2019年04月28日

「めっちゃ」と「すごい」

チョーやば、 オニやば、
ゲキうま、ヤバうま、ブチうま、デラうま、
バリ飲み、バク睡、ガン見、
※「ブチ」は広島・山口辺り、「デラ」は名古屋の方言。

若者言葉って面白い!
程度がはなはだしいことを表す言葉でよく使われているのが、
「めっちゃ」と「すごい」だと思います。
めちゃ、めっちゃ、めちゃんこ
すごい、すんごい、すげー、すご、

◆「めっちゃ」[副詞]
関西から始まって全国区に。
1980年代から使われて、
1996年に「現代用語の基礎知識」に登録。
(1)大阪で「無茶苦茶」→ 「むっちゃ」が盛んに使われた時期があり、転じて「めっちゃ」へ。
(2)めちゃ → めちゃんこ → めっちゃんこ → めっちゃ
この2つの流れがあったようです。
「滅茶/目茶」も「無茶苦茶」も当て字で、茶とは無関係。
「くちゃ」は語調を整えつつ「むちゃ」を強めるための語。
「めっちゃ」の促音「ツ」 が利いています。

◆「すごい」〔形容詞〕
1、ぞっとするほど恐ろしい。非常に気味が悪い。
2、びっくりするほど程度がはなはだしい。

〔日本俗語大辞典〕
1、物事の程度がはなはだしいさま。
すばらしい。またはひどい。良い事にも悪い事にも使う。
2、「すごい」の形で連用修飾して、副詞的に使用。
“非常に” の意。若者語。女性が好む言葉。

「すごく」〔副詞〕
形容詞「すごい」の連用形から。
程度がはなはだしいさま。とても。たいへん。

「連用形」は「用言」に続く時に使われる形です。
「用言」とは、動詞・形容詞・形容動詞の総称。
活用をもち、かつ単独で文の述語になります。
文法的には、
名詞が続く時には連用形である「すごく」は使いません。

すごく+用言(動詞・形容詞・形容動詞)
すごい+体言(名詞)
〇すごくいい・すごくきれい・すごくかわいい
×すごいいい・すごいきれい・すごいかわいい 

とはいえ、
1970年代には「すごいきれい」「すごいかわいい」
などと使われていました。
近年では、
「すごくきれい」と「すごいきれい」が共存しています。

◇「すごい」+「動詞」
◎程度の幅をもつ動詞
すごい混んでいた/並んでいた/食べた/増えた
◎感情を表す動詞
すごい感動した/喜んだ/落ち込んだ/盛り上がった
数量や程度の幅をもつ動詞の場合は
それほど不自然ではありませんが、
動作量の幅がない動詞に付くと違和感あります。
△すごい見た/言った

副詞的な「すごい」は、
くだけた会話で普通に話されていて、
だんだん違和感が麻痺しつつあります。











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2019年04月21日

言葉クイズ

Q 間違いがあります。正しい漢字は?

1、 時機を得た発言
2、 論戦を張る
3、 印籠を渡す
4、 厚顔無知
5、 異句同音
6、 舌の先の乾かぬうちに
7、 目鼻が利く
8、 頭に乗る
9、 鼻にもかけない
10、怒り心頭に達する





<答え>
1、 時宜(じぎ)
2、 論陣
3、 引導
4、 無恥
5、 異口
6、 舌の根
7、 目端
8、 図
9、 歯牙
10、発する

「歯牙にもかけない」
問題にしない。無視して相手にしない。

由来は「史記」叔孫通伝。

儒者の叔孫通が秦に仕えていた頃。
秦の圧政に耐え兼ねて陳勝・呉広らが蜂起し、
各地で呼応する反乱が起きていました。
その報告を受けた秦の二世皇帝は
家来を集めて陳勝を討つために議論を交わします。
ここで、叔孫通は言います。
「此特群盗、鼠窃、狗盗耳、何足置之歯牙間」
(これただ群盗・鼠窃・狗盗なるのみ、
なんぞこれを歯牙の間に置くに足らん)
この言葉を聞いた二世皇帝は討伐を中止。
後に陳勝・呉広の乱は鎮圧されますが、
反乱の火は中国全土に広がり、
秦は劉邦と項羽によって滅ぼされます。

叔孫通は、二世皇帝を見限っていました。
このあたりの歴史 ↓
https://www.y-history.net/appendix/wh0203-081.html

「歯牙」は、“口先”“言葉”を指し、
「歯牙にもかけない」は、
“わざわざ取り上げて議論の対象にしない”意。

「図に乗る」
いい気になって勢いづく。調子に乗る。つけあがる。

仏教僧が教文を唱える声明には独特の節があり、
経文の調子が変わるところに印がついています。
これが「図」です。
図の転調通りにうまく唱えることが
「図に乗る」ことでした。

「怒り心頭に発する」(いかり しんとうに はっする)
激しく怒る。

多くの人が間違って覚えている慣用句です。
その原因は、この語にある “頭” にあると思います。
怒りで髪が逆立っているイメージがありませんか?

「怒髪天を衝く」(どはつ てんをつく)
という語があります。
「怒髪」は、怒りのあまり逆立った髪の毛のこと。

今回、“心頭” についての解説を見つけました。
「怒り心頭」の「頭」は、
中国語で名詞、動詞などの後に付けて名詞を作る軽い接尾語。
“頭”という意味はないんです。
中国語で「石頭」「木頭」は、
“石のような頭” “木でできた頭” の意ではなく、
単に「石」「木」を意味します。
「心頭」も単に “心” という意味で、
“心から怒りがこみあげる” ということ。
怒りが頭に達するイメージなら「達する」ですが、
心から湧き上がる怒りならば「発する」となりますね。








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2019年04月13日

令和(れいわ)

「令和」発表後に最初に思ったのは、
えっ、“命令する” の「令」?!
そういう方、多かったのでは。
万葉集由来と聞いて納得しましたけど。
新元号の「令」は “よい” “めでたい” という意味で使われています。
歌の意味など令和に関する記事を読んで理解を深めました。

<出典元歌の一文>
于時 初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香

▽書き下し文
時に 初春の令月にして
気淑く風和ぎ(きよく かぜやわらぎ)
梅は鏡前の粉を披き(きょうぜんのこを ひらき)
蘭は珮後の香を薫す(はいごのこうを かおらす)

▽現代語訳
春の初めの良い月に
空気は美しく風は和やかで、
鏡の前の美人が白粉で装うように
梅の花が咲き、
蘭は身を飾る衣にまとう香のように薫らせる。

※「珮」は、腰に下げる飾りの玉。

「令和」は、この歌の「令月、風和ぐ」から取られました。
この歌に出てくる「令」は、
“よい” “めでたい” という意味なんですが、
「令」にそんな意味があったとは。
その後、
「令」を解説する記事を日経とWebで見つけました。
歌の中の「令」は借字で、本来は「靈」とのこと。

「靈」の原意は、
祈りの言葉を並べて雨ごいする巫女。

「靈」は「霊」の旧字。

「霊」 レイ・リョウ・たま
1、たま。神のみたま。
2、人知でははかりしれない。
3、よい。すぐれた。

靈 → 霊 → 令
当て字的に「令」が使われていたのでした。

Webには「令和」の読みにかんする疑問もありました。
Q.「令和」は「りょうわ」と読まないの?
「大宝律令」は「たいほうりつりょう」と読みますね。
「令」の読みは、
呉音「リョウ」、漢音「レイ」
「和」の「ワ」は呉音。
「リョウワ」とならなかったのは、
常用漢字表に「令」で「リョウ」の読みがないため。
公用文書では常用漢字表が使われますので、
元号の読みとしては「レイワ」なのでした。

最後に「令」について確認しておきます。

「令」の原意は、人を集めて命ずる意。
1、言いつける。命ずる。
命令・発令・令状
2、おきて。のり。
条令・法令
3、長官。
4、よい。りっぱな。
令色・令名
5、相手の親族に対する敬称。
令嬢・令息・令夫人

「令」にも “よい” という意味が載っていました。

「令色」(れいしょく)
相手に気に入られようとして顔色をつくろうこと。

「巧言令色」(こうげんれいしょく)
言葉をうまくかざり、顔色をうまくつくろうこと。

「令名」(れいめい)
よい評判。名声。令聞。

Webに「令夫人」に関するおもしろい質問がありました。
大使館員からの質問で、
今回 初めての女性大臣。
パーティーの招待状を出すのに、
配偶者(夫)の敬称がわからないというもの。
令夫人 ⇔ ?
外務省の文書を探してみると、
「〇〇国首相△△閣下 および 同夫君」
という書き方を見つけたそうです。

「令夫人」の対になる「夫」の敬称語はないんです。

招待状の宛名を書く時、
ご夫婦ともお名前がわかっていれば、
お名前を書くのが一番丁寧なのですが、
奥様の名前がわからない場合は、
「令夫人」と書きます。
「令夫人」はこれ自体敬称なので、
「御」や「様」などは付けません。
また、「様」より格上の敬称なので、
目上の方の奥様に対して使います。










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2019年04月07日

「柔弱」と「軟弱」

「柔弱」って語を知らなかったんですが、
単に “よわい” だけではなく、弱い中にも折れない強さがあるのかと思いました。
というのも「柔」に “しなやか” というポジティブな印象が強かったからです。

「柔弱」(にゅうじゃく)
気力や体質が弱々しいこと。じゅうじゃく。

単に弱っちいだけで、「軟弱」とほぼ同じ意味でした。

「軟弱」(なんじゃく)
1、質がやわらかく弱いこと。
2、意志・態度などがしっかりしていないこと。
相手の言いなりになりやすいこと。

「柔」と「軟」の字源を見てみます。

「柔」ジュウ・ニュウ・やわ-らか
木の枝がしなやかな様を表しています。
1、やわらかい。しなやか。
2、やさしい。おとなしい。
3、よわよわしい。しっかりしていない。
4、やわらげる。てなずける。

「軟」ナン・やわ-らか
旁の「欠」の元の字は、「而」+「大」(上下)
蒲(がま)で車を包んで振動をやわらげた車のこと。
1、やわらかい。
2、よわよわしい。
※goo辞書には“おだやか”という意味も載せています。
対義語は、
柔 ⇔ 剛
軟 ⇔ 硬

「柔らかい」--- しなやかで弾力性がある。穏やか。
「軟らかい」--- ぐにゃりとしている。手ごたえがない。

「柔らかい」と「軟らかい」の書き分けは悩むところです。
文化庁編集の「言葉に関する問答集 総集編」によれば、
昭和23年の旧音訓表では、
「柔」だけに「やわらかい」という訓があり、
「軟」には「ナン」という音だけでしたが、
昭和48年に音訓表が改定されて、
「軟」に「やわらか・やわらかい」の訓が掲げられました。
・柔らかい毛布。
・身のこなしが柔らかだ。
・物柔らかな態度。

・表情が軟(柔)らかい。
・軟(柔)らかい話。
・軟(柔)らかな土。

「柔」の方が代表的な表記で、使用範囲も広いのでした。

“ひ弱” という意味で「ヤワ」って言いますが、
漢字表記は「柔」だったんですね。
「ヤバ」「キモ」「ウザ」的な略語か造語かと思っていました。

「柔」(やわ) 〔形容動詞〕
やわらかいさま。こわれやすいさま。ひよわなさま。

・私はそれほどヤワじゃないわ。
・これはヤワな仕事じゃないよ。
・ヤワな造りのドア。


「柔」より「ヤワ」のほうがピッタリな気がします。











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