2010年06月28日

一廉の人物(ひとかどのじんぶつ)

他よりもひときわ優れている人物
一角とも書きます。

「ひとかど」が「一廉」だったとは、発見でした。
「廉価」「清廉潔白」で知っているつもりだった「廉」にこんな用法があったとは。
「一廉」の意味は、
1、一つの事柄。一つの分野。
2、ひときわ優れていること。いっかど。
3、人や物が名前に恥じない能力や内容をもつこと。一人前。

さらに「廉」を見ると、
レン・かど
1、値が安いこと。
2、心が清らかで欲が少ないこと。
3、かど。すみ。

なんだか意味がバラバラですね。

・謀反の廉で捕らえられる
・一廉の実業家
・一廉の働きをする
・一廉の理屈を並べ立てる
最近はあまり耳にしませんが、こういう「廉」の表現もありました。

“安い”という意味の熟語には、
廉価・廉売・低廉

“心が清らか”という意味の熟語にあまり見慣れないものがありました。
「廉直」(れんちょく)
私欲がなく正直なこと。

「廉正」(れんせい)
潔白で正直なこと。

「廉節」(れんせつ)
清く正しい節操。

廉恥(れんち)
心が清らかで、恥を知る心が強いこと。

私は、「破廉恥」(はれんち)は「ハレンチ」として認識していましたし、
「廉恥心」(れんちしん)という語があることを知りませんでした。

似ている語に、
「羞恥心」(しゅうちしん)があります。
自らを恥ずかしいと感じる心。

「羞」も“はじる”という意味なのでした。




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2010年06月20日

雨のいろいろ

梅雨入りして湿りがちな今日この頃、
「雨」を取り上げてみました。

「雨」は「あめ」と「あま」で読み方に悩むことがあります。
雨空・雨垂れ・雨音・雨水・雨漏り・雨露・
雨傘・雨靴・雨具・雨戸・雨樋・
雨宿り・雨乞い・雨ざらし・雨間・
などは「あま」です。
「雨間」(あまあい)は、あめがやんでいる間のことです。

雨模様・雨上がり・雨脚・雨粒・雨染み・
などは「あめ」「あま」両方の言い方があります。

「雨模様」は、
本来の意味は“雨が降りそうなようす”ですが、
近年は、
“雨が降っているらしいようす(推測)”
“現に雨が降っている”時にも使われています。

雨を表現する語は多いですね。
季節ごとに、
「春雨」(はるさめ)---春の雨
「秋雨」(あきさめ)---秋の雨
「時雨」(しぐれ)---秋から冬の雨
「冷雨」(れいう)「冬時雨」(ふゆしぐれ)---冬の雨
「五月雨」(さみだれ)---梅雨時の雨
「喜雨」(きう)---夏の土用の頃、日照りが続いているときに降る雨。
「麦雨」(ばくう)---麦の実る頃降る雨。五月雨。

雨の名前も実にたくさんあります。
「小糠雨」(こぬかあめ)
非常に細かい雨。ぬか雨。細雨。

「驟雨」(しゅうう)
急に降り出してまもなくやんでしまう雨。
にわか雨・村雨(むらさめ)とも言う。

「宿雨」(しゅくう)
1、連日降りつづく雨。ながあめ。
2、前夜からの雨。

「瑞雨」(ずいう)
穀物の生長を促す喜ばしい雨。慈雨。

四文字熟語には、
・晴耕雨読(せいこううどく)
晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家にこもって読書をすること。
悠々自適の生活を送ることをいう。

・櫛風沐雨(しっぷうもくう)
風に櫛(くしけず)り、雨に沐(かみあら)う意。
さまざまな苦労をすることのたとえ。

・五風十雨(ごふうじゅうう)
5日に一度風が吹き、10日に一度雨が降る意から、
1、天気が順調で、農作のために都合がよいこと。
2、世の中が安泰であること。

他にも、
・雨降って地固まる

・雨垂れ石を穿つ(うがつ)
小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功する。

・雨後の筍
雨が降ったあと、たけのこが次々に出てくるところから、
物事が相次いで現れることのたとえ。

・干天の慈雨(かんてんのじう)
日照り続きのときに降る恵みの雨。
待ち望むものが叶えられること。
また、困っているときにさしのべられる救いの手。





posted by 空凛 at 21:28| Comment(7) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月13日

「売り」と「買い」

私は「ばいしゅう」と書く時、一瞬「売」と「買」で迷ってしまうことがあります。
読みが同じ「バイ」なのが紛らわしい。

「ばいか」「けいばい」「ばいでん」と聞いたら、
まあ、「売価」「競売」「売電」が先に立つでしょうが、
「売価」/「買価」
「競売」/「競買」
「売電」/「買電」
どっちの熟語も存在します。
法律用語としては、「けいばい」/「けいがい」と読み分けます。

そもそも「売」「買」というのは、
取引の局面を双方から見たもので、お金と品物を交換する点では同じ行為。
「売」という字は、
旧字が「賣」で、「出」「買」を合わせた字です。
品物を出す行為が「売」というわけです。

「買」は、
四の部分が「網」を表していて、
貝は「財貨」
網で覆うように物を買い占めて利益を得る意。

「売り渡し」−「買い受け」
「売却」−「購買」
「売り言葉に買い言葉」
「売れ足」「売れ口」「売れ先」「売れ筋」「売れ線」
「切り売り」「掛け売り」「受け売り」
「売国奴」「売店」「売文」「売名」「売約」「売れっこ」
「買い物」「買い出し」「買い付け」「買い占め」「買いかぶる」

「受け売り/請け売り」とは、
1、製造元・問屋などから卸してきた品を転売すること。
2、ある人の意見や学説をそのまま他人に説くこと。

「受け売り」は、2の意味しか知りませんでしたが、商売のほうからきてたんですね。
商売では「売」目線になるため「売」の語が多いですね。

珍しい語としては、
「売卜」(ばいぼく)
報酬を得て、占いをすること。

「売僧」「まいす」
1、商売をする僧。仏法を種に金品を不当に得る僧。禅宗から起こった語。
2、人をだます者。また、人や僧をののしっていう語。
3、うそ。いつわり。
「マイ」「ス」ともに唐音。
変換できたのにビックリ。

「読売り」(よみうり)とは何でしょう?
瓦版(かわらばん)のこと。
江戸時代、世間の出来事を速報した瓦版1枚または数枚刷りの印刷物を、内容を読み聞かせながら売り歩いたことから。
瓦版といってもほとんど木版摺りだったようです。

もっと以前、中世から見られたのが、
「落書」(らくしょ)
政治・世相・個人などを批判・風刺した匿名の文書。
人目に触れやすい所に落として人に拾わせたり、相手の家の門・塀に貼りつけたりしました。
短歌の形式をとり、名歌のパロディや歌をもじったりしたものを
「落首」(らくしゅ)と言います。

「落書き」(らくがき)は「落書」から転じたものです。




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2010年06月06日

義捐金(ぎえんきん)

慈善のため、また不幸や災害にあった人に対して、金品を寄付すること。

「捐」の意味は、
1、すてる。
2、金を出す。寄付する。

「義捐」は明治時代につくられた和製漢語です。
「義援金」という表記は、新聞協会による独自の基準で定めた代用表記で、元は「義捐金」なのでした。

“すてる”とい意味で「棄捐」という熟語があります。
「棄捐」(きえん)
1、すてて用いないこと。
2、江戸時代、法令によって貸借関係を破棄すること

2を補足するような説明がWikipediaにありました。
「義捐令」(きえんれい)
江戸時代幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である「札差」に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令。
松江藩・加賀藩・佐賀藩など諸藩でも行われました。
松平定信が寛政の改革の一環として発したのが最初で、
天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を下げ(年利18%→6%)、以後の法廷利率は12%、長期の年払いにするもの。

「札差」(ふださし)とは、
江戸時代、蔵米取の旗本・御家人の代理として蔵米を幕府の浅草蔵から受け取り、米商人への委託販売を行った江戸の金融商人。
本来の業務は米100俵につき金3分の手数料をとるものであったが、蔵米を担保とする金融も行い、旗本・御家人の財政窮迫に拍車をかけた。

当初、困窮した旗本・御家人はこの法令に大喜びをしましたが、札差は大きな損害を受け、その後 旗本・御家人に対する貸付は行われなくなりました。
結果、借金が出来なくなったことで、また彼らは生活に困ることに。

こんな歴史知りませんでした。
Webに、
「亀井金融相のモラトリアム制度は平成の棄捐令か?」なる記事がありましたが、改正貸金業法といい、よく似た情況ですよね。

ちなみに、
「モラトリアム制度」とは、「返済猶予制度」
銀行からの借金元本返済を一定期間猶予するというもの。
また、
2010年6月から完全施工になる「改正貸金業法」とは、
●借入総額が年収の1/3まで。
●専業主婦(夫)は、配偶者の同意が必要。
●一定額以上の借入には年収の証明が必要。
●個人事業主は決算書等の書類が必要。
●個人の信用情報の登録が必要。
●新たな借入の上限金利は20%以下。

「義捐金」からとんだろころまで行ってしまいました。

言葉に戻って、
「募金」(ぼきん)は、
寄付金などをつのって集めること。
それでは、
「醵金」(きょきん)は?
ある事をするために複数の者が金を出しあうこと。
また、その金。

似ていますが、募金活動に応じてお金を出す行為が「醵金」で、
お金を集める行為が「募金」。
でも、お金を出す行為も「募金する」って言ってますね。

「醵」は“多くの人で金銭を出し合う”意。

「醵出」(きょしゅつ)は、
金品を出し合うこと。

この「醵」も「拠」で代用されて、
「拠金」「拠出」と書かれます。





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2010年05月31日

備考欄(びこうらん)

いろんな書類に「備考欄」というのがあり、よく目にしますが、今までなんとなく“項目にないその他のことを書く欄”という認識でやりすごしていました。

「備考」(びこう)
参考のために付記すること。また、その事柄・記事。

他にも書類でよく見る語を確認してみました。

「摘要」(てきよう)
重要な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書きしたもの。
「摘記」(てっき)
「摘録」(てきろく)
「撮要」(さつよう)
も同じ意味です。

「摘」
テキ・つま-む
1、指先でつまんで取る
2、かいつまんで選び出す
3、悪事をあばきだす

「注記/註記」(ちゅうき)
1、本文の意味を理解させるために注を書き加えること。また、その注。
「注釈」「補注」とも言います。
2、物事を記録すること。また、その記録。

「脚注」(きゃくちゅう)
ページの下部、本文の枠外に表記される短文。
用語の注釈や、補足説明などを記述する。

「脚注」に対して「頭注」(とうちゅう)「冠注」(かんちゅう)という語があります。
また、
「傍注」(ぼうちゅう)は、
本文のわきに書き添えた注釈。

「付記」
本文に付け加えて書きしるすこと。また、その部分。

「追記」
あとからさらに書き足すこと。また、その文章。

いろんな言葉がありますね。

話しはそれますが、
「覚書」(おぼえがき)が気になりました。
1、忘れないように書き留めておくこと。また、その文書。メモ。備忘録。
2、条約に付帯した、あて名も署名もない略式の外交文書。
条約の解釈・補足、また、自国の希望・意見を述べたもの。
外交使節の署名のあるものは正式な外交文書となる。了解覚書。
3、契約をする者同士が交わす、契約の補足や解釈などを記した文書。

「覚書」と言った場合、
“備忘録”“外交文書”“契約文書”といった3つの意味がありました。
1つめの意味ですが、
いまどき「覚書」「備忘録」を口にする人も稀で、すっかり「メモ」に取って代わりました。
3つめの意味では、
「覚書」と「契約書」の違いは?
といった疑問がWeb上に多数見られました。
「覚書」とは、
契約書の内容を補足する内容を書面にしたもので、補足用契約書と考えられます。
契約書と同等の法律的効果をもちます。
尚、収入印紙の貼付は税法上の問題にすぎず、印紙が貼ってなくても法律的には全く問題なく有効とのことです。




posted by 空凛 at 19:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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