2019年08月25日

ほめ殺し(ほめごろし)

いやみになるほどほめ立てること。
必要以上にほめちぎることで、
かえって相手をひやかしたりけなしたりすること。

元々は歌舞伎などの伝統芸能の世界で用いられてきた言葉。
将来を有望視される若手を必要以上にほめそやすことで天狗にさせ、その才能をつぶしてしまうことを指しました。
怖っ。

サンデー毎日の「佐川スキャンダル」記事で、
「ほめ殺し」という言葉がブレイクしました。
S62年の自民党総裁選に立候補していた竹下登に対して、右翼団体 日本皇民党が、
「日本一お金儲けの上手な竹下さんを総理大臣にしましょう」
「恩人を裏切る華麗な芸を持つ竹下さん」
などと、いやがらせ街頭演説を行いました。
このほめてるようで非難する手口を「ほめ殺し」と表現しました。
1992年の新語部門・金賞をとっています。
佐川急便事件の概要についてはこちらの記事を。↓
https://uitanlog.com/?p=6792


昔、上司にほめ上手の女性がいました。
呼吸するように人をほめていました。
ためらいのない滑らかな舌に感心したものです。
時に歯の浮くようなおだて上げもあり、
そんな時はほめ殺しがはじまったと思っていました。
シラけるようなほめ言葉には閉口しますが、
ほめられて気分が悪くなる人はいません。
ほめ言葉が行きかうと、人の心がポッとほてってプラスの気が満ちる気がします。

「ほめそやす」(ほめ称す)
「ほめちぎる」
「ほめたてる」(ほめ立てる)

「賞揚/ 称揚」(しょうよう)
ほめたたえること。称賛。

「称」も「賞」も “ほめる” 意。

「褒める」と「誉める」は同じ意味です。
常用漢字の「褒める」が多く使われています。


<ほめる四文字熟語>
「英明果敢」 (えいめいかかん)
才知に優れ、道理に明るくしかも思い切りのいいこと。

「温和怜悧」 (おんわれいり)
穏やかで優しく、賢いこと。

「博学卓識」 (はくがくたくしき)
広く学問に通じていて、優れた見識のあること。

「仙才鬼才」(せんさいきさい)
他の人に比べて飛び抜けてすぐれた才能。


ほめベタの人は、いくつかフレーズを仕入れておくといいかも。

〇ほめ言葉リスト
chrome-extension://oemmndcbldboiebfnladdacbdfmadadm/https://mindtone.net/download/home/wordlist.pdf

〇ほめ言葉LINEスタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/1033704/ja

〇ほめ殺しLINEスタンプ
https://store.line.me/stickershop/product/1233985/ja

キャラクターの動きが笑えます。











posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月18日

よんどころない事情

「よんどころない事情で・・」
と約束をキャンセルされたことはありませんか?
もやのかかった言い方で、気になります。

「よんどころない」(拠所無い/拠無い)
そうするよりしかたがない。やむをえない。

「よんどころ」(拠ん所)は、
「よりどころ」(拠り所)の転。
“支えとなるもの” “根拠” の意。

・よんどころない事情により、心ならずも、伺うことがかないません。
・直前になってよんどころない急用ができて、欠席のやむなきに至りました。
・よんどころない所用で、しばらく留守にします。

理由をはっきり言うのは避けたい時、
訳を深く聞かれたくない時などに使います。
「よんどころない事情で・・・」と言われたら、
それ以上聞かないのが大人の対応のようです。


もう1つ、かわすフレーズ。
「不調法」
宴席などで酒や芸を強要された時に使いたい言葉です。

「不調法/無調法」(ぶちょうほう)
1、行き届かず、手際の悪いこと。
2、過失。不始末。粗相。
3、酒や芸事のたしなみがないこと。

「調法」は「重宝」と同じ意味で、
便利で役に立つこと。

「不調法」はかしこまった席やビジネスシーンで、
誘いや勧めを遠慮したり、断ったりする際に、
角が立たないよう、やんわりと断る、
へりくだった言い方です。

・まったくの不調法者でして、恐縮の限りです。
・不調法で、披露できる一発芸もありません。
・茶道のことは不調法ですので、残念ですがご遠慮申し上げます。


「不調法者」と同じ意味の言葉に
「不束者」(ふつつかもの)があります。
行き届かない人。

・不束者ですが、よろしくお願いいたします
・不束者ではありますが、精一杯努めてまいります

「不束者」は読めませんね。
そもそも「不束」は当て字で、
「太束」(ふとつか)が転じた言葉とされます。
古くは“太く丈夫なさま”を意味し、褒め言葉でした。
平安時代に入り、優美繊細の美意識が広まったため、
太束な人は情緒に欠け野暮ったいと評されるようになります。
その後、“気が不足している。行き届いていない”
という意味を込めて「不束者」に変わり、
近世になって、
不調法者を「ふつつか者」と言うようになりました。

時代の美意識によって、
意味が変わったというのが面白いですね。











posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月11日

「ので」と「から」

まず、
以下の2文を感じてみて下さい。
1)電車が遅れたので、遅刻しました。
2)電車が遅れたから、遅刻しました。
2は、遅刻した責任は電車にあると言ってるようで、ちょっと感じ悪くないですか?

今回は、無意識に使っている
「〜ので」と「〜から」に注目してみました。
「ので」「から」は、
どちらも理由を表す接続助詞です。


<「ので」「から」比較 >

◆「ので」
活用語の連体形に付く。
あとの叙述の原因・理由・根拠・動機などを表す。
客観性、確実性の高い因果関係。
自己主張よりも周りに配慮した表現。
「から」に比べるとあらたまった感じ。
話し言葉、書き言葉のどちらにも使える。

くだけた表現の場合、
「んで」となることもあり。
・あまり暑いんで閉口した。

・残業したので、帰りが遅くなった。
・人気の店なので、予約が先まで埋まっている。
・全員揃ったので、会議を始めます。
・この部屋は駅から近いので、家賃が高い。


◆「から」
活用語の終止形に付く。
話し手の気持ちをのせて理由を述べる。
自己主張が強い。
話し言葉。

・台風が来るから、雨戸を閉めました。
・今日は懐がさびしいから、そばにする。
・熱があるから、病院に行こうと思う。
・用事があったから、早退した。


●強い意志を表すときは「から」のほうが自然。
・時間がないから、急げ。
・危ないから、触るな。


●丁寧形のときは「ので」も使える。
・時間がない(から/ので)急いで下さい。
・危ない(から/ので)触らないで下さい。


●お願いするときには「ので」が使われます。
〇聞こえないので、マイクを使っていただけませんか。
×聞こえないから、マイクを使って下さい。
「から」を使うと、頼み方が自分中心に聞こえてしまいます。


●相手のため、特定個人のための「から」。
・危険だから、入らないでください。


●不特定多数の人に、呼びかける場合は、
押しつけがましくならないように「ので」
・危険なので、入らないでください。


今まで意識したこともありませんでしたが、
私たちは一瞬の間に言葉を選び取っているのですね。










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2019年08月04日

あげつらう

“ささいな非などを取り立てて大げさに言う”
という意味で使っていた
「あげつらう」の漢字が「論う」なのに、
「へっ!」となりました。

「論う」(あげつらう)
物事の理非、可否を論じ立てる。
また、ささいな非などを取り立てて大げさに言う。

語源を見ると、
あげ= 挙げ
つらふ(つらう)= 動作や状態が強く長く続くこと。
「言いずらふ」「引こずらふ」などの「つらふ」

古語「引こづらふ」
強く引っ張る。

元々は、
良い点も悪い点もたくさん挙げて論じることでしたが、
“欠点ばかりを挙げる” に変わってきたようです。

「あげつらう」には、
すっかり悪いイメージが付いてしまっています。
現在は「あげつらう」とひらがな表記ですからいいのですが、
「論」では違和感が大きいです。


「詰る」は読めます?
「つめる」じゃないですよ。→「詰める」(つめる)
「なじる」です。
悪い点、不満な点をことさら取り立てて責めて問い詰める。

他にも会話に水を差す言い方を拾ってみました。

「半畳を入れる」(はんじょうをいれる)
他人の言動を茶化したり、野次ったりすること。
半畳を打つ。半畳とも。
「半畳」は江戸時代の芝居小屋で敷く畳半分ほどの茣蓙(ござ)のこと。
現在の座席指定料のようなもので、昔の芝居小屋の客席は土間であったたため、観客が入場料として半畳を買い、これを敷いて見学していました。
役者の演技が気に入らないと野次を飛ばし、この茣蓙を投げ入れたことから。

「言葉尻を捕らえる」
他人の適切さを欠いた言い方につけこんで、
皮肉を言ったり批判したりする。

「言葉尻」(ことばじり)
1、言葉の終わりの方。語尾。
2、言い損じの部分。また、言葉のはしばし。

「茶々を入れる」
邪魔をする。水を差す。

「揚げ足を取る」(あげあしをとる)
人の言いまちがいや言葉じりをとらえて非難したり、からかったりする。

「揚げ足」(あげあし)
相撲や柔道などで、
相手が技をかけようとして揚げた足を意味する。

なぜ「揚げ足」という疑問が浮かびました。
Webの回答によれば、
「上げ足」や「挙げ足」では単に足を上げることも意味するので、「あげあしを取る」の場合は、区別する意味で「揚げ足」と書かれることが多いということ。
特に「揚」である必要はないようです。









posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする