2018年01月31日

在りの遊び(ありのすさび)

生きているのに慣れていいかげんに過ごすこと。

こんな表現があったんですね。
「遊び」が「すさび」と読むことを知りました。

「すさび」を引くと「荒び/進び/遊び」と、3つ漢字が当てられています。
「すさんだ心」といった “荒” の意味で認識していた「すさぶ」ですが、「風が吹きすさぶ」「雨が降りすさぶ」といった表現もありますね。

「すさび」「すさぶ」の意味がよく呑み込めませんでしたが、
古語の意味から辿っていくと理解できました。

古語の「すさび/すさみ」(名詞)は、
自然の成り行きに任せて物事が勢いのままに進む意。
プラス・マイナス両方に用います。
「遊び」(すさび)・・・心の赴くままに進むこと。
「荒び」(すさび)・・・物事の勢いが衰えたまま惰性的に進むこと。

「遊び/荒び」(すさび)
1、事の成り行きにまかせること。
2、心のおもむくままに物事をすること。慰み。遊び。
・筆のすさび ・老いのすさび

「すさぶ」の転じたものが「すさむ」
「すさむ」の連用形が名詞化したものが「すさみ」

「荒ぶ」(あらぶ)と読めば、
“荒々しく振る舞う” “疎んずる” という意味ですが、
「荒ぶ」(さぶ)では、
1、荒涼としたさまになる。
2、古くなる。
3、色があせる。勢いが衰える。
4、心が荒れる。さびしく思う。

この「さぶ」から派生した語が
「寂びる」(さびる)・「錆びる」(さびる)です。

「すさぶ」に目が留まったきっかけは、
「無げ」(なげ)の表現を見ていた時でした。

●無げのあわれ
心のこもらないうわべだけの同情。

●無げの情け
心のこもらないうわべだけの情け。かりそめの情け。

●無げの言の葉
心からではない、口先ばかりの言葉

そして今日のタイトルになった「無げの遊び」でした。

ちなみに「無げ」は形容詞「無し」の語幹に接尾語「げ」が付いたもの。
所在無げ・事も無げ・人も無げ







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2018年01月30日

「お」と「を」の発音

「お」と「を」で発音が違ってる?

昔は違う音で、時代ごとに変わっています。
奈良時代・・・「O オ」 と「WO ウォ」
鎌倉時代・・・両方「WO」 (藤原定家がルールを策定)
江戸中期・・・両方「O」
昭和初期、
「O」という音に対する仮名は「お」だけでいいと考え、
「を」をなくそうとしましたが、
反発が大きかったため、助詞の「を」だけは残して、他は「お」に統合されました。
「をんな」→「おんな」
「をかしい」→「おかしい」

船舶無線や航空無線などで使用する「和文通話表」では、
「大阪のオ」「尾張のヲ」と示すそうです。
当時は暫定ルールとして将来は「を」全廃する意向でしたが、
全廃の動きが見えないまま今に至っています。
助詞の「は」と「へ」も同じで残されました。

ここで、平仮名と片仮名の成り立ちをみてみます。
「カタカナ」は西暦800年頃に、
文字を簡略表示させる目的で考案されました。 
「ひらがな」は西暦900年頃の平安時代に、
それまでの画数が多い「万葉がな」にかわるものとして考案されました。  
「ひらがな」は漢字の字体を簡略化したもの、  
「カタカナ」の多くは漢字の一部をくずしたもの。
そのため、カタカナは「片仮名」と書きます。

昔はいろんな漢字を元にみんなが勝手にひらがなを作ったため、たくさんのひらがながありました。
さらに「合略仮名」と呼ばれる一文字一音でない仮名もありました。
1900年(明治33年)一音一字だけを標準と決め、
標準から外れた仮名を「変体仮名」と呼ぶことにしました。  
異体仮名(いたいがな)とも言います。
現在でも変体仮名は書道や看板・商標などで目にすることができます。
片仮名もはじめは異体字をいくつかもっていましたが、
平安中期には一種類へと統合する傾向が強まり、
早い段階で今と殆んど同じような一音一字に整いました。







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2018年01月29日

「了解」「了承」「承知」の違い

[「了解しました」は目上の人には不適切 ]
という内容をWebで目にしました。

「わかりました」という敬語表現には、
主に以下のような言い方があると思います。
・了解しました ・了解致しました
・了承しました ・了承致しました
・承知しました ・承知致しました
・うけたまわりました
・かしこまりました

まず、意味を確認しておきます。

「了解」
事情を理解して承認すること。了承。

「了承」
事情をくんで納得すること。承知すること。

「承知」
知っていること。聞き入れること。許すこと。

「了」
からげたひもを表した象形文字。
原意は “まとめる” “おわる”
1、おわる
2、あきらか
3、さとる
4、承知する

「承」
原意は “ささげもつ” 意。
広く “受ける” 意。

「了解」が目上の人に不適切とする説に、
「承知」や「了承」には
“うけたわる” という謙譲語の意味を持つ「承」が含まれているが、「了解」にはない。

そんな解釈があるのかと始めて知りましたが、
これは多くの人が共有している認識ではないようです。
「持参」「申請」「参加」「参照」「参集」なども
謙譲語の “参る” “申す” を含む熟語ですが、
現在では謙譲語の意味は失われています。

何れにしろ「了解」に違和感を感じる方もいらっしゃるため、
「了解しました」は同僚間で使うに留めたほうがいいようです。
「了承」は「ご了承いただきましてありがとうございます」
のように相手の行動に使うことが多いような気がします。
返事として「了承致しました」というのは、あまり耳にしませんね。

最後に、
「うけたまわりました」と「かしこまりました」を確認してみます。

「承る」(うけたまわる)
1、「聞く」の謙譲語
2、「引き受ける」「承諾する」の謙譲語
3、「受ける」の謙譲語

「畏まる」(かしこまる)
1、おそれ敬う気持ちを表してつつしんだ態度をとる。
2、つつしんで承る。
3、お礼やおわびを言う。
4、謹慎する。

「かしこまりました」
相手の言ったことを理解し、その言葉に従うという意思を表す謙譲語。

「かしこまる」は「かしこし」の語幹から生じた語です。
古語の「かしこし」の意味は
自然に宿ると信じられた精霊の霊威に対する畏怖の念を表します。
漢字は「畏し/恐し」
その後、“恐れ多い” という感情ではなく、
恐れ多い “対象” に対して「かしこし」を用いるようになりました。
・恐れ多い自然現象や神々 --- 恐ろしい
・恐れ多い天皇や貴人 ------- もったいない
・恐れ多いほどの人材 ------- 優れている、賢い

特に優れた人材に対して「かしこし」と使われるようになり、
区別するために「賢し」という字が当てられました。






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2018年01月28日

託ける(かこつける)

直接には関係しない他の事と無理に結びつけて、都合のよい口実にする。
他の物事のせいにする。事寄せる。

「かこつける」が読めませんでした。
「嘱託」「信託」「受託」「委託」など、
馴染みの「託」ですが、
“ゆだねる”という意味だけで覚えていました。

「託」タク・かこつける・かこつ・ことづける
1、たよりにして物事をまかせる。あずける。
2、他の物事を利用して物を言う。かこつける。

「ことづける」も「託」なんです。

「言付ける/託る」(ことづける)
1、人に頼んで伝言や品物を取り次いでもらう。
2、かこつける。口実にする。

似た語に「ことよせる」という語があります。

「言寄せる/事寄せる」(ことよせる)
1、ほかの事に託して事をなす。かこつける。口実にする。
2、言葉で助力する。
3、うわさを立てる。言い立てる。
4、ことづける。伝言する。

「ことよせる」って、やわらかくて古風な響きがあります。
あまり使われていないのがもったいないですね。

古語「かこつ」には
“恨み言”というネガティブな意味もあります。

「託つ」(かこつ)
1、かこつける。
2、恨み言を言う。嘆く。
3、頼る。

古語「托言」(かごと)
「かこちごと」の意。
1、言い訳。口実。
2、不平。愚痴。恨みごと。


「託言」(たくげん)
1、他のものにかこつけた言葉。口実。
2、ことづて。伝言。


「御託を並べる」(ごたくをならべる)
自分勝手なことを、もったいぶってくどくど言う。

「御託」は「御託宣」の略で、
神仏が人間に乗り移って、その意思をお告げになること。
御託宣がいつも長々と続くものだったため。

「かこつける」に似た語に「藉口」があります。
知らない語でした。

「藉口」(しゃこう)
何かにかこつけること。
口実をもうけて言いわけすること。

「藉」シャ・セキ
1、敷物にする。
2、かこつける。
3、いたわる。

「慰藉料 」(いしゃりょう)は「慰謝料」と同じ意味です。
「籍」に似ているので「いせきりょう」と読みそうですが、
草冠。冠下もちょっと違います。


ふと、
「カッコつける」の「かっこ」は何だっけと思いました。
「格好を付ける」ですね。
「格好」から「カッコ」になったのは、
そう昔のことでないと思うのですが、
もう元の記憶が薄らいでいます。





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2018年01月27日

二重敬語

知らないで二重敬語を使っていることに気づきました。

× おっしゃられる ---「おっしゃる」+「られる」
○ おっしゃる

× お見えになられました ---「来る」の尊敬語+「られる」
○ お見えになりました

× お読みになられる ---「お」+「られる」
○ お読みになる

× ご覧になられる
○ ご覧になる

× お越しになられる
○ お越しになる

× お召し上がりになる ---「召し上がる」+「お〜になる」
○ 召し上がる

× 拝見させていただきました ---「拝見」+「いただきました」
○ 拝見致しました

× 伺わせていただきます ---「伺う」+「いただきます」
○ 伺います

△ お伺いします ---「伺う」+「お〜ます」
○ 伺います

「伺う」は「訪問する」「聞く」「尋ねる・問う」の謙譲語。
“質問” という意味の時は、
答えてくれる相手を敬って「お伺いを致します」と言えます。

他にも敬語に関する間違いはそこここに見られます。

× おられる
○ いらっしゃる

「おる」は「居る」の謙譲語。
「られる」をつけて尊敬の形にしようとした間違い。

× おまたせ申し上げました
○ おまたせ致しました

より丁重に言おうとして
二重敬語や誤った言い方になってしまっているようです。
ただ、文化庁の「敬語の指針」には
しつこくなければ二重敬語もかまわないとあり、
習慣として定着している二重敬語を示しています。

○お召し上がりになる
○お見えになる
○お伺いする

敬語の指針には「敬語連結」なることも書かれていました。

■許容される敬語連結の例
・お読みになっていらっしゃる
「読む」「いる」をそれぞれ尊敬語にしたもの

・お読みになってくださる
「読む」「くれる」をそれぞれ尊敬語にしたもの

・お読みになっていただく
「読む」を尊敬語に 「もらう」を謙譲語にしたもの

・御案内してさしあげる
「案内する」「あげる」をそれぞれ謙譲語にしたもの

とはいえ、最近の傾向として
言い方がくどくなる傾向にあるのではないでしょうか。
相手に心地よく、スッキリとした言い方を心掛けたいと思います。





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2018年01月26日

気色ばむ(けしきばむ)

1、怒りを表情や態度に表す。
2、兆しが見える。様子が外に現れる。
3、気持ちが顔色などに表れる。
4、様子をつくる。意味ありげな様子をする。

怒りの「気色ばむ」しか知りませんでしたが、
それだけではなかったのですね。

「ばむ」って「接尾語」でした。
○名詞に付いて動詞をつくり、
“…のようすが現れる” “…のようすを帯びる”
などの意を表します。

「ばむ」の付く語を探してみると、
汗ばむ・黄ばむ・赤ばむ・黒ばむ・白ばむ・
心ばむ・血ばむ・好きばむ・おかしばむ・情けばむ・

後半部分は、現在ではほとんど耳にしませんが、
古くは多様な言い方があったんですね。

「気色ばむ」は平安時代にはあり、
良いことも悪いことも
“気持ちが外に表れる” ことをいった語でした。

「心ばむ」
1、気張る。気どる。
2、気を遣う。心遣いをする。

「気張る」
1、息をつめて力を入れる。いきむ。
2、気力を奮い起こす。いきごむ。
3、格好をつけて見えをはる。また、気前よく金銭を出す。

故郷の長崎では、「子供のためにきばらんばー」などと、
“頑張る” 意味で日常的に聞かれました。

「気色悪い」(きしょくわるい)も辞書に載っていなくて、方言かと思っていました。
「気色」の読みには「きしょく」と「けしき」があります。
読みによって意味が分かれるのかと思いましたが、重なる部分がありました。

「気色」(きしょく)
1、心の状態が外面にあらわれたようす。顔色。表情。
2、気分。体調。内意。
3、風や雲の動きに表れる大気のようす。

「気色」(けしき)
1、物事のようす。自然界のありさま。
2、きざし。けはい。
3、表情や態度に現れた心のようす。顔色。
4、それとなく示される内意。意向。
5、わずかに感じられるようす。ほんの少し。
6、上位者の受け。おぼえ。

ちなみに、
「きしょい」は「気色悪い」が縮まったものでした。
・きしょい ------ 気色悪い
・キモい --------- 気持ち悪い
・ばっくれる --- しらばっくれる

「ばむ」の付く語で「ついばむ」を思い出しましたが、
「啄む」(ついばむ)は、
「つきはむ」の音変化したもので、
「つついて - 食む(はむ)」です。








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2018年01月25日

“まつり” とは

前回の「社= 土地神」からの流れで、
“まつり” のことなど改めて見直してみました。

まつりと聞けば「祭り」で、
神輿や山車などの威勢のいいお祭りを思い浮かべますが、
「まつり」という言葉は「祀る」の名詞形で、本来は神を祀ること。
漢字表記の「祀り」「祭り」「奉り」「政り」には、
根っこに “祀り” があります。

「祀り」
神・尊(みこと)に祈ること、またはその儀式。

「祭り」
命・魂・霊・御霊(みたま)を慰めるもの。
漢字本来の「祭」は、意味において葬儀のこと。

「奉り」まつり・たてまつる
神に供物を奉げること

「政り」
古代の日本では祭祀を司る者(まつり)と政治を司る者(まつり)は同じ意味で、政治のことを政(まつりごと)とも呼びました。(=祭り事)

神にまつわることを巡っていると、
知らない語・読めない語がポロポロ出てきます。

「社祠」(しゃし)
ヤシロとホコラ。
ともに神をまつる殿舎のこと。
ヤシロとは本来屋代(やしろ)すなわちミヤ(御屋)、
宮殿に対してそのかわりの斎庭(ゆにわ)、斎場のことで、
地を祓い清めただけの場のこと。
またわずかに人家の形をしたのみの建物のことをいい、
のち社の字をあて、神をまつる殿舎をいうようになったもの。
ホコラはホクラ(神庫/宝庫/宝蔵)より転じた語で、神をまつる殿舎のこと。

「奠」テン・デン
1、神仏に物を供えて祭る。
2、供え物。
3、位置を定める。

「奠稲」(くましね)
神仏に捧げる洗い清めた白米。
洗い米(よね)。お洗米(せんまい)。くま。おくま。

「奠」は常用漢字でないためほとんど目にしませんが、
本来は「御香典」ではなく「御香奠」と書くのが正式。
「香奠」は「線香の代わりにお供えする」という意味です。

「奠都」(てんと)という語も始めて知りました。
1、都を他所へ遷す(うつす)こと。
2、都をかえること。

「遷都」と「奠都」の違いは、旧都を廃するかどうか。
「遷都」の場合は廃止の語意を含みます。

「東京奠都」(とうきょうてんと)
慶応4年7月14日(西暦では1868年9月3日)に江戸が東京と改称され、
同年9月に元号が明治に改められ、同年10月13日に天皇が東京に入り、
明治2年(1869年)に政府が京都から東京に移されました。







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2018年01月24日

社稷(しゃしょく)

1、土地の神(社)と五穀の神(稷)。
2、国家。朝廷。
3、朝廷または国家の尊崇する神霊。
すめらおおもとお(社稷の訓読み)

読めませんでしたし、知りませんでした。

「社」は土地の神で、「稷」は穀物の神を意味し、
土地と食料である穀物こそが国の根幹とするもの。
古代王朝には社稷を祀った祭壇があり、
そこから国家の意になったとされます。

「稷」ショク
中国で五穀の一つ粟(あわ)の別称。

五穀とは主要な5種の穀物のことで、
中国では時代と場所によって5種の内容が多少違っています。

「社」
土地の生産力をまつる土地神を祀ること又はその祀り。
土地の神を同じにする地縁集団。
ある目的を同じくする集団。

元来「社」とは土地神のことで、
「会」は土地神を祭る集会を意味しました。
中国各地の村落では古来 春と秋に土地神を祭る集会を盛大に開いて五穀の豊穣を祈り、収穫への感謝を示しました。
土地神を中心に自然発生的に村落が成立したともいえます。
そして村落を単位として開かれる村人の集まりを「社会」と称するようになりました。
明治初期にこの「社会」が「society」の訳語にあてられました。
中国起源の言葉が日本経由でヨーロッパ語の訳語に導入された例は
「革命」「経済」「文学」などがあります。

以前「氏子」を取り上げた時、
「社」に “土地神” の意味があることを初めて知りました。
私の頭には社会や会社の意味が先に染みついていたため、
「社」が神と繋がっていることが意外でした。
今回、上記説明を目にしてはじめてスッと納得できました。
土地神 → 村落 → 社会 となった語だったんですね。

社稷の訓読みが「すめらおおもとお」というのも想定外でした。
どこで区切るのかと思いました。

「すめら」とは「天皇陛下」を指す語です。
古代の日本語「すめら」(漢字表記は「皇」)は、
天皇に関する事柄を表す語に付いて、
敬意を込めて褒め称える意を表す接頭語でした。

すめらおおもとお・・社稷
すめらぎ・・・・・・天皇
すめらへ・・・・・・皇辺
すめらみくさ・・・・皇御軍
すめらみくに・・・・皇御国
すめらみこと・・・・天皇、皇尊
http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/00/sumeramikuni.html

「しゃしょく」といったら「社食」しか頭になかった私。
しばし土地神に集う古の人々の姿を想像しました。






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2018年01月23日

「閾値」と「しきい値」

「閾値」(いきち)
1、ある反応を起こさせる、最低の刺激量。しきいち。
2、生体の感覚に興奮を生じさせるために必要な刺激の最小値。

「しきい値」
一般に境界線、境目のことを指し、
ある値以上で効果が現れ、それ以下では効果が現れないことをいう。

Photshopの設定項目に「しきい値」というのがあって、
語の意味もよく理解しないまま設定していました。
「閾値」は私の生活圏では目にすることがありませんでした。

「閾値」の本来の読み方は「いきち」で、
「しきい値」に対して「閾値」という漢字を使うのは、
当て字が定着したものです。
生理学や心理学では「閾値」、
物理学や工学では「しきい値」が学術用語として定着しているようです。

「しきい値」の英訳は “threshold”
「threshold」
1、敷居。入口。門口。
2、始め。発端。出発点。
3、(その点を越えると何かが生じる)基準点。しきい値。
4、課税分岐点

「閾」(いき)の原義は “門の敷居”。
内と外との境界。しきり。範囲。

「閾」の訓読みは「しきみ」
内外の境として門や戸口などの下に敷く横木。
現在の敷居に当たる。戸閾(とじきみ)。

「閾」の原義に「結界」を思い浮かべましたが、
襖(ふすま)・障子(しょうじ)・衝立(ついたて)・
縁側(えんがわ)・暖簾(のれん)などは、
広義の「結界」である。
という記述がありました。

「閾下」(いきか)
刺激が小さくて生体に反応の起こらない状態。
意識していない状態。

「閾下知覚」(いきかちかく)
閾下の刺激によって生じる知覚。

「閾値仮説」
放射線の被曝線量がある値以下の場合には、
人体への影響はないとする考え。

「閾値無し直線仮説」
放射線の被曝線量がどれほど少なくても、
その線量に比例して人体への影響があるとする考え。

「閾値仮説」と「閾値無し直線仮説」は今回 初めて知りました。
自然と福島原発の放射線問題へ目が向きます。
何もかも手探りの状況で、福島の方々は不安でいっぱいだと思います。






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2018年01月22日

正しいのはどっち?

