2010年03月28日

逆ねじ(さかねじ)

1、非難したり抗議したりしてきた人に対して、逆に非難したりして攻撃し返すこと。
2、逆方向にねじること。

昨今あまり耳にしませんが、
“やり返す”という表現に「逆ねじ」があります。
「逆ねじを食う」「逆ねじを食わす」と言い方をします。
「口答え」は、
目上の者に言われたことに対してさからった言葉を返すこと。
「逆ねじ」は目上の者だけに限らず、相手をやっつけ返すこと。

「抗弁」は、
相手の主張に対して、誤りを指摘したりなどして反論すること。

“強引に押し込む”“責める”“押しかけて抗議”するという表現に、
「ねじ込む」があります。

ところで、
「ねじ」といえば「右ねじ」--(時計回りに回すと、締め付けられるもの)がほとんどですが、これは右利きの人が多く、右手にねじ回しを持つと、右ねじは締める時に力が入り易いためだそうです。
「逆ねじ」は機能的に有効な箇所などの特殊な用途に用いられています。

「ねじ」は「捩じる/捻じる」の連用形からきていまして、
漢字は「螺子/捩子/捻子」が当てられています。

「螺」は、巻貝の意。または巻貝のようにぐるぐるとまいたもの。

「螺旋」(らせん)は、
1、巻貝のからのように渦巻形になっていること。また、そのもの。
2、ねじ。

「旋」は“ぐるぐる回る”意です。
難読に、
旋毛(つむじ)・旋風(つむじかぜ)・旋網(まきあみ)

「捩じ上戸」(ねじじょうご)という言葉を見つけました。
酔うと理屈を並べたて人にからむくせ。また、その人。

過去に「下戸(げこ)/上戸(じょうご)」で取り上げましたが、
酒をよく飲む人を「上戸」、
お酒が飲めない人を「下戸」と言います。
また「○○上戸」の形で、酒に酔ったときに出る癖を表します。
・笑い上戸
・泣き上戸
・怒り上戸
この三つを「三人上戸」と言います。
これに「説教上戸」が加わって、お酒の癖は大きく4パターンに分かれそうです。
他にも、
・空上戸(そらじょうご)
酒を飲んでも酔いが少しも顔に出ないこと。

・盗人上戸(ぬすびとじょうご)
1、酒も甘い物も好む人。両刀使い。
2、酒を多量に飲んでも顔やようすに酔いの現れないこと。また、その人。

「盗人」も「ぬすびと」と言うと、なにやらわけありの情を感じますが、「ぬすっと」には突き放した蔑みを感じます。
「ぬすっと」は「ぬすびと」が転じたものです。




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2010年03月21日

物相飯(もっそうめし)

物相に盛った飯。盛りきりの飯。
特に、近世の牢獄で囚人に与えられた飯。

浅田次郎の「ハッピー・リタイアメント」で見つけました。
「物相飯」がどんな飯なのか、まったく想像できませんでした。

「物相」とは、
飯を盛って量をはかる器。
また、飯を一人分ずつ盛って出す器。

こう辞書にはありました。
ご飯をはかる軽量カップみたいな物?
どういう存在かよくわからなかったので、検索してみましたらやっと実態がわかりました。
ご飯の型抜きのことをいうようです。
「相」は木型のことで、同じ形の物を沢山作るための木型です。
お弁当に梅や松の形で抜かれたご飯が入っていますが、あれを「物相ご飯」といい、その形を作る型のことです。
和菓子用の型も物相型というようです。
田舎では祝いの時に押し寿司を作っていましたが、「物相寿司」というのもありました。

「相」には、
“すがた・ようす”という意味の
風貌・相貌・様相・面相・形相・血相・
という熟語があります。

「血相」(けっそう)って、
手相・家相・印相の後に並んだら、血液占いみたいに思いません?
「血相」は、“顔の表情・顔色”という意味ですが、
・血相を変える
という決まりきった言い方でしか使われていませんね。

「形相」(ぎょうそう)も“顔かたち”という意味ですが、
・必死の形相
・鬼のような形相
恐怖や怒り嫉妬など激しい感情の表情にのみ使われます。

「面相」(めんそう)は「相貌」や「容貌」「容姿」と同じニュアンスでは使われません。
・よくその御面相で・・
・怪盗20面相

「貌」は1字で、“顔立ち”“容姿”という意。

ちなみに、
「美人」は“美女”の意ですが、古くは男子もさしたようです。
「美貌」(びぼう)は、“美しい顔かたち”で、性別のことには触れていませんが、ほとんど女性の誉め言葉になっていますね。




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2010年03月14日

知悉(ちしつ)

知り尽くすこと。詳しく知ること。

「悉」という字が見慣れないですが、
訓読みは、“すべて・残らず”という意味の
「悉く」(ことごとく)なのでした。
「ことごと」とは、「事事」の意から。

私は使ったことがない「知悉」ですが、Webで以下のような例が拾えました。
・認知証を知悉する
・器械のことに知悉している医者
・天を知悉し、己を錬磨する
・光と影を知悉する監督
・固有の危険有害要因を知悉していること

同じような意味に、「熟知」「精通」がありますが、
Google検索をかけてみると、
精通----1230万件
熟知----573万件
知悉----165万件
やはり「知悉」の使用頻度は少ないと思われます。

「悉」
シツ・ことごと-く
1、全部。ことごとく。
2、きわめ尽くす。

「知悉曲筆」(ちしつきょくしつ)という言葉がありました。
事実とは違った、曲がった文章を書くこと。
「曲筆」は、
事実を曲げて書くこと。また、事実を曲げて書いた文。

「舞文曲筆」(ぶぶんきょくしつ)も似ています。
故意に言葉をもてあそび、事実を曲げて書くこと。曲筆舞文。

「舞文」って、きれいな字面(じづら)ですが、
意味は、悪いことなんです。
1、自分勝手に言葉をもてあそんで自分に有利な文章を書くこと。
また、その文章。
2、自分勝手な解釈で法律を濫用すること。

ところで、
「熟知」の「熟」の読みを見ていて、
「つらつら」とういう読みを発見しました。
「熟熟」と書いて「つらつら」なんです。
意味は、
“つくづく・よくよく”
漢字の「熟熟」を見れば、意味がとれるかと思いますが、
普通、ひらがな表記の「つらつら」、
かなりの人が誤解しているような気がします。
私自身、“ぼんやり”のような意味だと思っていました。
まったく違っていますね。
Webに意味理解調査の結果が出ていましたが、正解は少なく、
“だらだら”と思っている人が半数以上でした。
Webでの使用例を見ても、“よくよく”という意味にはとれないものが多く見られました。
つらつらの音に人それぞれのイメージを重ねてしまっている気がします。
私の場合は、無意識のうちに「うつらうつら」の影響を受けたのかも。




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2010年03月07日

懲戒処分(ちょうかいしょぶん)

公務員として果たすべき義務に違反した者に対する制裁として科せられる処分。裁判によって確定する刑事処分ではなく、処分権限者は、当該機関の長。
職員は、法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることはありません。
その規定は、国家公務員法第82条及び地方公務員法第29条にあります。
処分に不服のある場合には、人事院に申し立て、救済の審判を受けることができます。
懲戒処分は、違反行為の内容によって、
懲戒免職、停職、減給、戒告、訓告などがあります。

*免職
職員の意に反してその職を失わせる処分。
*停職
一定期間、職務に従事させない処分。
国家公務員の場合は1日以上1年以下。
*減給
国家公務員の場合は1年以下の期間、俸給の5分の1以下を減額。
*戒告
職員の非違行為の責任を確認し、口頭で注意すること。

民間企業における懲戒処分は、就業規則に則って行なわれますが、通常は公務員の規定に準じていることが多いようです。
ただし、公務員と違って「懲戒免職」ではなく、雇用契約を解除するという意味の「懲戒解雇」になります。

私は、このへんの公務員と民間との違いを認識していませんでした。

免職と同じ“職をやめさせる”という意味に「罷免」(ひめん)があります。
では、「免職」と「罷免」の違いは何なのでしょう。
「罷免」は、
違法行為に限らず、その職務を続けていくのに適しないとされた場合に辞めさせること。

免職には他にも、
「諭旨免職」「分限免職」というのがあります。

「諭旨免職」(ゆしめんしょく)
違法行為はあったが懲戒免職にするほどではないので、本人を諭して自分から申し出ての退職とすること。
通常、懲戒解雇に退職金の支給はありませんが、諭旨免職には退職手当の何割かは支給されます。

「分限免職」(ぶんげんめんしょく)
公務員としての適格性などを理由に身分を失わせること。

一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障がある場合など、その職に必要な適格性を欠く場合、公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。
職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり、懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当が支給されます。

「分限免職」というのは聞いたことがありませんでした。
「分限」とはどういうどういう意味なのでしょう。

「分限」(ぶんげん)
1、上下・尊卑の区別などによって定まる身分。身のほど。分際。ぶげん。
・分限をわきまえる
2、財力。財産。また、金持ち。ぶげん。
・分限者
3、公務員の身分に関する基本的なことがら。
4、それ相応の能力や力。

「ぶげん」と読むと、
1、身のほど。分際。
2、財力があること。また、財産家。富者。

「分限者」(ぶげんしゃ)
金持ち。財産家。ぶんげんしゃ。

「俄分限」(にわかぶげん)という言葉もありました。
急に大金持ちになること。また、その人。

「分限者」というのは、時代劇か何かで聞いたようなきがしますが、日常で「分限」という言葉は耳にしませんね。

似た意味に「分際」というのがありますが、
たいてい、
・養ってもらっている分際で・・
・子どもの分際で生意気な
・分家の分際で・・
などと、相手を見下してののしる時に使われることが多く、悪いイメージがついていますが、「分際」自体に悪い意味は含まれていないようです。

「分際」(ぶんざい)
1、身分の程。身の程。ぶん。
2、それぞれの人や物に応じた程度。



posted by 空凛 at 15:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする