2018年01月06日

折角(せっかく)

「折角」は意味と漢字が合致していなくて、
何かありそうだと期待しませんか?

予想通り故事由来の語です。
昔、おもしろ雑学の本で読んだ故事は以下のようなものでした。

*
郭泰という人の被っていた頭巾の角が雨に濡れて折れ曲がっていた。
郭泰を敬慕していた人々がならって頭巾の角を曲げ、それが広まった。
*
ずっとこの故事が唯一の語源だと思っていましたが、
今回調べてみると、これよりも有力な説がありました。

* *
朱雲という人物が それまで誰も言い負かすことができなかった
五鹿に住む充宗と易を論じて言い負かし、
人々がよくぞ “鹿の角を折った” と洒落で評しました。
「漢書(朱雲伝)」より。
* *

本来は “高慢な人をやり込める” 意の名詞「折角」でした。
それが副詞にも用いられるようになりました。

折角[名詞]
1、骨を折ること。力を尽くすこと。
2、困難や難儀。

折角[副詞]
1、いろいろの困難を排して事をするさま。
無理をして。苦労して。わざわざ。
2、(「折角の」の形で、体言に続けて)
滅多に得られない、恵まれた状況を大切に思う気持ちを表す。
3、全力を傾けて事をするさま。つとめて。せいぜい。
手紙文などで用いる。

「折檻」も「朱雲伝」に由来しています。
* *
前漢の成帝の時代、
朱雲が成帝の政治に対し厳しく忠告したため、
朱雲は成帝の怒りを受け、宮殿から追い出されることになった。
しかし、朱雲は檻(手すり)に掴まり動こうとしなかったため、
檻は折れてしまった。
成帝はそのような朱雲の姿を見て反省し、
朱雲の意見を受け入れたという話。
* *

「折檻」は本来 正当な理由で厳しく忠告することを意味していました。
1、厳しくしかったり、こらしめの体刑を加えたりすること。
2、強くいさめること。厳しく諫言(かんげん)すること。

現在では、体罰の意味しか残っていないと思われますが、
その「折檻する」でさえあまり聞かれなくなりました。

ちなみに、
「諌める」(いさめる)は目上の人に対して。
「諭す」(さとす)は目下に向かっていいか聞かせる。
「意見」は目上・目下関係なく、非を指摘すること。

余談ですが、
欄干・手摺(てすり)を見ていて、
「おばしま」という語が目に留まりました。
見たことも聞いたこともない「おばしま」は
古語で「手すり」のことでした。
語源があるのではと思ったのですが、何も見つかりませんでした。
使用例はわずかに歌詞と俳句の中に見られました。

*「支那の夜」の一部、
・ ・ ・ ・ ・
君待つ宵は 欄干(おばしま)の雨に
花も散る散る 虹も散る
・ ・ ・ ・ ・

*もうじき上がる欄干(おばしま)の雨 (2011年発表)

*寒鯉やおばしまの朱のことさらに(2013年発表)





posted by 空凛 at 15:26| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする