2019年10月27日

一日の長(いちじつのちょう)

「論語」先進から。
他より少し年齢が上であること。
転じて、
経験・技術・知識が他の人より少し優れていること。

明治・大正期の文学作品には、
「いちじつ」「いちにち」両形のルビが見られます。
テレビ・ラジオでは、
「一日の長」--「いちじつのちょう」
「一日千秋」--「いちじつ/いちにち」

「一」の読みには迷う時があります。
「一段落」の読みも間違いやすいですね。
「一段落」(いちだんらく)
一つの段落。ひとくぎり。
転じて、
物事がひと区切りしてかたづくこと。

「一区切り」は「ひとくぎり」ですし、
一仕事・一芝居・一安心
一工夫・一苦労・一騒動
なども「ひと」と読みますから、
引っ張られやすいかもしれません。

●「ひと」と読む「一」
一幕・一役・一汗・一筋・一昔・
一続き・一握り・一眠り・一休み・
一時(“ひととき”は平仮名書きが原則)

●「イチ」と読む「一」
一隅・一対・一途・一角・一席・
一見の客・一個人・一時代・一親等・
一家言(いっかげん)・一言もない(いちごんもない)・
一期一会・一世一代・一罰百戒・一汁一菜・
一朝一夕(いっちょういっせき)

「一度」-- ひとたび / いちど
「二度」-- ふたたび / にど
「三度」-- みたび / さんど
「四度」-- よたび / よんど

「一重」-- ひとえ / いちじゅう
「二重」-- ふたえ / にじゅう
「三重」-- みえ / さんじゅう
「八重」-- やえ / はちじゅう

「0」を和語は「れい」と読みますが、
私たちは、数字は「ゼロ」、
小数点になると「れい」と言い換えています。
090-0001-0002(ゼロ・・・・)
0.28(れいてん・・・)

他にも、読み間違えやすい言葉を拾ってみました。
「一意専心」(いちいせんしん)
「ご自愛専一」(ごじあいせんいつ)
「一言居士」(いちげんこじ)  
「一言一句」(いちごんいっく)  
「礼賛」(らいさん)
「御来迎」(ごらいごう)
「手繰る」(たぐる)
「出生率」(しゅっしょうりつ)
「ご利益」(ごりやく)
「年俸」(ねんぽう)
「河川敷」(かせんしき)
「職人気質」(しょくにんかたぎ)
「首を回らす」(こうべをめぐらす)
「版図」(はんと)
「役務」(えきむ)
「極彩色」(ごくさいしき)
「直向き」(ひたむき)









posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月20日

女房ことば(にょうぼうことば)

室町時代初期頃から、
宮中に仕える女房によって使われ始めた独特の言葉。
女房ことば=御所ことば
女房ことばにはいくつかの形があります。

●頭に「お」が付く
おむすび = 握り飯
おひや = 水
おでん = 田楽
おかき = かき餅
おしょうじもの = 精進料理
おつくり = 刺身
おまな = 魚 まな=魚
おいしい = 旨い いし=好ましい
おかゆ = 粥
おじや = 雑炊
「じや」は煮える音、
「じやじや」と時間をかけて煮ること。
おかず = 惣菜
数をとりそろえる意。
おみおつけ = 御+御+御つけ = 味噌汁
「つけ」は “吸い物” や “味噌汁” のこと。
おつむ = 頭
頭を意味する「つむり」から。
おめしもの = 着物、服
おみあし = 足
おなか = 腹
おなら = 屁 “お鳴らし” から。
おこた = こたつ

●接尾語「もじ」が付く
すもじ = すし
いもじ = イカ
たもじ = 蛸
のもじ = 海苔
さもじ = 砂糖
おぐし/かもじ = 髪
おめもじ = 面会

●接尾語「もの」
おながもの = うどん
おしろもの = 塩

●省略
たけ=タケノコ
にゃく=こんにゃく

●畳語(じょうご) 重ね語
おかか = 鰹節
かずかず = 数の子
いしいし = 団子
うきうき = 白玉
おするする = ご無事に(擬態表現)
おにぎにぎ = 賑やか


いとひき = 納豆
きなこ = 豆の粉 “黄なる粉” から。

●世俗的な言葉を避ける
おたから = 銭、現金
むつかしい = 値段が高い
こしらえる = 買う

位によって、使う言葉が変わります。
天皇がお詠みになった和歌 ---「御製」(ぎょせい)
皇后 ---「御歌」(みうた)
その他の皇族方 ---「お歌」
その他 ---「歌」

「おこわ」は「強飯」(こわいい)から来ています。
日本では中世まで、
ご飯は “炊く” ものではなく “蒸す” ものでした。
蒸し飯は炊いた飯に較べて米が含む水分量が少ないため、
ご飯が固い = “こわい”
室町時代辺りから、米を炊く事が一般的になり、
蒸したご飯を「強飯」と呼ぶのに対し、
炊いたご飯を「姫飯」(ひめいい)と呼びました。

ご飯といえば、
象印マホービン株式会社がごはんレストラン「象印食堂」を大阪難波・なんばスカイオ6階に開設しました。
ご飯のおいしさを再発見してもらうためのご飯が主役のレストランです。
店舗には象印自慢の高級炊飯器がズラリ。
3種類の炊きたてごはんがおかわり自由です。










posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月13日

古風な表現


●「由々しき事態」
放置するととんでもない事になるという意。

文語体:由々しき
口語体:由々しい

「由々しき」の後には、事態/問題/状況/事件/ことなどが続きます。
・外交機密が漏洩することは、国家にとって由々しき事態である。

「由々しき/忌々しき」(ゆゆしき)
“放置しておくと後で問題が大きくなりそうで見過ごすことができない” といった意味の言い回しです。

古語「ゆゆし」が語源。
1、おそれ多い。はばかられる。神聖だ。
2、不吉だ。忌まわしい。縁起が悪い。
3、甚だしい。ひととおりでない。ひどい。
4、すばらしい。りっぱだ。

