どの漢字の “さいとう” さんなの? と思ってしまいます。
いろいろな字体があって紛らわしいと思うくらいで、特に疑問も持ちませんでした。
同じなのか、違う意味をもった漢字なのか、いざ確認です。
「斉」「斎」「齊」「齋」と並べてみると、
昔の難しい字体から簡略化へ変貌したみたいに見えますが、違います。
「斉」と「斎」はまったく別字で、
斉=齊(斉の旧字体)
斎=齋(斎の旧字体)という関係です。
(「斉」「齊」)(「斎」「齋」)という括りになります。
「示」があるなしに注目。
意味を見ると、
「斉」セイ
凸凹がなく等しくそろっている。そろえる。ととのえる。
斉唱・一斉・均斉
「斎」サイ
1、神仏を祭るとき、心身を清める。ものいみ。
2、祭事を行う。
3、ものいみや読書などをする部屋。
4、精進料理。僧の食事。とき。
「斎(齋)」は用法によって読みが異なります。
●斎(いつき)
1、心身を清めて神に仕えること。またその人。
2、神を祭る所。
●斎(ものいみ)=物忌み
神事などのため、食事や行動を律し心身のけがれを除くこと。
●斎(とき)
1、仏教寺院における食事。
2、仏事の際に寺院で出される料理。
もともとインドの仏教では、
出家者は正午を過ぎてからは食事をしないという戒律があり、
“食すべき時の食事” の意が「斎」(とき)でした。
子供の頃、不思議な語として聞いた「おとき」が「御斎」なのでした。
斎藤という苗字は平安時代中期の武将・藤原利仁の子、
藤原叙用が斎宮頭となったことから、
「斎」宮頭の「藤」原ということで斎藤を称したのが始まりです。
「斎宮頭」とは伊勢神宮に奉仕する未婚の皇女・斎王をお世話する役所・斎宮寮のトップのこと。
斎藤さんは藤原家の斎宮に仕えた人達の祖先なんですね。
付け加えると、「齋」は人名用漢字ではありません。
意味の上であきらかに違う「斉」と「斎」ですが、
江戸時代から「斉」が「斎(齋)」の略字として
用いられている例が見られるそうです。
ちなみに、西日本では「斉藤」さん、
東日本では「斎藤」さんが多いのだそうです。
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