2009年10月31日

瀟洒(しょうしゃ)

すっきりとあか抜けしているさま。
俗っぽくなくしゃれているさま。

「瀟洒」というと、マンション・ホテル・邸宅・館など、建物のイメージが浮かびます。
例題に「瀟洒な身なり」とあるように他にも形容できるのでしょうが、あまり建物以外の表現を見聞きしたことがありません。
ちょっとおもしろい現象だなと思いました。

「瀟」ショウ
1、清くすがすがしい
2、風雨がはげしいさま

「洒」シャ・サイ
1、すすぐ。水をかけて洗う
2、さっぱりしている

見ても書けない難しい漢字の「瀟」は「瀟洒」以外にはほぼ使われていません。
「洒」のつく熟語には、「洒脱」「洒落」があります。

・洒脱(しゃだつ)
俗っぽくなく、さっぱりしていること。あかぬけしていること。

「瀟洒」に贅沢で華美なイメージを持っていましたが、「瀟洒」は「洒脱」とよく似た意味だったんですね。

「洒落」は、「しゃらく」と「しゃれ」の読みがあります。

・洒落(しゃらく)
心がさっぱりとしてわだかまりがないこと

・洒落(しゃれ)
1、気のきいたようす
2、身なりをかざること。おしゃれ。
3、言葉のしゃれ(人を笑わせる文句)

「洒落」(しゃれ)は当て字です。
語源は、晒れ/戯れ「され」が転じたものということです。
室町時代以降に「され」から「しゃれ」になり、
“心がさっぱりして物事にこだわらない”という意味の「洒落」(しゃらく)という漢語が意味上も音も似ているということで当て字に使われました。

駄洒落の「しゃれ」には「戯落」のほうが似つかわしいような。

女子がしょっちゅう口にする「おしゃれ」も漢字で書くと「お洒落」。
「おしゃれする」と言い方が普通になっているので、
洒落る「しゃれる」という言葉が変に聞こえてしまいます。




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2009年10月25日

敷衍(ふえん)布衍/敷延

1、延べ広げること。
2、(文章・談話などに)説明を加えて判りやすくすること。

この言葉も知りませんでした。
例文としては、
・憲法を敷衍して人権向上を図る
・環境負荷という観点で敷衍してみようと思う。
・誤差が±5%で全体に敷衍できる統計
・ノウハウの敷衍で防げた可能性のある事故

さて、「衍」はどんな意味をもっているのでしょうか。

「衍」エン
1、水が流れる
2、あふれる
3、ひろがる=延

「衍」の付く熟語でおもしろい発見だったのは、
「衍字」(えんじ)
“文章の中に誤って入った余計な文字”
これも馴染みのない語だと思うのですが、
対語が「脱字」と知ると、ホーっと思ってしまいました。
「衍入」「衍文」なる言葉もあります。
誤って挿入された文字・語句・文のことです。

これだけ copy&pastしまくりのワープロでの文書作成で、ミスも多いでしょうから「衍入」(えんにゅう)という言葉が飛び交ってもよさそうですが、聞きませんね。
「衍入」使ってみませんか。

レトリックの一つに「敷衍」というのがあるのを見つけました。
必要以上に詳しく並べて述べる技法です。
対象のことを詳しく述べることによって、その対象を強調する効果があります。




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2009年10月24日

賽の河原(さいのかわら)

三途の川(さんずのかわ)の河原。

親に先立って死んだ子どもが孝行をつくせなかった罪のつぐないに、この河原で父母供養のために小石を積んで塔を作ろうとするが、石を積むとすぐに鬼がきてこわしてしまう。
そこへ地蔵菩薩が現れて子どもを救うという俗信。
このことから「賽の河原」は、“報われない努力”“徒労”の意でも使用されます。
仏教の教えかと思っていましたが、民間信仰による俗信だということです。

「三途の川」(さんずのかわ)は、
此岸(しがん)と彼岸(ひがん)すなわち、現世とあの世を分ける境目にあるとされる川。
「三途川」(さんずかわ)というのは、実際に 群馬県・千葉県・宮城県・青森県にあります。

「賽」の付く語でまず思い受かべるのが「賽銭」。
「賽子」(さいころ)がありますが、漢字で書く人は少ないかもしれません。
パソコンでも変換できません。
料理の切り方で「賽の目切り」というのがあります。

そもそも「賽」とはどんな意味なのでしょうか。
「賽」サイ
1、まつる
2、参詣する
3、勝負をあらそう
4、さい。さいころ。

「賽」は神様と関係のある漢字のようですが、
それがなぜ「サイコロ」につながるのでしょう。

Web上に解説がありました。
賽子(さいころ)には、神との関わり合いがありました。
占いの道具だったのです。
偶然に支配されるために、あのような正確な立方体の形に。
天地四方をかたどったものです。
1が天、6が地、5が東、2が西、4が南、3が北を表わし、
対応する両面の数の和が7になります。
やがて勝負事につかわれるようになりましたが、
本来は神に関わり、神に問い、神に捧げ奉る祭祀のものでした。




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2009年10月18日

塗抹(とまつ)

1、塗りつけること
2、塗り消すこと

私は「塗抹」という言葉を知りませんでした。
パソコンの変換にもでてこないので、ほとんど使われていない言葉かと思いましたが、検索してみると「塗抹検査」でたくさん引っかかりました。

「塗抹検査」
微生物検査において検体をそのまま、あるいは遠沈してスライドグラスに塗抹し、グラム染色という方法で染色して、顕微鏡で観察して微生物の有無や種類を調べる検査。

それぞれの漢字を見てみると、

「塗」
ト・まみ-れる
1、ぬる。----塗装・塗布・塗抹・塗料
2、泥。泥にまみれる。---塗炭・泥塗
3、道 (途)

「抹」
マツ
1、する。なでる。一抹
2、ぬる。----塗抹
3、消す。----抹消・抹殺
4、こな。----抹茶

「塗」も「抹」も“ぬる”という意味なのでした。
「まみれる」に「塗」の漢字は浮かんできませんでした。

「塗れる」(まみれる)
汚いものが一面について汚れる。
・一敗地に塗れる(いっぱい ちにまみれる)

「塗炭」(とたん)
泥にまみれ火に焼かれること。
転じて、ひどい苦痛。きわめて辛い境遇。
・塗炭の苦しみ

「一抹」(いちまつ)
(絵筆のひとなすり・ひとはけの意から)
ほんのわずか。かすか。
・一抹の不安が残る

さんずいの「沫」は“あわ”“しぶき”の意で、
「飛沫」(ひまつ)があります。




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2009年10月17日

新参者(しんざんもの)

新たに仕えた者。新たに加入した者。

「新参」とは、
1、新しく仲間に加わること。新入り。
2、新たに仕えること。新たに奉公に来たこと。

「新参」だけでも「新入り」という意味があります。
対語は「古参」

新参・新顔・新人・新米
に対して、
古参・古顔・古手・古株

「ベテラン」は軍人を指す言葉でもありました。
veteran(ベテラン)
名詞)老練者/老兵、退役軍人、使い古したもの
形容詞)歴戦の/老練な

「老練」(ろうれん)
経験を多く積み、物事によく慣れていて巧みであること。

ところで、
「新米」ですが、
収穫したばかりの新米にたとえているのかと思っていましたら、違いました。
昔、商家に就職した奉公人は、前掛けをしていました。
新入りの前掛けは新しい。新しい前掛け。
ということで、新前「しんまえ」と呼ばれていました。
それが、だんだん前掛けをしなくなったため、
「前」の字が音転化し、「米」になったということです。
他にも、
「米」という字は「マイ」と読むと“小粒”という意味があり、駆け出し社員は小さくなっているので、新米という表現になったという説もあります。

お米の「新米」は、その年に収穫された米のことで、
前年に収穫されたのが「古米」。
同様に、前々年に収穫された米を「古古米/古々米」(ここまい)、
以下同様に、
「古古古米/古々々米」(こここまい)、
「古古古古米/古々々々米」(ここここまい)と、
「古」を収穫した年から現在までの年数分呼びます。

ずいぶん長たらしい呼び方です。
何年物まで保管されているのか知りませんが、
「古2米」「古3米」「古4米」としたらどうでしょう。

「新参者」といえば、東野圭吾の新作タイトルでもあります。
図書館に予約をして、ただ今196人待ちです。
待ち遠しい。



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2009年10月11日

多数が支持して定着した読み方

今回は、誤った読み方が定着した例を集めてみました。

「慣用読み」とは、
正式な読み方以外によく用いられる読み方。

「本来の読み」(慣用読み)
固執「こしゅう」(こしつ)
確執「かくしゅう」(かくしつ)
情緒「じょうしょ」(じょうちょ)
端緒「たんしょ」(たんちょ)
独壇場「どくせんじょう)(どんだんじょう)
断截「だんせつ」(だんさい)
直截「ちょくせつ」(ちょくさい)
撹拌「こうはん」(かくはん)
重複「ちょうふく」(じゅうふく)
執着「しゅうじゃく」(しゅうちゃく)
忌諱「きき」(きい)
消耗「しょうこう」(しょうもう)
減耗「げんこう」(げんもう)
口腔「こうこう」(こうくう)
膏肓「こうこう」(こうもう)
稟議「ひんぎ」(りんぎ)
漏洩「ろうせつ」(ろうえい)
捏造「でつぞう」(ねつぞう)

まだ勢力が半々くらいの過渡期のものから、ほぼ慣用読みが定着したものまで、いろいろあるものです。
言葉って、ほんとに揺れ動いているものなんですね。

*病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)
病気がひどくなり、治る見込みがないこと。
物事に熱中して抜け出せなくなるたとえ。

「膏」は胸の下の方、
「肓」は胸部と腹部との間の薄い膜。
ともに治療し難いところとされる。
これは中国の昔話しからできた言葉です。
その故事の説明がいろいろだったので、
3例紹介します。
*1
晋(しん)の景公が、病魔が膏と肓の間に入り、名医も治療できないという夢をみたという故事から。

*2
中国春秋時代、晋の景公が病気になり、病気が二童子となって、肓の上と膏の下に隠れようと話している夢を見た。医者が診察すると、病根が肓の上と膏の下に入ってしまっているから治療できないと言ったという。

*3
景公は、大国の秦で名医の誉れ高い「高緩」に治療を依頼した。
で、「高緩」が晋国に到着する前に景公はまた夢を見る。
今度は病気が2人の子供になって話をしている夢であった。
一人の子供がいう。
「高緩は名医だからな、きっとひどい目にあわされるよね。
どこに逃げたらいいだろう?」
と、もう一人の子供がいう。
「膏(横隔膜の上の方)の上と肓(心臓の下の方)の下にいれば大丈夫! 
名医とてどうすることもできないさ」
まもなく「高緩」が来、景公を診察していうには、
「この病気はとても治療いたしかねます。
病気が膏の上、肓の下にありますから、治療してもだめで、針も届かず、クスリも行きわたりません。手の施しようがございません」
これを聞いた景公は
「たしかに名医だ」と賞し、たっぷりの礼物を与えて「高緩」を帰した。

1の説明は名医の登場も夢の中のことになっていますね。




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2009年10月10日

屈託(くったく)

1、ある一つのことばかりが気にかかって他のことが手につかないこと。
くよくよすること。
2、疲れて飽きること。
することもなく、退屈すること。

「屈託」は、何かおもしろい話しが隠されている故事成語の匂いがしたので、調べてみたんですが、予想は外れ、普通の熟語でした。
ただ、意味を勘違いしていたことがわかりました。
・彼は屈託のない笑顔を向けた
などという「屈託」を、
私は“無邪気な”とか“わだかまりがない”という意味で使っていました。
「屈託」って“くよくよすること”だったんですね。
それに、
“飽きること”“退屈する”という意味があったとは知りませんでした。
現在、2の意味での「屈託」を見たり聞いたりすることはほとんどありませんが、夏目漱石の作品に使用例があります。
* * *
『草枕』 
軒下から奥を覗くと煤けた障子が立て切つてある。
向ふ側は見えない。
五六足の草鞋が淋しさうに庇から吊されて、屈託気にふらりと揺れる。
* * *
「屈託」のそれぞれの漢字を見ると、
「屈」
1、かがむ-----屈伸
2、強いさま---屈強
3、勢いよく立ち上がる

「託」
1、たのむ-------委託
2、たよる-------託生
3、かこつける---託言
4、神仏のおつげ--託宣

・仕事にかこつけて飲みに行く
・視察にかこつけて旅行へ行く
「かこつける」は、知っていても
「託ける」とあったら、読めませんでした。
直接には関係しない他の事と無理に結びつけて、都合のよい口実にする。
他の物事のせいにする。

それにしても、
どうして「屈」と「託」から
“くよくよすること”“退屈”になるんでしょうね。





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2009年10月04日

乱入(らんにゅう)

大勢が乱暴に入り込むこと。

「爆笑」でも私は同じような勘違いをしていましたが、
どちらも“大勢”という要素があります。

「乱闘」は“敵味方入り乱れてたたかうこと”

「乱」は、
“みだれる”“混乱する”“礼儀をうしなう”
“みだりに”“むやみに”などの意味があります。
熟語も多く頻出の語ばかりです。
戦乱・動乱・内乱・反乱・
混乱・錯乱・狂乱・波乱・酒乱・散乱・乱雑・
乱打・乱調・乱読・乱造・乱伐・乱発・乱用・乱立

「乱獲」を検索していておもしろいページを見つけましたので、紹介します。
http://www.geocities.jp/zetumetu2005/zetumetu-genin.htm
動物たちがどんな理由で絶滅してしまったのかをかわいらしいイラストつきで説明してくれています。


辞書に、
「乱れ箱」(みだればこ)というのがありました。
着物や手回り品を入れるふたのない浅い箱。
「乱れ籠」は、
風呂場などに置いて脱いだ衣類などを入れる浅い籠。

私の回りで「乱れ箱」「乱れ籠」は聞いたことがありませんでしたが、検索してみると現代でも使われている呼び名のようです。
ヤフーショッピングでも木製の衣装箱が売られていましたし、香道の道具を入れる高級な漆の箱もありました。
ちょっと古風なこの名前が気に入りました。
普段の生活でも、ちょっとした小物などをとりあえずまとめて置いておく箱を「乱れ箱」と呼んだらいいのではと思いました。




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2009年10月03日

諫める(いさめる)

1、目上の人に不正や欠点を改めるよう忠告する。
諫言(かんげん)する。
2、禁止する。制止する。

※「諌」は俗字です。

もともと「諫言」は 自分の地位や命をかけるほどの重いものでした。
「諫死」(かんし)なる言葉もあります。
死を覚悟していさめること。
また、
「諫議大夫」(かんぎたいふ)というのは、
昔あった中国の官職で、天子の過ちを諫める役。
検索すると、
唐の2代目名君「太宗」と彼の諫議大夫達との政治上の議論を集大成した『貞観政要』(じょうがんせいよう)という本のことが出ていました。
治道の規範書として歴代皇帝の必読書だったようです。

同じ「かんげん」でも、利害関係者間でよく聞かれるのが「甘言」ですね。
対語は「苦言」。
「諫言」のような上下関係がないものが、「忠告」でしょうか。
逆に、主に目下の人に対して、軽く注意を促すのは、
「窘める」(たしなめる)です。

それでは「戒める」も見てみましょう。
「戒」は、ホコを手に持って警戒する意です。
「戒める」(いましめる)
1、まちがいをしないように前もって注意する。教えさとす。
2、してはいけないと命ずる。禁止する。
3、同じ過ちを犯さないようにしかる。
4、警戒する
5、(縛める)自由がきかないようにしばる。
6、忌み嫌う。

「戒律」は、
仏教において守らなければならない道徳規範や規則のこと。
解説によると、
戒律はひとつの言葉として使われますが、本来は「戒」と「律」は別のものです。
「戒」は自分を制する誓いで、
「律」は集団が円滑に活動するルールです。
「戒」は自発的なものですから、守れなくとも罰則はありませんが、
「律」には罰則があります。




posted by 空凛 at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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