「ゆゆし」は矛盾する意味を持っていますね。
「由々しき」はその中のネガティブな意味を引き継いでいます。


●「無聊を託つ」(ぶりょうをかこつ)
することがなくて、たいくつな生活を嘆く。
不遇な立場におかれた自分を嘆く。

「無聊」(ぶりょう)
退屈なこと。心が楽しまないこと。気が晴れないこと。
・花作りに精を出すよりほかに無聊を慰める手段がなかった。

「託つ」(かこつ)
心が満たされず、不平を言う。ぐちをこぼす。嘆く。
・不運を託つ。
・不遇を託つ。


●「寒心に堪えない」
ぞっとして心配でたまらない心持ち。

「寒心」(かんしん)
恐れや不安の念で、ぞっとすること。
「堪えない」はそれを抑えられない意。


「感に堪えない」という表現もあります。
感動する。感極まる。

感情をあまり表に出さないほうがいいとされてきた日本の文化。
抑えていた感情がつい露わになってしまった、
という深い感動を表します。

「感に堪える」とう語もありますが、
「感に堪えない」のほうが訴えかけます。
・母は卒業式で感に堪えないという表情をしていた。


●「交誼」(こうぎ)
親しく交流する、お付き合いする。

二者の間の付き合いが対等。
友人関係や上下関係がない場合に使い、
目上の人に対して用いると失礼になります。
・交誼を結ぶ。
・来年も変わらぬご交誼のほどお願い申し上げます。

目上の方には「ご厚誼」を使います。

「厚誼」(こうぎ)
情愛のこもった親しいつきあい。厚いよしみ。
・在任中は一方ならぬご高誼にあずかり、厚く御礼申し上げます。


●「修羅を燃やす」
激しく嫉妬する。激しく恨み怒る。
「修羅」は「阿修羅」(あしゅら)の略。
阿修羅は嫉妬・執着の心が強いところから。


●「怯懦」(きょうだ)
臆病で気が弱いこと。いくじのないこと。

「怯」-- こわがる。おじける。ひるむ。おそれる。
「懦」-- 気が弱い。意気地がない。

・己の怯懦を恥じる。
・神と悪魔、美と醜、勇敢と怯懦、理性と信仰。


●「翩翻」(へんぽん)
旗などが風にひるがえるさま。ひらひら。はたはた。

・万国旗が翩翻とひるがえっていた。

「翩」 ヘン
ひらひらとひるがえる。

「翻」 ホン
1、ひるがえる。ひるがえす。ひっくりかえす。
2、うつしかえる。うつしとる。

現代の小説を読んでいて見つけました。
使われる場面が限られた語ですね。











posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月06日

語源「お墨付き」他

●お墨付き(おすみつき)
室町・江戸時代、
将軍や大名が臣下に与えた領地を保障・確認する文書のこと。
その文書が署名や署名を図案化した「花押」が、
墨で記されていたことから「お墨付き」と呼ばれました。

「花押/華押」(かおう)
文書の末尾などに書く署名の一種。


●折り紙付き(おりがみつき)
「折り紙」は現在の折紙のことではありません。
江戸時代、
刀剣鑑定の権威だった本阿弥家の出した鑑定書のこと。
その鑑定書が二つ折りの紙だったことから。
当時、刀にはそれを作った職人の銘がつけられ、
名高い刀匠の日本刀は高値で取引されました。
ところが、偽物も多数出回ったため、
木阿弥家(ほんあみ-け)が鑑定して、
真正と認めた刀に鑑定書をつけていました。


●極めつき(きわめつき)
江戸時代、
錦絵などに当局の「保証済」という意味で、
丸に「極」の字の印を押したことに由来。

「極め札」(きわめふだ)
短冊形の札に記した、刀剣・書画などの鑑定書。


●太鼓版(たいこばん)
太鼓のように大きな印判。
確実であることを保証する意図。
印判の大きさを強調するために「太鼓」が使われたのは、
江戸時代以前に甲州で作られた一分金の「太鼓判」の影響。
表面外周の装飾が太鼓の皮留めの装飾に似ているところから。


●日が昇る「東」、日が沈む「西」
「東」は「日向かし」(ひかし)、
「西」は「去にし」(いにし)が語源。

古語「去ぬ」(いぬ)
1、立ち去る。
2、過ぎ去る。
3、亡くなる。
「し」は方向を表す。


●左うちわ
利き手でない左手でうちわを使うと、
右手のようにバタバタとせわしい動きになりません。
ゆっくりとうちわをあおぐ姿が余裕ありげに見えるため。
うちわ = 打ち + 羽
「団扇」は当て字。

「扇」(おうぎ)は、
動詞「あふぐ」(仰ぐ)の連用形「あふぎ」が名詞化したもので、「おうぎ」はその現代仮名遣い。
扇子は日本人の発明です。



「木阿弥」を見て、
「もくあみ」かと思いましたが、違いました。

「元の木阿弥」(もとのもくあみ)
いったんよくなったものが、再びもとの状態に戻ること。

戦国時代の武将 筒井順昭が病死した時、
死を隠すために、その子 順慶が成人するまで、
声の似ていた木阿弥という男を寝所に寝かせて外来者を欺きました。
そして順慶が成人するや順昭の喪を公表し、
木阿弥は再び元の身分に戻ったという故事から。









posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする