2017年08月31日

的を「射る」のか「得る」のか?

よく取り上げられている語だと思いますが、
私はこの間も「あれどっちだったっけ?」と辞書を引きました。

〇的を射る(まとをいる)
×的を得る(まとをえる)

正しい言い方は「まとをいる」ですが、
いまや「まとをえる」が優勢だと思われます。
以下のような似た言葉があって、混同されたようです。
・当を得る = 理に適っている
・的を射る = 要点をうまく捉えている
・正鵠を得る= 〃
・正鵠を射る= 〃
「正鵠」(せいこく)の場合は、「 得る/射る」 どちらも正解。
言葉のブログを運営されている方が
“間違えられる言葉にも問題がある”と書いてらっしゃいました。
確かに。
いいずらかったり、意味を誤解されやすかったり、
難ありの語かもしれません。
言葉は多勢に使われて生き残っていくものですから、
使い勝手の悪い語は淘汰される運命かもしれません。
「的を得る」は
まだ全部の辞書には認められていませんが、時間の問題のような気がします。

読み間違いによって広まった語も多いですね。
●慣用読みが広まった語
( )カッコ内が本来の読み。
悪名(あくみょう)-------- あくめい
荒らげる(あららげる)--- あらげる
残滓(ざんし) ------------ ざんさい
逐電(ちくてん)---------- ちくでん
重複(ちょうふく)-------- じゅうふく
白夜(はくや) ------------ びゃくや
味気ない(あじきない)--- あじけない
御用達(ごようたし)----- ごようたつ
茶道(ちゃどう) --------- さどう
世論(よろん) ----------- せろん
手を拱く(てをこまぬく)---- てをこまねく
出生率(しゅっしょうりつ)-- しゅっせいりつ



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2017年08月30日

啖呵を切る

歯切れのいい言葉で、勢いよくまくしたてる。

語源は、
「痰火を切る」で“痰火を治すこと”
「痰火」とは、咳と一緒に激しく出る痰。
また ひどく痰の出る病気。
痰火がなおると胸がスッキリするところから。

「啖呵」(たんか)
1、威勢のいい言葉、歯切れの良い言葉。
2、香具師(やし)などが品物を売る時の口上。

「啖」タン
むさぼり食う。

「健啖家」(けんたんか)
食欲の旺盛な人。大食漢。

「呵」カ
1、しかる。どなる。とがめる。
2、大きな声で笑うさま。

「呵」には“しかる”と“笑う”という
対局にあるような意味が同居しています。
マンガの吹き出しに「カカカカ」と笑うシーンがありますが、
まさに「呵呵」(カカ)で、大声で笑うという意味があります。
「呵々大笑」(かかたいしょう)という語もありました。
“高く大いに笑うこと”
一方、良心の呵責という時の「呵責」(かしゃく)は、
“責め苦しめること” “きびしく責めること”

「一気呵成」(いっきかせい)
ひといきに文章を書き上げること。また、一気に仕事を成し遂げること。

バナナの叩き売りのような、巧みな話術で客を楽しませて売る手法を、
「啖呵売」(たんかばい)といいます。
祭りの夜店では今でも啖呵売は見られるのでしょうか。
現代の寅さんは実演販売の方でしょうか。
商品のアピール力、パフォーマンス力で売りに売ります。
「口八丁手八丁」という語が浮かびましたが、これには少し悪いニュアンスもあり。
「八丁」って、
“8つの道具を使いこなす”意で、物事に達者であること。
「八挺」とも書きます。
「達者」には“したたか”という意味もあります。



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2017年08月29日

武士語 2

今回は 現在の意味とは違ったり、聞かれなくなった武士語を紹介します。

「出来物」」(できぶつ)
立派な人物。傑物。
「できもの」と読むと“吹き出物”になります。

「卒爾ながら」(そつじながら)
突然失礼ながら
・卒爾ながらご貴殿のご尊名を承りたい。

「他行」(たぎょう)
外出。不在。

「停止」(ちょうじ)
やめること。
・この揉め事はそろそろ停止と致さねば。

「打擲」(ちょうちゃく)
ぶつ。

「鳥目」(ちょうもく)
少額の銭。または金銭一般。
昔の丸い穴あき銭の形が鳥の目に似ていることから。

「尋常」(じんじょう)
正当の。正規の。

「奸智にたけた」(かんちにたけた)
ずるがしこい。
「奸」は“邪悪”の意で、
「奸智」(かんち)とは“悪知恵”
「奸物」(かんぶつ)は“ずるがしこい奴”“大物の悪党”

「私曲」(しきょく)
お役目に乗じ私利を計ること。
「曲」は“正しくないこと”

「曲事」(くせごと) 、「曲者」(くせもの)

「間者」(かんじゃ)
スパイ。

「故障を申し立てる」
「故障」(こしょう)は“意義”“苦情”

「些事」(さじ)
とるに足らない細かいこと。
・今はそのような些事は後回しにされよ。

「肉置き」(ししおき)
体の肉のつきぐあい。
主に女性の豊満な肉付きをいいました。
肉のイメージがちょっと生々しいかも。

「食言」(しょくげん)
前言を翻すこと。約束を守らないこと。
・食言をなさるとは武士にあるまじき所業ぞ。

「候」(そうろう)は鎌倉時代には話し言葉として使われ、
室町時代には「庭訓往来」という書物で、手紙の作法がほぼ決まり、昭和20年代初め頃まで使われました。

「庭訓往来」(ていきんおうらい)
1年各月の消息文を集めた庶民用の初等教科書。
生活上必要な用語が網羅されていて、江戸時代には寺子屋の教科書として広く用いられました。

「往来物」(おうらいもの)
平安時代から明治初期にかけてつくられた初歩教科書の総称。



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2017年08月28日

武士語

「武士語辞典」というおもしろい本を見つけました。
ダラっーっとゆるい会話が氾濫している現代、武士の折り目正しくて硬い口調が新鮮に感じます。
今に通じる言葉も多いですね。

「相見互い」(あいみたがい)
武士同氏はお互いに思いやり、助け合うべきだという暗黙の社会規範。

「天晴」(あっぱれ)
見事。すばらしい。

「あにはからんや」
意外なことに。思いがけず。

「あまつさえ」
その上。それに加えて。

「有体」(ありてい)
事実ありのまま。

「安堵」(あんど)
安心する。

「委細」(いさい)
詳細。詳しい事情。

「痛み入る」
過分な好意などに対して恐縮の気持ち。

「付かぬ事」(つかぬこと)
突然違う話題を持ち出すこと。

「つらつら」(熟)
念入りに。丁寧に。
・つらつら考ゆるに・・

「いみじくも」
よくぞ。まさに的を得た。

「然り」(しかり)
強い肯定の言葉「その通り」

「戯言」(ざれごと)
冗談

「片腹痛い」
ちゃんちゃらおかしい。

「所業」(しょぎょう)
主として悪い行い。

「合点が行く」
納得できる。

「手元不如意」(てもとふにょい)
金銭的に余裕がない様。

「恐悦至極」(きょうえつしごく)
このうえなくうれしい。(目上の人に対して喜びの表現)
・ご健勝なご尊顔を拝し奉り恐悦至極でござります

武士は格調高くみせるために漢語を多用したり、
意識的に音読みにする傾向がありました。
<町人 > 対 <武士>
食べる・食う----食す(しょくす)
だます----------謀る(たばかる)
今度------------此度(こたび)
それでしたら----然らば(しからば)
そうですね------左様(さよう)
詳しく----------子細(しさい)
風邪気味ですので--風邪(ふうじゃ)の気味にござれば

次回も武士語が続きます。



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2017年08月27日

「だらしがない」の語源

「駄」+「臈次がない」から成っています。
と言っても「臈次」が何のことかわかりませんね。

「臈次」(らっし)
「ろうじ」の音変化。
1、法揩フ順序。出家後の年数
2、物事の正しい順序。次第。

法揩焉Hですね。

「法掾v(ほうろう)
インドでは布教の旅ができない雨期に
修行僧が1カ所に集まって修行する
安居(あんご)がありました。
この安居のことを年臈(ねんろう)・法臈(ほうろう)といい、
その臈を何回重ねたかによって座席の順位が決まりました。
その順位を表す言葉が「臈次」(らっし)。
順序がなく、無秩序・乱雑なことを「臈次がない」と言い、
これに“価値が低い”という意味の「駄」を付けて、
「駄らっしがない」→「だらしがない」に。

初期仏教では身分の上下関係がなかったため、
先輩・後輩の差によって秩序を保っていました。
日本の宮廷でも年功による序列を「掾v(ろう)で表しました。
平安時代中期以後、任官・叙位の順番は一掾E二掾E三揩ニし、
先に任じられた者を上掾A後から任じられた者を中掾E下揩ネどと区別しました。
これがそのまま上下の秩序として用いられて、
「搦氈v(ろうじ/らっし)と呼ばれました。

「搦氓燒ウい」(らっしもない)
秩序や順序がない。たわいもない。
だらしない。らちもない。

江戸時代の大奥にも「上臈」「大上臈」という役職名がありました。
飛騨の方言では、語源が残っていて、
「だらしがない」を「だっしゃもない」「らっしゃもない」
と言うそうです。
・だっしゃもねー格好しとるなぁ。



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2017年08月26日

「森」と「杜」の違い

ズバリ単純に言ってしまうと、
「森」・・自然のもり
「杜」・・神社のもり

中国古来の「杜」の読みは、ト・ズ
1、ふさぎ止める。「杜絶」
※「途」を代用字とすることがある。(途絶)
2、木の名前。ヤマナシ。
ヤマナシはバラ科ナシ属の落葉高木。栽培種ナシの原種。
中国の「杜」に“森”の意味はありません。
古代日本人は、和語としてこの漢字を「もり」と読みました。
「杜」が「もり」となった由来には2つの説があるようです。
◇神社は結界によって周りと隔絶された場所。
門を閉ざし、周りから“杜絶”されたところから、
神社の木立を「杜」と表現するようになった。
“守り”の意味につながります。
◇自然崇拝から「もり」は神の来臨する所と考えられて、
「神社」「社」とも表記されました。
この「社」が誤って「杜」になり、
「もり」の読みが生じたというもの。

「社」は「もり」の他に「やしろ」とも読みましたが、
平安時代以降、示偏の「社」を「やしろ」、
木偏の「杜」を「もり」と使い分けるようになりました。

「森」と「杜」と「社」は影響しあっている部分があるんですね。

では、「森」と「林」の違いは?
いろいろ解釈がありましたので、語源的な説明だけ。
森は「盛り」と同源で、
木が多くこんもりと生い茂っているところ。
林の語源は「生やす」の名詞化「生やし」で、
同じ種類の木が横並びのようす。
「生やし」とあっても人が生やす意ではなく、
自然自らの力で生やすことを表しています。

ところで、
「風致木」(ふうちぼく)という語をご存じですか?
辞書に「風致木」はなく、「風致」が載っていました。

「風致」(ふうち)
自然の風景などのもつおもむき。味わい。風趣。

「風致」という語も知らなくて、用例を調べてみました。
・風致を害する
・風致を維持するために、守戸と呼ばれる監視役を配置させた。
・長野県はいくら儲けたか知らないが、風致はすっかりそこなわれた。
・自然環境保護の為、東京都条例の風致地区に指定されている。

「風致公園」(ふうちこうえん)というものもあるんですね。
都市計画法上の特殊公園。



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2017年08月25日

コケにする

漢字を見ると、思いもよらない「虚仮」。
“うそ”と“かり”なんです。
「虚仮」は仏教由来で、
「虚」は虚妄や偽りの意。
「仮」は実態のないこと。
転じて、
思慮の浅いこと。愚かなこと。

「虚仮威し」(こけおどし)
浅はかな見えすいたおどし。
見せかけだけもっともらしく見せること。

「虚仮の一念」(こけのいちねん)
愚かな者が一心に何かをやりとげようとすること。
「虚仮の一心」「虚仮も一心」とも言います。
諺に「虚仮の一念岩をも通す」があります。
ところで、
「君が代」の歌詞に
「こけがむすまで」というくだりがありますが、
これは「苔が生すまで」
苔が生えるほど長くずっと続くという意味です。

卒業式の時によく歌われる「仰げば尊し」も
私は勘違いしていた箇所がありました。
(* のところ)
改めて詞の意味を味わいます。
「仰げば尊し」
一、
仰げば尊し、わが師の恩。
教(おしえ)の庭にも、はや幾年(いくとせ)。
思えば*いと疾し、この年月(としつき)。
今こそ別れめ、いざさらば。
二、
互いにむつみし、日ごろの恩。
別るる後(のち)にも、*やよ忘るな。
身を立て名をあげ、やよはげめよ。
今こそ*別れめ、いざさらば。
三、
朝夕 馴(なれ)にし、まなびの窓。
螢のともし火、積む白雪。
忘るる間(ま)ぞなき、ゆく年月。
今こそ別れめ、いざさらば。

*「いととし」を、私は「愛しい」と勘違いしてました。
「いととし」は「いと+とし」
「いとをかし」の「いと」=非常に
「とし」は「疾し」=速い

思えば とてもはやく過ぎ去ってしまったなあ。

*「やよ」は呼びかける時の語。
「やあ」「おい」

*「別れめ」は「別れ目」ではありません。
「め」は意志・決意を表す古語の助動詞「む」の已然形。
「こそ」と呼応した係り結びで、
「さあ、今こそ別れよう」という意。

「已然系」(いぜんけい)
文語の動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の活用形の一。
助詞「ば」「ど」「ども」などが付いて、順接・逆接の確定条件を表す。
また、係助詞「こそ」をうけて文を結ぶ。
口語では、これに相当する活用形が仮定の意味を表すので仮定形という。

「係り結び」(かかりむすび)
文語文で、文中に係助詞が用いられる場合、
それに応じて文末の活用語の形態に変化の生じる現象。

「係助詞」(かかりじょし/かかりことば/けいじょし)
助詞の分類の一。
文中にあって、述語と関係し合っている語に付属して、その陳述に影響を及ぼし、
また、文末について、文の成立を助ける働きをする助詞。
文語:「は」「も」「ぞ」「なむ」「や」「か」「こそ」
口語:「は」「も」「こそ」「さえ」「しか」「しも」「でも」
などがある。

童謡「赤とんぼ」も勘違いされているかも。
夕焼け小焼けの赤とんぼ *おわれてみたのはいつの日か
×追われて見た---(追いかけられながら見た)
〇負われて見た---(おんぶされて肩越しに見た)


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2017年08月24日

語源特集

「関の山」(せきのやま)
「関」は東海道53次の47番目の宿場町、伊勢の「関宿」(せきじゅく)、
「山」は祭りの山車(だし)のこと。
江戸時代から続く伝統行事で、最盛期には16基もの山車が出て、家々の軒先をかすめるように巡行しました。
山車が勢ぞろいすると狭い街道は、それだけ埋まってしまい身動き取れなくなったことから、“精一杯”の意に。

「門前払い」(もんぜんばらい)
この「門前」とは奉行所の門前のこと。
江戸時代の追放刑の中で最も軽い形が「門前払い」でした。
門を閉ざして追い払うところから、
来訪者に会わずに帰らせる意味が生じました。
江戸時代、死刑に次ぐ重罪は、
流罪(るざい)/ 流刑(るけい/りゅうけい)でした。
島なら「島流し」。
島流しは罪の重さによって、近流、中流、遠流に分けられました。
流人は基本的に自給自足で暮らします。
適応力があれば流刑地でそれなりの暮らしが営め、過酷な刑とは言えないものでしたが、船で島に行くまでに難破することが多く、死ぬ確率が高いものでした。

「目安」(めやす)
8代将軍吉宗が設けた目安箱から。

「目一杯」の「目」は“目盛”のこと。
目をガっと見開くことかと思っていました。笑

「玄人はだし」(くろうとはだし)
玄人が履物をはくのも忘れ、はだしで逃げ出だすほどであるという意。
「玄人」は「素人」の対義語として生まれた語。
「素人」の語源「白人」(しろひと)に対する「黒人」(くろひと)が音便化して「くろうと」に。
「黒」に「玄」を当てたのは、奥深く容易でない意味あいが強いことから。

「棚上げ」(たなあげ)
本来は商品のだぶつきを避けたり、値上がりを待ったりするなど、需要と供給の調整をはかるために、一時的に倉庫などに保管し、市場に出さないこと。
そこから、物事を一時的に保留する意味が生じました。

「お釣り」
「釣り」は「釣り銭」の略で、
「釣り合い」の意味からきています。
物々交換をしていた時代に、多く取りすぎると後から超過分に相当するものを相手に返す習わしがありました。
そこから、お互いの損得の「釣り合い」を調整し、多すぎた分を返す意味で「釣り」というようになりました。



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2017年08月23日

岡惚れ(おかぼれ)

自分のほうだけがひそかに恋していること。

昔、「岡惚れ」の意味を知ったとき、
なんで岡なの?と不思議に思いましたが、疑問を残したままでした。

この岡は英語でいう“hill”ではありません。
傍ら“かたわら”に近いです。

岡を“傍ら”の意で使った語は多くはありません。
今は使われこともなくなりつつある古い語に残るのみです。

「岡目八目」(おかめはちもく)
囲碁から出た語。
「目」は碁盤の目の意。
碁をわきから見ていると、実際に打っている人よりも、八目も先まで手を見越すという意から。
当事者よりも、第三者のほうが物事の真相や得失がよくわかること。

「岡っ引き」(おかっぴき)
「おかびき」の促音転化。
そばにいて手引きをする者の意。
「目明し」(めあかし)とも呼ばれます。
「目明し」とは
「目証」(めあかし)=犯人を証明する意。
軽犯罪を犯した者に仲間の情報を密告させたことから。
吉宗は「犯罪者が犯罪者を捕まえるなど道義に反する」と禁止していたそうですが、正規の犯罪取締り係である与力や同心たちだけでは、どうしても検挙率が上がらないため、黙認されていました。
実際は十手の携帯も認められていませんでしたが、凶悪犯と出くわした時に困るということで、これも内々で持たせていました。
ただし、房の着いていない十手に限られたそうです。

「岡場所」(おかばしょ)
幕府公認の「吉原」に対して、
非公認の深川・品川・新宿などの遊里。

この岡の不思議な意味の展開は、
人々の生活の中心の場であった“平地”に対する“岡”という対比からきているようです。

「岡」と「丘」の違い
「岡」
上部が平らでかたく高い台地
"かたい"という意味を含んでいます。

「丘」
周囲に比べ小高くなっている土地。
周囲が小高くて中央がくぼんだ盆地を描いたもの。


吉原の公娼は「遊女」で、私娼は「売女」
ということになります。
私娼にもランクがあり、呼び名が違っていました。
上から下にランクが下がります。

「湯女」(ゆな)
尼僧の姿をして、勧進をしながら売春をしました。

「勧進」(かんじん)
人々に仏の道を説いて勧め、善導すること。

「蹴転」(けころ)
上野の山下を中心にその周辺にいた私娼。

「提げ重」(さげじゅう)
提げ重箱をさげて餅やまんじゅうを売り歩きながら売春をした。

「船饅頭」(ふなまんじゅう)
饅頭を売るのを表向きに隅田川の船中で売春をした最下等の私娼。

「夜鷹」(よたか)
「筵」(むしろ)を持って客引き。

「飯盛女」(めしもりおんな)
半公認で、旅籠1軒につき2名まで許可されていました。


時代劇で夜鷹は知っていましたが、こんなに呼び名があったとは。



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2017年08月22日

またまた間違いやすい語

先日も新聞に言葉の間違いが特集されていました。
時々 出してもらって、
多くの人に気づいてもらったほうがいいと思いますが、
言葉に興味がない人はスルーでしょうね。

■正しい読みはどっちでしょう?
・習い性となる
〇せい ・・・・・×しょう

・水を得た魚のよう
〇うお・・・・・ ×さかな

・一を以て万を知る
〇ばん・・・・・×まん

・すでに死に体のチーム
〇しにたい・・・×しにてい

・寄らば大樹のかげ
〇陰 ・・・・・・×影

・人生いきに感ず
〇意気 ・・・・・×粋

「意気」=気概。いきごみ。
故事成語「人生意気に感ず 功名誰か復た論ぜん」から。
人は時に相手の心意気に感激し心が動けば、利害など考えずに行動するもの。


■誤りやすいひらがな表記
・欠航もや止むを得ない
○やむを・・・・・×やむお

・手入れもせずに放っておく
○ほうって・・・・×ほおって

・出発が間近に迫る
○まぢか・・・・・×まじか

・絆を断ち切る
○きずな・・・・・×きづな

・許嫁
○いいなずけ・・・×いいなづけ

・社会の不正に憤る
○いきどおる・・・×いきどうる

・一段落
○いちだんらく・・・×ひとだんらく

「影」とは、光が物体に遮られて、光源と反対側に現れる暗い部分。
「陰」とは物に遮られ、日光や風雨が当たらないところ。
影は「月の影」のように、元々は日・月・星・灯火などの光を表す言葉。
そこから、光が反射して水や鏡の面などに映る物の形や色などを表し、光が遮られることで見える物の姿や形、黒い部分などを表すようになりました。
一方、陰は必ずしも光と対ではありません。
光との関係で考えた場合は、光が遮られることで現れるのが「影」、見えなくなったところが「陰」となります。
陰は表面には出てこない暗い面の意味でも使われます。
対義語を比較してみます。
影---光/形
陰---陽/日向

卑屈にペコペコ頭下げている人に、“コメつきバッタ”のよう・・・という表現を使いますね。
「米搗き飛蝗」
1、ショウリョウバッタの別名。
2、ぺこぺこと頭を下げて他人にへつらう人。
バッタの後脚をそろえて持つと体を上下に動かすところから。

言葉としては知っていましたが、私は↓この動画を見て初めてどんな動きなのかわかりました。
https://www.youtube.com/watch?v=fokxYmOW4yg
一目瞭然!



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2017年08月21日

「ずく」と「づく」

これだけだと何のこと?ですよね。
接尾語です。

■「尽く」(ずく)接尾語
〇それにものをいわせての意。
・力ずく
・腕ずく
〇それをした上での意。
・納得ずく
・計算ずく
・算盤ずく

■「付く」(づく)
〇そのような状態になる。その様子が強くなる意。
・活気づく
・調子づく
・怖気づく
・秋づく
〇そういう事が頻繁に起こる。
・ゴルフづく
・芝居づく
・歴史づく
・旅行づく

「尽く」は「尽くし」の略。

「尽くし」(づくし)接尾語
名詞に付いて、その類のものをすべて並べ上げる意。
・花尽くし
・和牛尽くし
・異例尽くし

ここで「おやっ」と疑問に思われた方は鋭い!
「尽く」は「ずく」なのに、「尽くし」は「づくし」なんです。

では「尽くめ」は?
・異例尽くめ
・いいこと尽くめ
・黒尽くめ

「尽くめ」(ずくめ)
何から何までそればかりであること。

「黒ずくめ」「黒づくし」と変わります。

「じ」「ず」「ぢ」「づ」は
だれもが“どっち?”と迷うところ。
これらは「四つ仮名」(よつがな)と呼ばれます。
仮名の使い方は原則 発音通り「じ」「ず」 で、
特定の場合に「づ」「ぢ」になります。
〇同音の連呼: づづく・ちぢむ
〇2語の連合:
「基づく」もと-づく・「地続き」じ-つづき
「息づく」いき-づく・「箱詰め」はこ-づめ
あいそ-づかし・「人妻」ひと-づま
「鼻血」はな-ぢ・「入れ知恵」いれ-ぢえ
とはいえ、
判断の根拠にあいまいな部分があるため、迷うんでしょうね。
↓四つ仮名の分類表
http://www.akenotsuki.com/kyookotoba/shiryoo/yotsugana.html



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2017年08月19日

社会人として押さえておきたい語

日経の広告で目に入りました。
「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」山口謠司
社会人として押さえておきたい語として、
以下の語が挙がっていました。
尽力・斟酌・忖度・拝承・ 慶賀・踏襲・乖離・汎用・相対的・惹起・瑣末

この後、森友学園問題に火が付き、
「忖度」(そんたく)がスポットライトを浴びました。
連日の報道で、若者にも浸透したのではないでしょうか。
「忖」-- 心+寸 → 心をはかる。気持ちを推測する。
「度」-- 物差し。はかる。
「忖度」= 他人の心をおしはかること。

「斟酌」も意味が近いですね。
「斟」-- くむ。
「酌」-- 酒を杯につぐこと。また、つぐ人。
「斟酌」(しんしゃく)
水や酒をくみ分ける意から。
1、相手の事情や心情をくみとること。
また、くみとって手加減すること。
2、あれこれ照らし合わせて取捨すること。
・市場の状況を斟酌して生産高を決める
3、言動を控えめにすること。遠慮すること。
・斟酌のない批評

忖度と斟酌の違いは、
ただ相手の心情を推し量るのが「忖度」
心情を汲み取って手だてをすることが「斟酌」

「惹起」(じゃっき)は昔 取り上げましたが、
いまだにカタカナのジャッキに聞こえてしまいます。
「Jack」
対象物の下に置かれてその物を支えたり、持ち上げるために使われる機械装置。
日本語では「扛重機」(こうじゅうき)というんですね。
「扛」という漢字はほとんど見かけませんが、
読みはコウ・あげ-る・かつ-ぐ
意味は“あげる”“二人以上でかつぎあげる”

「瑣末」(さまつ)=些末
重要でない、小さなことであるさま。些細。

「些」-- いささか。わずか。
「瑣」-- 小さい。細かい。

「些細」
あまり重要ではないさま。取るに足らないさま。

瑣末と些細の違いは辞書からは見い出せませんが、
「末」と「細」からくるニュアンスから、私は「末」のほうにより“取るに足らない”感を受けます。

「拝承」(はいしょう)
謹んで承るという意味。
「聞く」「承知する」の謙譲語。
「拝」 は“おがむ”意。
Webで日立用語のことを知りました。
日立製作所で「拝承」「拝復」「拝受」などが頻繁に使われているそうです。
http://blogs.wankuma.com/jeanne/archive/2006/05/30/29706.aspx




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2017年08月18日

きな臭い

1、紙や布などのこげるにおいがする。こげくさい。
「衣臭い」(きぬくさい)の転化。
2、戦争・動乱などの起こりそうな気配がする。
火薬の硝煙のニオイに対しても「きな臭い」といったことから。
3、なんとなく怪しい。うさんくさい。

「胡散臭い」(うさんくさい)
どことなく怪しい。疑わしい。

「胡散」
怪しいさま。不審なさま。胡乱。

胡散の語源は
「胡乱」(うろん)説と
茶碗の「烏盞」(うさん)説が有力。
香辛料説もWebにありましたが、
そのような香辛料や薬は実在しないため偽説のようです。
あやうく騙されるところでした。
胡「ウ」は唐音、散「サン」は漢音のため
「胡散」は和声漢語と思われます。

「胡乱」(うろん)
1、正体の怪しく疑わしいこと。
2、確かでないこと。真実かどうか疑わしいこと。
3、乱雑であること。

「胡乱」は室町時代に禅宗を通して日本に入った語。
ウ・ロンとも唐音。
モンゴル高原で活躍した遊牧騎馬民族「匈奴」(きょうど)を
「胡」(えびす)と言い、
胡が中国を攻撃したとき
住民が慌てふためき乱れたという故事から。

胡椒(こしょう)・胡麻(ごま)・胡瓜(きゅうり)・胡桃(くるみ)
などは中国の西域由来なのですね。

接尾語としての「臭い」
1、…のようなにおいがする。
・汗くさい
・焦げくさい
2、…のようなようすである。
・年寄りくさい
・インテリくさい
3、上にくる語の意を強める。
・ケチくさい
・てれくさい

金正恩、次の一手は? 
それに対してトランプは?
まさに「一触即発」の状況ですね。




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2017年08月17日

味気ない

「味気ない」には2つの読みがありました。
「あじけない」と「あじきない」です。
「あじきない」の存在を知りませんでした。
用例検索をすると、
・名状し難い遣る瀬なさとあじきなさに襲われて・・谷崎潤一郎
・端唄が現す恋の苦労や浮世のあじきなさも・・永井荷風
・人の世のあじきなさ、しみじみと骨にも透とおるばかりなり。・・福田英子
昭和の頃まで使われていたようです。

「あじきない」
「あずきなし」の音変化で、「味気」は当て字。
1、面白みや風情がない。
2、乱暴である。不当である。
3、努力するかいがない。
4、耐え難い。やるせない。

古語は「あぢきなし」で、
人の力ではどうしようもない状態をさし、
にがにがしいあきらめの境地をいいました。
「あじきない」にはまだ古語の意味が残っていますが、
現代の「あじけない」は“面白みがない”に絞られています。

「味気ない」(あじけない)
面白みや風情がない。

それにしても、味気が当て字なんて。 
“味のある”の対極にあるイメージを持っていました。

「味」
口+末(こずえの意)→ 新芽の味わい

「あじ」
1、飲食物を舌にのせた時に起こる感じ。
2、ものごとの持つ深み。
甘味・苦味・味見・味噌
意味・趣味・地味
味方・気味・不気味

「気味」(きみ)
1、ある事態や物事から受ける感じ。きび。
・気味のわるい話
2、いくらかその傾向にあること。
・慢心の気味がある
3、香りと味。
4、物事の趣。味わい。

接尾語の「気味」(ぎみ)
そのような傾向。
・カゼぎみ
・疲れぎみ

「気味がいい」
好ましく思っていない人が
災難にあったり失敗したりして愉快である。
・いい気味だ。

「気味が悪い」
なんとなく恐ろしい。なんとなく気持ちが悪い。

「気味がいい」と「気味が悪い」
「いい」と「悪い」で対語のようでありながら、
どちらも暗い意味合いになっていますね。
この「いい」は良い意味で使われていません。

「いい」(好い/善い/良い)
「よい」のくだけた言い方。

●皮肉をこめた言い方、相手を非難する言い方
・いいざまだ
・いい気になる
・いい恥さらし
・いい年をして
・いい迷惑
・いいご身分だ

●十分すぎる。その必要がない。
・酒はもういい。

皆さんは「不気味の谷」という言葉をご存じですか?
人型ロボットやCG映像などで人間に似せて作られたときに、
見る者に違和感や嫌悪感を抱かせてしまう現象。
実物との差に違和感を持ちますが、さらに似せて見分けがつかないほどになると、再び親近感が生まれます。
この親近度をグラフにするとVの形になり、これを谷と称したものです。



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2017年08月16日

逸物

群を抜いて優れているもの。
昔は、多くは馬について言ったようです。
(いちもつ/いちぶつ/いつもつ/いつぶつ)
読みかたが 4つも存在して悩ましいですね。
「逸」の字は略体で、
元の字は兎が走り逃げる様子を表していました。

「逸」イツ・イチ・そ-れる・はや-る
1、はしる。にげる。 逸走
2、それる。 逸脱
3、うしなう。なくなる。 散逸
4、気まま。気楽。 安逸
5、すぐれる。 逸材・逸品・秀逸

「逸話」(いつわ)
世間一般にあまり知られていない話。

「逸失利益」(いっしつりえき)
事故などで死んだ人が何事も無く労働可能な年齢まで生きていたら、その間に得たであろうと推定される収入。

「秀逸」の類語を見ると、
秀抜・卓抜・卓越・出色・傑出・突出

でも最後の「突出」は同心円の外かもしれません。
他の語はいずれも辞書に“優れている”が入っていますが、
「突出」には入っていません。
1、高く、長く、または鋭くつき出ること。
2、つきやぶって出ること。
3、他より目立って多いこと。
しかも「とくしゅつ」と入力しても変換されません。

「抜群」(ばつぐん)
バツグンってカタカナのイメージがあって、ちょっと子供っぽい言い方のように感じていました。
でも、漢字でみるとパッと抜きんでていることがわかります。

「兎」といえば、
「兎に角」(とにかく)は当て字です。
「とにかく」の「と」は「ああ(だ)」、
「かく」は「こう(だ)」の意を表す古語の指示副詞。
「に」は助詞。
「とにもかくにも」は、「とにかく」を強めた言い方。
無用な誤解を生むから当て字はやめてもらいたいですが、夏目漱石が使ったところから広まったようです。
紛らわしいのが「兎角」とういう語があること。
「兎角」は仏教語の「兎角亀毛」(とかくきもう)から。
この世にあり得ないもののたとえで、もとは戦争の起こる兆しのことを言いました。
でも現在では「兎角」はほとんど使われていないようです。



posted by 空凛 at 09:29| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする