2018年07月22日

漢心/漢意(からごころ)

中国的なものの考え方。
中国の文化に心酔し、それに感化された思想を持つことを、
江戸時代の国学者が批判的にいった語。
→ 大和心(やまとごころ)

本居宣長が提唱した思想概念・批評用語の一つ。
宣長の言わんとするところを噛み砕いた説明がありました。
*
「漢意」というサングラスをかけて世の中を見ているようなものだ。
サングラスをはずして自分の目(日本人としての目)で世の中を見てみよう。
と宣長は提案する。
*

「漢字」「漢語」「漢学」「漢王朝」「漢民族」・・
中国の代名詞のような「漢」。
「漢」という字は「乾」に通じ、
“水の流れていない川”を表す形声文字です。
中国の川の名前「漢江/漢水」を指します。

「漢」カン
1、天の河。
2、中国の川の名。漢水。
3、中国の王朝の名。
4、男。
5、中国に関することがら。

少し前の日経に「漢字」の由来が載っていました。
*
確認することができる最も古い漢字は、
紀元前1300年あたりから使われていた甲骨文字や金文。
中国統一は紀元前202年頃で、
漢王朝ができる1000年も前に使われていました。
漢字の「漢」は“漢民族”の「漢」です。
漢民族が話す言葉を「漢語」といい、
書くための文字が「漢字」。
400年も続いた漢王朝は劉邦が建国。
劉邦が最初に領地にして支配したのが、
現在の陝西省南部にある漢水上流地域でした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BC%A2%E6%B1%9F_(%E4%B8%AD%E5%9B%BD)
この河の名に基いて自ら漢王と名乗り、
国号を「漢」と定めたのでした。
*
ということで、漢王朝は漢水が由来でした。

前漢(紀元前206〜8年)と後漢(25〜220年)
2つの王朝を総称して「漢王朝」と呼ばれます。

最後に、漢の付く熟語を見ておきます。

天の川 = 銀漢・雲漢・天漢

▽“男”を意味する熟語
好漢・悪漢・巨漢・酔漢・痴漢・暴漢・凶漢・
熱血漢・冷血漢・無頼漢・門外漢

「漢奸」(かんかん)
中国で、敵に通じる者。売国奴。
特に、抗日戦争下、日本に協力した者をいう。

「奸」 カン
よこしまで悪賢いこと。また、その人。










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2018年07月15日

異体字(いたいじ)

字体が違っているけれど、音と意味は全く同じ字のこと。
本字(正字)、俗字、誤字、略字などもひっくるめて異体字と呼ぶこともあるようです。
常用漢字では、異体字は使わないことになっています。

以下のような字があります。
栄----榮
円----圓 
応----應 
沖----冲
虎----乕
涙----泪
湧----涌
富----冨
体----躰
淵----渕
灯----燈 
杯----盃
作----做
辺----邊・邉
浜----濱・M

「異字体 一覧」を見ると、1083字もありました!
http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/itaiji_list.jsp

◇「新字体」と「旧字体」
新字体とは、1949年告示の当用漢字字体表で、
正字体として認められた漢字のこと。
第二次世界大戦後、
政府が漢字の表記を簡単にしようと、多くの漢字が簡略化されました。
例えば、「國」→「国」
簡略化される前の漢字を「旧字体」
簡略化された新しい漢字を「新字体」と言います。
旧字体は公的には使われなくなりましたが、人名などに残っています。

「新・旧字対照表」
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/lt/cl/koten/newold.htm

◇「高」と「」
「高」(くちだか)と「」(はしごだか)は、
新字体と旧字体ではありません。
「」は「高」の異字体ですが、
元々は「」で、「」から「高」に変化したようです。
「」は「はしごだか」というように、“はしご” を表しています。

◇「吉」と「つちよし」
(つちよしの漢字が入力できません)
「つちよし」は「吉」の異体字です。
「吉」は “士” で「さむらいよし」
「土」+「口」は “土”で 「つちよし」と呼ばれます。
さむらいよし「吉」は常用漢字で名前に使えますが、
「つちよし」は、常用漢字でも人名用漢字でもありません。
「吉」が残ったいきさつ。↓
http://dictionary.sanseido-publ.co.jp/wp/2011/05/19/yoshi/
吉野家・吉兆は「つちよし」でした。
それにしても、上が長いか下が長いかの差。まぎらわしい。

「崎」の異字体「ア」は「たつさき」と呼ばれます。

「島」の成り立ちは、「山」+「鳥」
渡り鳥が休む海中の山 →「島」
山と島の組み合わせで、「嶋」「嶌」という異字体があります。

ちなみに、
姓の漢字には制限がありませんが、
「名」に使える漢字は「常用漢字」2136文字+「人名用漢字」863文字。
これらの漢字以外は子供の名に使えません。








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2018年07月08日

勤怠(きんたい)

勤勉と怠惰。また、出勤と欠勤。
勤惰(きんだ)

総務の方は「勤怠管理」でお馴染みの語だと思います。
漢字も音も硬い言葉です。
「勤しむ」と「怠ける」を管理する?
私は「怠」の字に違和感を覚えます。
怠けている社員に目を光らせるための管理。
そんな使用者側の上から視線を感じます。

Webを見れば、
総務の方も「勤怠管理」の語に違和感を持たれているようです。
*
「勤怠管理」はタイムカードの新種で、
出勤、退勤、休暇、休憩などの勤務に関する
時刻・時間の実を管理し、
精励・怠惰の状態を把握するものではないはずです。
本来「勤務管理」「出退管理」等の表記が自然だと思います。
*
それに対する回答が、
*
勤怠とは出勤や退勤をはじめ、
休憩や休暇などの「出勤状況」を示すものです。
社員の残業時間、出社日数、休暇日数などを把握し、
就労規則など、ルールを遵守しているかを管理することを
一般に勤怠管理と呼んでいます。
*
「出勤」+「退勤」→「勤退管理」と思うところですが、
勤務時間だけではなく、
より広い労働状況を把握するものということですね。
とはいえ、
労働基準法に「勤怠」という単語は出てこないということですし、
「勤務管理」「就業管理」でもいいのではと思ってしまいます。

「勤怠」の語源やいつ頃から使われるようになったかは
わかりませんでした。
ご存じの方、教えて下さい。

「勤しむ」(いそしむ)
熱心につとめ励む。精を出す。

「勤しむ」の類語を見ると、
頑張る・出精する・奮励する・奮闘する
努力する・敢闘する・鋭意努力する
粉骨砕身する・全力を尽くす
努力を払う・努力を注ぐ・努力を傾注する

どれも力の入った感じがする語ばかりですが、
「勤しむ」は柔らかい響きがあります。

「勤」 キン・ゴン・つとめる・いそしむ

<「勤/務/努」(つとめる)の使い分け>
「勤」---- 会社などで毎日のように仕事する
「務」---- 与えられた仕事をする
「努」---- 力をつくす

「怠」 タイ・ダイ・おこたる・なまける・だるい
心がたるんでなまける。

「惰」 ダ
だれてしまりがない。だらける。

「惰気満満」(だきまんまん)なる語がありました。
だらけた気分に満ちているさま。
やる気がまったくないさま。

だらけきっていることなんですが、
“満々”で、前向きの感じがしてしまいます。笑









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2018年07月01日

こなれた

・おなかがこなれてきた
・こなれた着こなし
・こなれた接客

などと使う「こなれた」の漢字、思い浮かびます?



「塾れた」です。

「塾れる」(こなれる)
1、食べた物が消化される。
2、世慣れて円満になる。かどがとれる。
3、物事に熟練する。
4、調和の取れた状態になる。
5、動きがおさまり、落ち着いた状態になる。

「熟」 ジュク・うれる・こなす・こなれる
1、煮る。煮える。
2、(果実などが)うれる。
3、(作物が)みのる。

・熟れた果実----うれた
・熟れた味噌----なれた
・熟れた翻訳文--こなれた
・熟み柿(うみがき)
・熟柿(じゅくし)
・熟れ鮨(なれずし)

果物などが熟した「塾」(じゅく)は、
擬態語の「じゅくじゅく」を思い浮かべます。

「熟れ」(なれ)は「慣れ」と同語源。
「塩なれ」という語があります。
塩味のとげとげした味を弱めること。

塩化ナトリウム含有量99.5%以上の精製塩は、
とげとげした塩見を感じます。
これを「塩角」(しおかど)と言います。
一方、自然塩は塩化ナトリウムが80%程、
他は塩化マグネシウムなどのにがり成分。
にがり成分が塩見をやわらげる効果を、
「塩角が取れる」「塩角がない」などと表現します。

熟成やアミノ酸などの添加物を加えたりすると、
塩分濃度は同じであるのに
塩辛味が減ったように感じます。
この現象を「塩なれ」といいます。

<「熟」の熟語>
熟知・熟考・熟慮・熟察・熟視・熟思
熟成・熟達・熟練
成熟・円熟・習熟

「熟客」(じゅっかく)
なじみの客。

「熟荒」(じゅっこう)
豊年で米価が下がり、かえって農民が困窮すること。


「こなれた」は、ファッション業界でよく使われています。
・こなれた大人のゆるかわシニヨン
・こなれたポニーテールアレンジ
・こなれた女らしさ思いのまま
・ビジネスマンのこなれたカジュアルスタイル

「こなれ感」
頑張っておしゃれしてきました感を出さない着こなし。

「抜け感」
キメ過ぎない。スキを作る。

「カジュアルダウン」なんていいますね。

ファッション用語は時代と共に変わりますから、
何を指しているのか混乱します。
・スパッツ → レギンス
・チョッキ → ベスト → ジレ
・チャック → ファスナー → ジッパー
・カッパ → レインコート
・腕輪 → ブレスレット → バングル









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2018年06月24日

逼塞(ひっそく)

1、 落ちぶれて世間から隠れ、ひっそり暮らすこと。

2、江戸時代の武士や僧侶に科された刑罰の一。
門を閉ざして昼間の出入りを許さないもの。


「逼」はあまり使われていない漢字で、
熟語も「逼迫」ぐらいしかありません。

「逼」 ヒツ・せまる
事態が差しせまる。身動きできない。


江戸時代には、謹慎という刑がありました。
「逼塞」も謹慎の1つです。

「謹慎」の現在の意味は、
1、言行をつつしむこと。
2、一定期間、出勤や登校などを差し止める処罰。
3、3番目の意味が、刑罰の「謹慎」です。
江戸時代、上級の武士に適用された名目上の刑で、
門戸を閉じて昼間の出入りを禁じたもの。

謹慎は罪の程度により呼び名が変わります。
刑の重いものから並べると、
蟄居 > 閉門 > 逼塞 > 遠慮 > 隠居 > 差控

「蟄居」(ちっきょ)
自宅の一室で謹慎。

「閉門」(へいもん)
門扉・窓を塞ぎ、昼夜ともに出入りを禁止。

「逼塞」(ひっそく)
門戸を閉ざし、白昼の出入り禁止。

「遠慮」(えんりょ)
自主的な自宅謹慎。
夜間のひそかな外出は黙認。来訪は許される。

「差控」(さしひかえ)
自宅謹慎。
門を閉ざすが、潜門(くぐりもん)から
目だたないように出入りできた。

寛保二年(1747)に「公事方御定書」が制定後は
これに基づき裁判が行われました。
江戸時代は身分によって
適用される刑罰が違っていました。
<適用される身分と刑罰>
///共通///
死刑のうち切腹と斬首以外、遠島、追放、
押込、敲き、預かり、晒し、市中引廻、闕所、入墨

///庶民のみ///
手鎖、戸閉、過料、叱り、非人手下、人足寄場

///武士のみ///
切腹、斬首、改易、役儀取上げ、
蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控

///僧のみ///
追院、退院、一宗構い、一派構い、
蟄居、閉門、逼塞、遠慮、隠居、差控

///女性のみ///
奴、剃髪 

「押込」(おしこめ)
一室に閉じ込め、外部との接見も手紙のやりとりも禁止。

「敲き」(たたき)
肩・背・尻をむちで打つもの。

「預」(あずけ)
親族などの私人の元で拘禁状態に置くこと。

「闕所」(けっしょ)
死罪・遠島・追放などの付加刑で、
田畑・家屋敷・家財などを没収すること。

「隠居」(いんきょ)
すべての役職を解かれ、
家禄はすべて相続人に譲渡。

「奴」(やっこ)
人別帳から除き、奴隷の身分にするもの。
引取りを希望するものがあれば下げ渡し、
多くは娼婦として使役された。

現在の「遠慮」は、
多くは“控え目にふるまうこと”
という意味で使われていますが、
本来の意味は“遠き慮(おもんばかり)”で、
遠い先々のことまで見通して、よく考えること。
深慮の意でした。

「謹」 キん・つつしむ
1、言動に注意してかしこまる。細かく気を配る。
2、相手に対して恭敬の意を表す語。

「慎」 シン・つつしむ
手落ちのないように気を配る。

「遠慮」と「謹慎」は意外と近い言葉でした。








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2018年06月17日

手懐ける(てなずける)

<goo辞書>
1、動物などを、なつくようにする。
2、面倒をよくみるなどして、味方に引き入れる。

<三省堂 大辞林>
1、うまく扱って、なつくようにする。
2、さまざまな手段を使って、味方に引き入れる。

私は「手懐ける」に、
企み的なニオイを感じてしまいます。
籠絡する・懐柔する・抱き込む・取り込む・丸め込む
に近いものです。
大辞林には、ちょっとそのニュアンスを感じます。

世間ではどんなものを手なずけているのでしょう。
・キレ客を手なずける最上級の“いなし方”
・ウザいあの人を一瞬で手なずける大人の社交術
・部下を手なずける心理テクニック
・潜在意識を手なずける「自分を変える習慣力」
・怒りの正体を見極め、手なづける!「アンガーマネジメント」

手に関する表現は実に多いです。
手が果たしていることを思えば当然ですね。
手入れ
手がかり
手探り
手を焼く
手立て
手引き
手を組む
手を付ける
手を打つ
手を回す
手ぬるい
手ごわい
手を差し伸べる
手加減
手詰まり
手玉にとる
手を返す
手を抜く
手を染める
手際が悪い
手に負えない
手抜かり
手を汚す
手落ち

Webに手の表現を分類したものがありましたので紹介します。

<手で方向を表す>
山手(やまて)/「山の手」(やまのて)・
浜手(はまて)・上手(かみて)・下手(しもて)
横手(よこて)・手前(てまえ)・行く手を遮る

<手で人を表す>
読み手・聞き手・語り手・踊り手・借り手・
貸し手・やり手・担い手・釣り手・稼ぎ手・
歌手・投手・選手・運転手・名手・助手・
手が足りない

<手で傷を表す>
手負い・痛手・深手⇔浅手=薄手

<手で材質を表す>
厚手の紙・薄手の茶碗

<手段・方法>
いつもの手・あらゆる手・最後の手・奥の手・
うまい手・手を失う・手を尽くす・
敵の手に乗せられた・その手は食わない・
手の施しようがない・手を替え品を替え

分類を見て、
「手」がいろんな役割になっていることに気づきました。










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2018年06月10日

間違った表現

陥りやすい間違い例です。

〇 負けず劣らず
× 負けずとも劣らない

他と比較して、優劣つけにくいなら「負けず劣らず」
互角またはそれ以上なら「勝るとも劣らない」
間違いは、この2つを混同したものですね。

〇 冗談めかし
× 冗談ごかし

「めかし」は “のように見える” “らしい” 意。
「ごかし」は接尾語。
口実を設けて自分の利を図る意。

「おためごかし」
表面は人のためにするように見せかけて、
実は自分の利益を図ること。

「親切ごかし」
親切そうに振舞いながら、裏で自分の利益を図る。


〇 ありえます
× ありうります

「ありうる」の語形変化で、
「ありうらない」「ありうります」とはなりません。
「ます」に続くときは、
「ありえる」「ありうる」どちらも「ありえます」


〇 いい人みたいね/いい人のようね
× いい人そうね

様態を表す「〜そう」は動詞や形容詞・形容動詞に付き、
人のような名詞には付きません。
「行きそう」「おいしそう」「元気そう」など。


〇 さいなまれる
× さい悩まされる

「さいなむ」の受け身型と混同したもの。
ただの「悩まされる」はOK。

「苛む」/「嘖む」(さいなむ)
1、叱ったり責めたてたりする。
2、苦しめる。いじめる。


〇 いつ以来
× いつぶり

「いつ」と問われた時は、特定の日時を返す。
「ぶり」は経過した時間を表す。3日ぶり。1年ぶり。


〇 すごく楽しい
× すごい楽しい

すごい外車、すごいロボットなど、
「すごい」の後には必ず名詞がくる。


〇 意外にやさしい
× 彼は意外とやさしい。


〇 足をすくわれた
× 足もとをすくわれた








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2018年06月03日

「氏」「姓」「苗字」「名字」、どう違うの?

姓(せい)と言ったり、
名字(みょうじ)と言ったり、
いろいろな言い方をしていますが、
どう違うのでしょう。
まず、漢字の意味から見ていきます。

◆「」 シ・うじ
匙(さじ)の形に象った象形文字。
食べ物をすくい分ける。

代々血を分け伝える血筋や血統の意。

◆「」 セイ・ショウ・かばね
象形の「女」+「生」 の会意文字。
「生」(草木が地上に生じてきた)

人が母から生まれてきた意。

「姓」(セイ)
1、同じ血統を表す。一族の名。
2、名字(みょうじ)。氏(うじ)。

「姓」(ショウ)
同じ血統を表す。一族の名。

「姓」(かばね)
天皇から有力な氏族に与えられた、
王権との関係・地位を示す称号。

◆「」 なえ・ビョウ・ミョウ
「草」+「田」の会意文字。
田畑に生えた細い草の意。
「苗」には “子孫”という意味があります。

「苗裔」(びょうえい)
遠い血筋の子孫。後胤(こういん)。末裔。

「苗胤」(びょういん)
遠い子孫。苗裔。

「苗嗣」(びょうし)
遠い跡継ぎ。末の子孫。

「苗族」(びょうぞく)
ちすじ。血族。


次に歴史的なところを見ていきます。

略説すれば、
「氏」-- 祖先を同じくする同族集団。氏族。

「姓」-- 天皇からいただいた称号。

「名字」-- 誰もが名乗れる呼び名。

「苗字」-- 江戸時代から使われる。

「名字」-- 現在

古代の日本では、
祖先が同じ人たちが集まって親族集団を作っていました。
それぞれの集団が氏族で、氏(うじ)を持っていました。
<代表的な氏(うじ)>
地名由来の氏: 蘇我氏・出雲氏・尾張氏など。
職務に由来する氏: 物部氏・大伴氏・額田部氏など。
天皇に姓をもらった後に命名された氏:
藤原氏・橘氏・源氏・平氏・豊臣氏など。

」(かばね)
有力な氏族は天皇に仕えて、
朝廷での役職をもらうようになりました。
「姓」は天皇からいただいた役職や地位を表します。
<代表的な姓(かばね)>
臣(おみ)・連(むらじ)・造(みやつこ)・
首(おびと)・直(あたい)・朝臣(あそん)など。
※時代によって変化しています。

名字」(みょうじ)
藤原氏、源氏、平氏などが繁栄して家が区別しづらくなったため、
地名や所領地を家名として区別したことに始まります。
代表的な名字:西園寺家・鷹司家・近衛家・九条家など。

身分が固定化した江戸時代になると、
苗(血縁)を同じくするという意味で、
「苗字」が使われるようになります。
苗字が使われるようになっても、
氏(うじ)や姓(かばね)がなくなったわけではなく、
家柄を示すものとして使われ続けました。
例えば「徳川家康」の場合
正式名:源朝臣徳川次郎三郎家康 
氏 : 源           
姓 : 朝臣         
名字: 徳川         
通称: 次郎三郎       
実名: 家康          

↓名字と苗字の由来はこちらの説明がわかりやすいです。
https://tadtadya.com/glossary-sei-uji-myouji/#index-list-13

明治8年(1875年)2月13日 平民苗字必称義務令により、
苗字を名乗ることが義務化されました。

ということで、
現在の「氏」「姓」「名字」「苗字」に違いはありません。
「氏名」=「姓名」
尚、現在「苗字」は使われていません。









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2018年05月27日

匹敵(ひってき)

比べてみて能力や価値などが同程度であること。
肩を並べること。

「匹敵」の漢字が思い浮かばず、
変換した「匹敵」という漢字を見て、
なぜに「匹」と「敵」なんだろうと疑問に思いました。

Webの漢和/語源辞典は、
「馬の尻尾を象ったもの」とあり、
標準漢和辞典は、
「馬のしりの形に象どる」とありました。
いずれにしろ馬のお尻部分が語源ということですね。

「匹」 ヒツ・ひき・たぐい
1、「ヒキ」
〇馬を数える単位。
〇布を数える単位。二反=一匹

2、「たぐい」
対になっているもの。

3、「たぐう」
〇同等のものとして肩を並べる
〇つれそう。


「類う/比う」(たぐう)
1、同等のものとして肩を並べる。匹敵する。
2、並ぶ。添う。
3、共に行く。伴う。

匹敵の類語:
互角・伯仲・比肩・五分五分

「匹」は、
動物を数える序数として思い浮かべますが、
“対になっているもの” という意味がありました。
匹敵もこの意味の熟語です。
元々は、
馬の尻が左右2つに分かれて
対になっているところからきているようです。
2つのものが互角であることを表します。

古くは馬を「匹」で数えました。
その後、広く動物を数えるのに用いられました。
「頭」が使われるようになったのは、明治末期頃から。
英語由来です。
西洋では、放牧に出した牛の数が減っていないか、
頭数(あたまかず)を確認したことから、
牛は “head” で数えました。
やがて大形の家畜一般の数え方となりました。

動物学などの論文で、“head” と書かれた部分が、
「頭」と日本語に直訳され、
日本でも、大形の家畜だけでなく、
他の大形動物も「頭」で数えることが、
定着していったと考えられています。
その影響で、かつては馬を数えた「匹」は、
「頭」では数えられない動物を数えるのに使われました。

ちなみに、
英語のrivalの語源は「小川」を意味するラテン語
rivus から派生した rivalis。
rivalis は “川を競い争っている者” “川を共同で使う者”
水源の確保から生まれた言葉です。

「rival」は、
“同僚”“仲間”

“肩を並べるもの” “対抗馬”

“競争相手”
といった意味に変化しました。









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2018年05月25日

肉置き

今回は、山本一力著「おたふく」に出てきた言葉を取り上げました。
「出面」
「肉置き」
読みと意味、想像つきます?


「出面」(でずら)
1、日雇い労働者などの日当。でめん。
2、出席すること。
“顔出しをすること” からきています。

「出面」は入力もできませんし、死語かと思いましたが、
土木用語として載っていました。
出欠勤のことで、
現場に出勤してきた作業員を数えることを
「出面を取る」というそうです。
「出面管理システム」「出面表」なるエクセル画面も見つけました。
江戸から平成へと生き残っていたのですね。

「肉置き」(ししおき)
からだの肉のつきぐあい。

・肉置き豊かに、目なざし燃ゆる如くなれば(鴎外)
・肩や臀のむっちりとした肉置き
・肉置きはやや豊かなくらいがいい

生々しい表現ですね。
「肉置き」の使用例を見るために検索をしましたら、
現在の使用はほとんど見られず、
なぜか刀関係の記事ばかりが並んでいました。
刀に「肉置き」?
不思議に思いましたが、
刀のほうは「にくおき」と読み、
刀身の膨らみ具合を意味していました。
刀というものはあらゆる面で平面というものはなく、
すべて微妙に変化する曲面で構成されているものなんだそうです。

・斬り込んだ際に抜けが良い最高の肉置き
・簡素な中にも気品の漂う肉置きの締まった拵え
・肉置きをいかに整えて仕上げるかというのが、日本刀の造形の急所といっていいでしょう。
肉置きを生かすも殺すも鍛冶屋と研ぎ屋の腕次第、
肉置きのきちんと極まった刀は非常に痛快ですが、
逆に肉置きの崩れた刀は精神衛生上よろしくありません。

「肉置き」の意味するところががつかめたでしょうか。
以下のページは刀の名称を図で説明してくれています。
http://www.toukenhataya.jp/guide/spe.html
http://homepage3.nifty.com/naohiro-tantohjo/naohirotantohjo.iroha1.html

「しし」と読ませる熟語は他に1つだけでした。
「肉叢」(ししむら)
肉のかたまり。また、肉体。










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2018年05月23日

正式名称

今回は「正式名称大百科」という本から、
おもしろいものを紹介したいと思います。

まずはクイズです。
以下の名称は何を指しているでしょう?

Q1、空隙歯列(くうげきしれつ)
Q2、尋常性挫瘡(じんじょうせいざそう)
Q3、上顎前突(じょうがくぜんとつ)
Q4、下顎前突(ががくぜんとつ)
Q5、眼脂(がんし)
Q6、口蓋垂(こうがいすい)
Q7、頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)


想像できました?
それでは答えです。

A1、すきっ歯
A2、ニキビ
A3、出っ歯
A4、しゃくれ
A5、目やに
A6、のどちんこ
A7、肩こり

他にも、
・先天的音楽機能不全------音痴
・睡眠麻痺------ 金縛り
・麦粒腫(ばくりゅうし)----- ものもらい
・頭部粃糠疹(とうぶひこうしん)----フケ
・横隔膜けいれん----- しゃっくり
・腓腹筋痙攣(ひふくきんけいれん)----こむら返り
・良性発作性頭位めまい症------ めまい
・眼前暗黒感------ 立ちくらみ

「尋常性挫瘡」って聞いたら、
即、手術ですか? って聞き返したくなるような重い病に聞こえます。
「のどちんこ」は口にしずらいので、「口蓋垂」を普及させたいです。










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2018年05月21日

おかしい

読者の方から、
「可笑しい」「奇怪しい」と漢字が変わる「おかしい」を
取り上げて欲しいというメールをいただきました。

日々混乱することなく使い分けているわけですが、
これも声のトーンや表情があればこそ。
ただ単に「彼はおかしい」と書いてあったら、
どうおかしいのかわかりませんね。

「おかしい」は、大きく3つの意味に分けられると思います。
1、面白い・おどけた「可笑しい」
2、奇妙な・怪しい 「奇怪しい」
3、つじつまがあわない

「おかしい」は古語「をかし」から来ています。
「をかし」の意味をみると、
1、興味深い。おもしろい。
2、風情がある。情趣がある。
3、美しく魅力的だ。
4、優れている。立派だ。

現在とだいぶ様子が変わりました。

室町時代以降、
「をかし」は滑稽味を帯びているという意味に変化しました。
世阿弥の能楽論では狂言の滑稽な様を「をかし」と呼び、
これが江戸時代に滑稽本などに受け継がれて、
現在の滑稽味のあるという「おかしい」に至ったようです。

「おかし」を語る上で清少納言の「枕草子」は外せません。
「枕草子」は「をかし」の文学と言われています。
同じ平安文学として並び評されるのが「源氏物語」。
こちらは「あはれ」の文学。
「をかし」と「あはれ」はどちらも訳すと “趣深い” となります。
その違いを端的に言い並べると、
「をかし」--- 客観的・理知的
「あはれ」--- 主観的・情緒的

感動して思わず発する声「あはれ」が名詞になり、
平安時代には形容動詞としても使われるようになりました。
感嘆・喜び・愛情・悲しみ・同情など、
すべて心にじんとくる情感を表します。
江戸時代以降、
「あはれなり」はもっぱら「哀れ」の意に用いられるようになりました。
また「あっぱれ」は、感嘆の「あはれ」から派生したものです。

最後に「面白い」にも触れたいと思います。
「面白い」は、
「面」が “目の前”、
「白」が “明るくてはっきりしている” を表し、
目の前が明るくなった状態を指しています。
転じて、楽しい・心地よいなどの明るい感情を表します。









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2018年05月20日

過去も未来も意味する「先」

「先」って、
過去も未来も意味する言葉だと気づきました。
三省堂 大辞林を見ると、
13個も意味が載っていました。
私たちは細かい意味の違いなど意識せず、
自在に「先」を使いこなしていますが、
改めて「先」の意味を確認してみます。

「先」/「前」(さき)
1、物の先端。
・先のとがった棒

2、進んで行く一番前。先頭。
・行列の先

3、時間的に早いこと。
・先に出かける

4、順序が前であること。
・代金を先に払う

5、その時よりも前。以前。
・先に申したとおり

6、後につづく部分。つづき。
・早く先を読みたい

7、これからあとのこと。将来。前途。
・先が思いやられる

8、そこより遠い所。
・この先は行き止まり

9、出かけて行く場所。
・旅行先 ・出張先 ・勤め先

10、取引や交渉などをする相手。先方。
・先の出方しだい

「先」の漢字は「先」/「前」とあります。
「先」の意味することは、
大きく “時間” と “空間” に分類できそうです。
この観点から「先」と「前」の違いを見ていきます。

<時間>
先(さき) ⇔ 後(あと)(のち)
前(まえ) ⇔ 後(あと)
・お風呂とご飯、どっちを先にする?
・ご飯の前にお風呂にする

★過去も未来も意味する「先」
・先に述べた通り(過去)
・先を見越した増産体制(未来)

(未来)この先 ≠ この前(過去)
先日 ≠ 前日
先週 = 前週
先月 = 前月
先年 ≠ 前年

こうして比べてみると、
微妙に違っていて、面白いですね。

<空間> 順番・方向・位置関係
前(まえ) ⇔ 後(うしろ)
先に進む = 前に進む

前 --- 物理的方向
先 --- 意識が向かう方向
といったニュアンスを感じます。










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2018年05月19日

蛇口(じゃぐち)

「蛇口」という呼び名は、
形が蛇の形に似ているからではありませんでした。
日本で最初に水が供給されたのは明治20年の横浜。
道路の脇に設けられた共用栓からだったそうです。

共用栓はイギリスからの輸入品で、
ヨーロッパの水の守護神であるライオンのレリーフがついていました。
どこかの高級スパにあるようなライオンの口から水が出る蛇口でした。
その後、共用栓が国産化されていく過程で、
ライオンから日本の守護神である龍のデザインに変わっていきました。
龍は空想上の生き物で、元になったのは蛇です。
始めは「龍口」と呼ばれていたようですが、
水神様では畏れ多いということで蛇(ジャ)が使われ、
「蛇体鉄柱式共用栓」と呼ばれました。

なんというガチガチのネーミング!
専用栓が付くようになって今のような「蛇口」となりました。
また、
「龍口」を小さくしたものなので「蛇口」という説もあります。

ちなみに「蛇口」を引くと、
水道水などの液体を運ぶ管の出口部分、
あるいはその部分の器具のこと。
水栓、カランともいう。

「水栓」が蛇口と同じ意味だったとは知りませんでした。

「水栓」
給水設備で、開閉操作を行うものの総称。蛇口。
ハンドルやレバーを回して開閉や水量の調整を行うものが一般的。
そのほかにも散水用などさまざまな形状があります。

「栓」(せん)
1、管や穴の口をふさぐもの。栓塞・血栓
2、管の先などに取り付けた開閉装置。給水栓・消火栓

「カラン」も見てみましょう。
水栓金具の事。
お湯と水がひとつの蛇口から出る混合栓も含む。
最近の住宅用のカランの形状としては、
レバーひとつで吐水量や吐水温度の調整ができる
シングルレバー式のカランが一般的。

「カラン」はオランダ語のkraan(鶴クラーン) から来ています。
蛇口の長い管が鶴ににていることから。










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2018年05月18日

体裁(ていさい)

1、外観
2、一定の形式
3、世間体
4、口先だけの言葉

よく使うわりには、漢字が浮かびませんでした。

・体裁よく包む
・論文の体裁をなさない
・体裁を気にしない人
・お体裁を言う

「体」の読みは
タイ・テイ・からだ

・体良く(ていよく)
・体たらく(ていたらく)
・体もない(たいもない)
「タイ」と「テイ」で迷います。

「裁」
1、布や紙を切る。裁断する。
2、訴訟や物事を判断して処置する。さばく。定める。
3、手紙を書く。文章を作る。


“世間体” という意味では「面目」があります。

「面目」(めんぼく)
1、 世間や周囲に対する体面・立場・名誉。世間からの評価。
2、物事のありさま。ようす。

「面目」(めんもく)
1、「めんぼく」と同じ
2、 顔かたち。顔つき。
3、 おおもとになるもの。おきて。

・面目ない(めんぼくない)
・面目を保つ(めんぼくをたもつ)
・面目丸つぶれ(めんぼくまるつぶれ)

「もく」と「ぼく」の読みで迷います。
「面目躍如」はどちらの読みもあります。

“体裁が悪い” という意味で「みっともない」があります。
「みっともない」は、
「見たくもなし」

「見とうもない」

「見ともない」

「見っともない」
と変化したもので、
本来は「見たくない」という意味から、
「見たくもないほど見苦しい」となりました。










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