2010年06月28日

一廉の人物(ひとかどのじんぶつ)

他よりもひときわ優れている人物
一角とも書きます。

「ひとかど」が「一廉」だったとは、発見でした。
「廉価」「清廉潔白」で知っているつもりだった「廉」にこんな用法があったとは。
「一廉」の意味は、
1、一つの事柄。一つの分野。
2、ひときわ優れていること。いっかど。
3、人や物が名前に恥じない能力や内容をもつこと。一人前。

さらに「廉」を見ると、
レン・かど
1、値が安いこと。
2、心が清らかで欲が少ないこと。
3、かど。すみ。

なんだか意味がバラバラですね。

・謀反の廉で捕らえられる
・一廉の実業家
・一廉の働きをする
・一廉の理屈を並べ立てる
最近はあまり耳にしませんが、こういう「廉」の表現もありました。

“安い”という意味の熟語には、
廉価・廉売・低廉

“心が清らか”という意味の熟語にあまり見慣れないものがありました。
「廉直」(れんちょく)
私欲がなく正直なこと。

「廉正」(れんせい)
潔白で正直なこと。

「廉節」(れんせつ)
清く正しい節操。

廉恥(れんち)
心が清らかで、恥を知る心が強いこと。

私は、「破廉恥」(はれんち)は「ハレンチ」として認識していましたし、
「廉恥心」(れんちしん)という語があることを知りませんでした。

似ている語に、
「羞恥心」(しゅうちしん)があります。
自らを恥ずかしいと感じる心。

「羞」も“はじる”という意味なのでした。




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2010年06月20日

雨のいろいろ

梅雨入りして湿りがちな今日この頃、
「雨」を取り上げてみました。

「雨」は「あめ」と「あま」で読み方に悩むことがあります。
雨空・雨垂れ・雨音・雨水・雨漏り・雨露・
雨傘・雨靴・雨具・雨戸・雨樋・
雨宿り・雨乞い・雨ざらし・雨間・
などは「あま」です。
「雨間」(あまあい)は、あめがやんでいる間のことです。

雨模様・雨上がり・雨脚・雨粒・雨染み・
などは「あめ」「あま」両方の言い方があります。

「雨模様」は、
本来の意味は“雨が降りそうなようす”ですが、
近年は、
“雨が降っているらしいようす(推測)”
“現に雨が降っている”時にも使われています。

雨を表現する語は多いですね。
季節ごとに、
「春雨」(はるさめ)---春の雨
「秋雨」(あきさめ)---秋の雨
「時雨」(しぐれ)---秋から冬の雨
「冷雨」(れいう)「冬時雨」(ふゆしぐれ)---冬の雨
「五月雨」(さみだれ)---梅雨時の雨
「喜雨」(きう)---夏の土用の頃、日照りが続いているときに降る雨。
「麦雨」(ばくう)---麦の実る頃降る雨。五月雨。

雨の名前も実にたくさんあります。
「小糠雨」(こぬかあめ)
非常に細かい雨。ぬか雨。細雨。

「驟雨」(しゅうう)
急に降り出してまもなくやんでしまう雨。
にわか雨・村雨(むらさめ)とも言う。

「宿雨」(しゅくう)
1、連日降りつづく雨。ながあめ。
2、前夜からの雨。

「瑞雨」(ずいう)
穀物の生長を促す喜ばしい雨。慈雨。

四文字熟語には、
・晴耕雨読(せいこううどく)
晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家にこもって読書をすること。
悠々自適の生活を送ることをいう。

・櫛風沐雨(しっぷうもくう)
風に櫛(くしけず)り、雨に沐(かみあら)う意。
さまざまな苦労をすることのたとえ。

・五風十雨(ごふうじゅうう)
5日に一度風が吹き、10日に一度雨が降る意から、
1、天気が順調で、農作のために都合がよいこと。
2、世の中が安泰であること。

他にも、
・雨降って地固まる

・雨垂れ石を穿つ(うがつ)
小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功する。

・雨後の筍
雨が降ったあと、たけのこが次々に出てくるところから、
物事が相次いで現れることのたとえ。

・干天の慈雨(かんてんのじう)
日照り続きのときに降る恵みの雨。
待ち望むものが叶えられること。
また、困っているときにさしのべられる救いの手。





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2010年06月13日

「売り」と「買い」

私は「ばいしゅう」と書く時、一瞬「売」と「買」で迷ってしまうことがあります。
読みが同じ「バイ」なのが紛らわしい。

「ばいか」「けいばい」「ばいでん」と聞いたら、
まあ、「売価」「競売」「売電」が先に立つでしょうが、
「売価」/「買価」
「競売」/「競買」
「売電」/「買電」
どっちの熟語も存在します。
法律用語としては、「けいばい」/「けいがい」と読み分けます。

そもそも「売」「買」というのは、
取引の局面を双方から見たもので、お金と品物を交換する点では同じ行為。
「売」という字は、
旧字が「賣」で、「出」「買」を合わせた字です。
品物を出す行為が「売」というわけです。

「買」は、
四の部分が「網」を表していて、
貝は「財貨」
網で覆うように物を買い占めて利益を得る意。

「売り渡し」−「買い受け」
「売却」−「購買」
「売り言葉に買い言葉」
「売れ足」「売れ口」「売れ先」「売れ筋」「売れ線」
「切り売り」「掛け売り」「受け売り」
「売国奴」「売店」「売文」「売名」「売約」「売れっこ」
「買い物」「買い出し」「買い付け」「買い占め」「買いかぶる」

「受け売り/請け売り」とは、
1、製造元・問屋などから卸してきた品を転売すること。
2、ある人の意見や学説をそのまま他人に説くこと。

「受け売り」は、2の意味しか知りませんでしたが、商売のほうからきてたんですね。
商売では「売」目線になるため「売」の語が多いですね。

珍しい語としては、
「売卜」(ばいぼく)
報酬を得て、占いをすること。

「売僧」「まいす」
1、商売をする僧。仏法を種に金品を不当に得る僧。禅宗から起こった語。
2、人をだます者。また、人や僧をののしっていう語。
3、うそ。いつわり。
「マイ」「ス」ともに唐音。
変換できたのにビックリ。

「読売り」(よみうり)とは何でしょう?
瓦版(かわらばん)のこと。
江戸時代、世間の出来事を速報した瓦版1枚または数枚刷りの印刷物を、内容を読み聞かせながら売り歩いたことから。
瓦版といってもほとんど木版摺りだったようです。

もっと以前、中世から見られたのが、
「落書」(らくしょ)
政治・世相・個人などを批判・風刺した匿名の文書。
人目に触れやすい所に落として人に拾わせたり、相手の家の門・塀に貼りつけたりしました。
短歌の形式をとり、名歌のパロディや歌をもじったりしたものを
「落首」(らくしゅ)と言います。

「落書き」(らくがき)は「落書」から転じたものです。




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2010年06月06日

義捐金(ぎえんきん)

慈善のため、また不幸や災害にあった人に対して、金品を寄付すること。

「捐」の意味は、
1、すてる。
2、金を出す。寄付する。

「義捐」は明治時代につくられた和製漢語です。
「義援金」という表記は、新聞協会による独自の基準で定めた代用表記で、元は「義捐金」なのでした。

“すてる”とい意味で「棄捐」という熟語があります。
「棄捐」(きえん)
1、すてて用いないこと。
2、江戸時代、法令によって貸借関係を破棄すること

2を補足するような説明がWikipediaにありました。
「義捐令」(きえんれい)
江戸時代幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である「札差」に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令。
松江藩・加賀藩・佐賀藩など諸藩でも行われました。
松平定信が寛政の改革の一環として発したのが最初で、
天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を下げ(年利18%→6%)、以後の法廷利率は12%、長期の年払いにするもの。

「札差」(ふださし)とは、
江戸時代、蔵米取の旗本・御家人の代理として蔵米を幕府の浅草蔵から受け取り、米商人への委託販売を行った江戸の金融商人。
本来の業務は米100俵につき金3分の手数料をとるものであったが、蔵米を担保とする金融も行い、旗本・御家人の財政窮迫に拍車をかけた。

当初、困窮した旗本・御家人はこの法令に大喜びをしましたが、札差は大きな損害を受け、その後 旗本・御家人に対する貸付は行われなくなりました。
結果、借金が出来なくなったことで、また彼らは生活に困ることに。

こんな歴史知りませんでした。
Webに、
「亀井金融相のモラトリアム制度は平成の棄捐令か?」なる記事がありましたが、改正貸金業法といい、よく似た情況ですよね。

ちなみに、
「モラトリアム制度」とは、「返済猶予制度」
銀行からの借金元本返済を一定期間猶予するというもの。
また、
2010年6月から完全施工になる「改正貸金業法」とは、
●借入総額が年収の1/3まで。
●専業主婦(夫)は、配偶者の同意が必要。
●一定額以上の借入には年収の証明が必要。
●個人事業主は決算書等の書類が必要。
●個人の信用情報の登録が必要。
●新たな借入の上限金利は20%以下。

「義捐金」からとんだろころまで行ってしまいました。

言葉に戻って、
「募金」(ぼきん)は、
寄付金などをつのって集めること。
それでは、
「醵金」(きょきん)は?
ある事をするために複数の者が金を出しあうこと。
また、その金。

似ていますが、募金活動に応じてお金を出す行為が「醵金」で、
お金を集める行為が「募金」。
でも、お金を出す行為も「募金する」って言ってますね。

「醵」は“多くの人で金銭を出し合う”意。

「醵出」(きょしゅつ)は、
金品を出し合うこと。

この「醵」も「拠」で代用されて、
「拠金」「拠出」と書かれます。





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2010年05月31日

備考欄(びこうらん)

いろんな書類に「備考欄」というのがあり、よく目にしますが、今までなんとなく“項目にないその他のことを書く欄”という認識でやりすごしていました。

「備考」(びこう)
参考のために付記すること。また、その事柄・記事。

他にも書類でよく見る語を確認してみました。

「摘要」(てきよう)
重要な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書きしたもの。
「摘記」(てっき)
「摘録」(てきろく)
「撮要」(さつよう)
も同じ意味です。

「摘」
テキ・つま-む
1、指先でつまんで取る
2、かいつまんで選び出す
3、悪事をあばきだす

「注記/註記」(ちゅうき)
1、本文の意味を理解させるために注を書き加えること。また、その注。
「注釈」「補注」とも言います。
2、物事を記録すること。また、その記録。

「脚注」(きゃくちゅう)
ページの下部、本文の枠外に表記される短文。
用語の注釈や、補足説明などを記述する。

「脚注」に対して「頭注」(とうちゅう)「冠注」(かんちゅう)という語があります。
また、
「傍注」(ぼうちゅう)は、
本文のわきに書き添えた注釈。

「付記」
本文に付け加えて書きしるすこと。また、その部分。

「追記」
あとからさらに書き足すこと。また、その文章。

いろんな言葉がありますね。

話しはそれますが、
「覚書」(おぼえがき)が気になりました。
1、忘れないように書き留めておくこと。また、その文書。メモ。備忘録。
2、条約に付帯した、あて名も署名もない略式の外交文書。
条約の解釈・補足、また、自国の希望・意見を述べたもの。
外交使節の署名のあるものは正式な外交文書となる。了解覚書。
3、契約をする者同士が交わす、契約の補足や解釈などを記した文書。

「覚書」と言った場合、
“備忘録”“外交文書”“契約文書”といった3つの意味がありました。
1つめの意味ですが、
いまどき「覚書」「備忘録」を口にする人も稀で、すっかり「メモ」に取って代わりました。
3つめの意味では、
「覚書」と「契約書」の違いは?
といった疑問がWeb上に多数見られました。
「覚書」とは、
契約書の内容を補足する内容を書面にしたもので、補足用契約書と考えられます。
契約書と同等の法律的効果をもちます。
尚、収入印紙の貼付は税法上の問題にすぎず、印紙が貼ってなくても法律的には全く問題なく有効とのことです。




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2010年05月23日

旁が「肖」の漢字

前回「哨戒」を取り上げましたが、
今回は、旁(つくり)が「肖」の漢字を追ってみました。

悄・逍・銷・鞘・蛸・鮹・梢・稍・・
読みが「ショウ」以外、特に共通項のようなものは見つかりませんでしたが、私にはいくつかの発見がありました。

「悄」
しょんぼりする。しおれる。
「悄然」(しょうぜん)という熟語はよく聞きます。
失望したり、叱られたりして元気を失う。

「しょげる」とよく言いますが、漢字は「悄気る」なんです。

「逍」
ぶらぶら歩き回る。
「逍遥」(しょうよう)は、
坪内逍遥という作家の名前だと思っていましたら、
熟語で“気ままにあちこちを歩き回ること。散歩”という意味を持っていたんですね。

「稍」
やや。ようやく。(漸)

「鞘」
さや。

「銷」
金属を溶かすこと。消える。
「銷夏/消夏」(しょうか)
夏の暑さをしのぐこと。

金属を溶かすような酷暑の形容かと思ったら、暑さをしのぐこと。


「蛸/鮹/鱆」
いずれも「タコ」です。
なんで、3つも漢字があるのでしょう。
本来の漢字は「鱆」です。
「蛸」は本来は足高蜘蛛(あしたかくも)のこと。
タコに足が何本もあるところから
「海の蛸」→「蛸」となったようです。
さらに「虫」を「魚」に変えた「鮹」の字ができたということです。


漢字を拾っているうちに、疑問がわきました。
「蛸」と「鮹」では違う旁の字なのではないだろうか、と。
月の上が「小」の字になっているものと、「ツ」のような形のもの。
それとも書体の違い?
漢和の「肖」を見てみると、
肉(月)と音をしめす「小」とを合わせ・・
とあり、「肖」の下に「鮹」の旁の字も載っていました。
同じ字と考えていいようです。






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2010年05月16日

哨戒(しょうかい)

敵の襲撃を警戒して見張りをすること。

哨戒機・哨戒ヘリ・哨戒艇・哨戒艦
何度も耳にしながら「哨戒」の意味を調べないままにしていました。

「哨」の意味は“みはり。みはりをする”
読みは「ショウ」訓読みはありません。

そういえば「歩哨」という語がありました。
軍隊で、警戒・監視などの任務につく兵士。「哨兵」「番兵」

「立哨」(りっしょう)は、
歩哨などが、その位置を動かずに監視・警戒にあたること。

「哨戒機」とは、
主に海軍が装備して、潜水艦や艦船を探知・攻撃する航空機。
対潜水艦戦以外にも、洋上監視、捜索救難、輸送、映像情報収集、通信中継など、任務の多目的化が進んでいる。
機内にはレーダー、ソーナー、磁気探知機、赤外線カメラなどの捜索機材が搭載載されており、空飛ぶコンピューターとも呼ばれる。
(Wikipediaより)

「索敵」(さくてき) という語が哨戒機の説明の中に出てきました。
戦闘中、敵軍のありかなどを捜し求めること。

・領空を哨戒する
・哨戒飛行
・機上から索敵を続ける
・基本的な索敵方法は目視である

ところで、
「戦略」と「戦術」の違いを説明できますか?

「戦略」は大局的・長期的な視点で練られ、
「戦術」はより具体的な目的達成のための方法・手段。
戦略の下に戦術があるという構図でしょうか。

それでは、
「宣撫」という語はご存知ですか?
「宣」に「撫でる」で、どういう意味になるのかまるで想像できませんでした。
「宣撫」(せんぶ)
占領地で、占領政策の目的・方法などを知らせて、人心を安定させること。
・住民を宣撫する
・宣撫工作
・宣撫官

不気味な語です。

最後に、
使い古された感はありますが、
検索してみるとまだまだ使われている「超ド級」
・超ド級の新人
・超ド級マグロ丼
・鳩山デフレ、超ド級不況
語源は、
20世紀初頭にイギリスが造った、超性能の戦艦ドレッドノートに由来。
各国はこの戦艦に対抗する戦艦の建造に狂奔しました。
「超ドレッドノート級」が省略されて「超ド級」

まさか戦艦名からきていたとはビックリです。
この「ド」はカタカナでなくてはいけないわけですね。






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2010年05月09日

揶揄(やゆ)

からかうこと。なぶること。

日常よく見聞きしているわりには、書けない「揶揄」です。

「揶」ヤ
からかう。あざける。
「揄」ユ
なぶる。からかう。

どちらも“からかう”という意味でした。
他での使用は見られず、「揶揄」として生き残っています。

“あざける”“なぶる”には、悪意しか伝わってきませんが、
“からかう”には、おふざけの軽さも感じます。
ひやかす・おちょくる・茶化すに近い語感です。

「からかう」
1、冗談を言ったりいたずらをしたりして、相手を困らせたり、怒らせたりして楽しむ。揶揄する。
2、抵抗する。争う。

「嘲る」(あざける)
人をばかにする。あざける。

「嬲る」(なぶる)
1、弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、もてあそんだりする。
2、からかってばかにする。愚弄する。
3、手でもてあそぶ。いじりまわす。

「弄ぶ/玩ぶ」(もてあそぶ)
「持て遊ぶ」から。
1、手で持って遊ぶ。いじくる。
2、心の慰みとして愛する。
3、思いのままに操る。
4、人を慰みものにする。なぶる。

Wikipediaには、
「揶揄」は、社会的立場が強い人に対して用いられ、風刺の意図が強い言葉として定義する。
とありました。

確かにWebでも政治に関するものが目に付きます。
・自民党の追及も、皮肉や揶揄のレベルを出ていない。
・首相の言葉を揶揄する発言
・政治家を揶揄するイラスト
・髪が薄い男性を揶揄する「かっぱ寿司」CMに非難の声

言い方が直接的でないということでは、
「あてこする」や「皮肉る」という語もあります。

「当て擦る」
ほかの話にことよせて、遠回しに悪口や皮肉をいう。

「皮肉る」は「皮肉」の動詞化で、
遠まわしに意地悪く相手を非難すること。

「皮肉」と「当てこすり」は同じ意味でした。
それでは
「風刺」は、
社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。

「愚弄」「嘲弄」よりは、「揶揄」や「皮肉」の方がじわじわボディブローに効いてくるような気がします。




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2010年05月02日

口利き(くちきき)

1、間に立って紹介や世話をすること。また、その人。
2、交渉や談判などのうまい人。
紛争の仲裁などに幅を利かせている人。
3、弁舌が巧みなこと。口巧者(くちごうしゃ)。

「口利き」と言えば、仲介のことだと思っていましたが、
“弁舌が巧みな人”の意味もありました。
Webには「口利き汚職」なる表現も見られ、政治家の「口利き」問題が目に付きました。
確かに、「口利き」には裏工作的なイメージが付いてしまった感もありますね。

「利」は、
穀物を鋭い刃物で収穫することで、
“するどい”意と、
刈り取ったものから“もうけ”の意が生じました。
リ・き-く
1、するどい。
2、うまくいく、都合がよい。
3、もうけ。
4、効き目がある。

利益・利権・薄利・暴利・利子・利札・
金利・利潤・利殖・利息・複利・単利・
こういった「利」は周りにあふれていますが、
“するどい”という意味には目を向けていませんでした。
「鋭利」は「鋭」「利」とも“するどい”意なのでした。
対語は「鈍」。
「文明の利器」という時の「利器」は、
“便利な機器”という意味ですが、
“よくきれる刃物”という意味もあります。
対語は「鈍器」
「利刀」(りとう)は、“よくきれる刀”

「利発」(りはつ)は、
1、賢いこと。頭の回転の速いこと。
2、役に立つこと。有益なさま。
「利発」は「利口発明」を縮めたものだそうです。
それぞれの熟語を見ると、
「利口」(りこう)
1、頭がよいこと。賢いこと。
2、要領よく抜け目のないこと。
3、口先のうまいこと。
「利口」って、100%誉め言葉ってわけではないですね。

「発明」(はつめい)
1、今までなかったものを新たに考え出すこと。
2、物事の道理や意味を明らかにすること。
1、賢いこと。(名・形容動詞)

「目利き」(めきき)は、
器物・刀剣・書画などの真偽・良否について鑑定すること。
その能力を備えた人。

「耳利き」(みみきき)なる語までありました。
うわさや秘密などを、いち早く聞き出したり探り出したりすること。

・利き腕・利き目・利き足
・気が利く
・鼻が利く
・目が利く
・顔が利く
それでは、
「幅が利く」(はばがきく)とは、
勢力や発言力がある。はぶりがよい。
「幅利き」(はばきき)という語もあります。

顔や幅が利く人が口を利くと圧になるわけですね。




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2010年04月25日

掩巻(えんかん)

書物を少し読んだら、いったんそれを伏せてその内実を味わうようにするという学習法。

江戸の私塾の読書法に「掩巻」と「慎独」というのがあったそうです。
「慎独」とは、読んだ内容を必ず他人に提供せよというもの。

掩巻のことを知らなくても、本に入り込んだ時など、途中で文字から目をはなし、追想することはありますね。

ところで、
「慎独」(しんどく)の意味は、
自分一人のときでも、行いを慎み雑念の起こらないようにすること。

「速読術」がよく知られているのとは反対に「掩巻」は変換もできず、辞書にも載っていませんでした。

「掩巻」をどこから拾ってきたかというと、
先日のTV東京「ワールドビジネスサテライト」という番組で、書評家・松岡正剛氏が語られた中に出てきた語でした。
その時はパソコンに向かっていて、背中でTVを聞いていて、思わずノートの端っこにメモしたものでした。
今日そのメモの漢字を見たのですが、TVのことはすっかり忘れていて、検索をして内容をたぐっているうちに思い出しました。

「掩」
エン・おお-う
1、おおう
2、かばう

「おおう」には、
「覆う」「被う」「蔽う」「蓋う」「掩う」
と5つの漢字があったんですね。

「掩」にはいくつかの熟語がありますが、ほとんど目にしないものばかりです。

「掩蓋」(えんがい)
1、物の上にかぶせるおおい。
2、敵弾を防ぐために塹壕の上に設ける木材・石材などのおおい。

「掩蔽」(えんぺい)
1、おおい隠すこと。
2、地球と恒星・惑星の間に月が入り、その恒星や惑星を遮り隠す現象。

「掩護」(えんご)
1、困っている人を助け守ること。
2、敵の攻撃から守ること。→援護

「掩耳盗鐘」(えんじとうしょう)
耳を掩(おお)いて鐘を盗む
鐘を盗もうとして、鐘の音の鳴り響くことを恐れ自分の耳をふさいでも何の意味もないという意から。
浅はかな考えで自分の良心を欺き、その場逃れをしても、いずれ悪事は知れ渡ってしまうこと。
また、自分を欺いて悪事をはたらくことのたとえ。
同じような意味に、
「掩耳盗鈴」(えんじとうりん)
「掩目捕雀」(えんもくほじゃく)

ちなみに、奄美大島でよく目にする
「奄」は
エン・おお-う
1、おおう
2、にわかに。たちまち
3、気がふさがって通じない。

「奄」も「気息奄々」(きそくえんえん)くらいしか使われていないようです。
息が絶え絶えになって、今にも死にそうなさま。




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2010年04月18日

「分掌」(ぶんしょう)

仕事・事務を手分けして受け持つこと。分担。

私は「分掌」という字に馴染みがありませんでしたが、
・職務分掌規程*
・業務分掌規定**
・職務分掌表
・公務分掌
・事務分掌
企業や公的機関・学校などで使われていました。

ところで「規程」も「規定」も“きまり”という意味を持ちますが、
違いは、
*「規程」は、官公庁・会社の執務規則
**「規定」は、法令の条文として定めること

「掌」の読みは、
ショウ・たなごころ・てのひら・つかさど-る

「手の平/掌」(てのひら)には、他の言い方もあります。
・たなごころ(手の中心の意)
・たなうら(手の裏の意)
・たなうち
・たなぞこ(手底)
「手のひら」と言った時、指は含まれず、
手首から指の付け根までの、手を握ったときに内側になる面を指します。

外側は「手の甲」ですが、こちらはこの言い方のみのようです。

手を握ると「拳」(こぶし)になり、
握りこぶし・拳固(げんこ)・拳骨(げんこつ)とも言います。
語源を見てみると、
元々は「こぶし」のことを「拳子(けんこ)」と呼び、
そこから「固く握りしめたこぶし」の意味で「拳固」と表され、
次第に「げんこ」との発音に転じたとのこと。
それから拳固を使って殴ることを「拳固殴ち」(げんこうち)と指すようになり、それが訛って「げんこつ」に。「拳骨」は当て字。

「掌」に関した語を拾ってみました。

「落掌」(らくしょう)
手紙・品物などを受け取ること。手に入れること。「落手」

「掌上に運らす」(しょうじょうにめぐらす)
てのひらの上で自由に操る。意のままに行う。

「掌中の珠」(しょうちゅうのたま)
手の中の珠。また、大事なものや最愛の子のたとえ。

「掌を反す」(たなごころをかえす)
1、物事がきわめてたやすくできるたとえ。
2、急に態度が変わるたとえ。
「手の平を返す」 「手の裏を返す」

余談ですが、
手の親指を伸ばして反らした時、親指の付け根に出来る三角形の窪みを「解剖学的嗅ぎタバコ窩」というWikipediaの記述を見つけました。
「嗅ぎタバコ窩」なんていう、妙な名前が目を引きました。
Webで説明を探しましたら、
* *
親指を伸展した時にできる長拇指伸筋腱(後方)と長拇指外転筋腱と短拇指伸筋腱(前方)の間のくぼみのこと。
ここを橈骨動脈が通り、その底には大菱形骨と舟状骨がある。
「嗅ぎタバコ」とは、粉末にしたタバコの葉を鼻孔から直接吸入するもの。
* *
手の甲、親指側の手首近くと言ったほうがわかるでしょうか。
その手の窪みに粉を置き、それをつまんで鼻から吸い込んだことから付いた名前のようです。
ちゃんとして学術名なんですね。びっくり。




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2010年04月11日

粛清(しゅくせい)

厳しく取り締まって、不正な者を除くこと。
特に独裁政党などにおいて、反対派を追放すること。

「粛清」という語には、ゾワリとする恐怖と凄みを感じます。
「粛む」(つつしむ)と「清める」この2文字から生まれた熟語が、いつの間にか血なまぐさい歴史をまとって、虐待・拷問・処刑・迫害・残虐・凄惨と同じイメージに染まっています。

「粛」が持つ意味は、
シュク・つつし-む
1、つつしむ
2、うやまう
3、おごそか
4、ただす
5、そこなう
6、しずか

・場内は粛として声もなかった
・粛として襟を正す
・隊列は粛々と行進した

同じ「しゅくせい」でも
「粛正」は、
おもに制度や規則などを対象として、厳しく不正を除くこと。

「綱紀粛正」(こうきしゅくせい)という四文字熟語があります。
乱れた規律や風紀を正すこと。
「綱」は太いつな、
「紀」は細いつなの意で、
国家を治める大法と細則。また、一般に規律。

「粛啓」(しゅくけい)は、
手紙のはじめに用いる敬意を表す語で、「拝啓」と同じ「つつしんで申し上げる」ということです。

「粛殺」(しゅくさつ)は、物騒な意味かと思ったら、
秋の厳しい気候が草木を枯らすこと。

「粛清」よりも「粛殺」の方が相応しいのではと思ってしまいました。

さて、
「粛む」「謹む」「慎む」の違いは、
*「粛む」
身をひきしめてつつしむ。厳粛
*「謹む」
言動に注意してかしこまる。謹呈
*「慎む」
手落ちのないように気を配る。慎重

「謹製」(きんせい)は、
心をこめ、つつしんで作ること。また、その製品。
多く、食品の製造業者が用いる、とあります。
森永ミルクキャラメルの裏側には「森永謹製」と記されているとのこと。
そういえば、「謹製」という文字を目にしたかもしれません。
意味を知ろうともせず、見過ごしたままにしていました。
今度、「謹製」を探してみます。



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2010年04月04日

「人事不省」(じんじふせい)

事故や病気などで、意識がはっきりせず、知覚を失っているさま。

・人事不省に陥る
・人事不省の重体

「人事不省」→ → →「意識不明」
この意味転換に私は悩みました。

「人事」と聞けば、会社の人事異動をすぐ思い浮かべてしまい、
「人事を省みず」ならば、
権力者の横暴な人事のことかと思ってしまいそうです。

辞書には、
「人事」はここでは、人のなしうることの意。
「不省」はわきまえない、かえりみない意。
とありましたが、
“人のなしうることをかえりみない”がどうして“意識不明”になるのか腑に落ちません。

「人事」に何か隠されているのでしょうか。

<大辞林>
「人事」
1、(自然の事柄に対して)人間に関する事柄。
2、人としてなしうる事柄。人としてすべき事柄。
・人事を尽くして天命を待つ
3、(会社や組織内での)個人の地位・職務・能力などに関する事柄。
4、人としての知覚や感覚。意識。

<デジタル大辞泉>
「人事」
1、人間社会の出来事。人世の事件。自然の事柄に対していう。
2、人間の力でできる事柄。人間が行う事柄。
3、社会・機構・組織などの中で、個人の身分・地位・能力の決定などに関する事柄。
4、俳句の季語の分類の一。天文・地理などに対し、人間に関する題材。

1・2・3までは共通ですが、4が違いますね。
大辞林は“意識”という意味をとっていますが、大辞泉はのせていません。
一方、
「省」も"かえりみる"や"はぶく"という意味の他に、
"安否をたずねる"という意味がありました。
ますます「人事不省」のことがわからなくなりました。

さて気をとりなおして、
「省」のほうに目を向けますと、
「帰省」(きせい)は、
「故郷に帰って親の安否を気遣う」という唐の漢詩が語源だそうです。
辞書には、
郷里に帰ること。また、郷里に帰って父母を見舞うこと。帰郷。
とあります。
私は“親の安否を気遣うという”意味があることは知らずに単に帰郷という意味で使っていましたが、実際はまさに親の顔をみるための里帰りでした。

“帰郷”の意味に、今では耳にしない「薮入り」という言葉があります。
江戸時代、商家に住み込みの奉公人たちは、正月と盆の年に2回だけしか休みをもらえないというのが一般的でした。
その休みを「薮入り」といいました。
他にも「宿入り」「宿さがり」「六入り」などの言い方があります。
薮入りは初めは正月だけでしたが、江戸中期からは7月にも薮入りをさせるようになり盆のものは「後の薮入り」と言いました。

薮入りの語源は、諸説あるようです。
*奉公人が親元に宿入りするから(宿は生家のこと)
*草深い田舎に帰るから
*父を養うために帰るから「養父(やぶ)入り」
*祭祀には野巫(やぶ)と呼ばれる陰陽師が欠かせないから「野巫要り」(やぶいり)
漢字からすれば、草深い田舎へ帰る「薮入り」ですけど、語源の信憑性はわかりませんね。
ところで、
「藪」(やぶ)という語は、弥生(やぶ)の意味で、
“益々生える、いよいよ生える”からきています。 




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2010年03月28日

逆ねじ(さかねじ)

1、非難したり抗議したりしてきた人に対して、逆に非難したりして攻撃し返すこと。
2、逆方向にねじること。

昨今あまり耳にしませんが、
“やり返す”という表現に「逆ねじ」があります。
「逆ねじを食う」「逆ねじを食わす」と言い方をします。
「口答え」は、
目上の者に言われたことに対してさからった言葉を返すこと。
「逆ねじ」は目上の者だけに限らず、相手をやっつけ返すこと。

「抗弁」は、
相手の主張に対して、誤りを指摘したりなどして反論すること。

“強引に押し込む”“責める”“押しかけて抗議”するという表現に、
「ねじ込む」があります。

ところで、
「ねじ」といえば「右ねじ」--(時計回りに回すと、締め付けられるもの)がほとんどですが、これは右利きの人が多く、右手にねじ回しを持つと、右ねじは締める時に力が入り易いためだそうです。
「逆ねじ」は機能的に有効な箇所などの特殊な用途に用いられています。

「ねじ」は「捩じる/捻じる」の連用形からきていまして、
漢字は「螺子/捩子/捻子」が当てられています。

「螺」は、巻貝の意。または巻貝のようにぐるぐるとまいたもの。

「螺旋」(らせん)は、
1、巻貝のからのように渦巻形になっていること。また、そのもの。
2、ねじ。

「旋」は“ぐるぐる回る”意です。
難読に、
旋毛(つむじ)・旋風(つむじかぜ)・旋網(まきあみ)

「捩じ上戸」(ねじじょうご)という言葉を見つけました。
酔うと理屈を並べたて人にからむくせ。また、その人。

過去に「下戸(げこ)/上戸(じょうご)」で取り上げましたが、
酒をよく飲む人を「上戸」、
お酒が飲めない人を「下戸」と言います。
また「○○上戸」の形で、酒に酔ったときに出る癖を表します。
・笑い上戸
・泣き上戸
・怒り上戸
この三つを「三人上戸」と言います。
これに「説教上戸」が加わって、お酒の癖は大きく4パターンに分かれそうです。
他にも、
・空上戸(そらじょうご)
酒を飲んでも酔いが少しも顔に出ないこと。

・盗人上戸(ぬすびとじょうご)
1、酒も甘い物も好む人。両刀使い。
2、酒を多量に飲んでも顔やようすに酔いの現れないこと。また、その人。

「盗人」も「ぬすびと」と言うと、なにやらわけありの情を感じますが、「ぬすっと」には突き放した蔑みを感じます。
「ぬすっと」は「ぬすびと」が転じたものです。




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2010年03月21日

物相飯(もっそうめし)

物相に盛った飯。盛りきりの飯。
特に、近世の牢獄で囚人に与えられた飯。

浅田次郎の「ハッピー・リタイアメント」で見つけました。
「物相飯」がどんな飯なのか、まったく想像できませんでした。

「物相」とは、
飯を盛って量をはかる器。
また、飯を一人分ずつ盛って出す器。

こう辞書にはありました。
ご飯をはかる軽量カップみたいな物?
どういう存在かよくわからなかったので、検索してみましたらやっと実態がわかりました。
ご飯の型抜きのことをいうようです。
「相」は木型のことで、同じ形の物を沢山作るための木型です。
お弁当に梅や松の形で抜かれたご飯が入っていますが、あれを「物相ご飯」といい、その形を作る型のことです。
和菓子用の型も物相型というようです。
田舎では祝いの時に押し寿司を作っていましたが、「物相寿司」というのもありました。

「相」には、
“すがた・ようす”という意味の
風貌・相貌・様相・面相・形相・血相・
という熟語があります。

「血相」(けっそう)って、
手相・家相・印相の後に並んだら、血液占いみたいに思いません?
「血相」は、“顔の表情・顔色”という意味ですが、
・血相を変える
という決まりきった言い方でしか使われていませんね。

「形相」(ぎょうそう)も“顔かたち”という意味ですが、
・必死の形相
・鬼のような形相
恐怖や怒り嫉妬など激しい感情の表情にのみ使われます。

「面相」(めんそう)は「相貌」や「容貌」「容姿」と同じニュアンスでは使われません。
・よくその御面相で・・
・怪盗20面相

「貌」は1字で、“顔立ち”“容姿”という意。

ちなみに、
「美人」は“美女”の意ですが、古くは男子もさしたようです。
「美貌」(びぼう)は、“美しい顔かたち”で、性別のことには触れていませんが、ほとんど女性の誉め言葉になっていますね。




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2010年03月14日

知悉(ちしつ)

知り尽くすこと。詳しく知ること。

「悉」という字が見慣れないですが、
訓読みは、“すべて・残らず”という意味の
「悉く」(ことごとく)なのでした。
「ことごと」とは、「事事」の意から。

私は使ったことがない「知悉」ですが、Webで以下のような例が拾えました。
・認知証を知悉する
・器械のことに知悉している医者
・天を知悉し、己を錬磨する
・光と影を知悉する監督
・固有の危険有害要因を知悉していること

同じような意味に、「熟知」「精通」がありますが、
Google検索をかけてみると、
精通----1230万件
熟知----573万件
知悉----165万件
やはり「知悉」の使用頻度は少ないと思われます。

「悉」
シツ・ことごと-く
1、全部。ことごとく。
2、きわめ尽くす。

「知悉曲筆」(ちしつきょくしつ)という言葉がありました。
事実とは違った、曲がった文章を書くこと。
「曲筆」は、
事実を曲げて書くこと。また、事実を曲げて書いた文。

「舞文曲筆」(ぶぶんきょくしつ)も似ています。
故意に言葉をもてあそび、事実を曲げて書くこと。曲筆舞文。

「舞文」って、きれいな字面(じづら)ですが、
意味は、悪いことなんです。
1、自分勝手に言葉をもてあそんで自分に有利な文章を書くこと。
また、その文章。
2、自分勝手な解釈で法律を濫用すること。

ところで、
「熟知」の「熟」の読みを見ていて、
「つらつら」とういう読みを発見しました。
「熟熟」と書いて「つらつら」なんです。
意味は、
“つくづく・よくよく”
漢字の「熟熟」を見れば、意味がとれるかと思いますが、
普通、ひらがな表記の「つらつら」、
かなりの人が誤解しているような気がします。
私自身、“ぼんやり”のような意味だと思っていました。
まったく違っていますね。
Webに意味理解調査の結果が出ていましたが、正解は少なく、
“だらだら”と思っている人が半数以上でした。
Webでの使用例を見ても、“よくよく”という意味にはとれないものが多く見られました。
つらつらの音に人それぞれのイメージを重ねてしまっている気がします。
私の場合は、無意識のうちに「うつらうつら」の影響を受けたのかも。




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2010年03月07日

懲戒処分(ちょうかいしょぶん)

公務員として果たすべき義務に違反した者に対する制裁として科せられる処分。裁判によって確定する刑事処分ではなく、処分権限者は、当該機関の長。
職員は、法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることはありません。
その規定は、国家公務員法第82条及び地方公務員法第29条にあります。
処分に不服のある場合には、人事院に申し立て、救済の審判を受けることができます。
懲戒処分は、違反行為の内容によって、
懲戒免職、停職、減給、戒告、訓告などがあります。

*免職
職員の意に反してその職を失わせる処分。
*停職
一定期間、職務に従事させない処分。
国家公務員の場合は1日以上1年以下。
*減給
国家公務員の場合は1年以下の期間、俸給の5分の1以下を減額。
*戒告
職員の非違行為の責任を確認し、口頭で注意すること。

民間企業における懲戒処分は、就業規則に則って行なわれますが、通常は公務員の規定に準じていることが多いようです。
ただし、公務員と違って「懲戒免職」ではなく、雇用契約を解除するという意味の「懲戒解雇」になります。

私は、このへんの公務員と民間との違いを認識していませんでした。

免職と同じ“職をやめさせる”という意味に「罷免」(ひめん)があります。
では、「免職」と「罷免」の違いは何なのでしょう。
「罷免」は、
違法行為に限らず、その職務を続けていくのに適しないとされた場合に辞めさせること。

免職には他にも、
「諭旨免職」「分限免職」というのがあります。

「諭旨免職」(ゆしめんしょく)
違法行為はあったが懲戒免職にするほどではないので、本人を諭して自分から申し出ての退職とすること。
通常、懲戒解雇に退職金の支給はありませんが、諭旨免職には退職手当の何割かは支給されます。

「分限免職」(ぶんげんめんしょく)
公務員としての適格性などを理由に身分を失わせること。

一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障がある場合など、その職に必要な適格性を欠く場合、公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。
職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり、懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当が支給されます。

「分限免職」というのは聞いたことがありませんでした。
「分限」とはどういうどういう意味なのでしょう。

「分限」(ぶんげん)
1、上下・尊卑の区別などによって定まる身分。身のほど。分際。ぶげん。
・分限をわきまえる
2、財力。財産。また、金持ち。ぶげん。
・分限者
3、公務員の身分に関する基本的なことがら。
4、それ相応の能力や力。

「ぶげん」と読むと、
1、身のほど。分際。
2、財力があること。また、財産家。富者。

「分限者」(ぶげんしゃ)
金持ち。財産家。ぶんげんしゃ。

「俄分限」(にわかぶげん)という言葉もありました。
急に大金持ちになること。また、その人。

「分限者」というのは、時代劇か何かで聞いたようなきがしますが、日常で「分限」という言葉は耳にしませんね。

似た意味に「分際」というのがありますが、
たいてい、
・養ってもらっている分際で・・
・子どもの分際で生意気な
・分家の分際で・・
などと、相手を見下してののしる時に使われることが多く、悪いイメージがついていますが、「分際」自体に悪い意味は含まれていないようです。

「分際」(ぶんざい)
1、身分の程。身の程。ぶん。
2、それぞれの人や物に応じた程度。



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2010年02月27日

杓子定規(しゃくしぎょうぎ)

規則や形式などにとらわれて応用や融通のきかないこと。

現在「杓子」という呼び方をしなくなったので、
そもそも「杓子」が何かということからはじめます。

「杓子」(しゃくし)
飯・汁などをすくう皿形の部分に、柄がつけてある道具。

現在は、ご飯用は「しゃもじ」、お汁用は「おたま」と使い分けていますね。

「しゃもじ」の語源は、
「杓子」の頭字「しゃ」に接尾語「もじ」が付いた女房言葉(にょうぼうことば)です。
本来「杓子」は飯・汁をよそうものですが、
しだいに米飯をよそうものを「飯杓子」(めしじゃくし)、
汁用を「お玉杓子」と使い分けました。
その後、飯用のものを「しゃもじ」というようにりました。
ちなみに、
カエルの子の「おたまじゃくし」の語源もここからきているとのこと。

さて、その「杓子」の柄は、古くはたいてい曲がっていました。
その曲がっている柄を「定規」代わりに使うということで、
誤った基準でものをはかろうとすることをいい、
転じて、融通のきかないやり方や態度をいうようになりました。

「杓子定規」って、曲がった柄を定規に使うことからきていたんですね。

ところで、
「曲尺」は、なんと読むでしょう?


「かねじゃく」と読みます。
主に大工さんが使う金属のL字型モノサシです。
金属でできていますが、「金尺」ではないんですね。
曲がった尺。

「かねじゃく」は「矩尺」とも書きます。

「矩」
1、曲尺に同じ。さしがね。
2、のり(法則)。きまり。
3、四角。

矩形(くけい)は“長方形”のことです。

杓子定規に似た意味に「四角四面」がありますが、こちらは真四角=正方形のことです。







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2010年02月20日

動意(どうい)

停滞し、ほとんど動きを見せなかった相場が、少しずつ上昇または下落する気配を見せること。
多くの場合は、上昇に向いたときに言う。

「動意」はマーケット情報で時々耳にすることがあり、面白い表現だなと思っていましたが、株の用語だとは知りませんでした。
以下のような、独特の言い方があります。
・株価が動く気配を示すことを「動意づく」
・横ばいだった相場が少しずつ上昇しはじめることを「動意をみせる」
・動き出そうとする気配が感じられることを「動意含み」
・動き出そうとする気配が見受けられないことを「動意薄」
といいます。

使い方としては、
・全体的に動意が乏しい
・景気の先駆けて動意を示す先行指標
・動意に欠けるマーケット
・動意銘柄

「○意」となる熟語はとんでもなく豊富にあります。

敬意・好意・善意・誠意・懇意・
民意・衆意・総意・合意・隔意・
悪意・敵意・殺意・故意・犯意・叛意・邪意・
辞意・留意・来意・翻意・
任意・随意・作意・創意・
注意・用意・失意・得意・不意・一意・
本意・真意・大意・鋭意・寸意・客意・

「意」は、広く心の働きに用いる語ですが、
自然の様子を表わすことにも使われていました。

「秋意」(しゅうい)
秋の気配。秋の風情。

「雨意」(うい)
雨の降りそうなようす。雨模様。

「雪意」(せつい)
雪が降ろうとする空模様。
・雪意を催ふして来た田の中道を横ぎって・・
・雪意ありて 犬の息白し 凍(いて) 戻る
横山大観の絵に「雪意」というのがありました。

「雨意」や「雪意」の「意」って、自然の意思ってことでしょうか。
日本人らしい表現だと思いました。



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2010年02月14日

揣摩臆測/揣摩憶測(しまおくそく)

根拠もなくあれこれおしはかって勝手に想像すること。当て推量。

・部長の辞任に関して揣摩臆測が飛び交っている
・相手の出方を揣摩臆測する
・揣摩臆測は慎んでもらいたい

「揣摩」(しま)
他人の気持ちなどを推量すること。

「摩」は“こする”という意味以外に“おしはかる”という意味がありました。
「揣」も“おしはかる”意。「揣摩」以外では使われいない漢字のようです。
さらに「揣摩」だけで使われている例はほとんど見られず、
「揣摩臆測」として生き残っているようです。
また、
「揣摩の術」(しまのじゅつ)というのがありました。
中国の一種の弁論術で、君主の心を見抜き、思いのままに操縦する術のこと。
中国の論争は西洋の論争とは違い、相手を追い詰めることはせず、気持ちを取り込む術。
司馬遷の「史記」にでてくる張儀(ちょうぎ)と蘇秦(そしん)が揣摩の術の達人として有名で、合従連衡(がっしょうれんこう)という言葉もこの二人が成し遂げた偉業です。

「揣摩臆測」は、摩天楼の「摩」を調べていたら、
「揣摩」なる熟語が目に止まり、
「揣摩」から「揣摩臆測」に至りました。
最初、何か深い意味が隠された語なのかと思ってしまいました。
ずいぶん前に拾った言葉でしたが、めったに使われないし、お蔵入りかなと思っていましたが、山崎豊子「沈まぬ太陽」で目にして、取り上げる気になりました。

“おしかはる”に似た意味の熟語を拾ってみると、
推量・推測・推察・推考・推論・推当・推知・推定・
臆測・憶断・臆説・
想察・想像・恐察・忖度・
仮想・仮定・仮説・
予測・予断・見当・目算

「恐察」(きょうさつ)
他人の事情を推察することをへりくだっていう。拝察。

「恐察」は怖い警察かと思いましたら、まるで違いましたね。




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