2019年08月18日

よんどころない事情

「よんどころない事情で・・」
と約束をキャンセルされたことはありませんか?
もやのかかった言い方で、気になります。

「よんどころない」(拠所無い/拠無い)
そうするよりしかたがない。やむをえない。

「よんどころ」(拠ん所)は、
「よりどころ」(拠り所)の転。
“支えとなるもの” “根拠” の意。

・よんどころない事情により、心ならずも、伺うことがかないません。
・直前になってよんどころない急用ができて、欠席のやむなきに至りました。
・よんどころない所用で、しばらく留守にします。

理由をはっきり言うのは避けたい時、
訳を深く聞かれたくない時などに使います。
「よんどころない事情で・・・」と言われたら、
それ以上聞かないのが大人の対応のようです。


もう1つ、かわすフレーズ。
「不調法」
宴席などで酒や芸を強要された時に使いたい言葉です。

「不調法/無調法」(ぶちょうほう)
1、行き届かず、手際の悪いこと。
2、過失。不始末。粗相。
3、酒や芸事のたしなみがないこと。

「調法」は「重宝」と同じ意味で、
便利で役に立つこと。

「不調法」はかしこまった席やビジネスシーンで、
誘いや勧めを遠慮したり、断ったりする際に、
角が立たないよう、やんわりと断る、
へりくだった言い方です。

・まったくの不調法者でして、恐縮の限りです。
・不調法で、披露できる一発芸もありません。
・茶道のことは不調法ですので、残念ですがご遠慮申し上げます。


「不調法者」と同じ意味の言葉に
「不束者」(ふつつかもの)があります。
行き届かない人。

・不束者ですが、よろしくお願いいたします
・不束者ではありますが、精一杯努めてまいります

「不束者」は読めませんね。
そもそも「不束」は当て字で、
「太束」(ふとつか)が転じた言葉とされます。
古くは“太く丈夫なさま”を意味し、褒め言葉でした。
平安時代に入り、優美繊細の美意識が広まったため、
太束な人は情緒に欠け野暮ったいと評されるようになります。
その後、“気が不足している。行き届いていない”
という意味を込めて「不束者」に変わり、
近世になって、
不調法者を「ふつつか者」と言うようになりました。

時代の美意識によって、
意味が変わったというのが面白いですね。











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posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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