今回は問題形式です。正しいのはどっち?

Q1、やせいの猿
野生 / 野性

Q2、がけっぷちに立つ
崖っ縁 / 崖っ淵

Q3、おかしらつきの魚
尾頭付き / 御頭付き

Q4、言い方が癇にさわる
かん / しゃく

Q5、斯界の権威
しかい / きかい

Q6、博打をする
とばく /ばくち

Q7、軽々に論じてはならない
かるがるに / けいけいに

Q8、大音声が響き渡る
だいおんせい / だいおんじょう

Q9、無理無体に引きずり回す
むりむてい / むりむたい

Q10、あっぱれな働き
圧張れな働き / 天晴れな働き



それでは解答です。
Q1〜5は左側、
Q6〜10は右側が正解です。


うっかり「癪」と「癇」を見逃しがちです。
「積」と「間」の違い。

「癇」カン
1、ひきつけ。
2、神経質で、怒りやすい気質。

「癪」シャク
1、胸や腹が急に痙攣を起こして痛むこと。さしこみ。
2、腹が立つこと。

「癇癪」(かんしゃく)
ちょっとした事にも怒りやすい性質。その発作。


「天晴れ」(あっぱれ)とは、
感動するほど優れているさま。見事なさま。
賞賛する時に発する語。

「あっぱれ」は「哀れ」と同源で「あはれ」が促音化した語。
「あはれ」は心から湧き出る感情のすべてを表すものでしたが、
中世以降、賞賛の意味を込めていう時は「あっぱれ」、
悲哀などの感情を表す時は「あはれ」になりました。
漢字の「天晴れ」は当て字です。






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2018年01月21日

「十分」と「十二分」

「十二分」
十分すぎるほどたっぷりしていること。

十分以上を目指すという、
「十分」の意味を強調したものですが、
逆に「過剰」という印象を受けます。
「十二分」の方がより満足度が大きくなるようで、
そうでもないのが面白いところです。

☆「十分」と「充分」
どう使い分ける?

本来の形は「十分」。
「充分」は “充足” などの類推から出たものです。

「十分」の「分」は “分割” “部分” などの「分」で、
「十分」は割合や数量を満たしている。100%という意味。
「充分」の「分」は “分をわきまえる” “職分” などの「分」で、
「充分」は職務や分を満たしている、
精神的に充足しているという意味。
十分 --- 数量的・客観的
充分 --- 主観的


他にも語の比較をしてみました。

☆「なびく」と「たなびく」

「なびく」
風の勢いで揺れ動く。

「たなびく」
雲や霞、煙などが薄く層をなして長く漂うさま。


☆「真綿」と「純綿」

「真綿」(まわた)
くず繭などを煮て引き伸ばして作った綿。

「純綿」(じゅんめん)
まじりもののない綿糸。綿糸で織った布地。

真綿とありますが、絹です。
室町時代に木綿が伝わるまでは
「綿」(わた)というと「真綿」=絹を指しました。
後に、
植物の「ワタ」から作られるものを「綿」or「木綿」、
繭から作られるものを「真綿」と呼びました。


☆「日柄」と「日和

「日柄」(ひがら)
その日の吉凶。
「大安」「友引」「仏滅」「先勝」「先負」「赤口」
6つの日があります。

「日和」(ひより)
1、空模様。天気。
2、晴れたよい天気。
また、なにかをするのにちょうどよい天気。
3、物事の成り行き。雲行き。


☆「甘党」と「辛党」
「辛党」はスパイス好きな人ではなく、
甘いものよりも酒を好む人のこと。
甘党に対する辛党。


☆「タイトルロール」と「スタッフロール」
「title role」「stuffed roll」
同じロールでも「role」=役、「roll」=巻物
と違うんです。

「title role」
作品の題名、もしくは題名の一部になっている役柄のこと。

「stuffed roll」
映画などで表示される、製作者・監督などの名前を列挙した一覧。
英語圏では、
opening credits・ending credits・closing credits
と呼ばれます。

☆「和牛」と「国産牛」
「和牛」
日本の在来の品種及び改良種。

「国産牛」
品種ではなく、産地。
米国生まれでも、日本での飼育期間が一番長ければ国産牛。






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2018年01月20日

狷介(けんかい)

頑固で自分の信じるところを固く守り、
他人に心を開こうとしないこと。片意地。

「狷」ケン・せまい
心が狭い、許容力・包容力の無いこと。

「狷介」の類語をみると、
依怙地・頑固・偏屈・強情・頑強・頑迷・頑冥・
一徹・片意地・頑な・意地っ張り・固陋
ガンコ親父のイメージが立ち上ります。

「固陋」(ころう)
古い習慣や考えに固執して、新しいものを好まないこと。

「陋」ロウ
1、場所が狭苦しい。
2、心が狭く卑しい。

「狷介固陋」 (けんかいころう)・「頑迷固陋」(がんめいころう)
という四文字熟語もありました。

「頑冥不霊」(がんめいふれい)は「冥」と「霊」に怪しさを感じましたが、意味は “頑固で無知なこと”

「頑冥」---頑固で道理に暗いこと。「迷」とも書く。
「不霊」---頭の働きが鈍いこと。

「霊」の辞書を読んでましたら最後のほうに発見がありました。

「ち」
自然の事物などの名詞の下に付いて、
それが神秘的な力をもつ意を表す。
・いかずち/いかづち---雷
・おろち---大蛇
・みずち---水霊

「かみなり」は中世以降に使われるようになった言葉で、
由来は「神鳴り」から。
それ以前は「なるかみ」や「いかづち」と呼ばれました。
「いかづち」は「厳つ霊」(いかつ-ち)から来ています。
“たけだけしい” “荒々しい” などを意味する形容詞「厳し」から。
「いかづち」は鬼・蛇・恐ろしい神などを表す語でしたが、
神との関わりが深いと考えられていた「雷」を意味するようになりました。
「おろち」は “長い尾の神” から来ているようです。






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2018年01月19日

着服(ちゃくふく)

1、衣服を着ること。
2、金品などをひそかに盗んで自分のものにすること。

“服を着る” からどうして “盗む” になったのでしょう。
故事か語源ありかと期待しましたが、
何もおもしろい話しは出てきませんでした。
服の中に隠す。あるいは着ぶくれ → 懐暖かい。
という連想でしょうか。

似た意味に横領・窃盗・泥棒 などがありますが、
「横領罪」の定義は、
<<自己が占有する他人の物を不法に領得すること>>
となっています。
なんとわかりずらい説明。

「領得」とは、
自己または第三者のものとする目的で、
他人の財物を不法に取得すること。

もう少し一般向けの説明では、
「横領罪」
委託などにより占有(管理)している他人の物、
自分の物でも公務所から保管を命じられた物、
遺失物・漂流物などをその権利がないのに自分の物のように利用・処分することにより成立する罪。

過去に「よこしまな横」で取り上げましたが、
「横」には “よこ” という意味の他に、
“よこしま” “ほしいまま” “わがまま”
というネガティブな意味があります。
横奪・横流し・横取り・横着・横柄・専横・
横行・横死・横槍を入れる・横車を押す・

今回、さらに「横」に関する発見がありました。
中国では 意味の違いで声調(トーン)が違うんです。
“よこ” という意味 --- 平声
“悪い” という意味 --- 去声

中国音韻学で、漢字音の声調を4種類に分類したものを
「四声」(ししょう/しせい)といいます。
・平声(ひょうしょう/へいせい)---- なだらかな声調
・上声(じょうしょう/じょうせい)-- 尻上がりのアクセント
・去声(きょしょう/きょせい)------ 尻下がりのアクセント
・入声(にっしょう/にっせい)------ つまる音

上声・去声・入声を一括して「仄声」(そくせい)といいます。
平声+仄声=平仄(ひようそく)
漢詩のリズムは平声と仄声の組み合わせにあり、
平仄によって心地よい響きある詩となります。
ここから「平仄を整える」「平仄が合わない」
という表現が生まれています。

「平仄」(ひょうそく)
1、平声と仄声。また 平字と仄字。
2、平字と仄字の配列法。

「平仄が合わない」
話の筋道が立たない。つじつまが合わない。





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2018年01月18日

草臥れる(くたびれる)

1、体力を消耗してそれ以上動くのがいやになる。
疲れる。疲労する。
2、使い古してみすぼらしい感じになる。
人についていうこともある。

古い形は「くたびる」
「くた」は朽ちる(くつ)・腐す(くたす)と同源。
「くたばる」の「くた」も同じ語幹。
「びる」は悪びれるの古形「悪びる」(わるびる)の
「びる」などと同じくある状態を言い表す語。
「草臥れる」は当て字で、
「詩経」にある「草臥」(疲れて草に臥すの意)を慣用したもの。

語源は諸説あるようですが、2つ紹介します。
* 疲れ果てて家あるいは宿までたどり付く気力がなくなり、草の上に臥してしまう様から。
* 草が生気を失うとヘタってしまうことから。

体の疲労をいう場合には共に用いられますが、
“旅に疲れる” “人生に疲れる” のような抽象表現には、
くだけたいい方である「くたびれる」はあまり用いません。

似た表現に「へばる」「へたばる」がありますが、
いずれも俗語的表現。
「へたる」に漢字表記はありません。
1、尻をつけてべったり座る。また、尻餅をつく。
2、へたばる。元気がなくなる。また、疲労で倒れる。
3、そのものの機能や性能が衰える。

「くたびれる」は方言かと思っていましたが、標準語なんですね。
方言の「疲れた」を見ると、
・えらい(愛知)
・かんだるい(静岡)
・きける(和歌山)
・きつい(福井)
・こえー(福島)
・だりやま(三重)
・きゃーなえる(長崎)

「臥」も確認しておきます。
ガ・ふ-す・ふせ-る
横になって寝る。

「臥す」(ふす)
1、体を横にして寝る。また、床につく。
2、病気で床につく。

「横臥」(おうが)
横になって寝ること。

「仰臥」(ぎょうが)
仰向けに寝ること。

「伏臥」(ふくが)
うつ伏せに寝ること。






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2018年01月17日

蒲柳の質(ほりゅうのしつ)

からだが弱く病気にかかりやすい体質。

知らない表現でした。
由来は中国の故事。
簡文帝(かんぶんてい)が顧悦(こえつ)に
なぜ髪が若い時から白いのかと質問したときに、顧悦が答えた言葉。
やなぎのようにほっそりとし、弱々しい体質の人。

「蒲柳」(ほりゅう)
1、カワヤナギの別名。
2、カワヤナギの葉が秋になるとすぐに落ちるところから、
体質がひ弱なこと。
「カワヤナギ」は川辺に生える柳。普通ネコヤナギをいう。

柳といえば、
「柳に受ける」(やなぎにうける)
というちょっと粋な表現がありました。
“逆らわないで、されるがままになる”

同じような表現に、
・柳に風と受け流す
・柳に風。
・柳に風折れなし
・柳に雪折れなし
・柳風にしなう

「撓う」(しなう)
「しなやか」の「しな」と同源。
弾力があってしなやかに曲がる。たわむ。

「しなやか」
1、柔軟で弾力に富んでいるさま。よくしなうさま。
2、たおやかで優美なさま。

「たおやか」
「たお」は「たわ」(撓)の音変化
1、姿・形がほっそりとして動きがしなやかなさま。
2、態度や性質がしとやかで上品なさま。

辞書には漢字表記はありませんが、
「たおやか」には「嫋」「靭」「撓」の漢字が当てられます。
「嫋やか」(女性のしなやかなさま)
「靭やか」(強靭さ)
「撓やか」(たわむ弾力の強さ)
常用漢字ではないので、普通は平仮名になっています。

「蒲」に目を戻すと、
ホ(漢)・ブ(呉)・フ(唐)・がま
1、草の名。ガマ。
2、木の名。カワヤナギ。

「蒲団」(ふとん)に「蒲」がつているのは、
昔、ガマの綿毛を寝具に入れたことから。

「蒲鉾」(かまぼこ)
昔、かまぼこは細い竹にすり身を付けて焼いたものでした。
現在の竹輪のようなもので、それが蒲の穂に似ていたことから。

「蒲焼」(かばやき)
うなぎを筒状に切って焼いていた形がガマの花穂に似ていたことから。
「がま焼き」から転じて「かばやき」に。





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