2019年07月28日

しじま

物音ひとつしない静かな夜を「夜のしじま」と言いますが、
「しじま」って、どこから来てるのでしょう。

辞書を見ると、2つの意味がありました。
「しじま」
1、静まりかえって、物音一つしないこと。静寂。
2、口を閉じて黙りこくっていること。無言。

“無言” の意味もあったんですね。
「しじま」は大和言葉でひらがな表記です。
「静寂」「沈黙」「黙」「無言」などは当て字。
現在は “静寂” の意味で使われていますが、
元々は “無言” の意味だったようです。

古語「しじま」
黙っていること。無言。

源氏物語に “無言” の意味での用例が見られます。
一方、
“静寂” の意の用例は近年になってからで、
「静寂」などの漢字の当て字が見られるのは明治以降です。
語源ははっきりしていませんが、
「しじまる」という語が由来という説があります。

古語「しじまる」(縮まる)
ちぢまる。

「しじま」は、
唇を引き締めて口をギュッと閉じている
→ 無言
といった変化だったと思われます。
だとしたら、
緊迫した状況下の沈黙。
張り詰めた静けさを表現していたのかもしれません。
「静寂」は “寂しい” とあるように、
ひっそりとした静かさ。
闇にも濃度を感じるように、
音のない世界も無か有かではなく、
気配や空気感の違いを感じてしまうのが人ですね。

しじまの文学的表現を拾ってみました。
・夜のしじまに耳を澄ませながら手紙を書いています
・病舎は不気味なしじまを湛えていた。
・人声も影も去って、山は元のしじまへかえった。
・露の音すら耳だつ暁方のしじまを破って、
ふいにグワンと大空が鳴った。
・耳をすましてみたが、
森のしじまをかき乱すのは鳥の鳴き声だけだった。
・モルグ街の住民たちの夢を破る
恐ろしい悲鳴が夜のしじまに響きわたった。

<静けさの表現>
「しんとした」
「物音一つしない」
「静まり返った」
「静寂に包まれた」
「寂として声なし」(せきとしてこえなし)

「深閑/森閑」(しんかん)
物音一つせず、静まりかえっているさま。

「幽寂」(ゆうじゃく)
奥深くひっそりと静かなこと。


「夜のとばり」という風流な表現もあります。
「帳」(とばり)
室内や外部との境などに垂らして、区切りとする布。
蚊帳(かや)、緞帳(どんちょう)

「夜の帳が下りる」は、
夜になって暗くなるさまを、帳が下りたことにたとえたもの。
夜になること。
・夜の帳に包まれる











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2019年07月21日

漢字クイズ「どっちが正解?」

Q.どっちの漢字が正しいでしょう?

1、除行運転 / 徐行運転
2、責任を転嫁する / 責任を転化する
3、独断先行 / 独断専行
4、請け負う / 受け負う
5、信憑性 / 真憑性
6、逐次 / 逐時
7、とんぼ帰り / とんぼ返り
8、肝に銘じる / 肝に命じる
9、決選投票 / 決戦投票
10、注意力散漫 / 注意力散慢
11、質疑応答 / 質議応答
12、前後策 / 善後策
13、促成栽培 / 即成栽培
14、気真面目 / 生真面目
15、現状回復 / 原状回復
16、追徴金 / 追懲金
17、万事窮す / 万事休す
18、殺到する / 殺倒する
19、躍気になる / 躍起になる
20、連携プレー / 連係プレー
21、泥試合 / 泥仕合
22、文明開化 / 文明開花
23、不和雷同 / 付和雷同
24、禍恨を残す / 禍根を残す
25、多寡が知れる / 高が知れる

こうして並んでいると、迷いませんでしたか?





答え
1、徐行
2、転嫁
3、専行
4、請け負う
5、信憑性
6、逐次
7、とんぼ返り
8、銘じる
9、決選
10、散漫
11、質疑
12、善後策
13、促成
14、生真面目
15、原状
16、追徴
17、万事休す
18、殺到
19、躍起
20、連係
21、泥仕合
22、開化
23、付和
24、禍根
25、高


「専行」-- 自分の判断だけで行うこと。

「逐次」(ちくじ)-- 順次

「銘」-- 金石に刻みつけた文字や文章。

「漫」-- そぞろに。なんとなく。
「慢」-- おこたる。なまける。

「質疑」-- 疑問の点を問いただすこと。

「善後策」-- 後始末をうまくつけるための方法。

「生真面目」(きまじめ)
非常にまじめなこと。まじめすぎて融通がきかないこと。
“生” が付くとマイナスになります。

「徴」-- 取り立てる。
「懲」-- こらしめる。

人が押し寄せて倒れるイメージからの「殺倒」ですが、
「殺到」は “人や物” が一度に1か所に押し寄せること。

「連係」-- 互いの間につながりのあること。
「連携」-- 互いに連絡をとり協力して物事を行うこと。

「付和」(ふわ)
自分にしっかりした考えがなく、たやすく他人の意見に同調すること。

「禍根」-- わざわいの起こるもとや原因。
過去の恨み「過恨」という熟語はありません。

「高が知れる」の「高」は、数量・金額・程度を表し、“大したことはない” という意。
「高をくくる」「たかが」「たかだか」も「高」です。
相手を見くびった、感じの悪い言い方ですね。










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2019年07月14日

大丈夫?

「大丈夫」(だいじょうぶ)
形容動詞
1、あぶなげがなく安心できるさま。
強くてしっかりしているさま。
2、まちがいがなくて確かなさま。

・「おケガはありませんか?」「大丈夫です」
・熱が下がったからもう大丈夫。
・彼なら大丈夫。うまくやってくれる。
通常の「大丈夫」は “心配ない” “確実だ” に置き換えられます。

いつ頃からか、
新しい「大丈夫」の用法が広まっています。
ちょっと会話を拾ってみました。
・「レシート必要ですか?」
「大丈夫です」(いらない)
・「試着されますか?」
「大丈夫です」(しない)
・「袋にお入れしますか?」
「いえ、大丈夫です」(袋不用)
・「領収書必要ですか?」
「大丈夫です」(いらない)
・「今、お電話大丈夫ですか?」

Webに上司のぼやきがありました。
「今晩、一杯飲みに行くか?」って、部下を誘ったら
「大丈夫です」って言われたよ。
「何が大丈夫なんだよ!」
翻訳すると▽
(私を誘ってくださるようなお気遣いはなくて)大丈夫です。

友だちの誘いを断るときにも「大丈夫」。
婉曲な断りの語として「大丈夫」が使われています。
辞書にも解説が載っています。
<goo辞書>
「大丈夫」が必要または不要、可または不可、
諾または否の意で相手に問いかける、
あるいは答える用法が増えている。

<明鏡国語辞典(第二版)>
相手の勧誘などを遠回しに拒否する俗語。
そんな気遣いはなくても問題はないの意から。主に若者が使う。

英語で “結構です” と断る時には、
No thank you. と習いましたが、
英語圏の人は、そっけないと感じるそうです。
Thanks, but no thanks.
Thank you, but I'm OK / I'm all right.
一言そえた方がいいようです。

「結構です」と同様に、
YesともNoともとれる「大丈夫」
時に「何が大丈夫なのか」
「何について大丈夫と言っているのか」
紛らわしくて、問題ありの使い方ですけど、定着しそうな気がします。

<反対の意味をもつ言葉>
「すみません」--- 謝罪/感謝
「結構です」--- よい/いらない
「適当」--- ふさわしい/いいかげん
「やばい」--- まずい/すごい

最後に、「大丈夫」の語源について。
古代中国で「丈夫」は広く成人男性を指していました。
当時の長さの単位「1丈」がちょうど成人男性の背丈くらいだったため、大きくて健康な人を「大丈夫」と言いました。
日本に伝わり、“とても元気” “間違いない” という意味に転じました。










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2019年07月07日

接頭語の「お」

お米、お茶、お水、お酒、お菓子 ・ ・ ・
接頭語の「お」は、丁寧語を作る。
それだけで終わっていましたが、
「お」には別の顔もありました。
Web記事を目にした時には「おぉ!」となりました。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「お」をつけると、後に続く語彙への意識が際立つ。
丁寧語や尊敬語として受け取れる一方、
きつい皮肉とも受け取れる。
「お」はプラスマイナス両方に作用する。
* * *
お笑い草、お調子者、お気楽、お人好し、
お目出度い、お節介、お世話、お盛ん、お遊び、
お釈迦、お陀仏、お蔵入り、お荷物、
お冠、お下がり、お山の大将、おえらいさん、
おべんちゃら、おちゃらける、おったまげる
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
なるほど、皮肉な言い回しになってます。
このような「お」効果に気づきませんでした。

朝 / お昼 / 夜
昼だけに「お」が付いているのは、
「お天道様」といった意識があるからでしょうか。

「お節介を焼く」「世話を焼く」「手を焼く」といいますが、
なぜ「焼く」なんでしょう。

「焼く」の辞書を見ると、意味の1つに、
あれこれ気を使う。扱いなどで悩む。
という意味がありました。
古い言い方に「世話を病む」という表現があります。
人のめんどうをみて、ひどく苦労する。
自身が病むほど、心をかけて深く世話をする。
「世話を病む」が転じて、
「世話を焼く」になったとする説もあります。


接頭語「草」の役割も見落としていました。
接頭語の「草」は、本格的でないことを表します。
草野球、草競馬、草相撲

「草野球」
素人が集まってする野球。

「草競馬」(くさけいば)
公営の競馬に対して、農村などで行われる小規模な競馬。

「草相撲」(くさずもう)
祭礼などで行う素人の相撲。また、野外で行う遊びの相撲。

「草」が付くのは原っぱでするからと思っていました。
草-○○語が3つしかないので、気づきにくいですね。

<草の付く言葉>
言い草、お笑い草、道草、語り草、仕草
「言い草」「お笑い草」「道草」には否定的な感情があります。
「道草」は漱石の小説名でもあり、
詩的な響きを感じますが、本来はほめられない行為。
「道草」以外、「草」は「種」に置き換えられます。
「種」は訓読みで「くさ」


ネットで使われている「草」は「笑い」を意味します。
笑いを表すw
wwwwwwww で大きな笑い。
これが草が生えているように見えることから
草=笑 となりました。
発祥は2ちゃんねる。
2000年代前半には「wwwww」のことを「芝」や「草」という表現がされていました。
2016〜2017年にかけて、TwitterやFacebookなどでも「草」が見られるようになり、一気に広まりました。
大笑い=草原/大草原
笑いがない=草も生えない











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