勢力は増しているようす。
語の自然な活用からも、そのうち「ありえる」に移っていくような気がします。
NHKでも単体で「得る」を使う時は「える」と言うようになっているそうです。
・職を得る(える)
・知識を得る(える)




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2009年10月31日

瀟洒(しょうしゃ)

すっきりとあか抜けしているさま。
俗っぽくなくしゃれているさま。

「瀟洒」というと、マンション・ホテル・邸宅・館など、建物のイメージが浮かびます。
例題に「瀟洒な身なり」とあるように他にも形容できるのでしょうが、あまり建物以外の表現を見聞きしたことがありません。
ちょっとおもしろい現象だなと思いました。

「瀟」ショウ
1、清くすがすがしい
2、風雨がはげしいさま

「洒」シャ・サイ
1、すすぐ。水をかけて洗う
2、さっぱりしている

見ても書けない難しい漢字の「瀟」は「瀟洒」以外にはほぼ使われていません。
「洒」のつく熟語には、「洒脱」「洒落」があります。

・洒脱(しゃだつ)
俗っぽくなく、さっぱりしていること。あかぬけしていること。

「瀟洒」に贅沢で華美なイメージを持っていましたが、「瀟洒」は「洒脱」とよく似た意味だったんですね。

「洒落」は、「しゃらく」と「しゃれ」の読みがあります。

・洒落(しゃらく)
心がさっぱりとしてわだかまりがないこと

・洒落(しゃれ)
1、気のきいたようす
2、身なりをかざること。おしゃれ。
3、言葉のしゃれ(人を笑わせる文句)

「洒落」(しゃれ)は当て字です。
語源は、晒れ/戯れ「され」が転じたものということです。
室町時代以降に「され」から「しゃれ」になり、
“心がさっぱりして物事にこだわらない”という意味の「洒落」(しゃらく)という漢語が意味上も音も似ているということで当て字に使われました。

駄洒落の「しゃれ」には「戯落」のほうが似つかわしいような。

女子がしょっちゅう口にする「おしゃれ」も漢字で書くと「お洒落」。
「おしゃれする」と言い方が普通になっているので、
洒落る「しゃれる」という言葉が変に聞こえてしまいます。




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2009年10月25日

敷衍(ふえん)布衍/敷延

1、延べ広げること。
2、(文章・談話などに)説明を加えて判りやすくすること。

この言葉も知りませんでした。
例文としては、
・憲法を敷衍して人権向上を図る
・環境負荷という観点で敷衍してみようと思う。
・誤差が±5%で全体に敷衍できる統計
・ノウハウの敷衍で防げた可能性のある事故

さて、「衍」はどんな意味をもっているのでしょうか。

「衍」エン
1、水が流れる
2、あふれる
3、ひろがる=延

「衍」の付く熟語でおもしろい発見だったのは、
「衍字」(えんじ)
“文章の中に誤って入った余計な文字”
これも馴染みのない語だと思うのですが、
対語が「脱字」と知ると、ホーっと思ってしまいました。
「衍入」「衍文」なる言葉もあります。
誤って挿入された文字・語句・文のことです。

これだけ copy&pastしまくりのワープロでの文書作成で、ミスも多いでしょうから「衍入」(えんにゅう)という言葉が飛び交ってもよさそうですが、聞きませんね。
「衍入」使ってみませんか。

レトリックの一つに「敷衍」というのがあるのを見つけました。
必要以上に詳しく並べて述べる技法です。
対象のことを詳しく述べることによって、その対象を強調する効果があります。




posted by 空凛 at 23:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする