2017年08月12日

様子がいい

書家・篠田桃紅(しのだ とうこう)氏が
「“様子がいい”と言う言葉を聞かなくなった。深みのある日本語がだんだん減って行く」
と語られていて、気になる言葉になりました。
桃紅氏は1913年(大正2年)3月28日生まれの104歳。
枯れてなお凛としたたたずまい、
芯の通ったキッパリとした話しぶり、
渋くて個性的な着物の趣味も洗練されています。
日本にこんなカッコいい女性が活躍されていたとは。
私は数年前にNHKのドキュメントで知りました。
さて、
「様子がいい」ですが、
残念ながら、辞書には載っていませんでした。
落語には出てきますから
落語好きな方には馴染みの語かと思います。
・お前は背中に筋があって様子がいいよ
・あの人はほんとに様子がいいねぇ

「様子」には“状態・事情・風采・外観・気配”などの意味がありますが、
「ありさま」との比較で、
外見だけでなく、そこから受ける印象も「様子」には含まれる。
とあります。
「ありさま」は“物事の状態”“境遇”の意で、印象は含まず。

「様子がいい」は、
人柄が現れたものとしての
“身なり”や“ふるまい”や“しぐさ”などが
好ましいということでしょうか。

落語には「料簡」もよく出てきます。
・どういう料簡だい
・とんだ料簡違いだよ
・悪い料簡を起すな
・料簡が狭い

「料簡」も捉えずらい語ですね。

「料簡/了見」(りょうけん)
1、思いをめぐらすこと。考え。思案。
2、こらえて許すこと。

「料」は米とますの合字で、“米をますで量る”意。
「簡」は“分別する”“選ぶ”意。
「料簡」(りょうかん)は本来“はかり選ぶ”
という意味ですが、日本では「りょうけん」と読み、
あれこれの事情をはかり、その中から適切な考えを選ぶこと。
→ 深く考える → 考え

桃紅氏は100才になって何冊も本を上梓されています。
* *
「この歳になると、誰とも対立することはありませんし、
誰も私とは対立したくない。百歳はこの世の治外法権です」
* *
「ひとりひとり違うのだから、
理解しあえなくて、モトモトなのです」
* *
「あきらめられないから 悩みが尽きず、
あきらめられないから 希望も続く。」
人生は、その繰り返し」
* *
「歳相応という言葉がありますが、
人を批評するのに年齢はたいへん便利な言葉です。
私は歳には無頓着です。
これまで歳を基準に物事を考えたことは一度もありません。
何かを決めて行動することに歳が関係したことはありません。
自分の生き方を年齢で判断する、これほど愚かな価値観はないと思っています」
* *
など、独自の物の見方や言葉に説得力があります。
なんといっても104歳を生き抜いてこられた方の言ですから。





posted by 空凛 at 09:02| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする