2017年12月15日

折衝(せっしょう)

「折衝」は故事成語で、
樽俎折衝(そんそせっしょう)から「折衝」のみが残ったものです。
「樽」は酒だる、「俎」は肉料理をのせる台。
「樽俎」で宴会の席を意味しています。
「折衝」は攻めてくる敵のほこ先をくじくこと。
「樽俎折衝」は宴席でなごやかに交渉し、うまく話を運ぶこと。

類語には、
交渉・談判・掛け合う・駆け引き・
などがありますが、違いを見てみましょう。

「交渉」
個人対個人、個人対団体、団体対団体、国家対国家など、
一般に広く用いられる。

「談判」
もめごとなどの決着をつけるための話し合い。

「折衝」
公の場合に用いられることが多く、
個人対個人、個人対団体などの場合には、通常 用いられない。
外交的、政治的駆け引きなどに使われる。

「掛け合う」
要求、要望などを持って交渉や談判をする。

「駆け引き」
商売や交渉などで、
相手の出方に応じて臨機応変な態度をとり、
自らの立場を有利にすること。


「俎」は古代中国の祭器のひとつで、
いけにえの肉をのせる脚つきの木製の台。
“まな板” の意もあります。

「俎上の魚」(そじょうのうお)
相手の意のままに任せるより方法のない運命のたとえ。
まないたの鯉。

「生贄」(いけにえ)といえば、
生きたままの人や動物を神に供えること。
供え物。犠牲になること。

「生け」--生かしておく。
「贄」----神へ捧げる食物の意。多くは魚や鳥。
新穀や死んだ動物も含まれるため、
「生け」を付けて生かしたままの状態であることを表す。
生きたまま神に供えることは、
そのために命を落とすことであるから、
何かのために犠牲になることの意味にも転じました。

私の故郷 長崎には人柱の歴史があり、
今福町には「人柱公民館」という公民館があります。
人柱の話しは全国各地にあるようです。





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2017年12月14日

鼻薬を嗅がせる(はなぐすりをかがせる)

賄賂を使うこと。

「鼻薬を利かせる」とも言います。
私は 鼻炎を治す薬「鼻薬」は「びやく」と読むと思っていましたが、
「びやく」といったら「媚薬」なのでした。

「鼻薬」(はなぐすり)
1、鼻の病気に用いる薬。
2、少額の賄賂。
3、子供をなだめるための菓子。

意外なことに「鼻薬」の元々の意味は3です。
泣く子をなだめるために与えた菓子のことをいいました。

ある雑学本には、
“鼻をたらして泣く” のを止める薬ということから。
とありましたが、
辞書には、
子供が “鼻を鳴らして泣く” とあります。

「鼻を鳴らす」とは、
鼻にかかった声を出す。甘えた声を出す。
私のイメージでは、子供はヒステリックに泣きじゃくっていて、
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの絵なのですが・・・
甘えた泣き方の時にあえて菓子を与えるかなー?
ともあれ、なだめるための菓子というのは間違いありません。

「賄賂」は大和言葉では「まいない」といいますが、
現在ではほぼ死語となっているようです。

「賄/賂」(まいない)
1、神に物を捧げる。
2、贈り物をする。

「袖の下」という言い方もあります。
時代劇のシーンが浮かびます。

顔の中心にある鼻にまつまる言い回しは多いですね。
・鼻持ちならない
・鼻白む(はなじろむ)
・鼻であしらう
・鼻で笑う
・鼻にかける
・鼻を折る
・鼻を高くする
・鼻を明かす
・鼻息を伺う
・鼻元思案(はなもとじあん)
目先だけのあさはかな考え。喉元思案。

鼻を正面から見た形の象形文字が「自」ですが、
「自」が自分の意味に使われるようになったため、
鼻息の音である(ひ)を音符としてつけ加えて
「鼻」の字が作られました。





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2017年12月13日

翻弄(ほんろう)

思いのままにもてあそぶこと。手玉にとること。

前回の「籠絡」「懐柔」の流れからの「翻弄」です。
まず使用例からみてみます。
・権力に翻弄されないための48の法則
・ソーシャルネットに翻弄される子供たち
・シェール革命に翻弄される国々
・音楽業界の変容と技術に翻弄される著作権
・「復興援助」という名の津波に翻弄されたインド洋の被災地
・女心を翻弄する男性の思わせぶり行動

「弄」は
いじ-る・まさぐ-る・もてあそ-ぶ・なぶ-る
とも読みます。

「弄する」(ろうする)という語もあります。
「弄する」だけだと見慣れない語でしたが、
「策を弄する」となるとわかりました。

「弄する」(ろうする)
1、もてあそぶ。
2、ひやかす。
・策を弄する
・詭弁を弄する
・技巧を弄する
・弁舌を弄する

「弄ぶ/玩ぶ」(もてあそぶ)
1、手で持って遊ぶ。いじくる。
2、人をなぐさみものにする。
3、思うままにあやつる。弄する。

ちなみに、古語の「もてあそぶ」は
1、興じ楽しむ。慰みとする。
2、大切に扱う。大切にもてなす。

「おもちゃ」の語源は、
「手に持って遊ぶ」 という意味の「もてあそぶ」からです。
その名詞形の「もてあそび」 が音変化したもの。
「もてあそび」 →「もちあそび」
さらに話しことばとして 「もちゃそび」
「もてあそび」 「もちあそび」 「もちゃそび」 は
古語辞典の見出し語として載っています。
「もちゃそび」 が 「もちゃ」 と短縮され、
丁寧の 「お」 を添えて 「おもちゃ」 になったという次第です。

一方「玩具」は、
日露戦争の頃に行われた明治政府による国語統一運動の中で、
おもちゃに代わる語としてできました。
けれども “もてあそぶ” という意味があるため、
太平洋戦争中には、不健全なニュアンスがあるとして、
「遊具」に変更させられました。
その後、戦後に再び復活。

そんな経緯があったとは。





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2017年12月12日

籠絡と懐柔

「籠絡」(ろうらく)
巧みに手なずけて、自分の思いどおりに操ること。

「懐柔」(かいじゅう)
うまく扱って、自分の思う通りに従わせること。
手なずけること。
対義語は「威圧」

どちらも手なずけるという意味ながら、
“繰る” と “従わせる” の差が気になりました。
懐「ふところ」と柔「やわらか」から成る「懐柔」のほうが、
見た目がソフトな印象を受けますが、権力色が臭うようにも思えます。
納得のいく説明を求めて、ずいぶんWebをさまよいましたが、
思うような回答が見つかりませんでした。
唯一見つけた記述が、
*
懐柔は「従わせる、手なずける、抱き込む」までだが、
籠絡は「なお!操る」というところまでなのであろうと推測する。
*
「籠絡」のほうがより高度な人間操縦であろうというものです。
なるほど。
「籠絡」はマインド的に落とし、
「懐柔」は暗黙の支配でコントロールする。
と、私は認識してとりあえず納得しました。

検索してみて、
籠絡と懐柔を並べて使っている例が多かったのが意外でした。
Webで拾った使用例を違いを感じながら読み比べてみて下さい。

<籠絡>
・増税反対議員を籠絡させる財務省
・安倍政権に籠絡されるメディア
・中部電力 裏金で知事を籠絡
・筧千佐子の高齢孤独男性たちを籠絡する手口

<懐柔>
・ロシア、クリミア先住民族を懐柔。自治拡大容認へ。
・電源三法交付金、地元への懐柔策。
・政府側からマスコミに対して圧力をかけたり懐柔したり。
・恫喝と懐柔で株主を撃破。

<籠絡+懐柔>
・情報操作、籠絡と懐柔を得意とする。
・昔の敵視、高圧の態度から、籠絡、懐柔の政策に変えた。
・名張市民を籠絡したり懐柔したり誘導したりするための組織。
・日本人を籠絡、懐柔するには完璧なフレーズ。
・懐柔と籠絡の名手が次から次へと祖父母に財布をあけさせる。

他にも似た表現をあげると、
・手なずける・丸め込む・手玉に取る・抱き込む・取り込む・
平易な言い方だと品がない感じがしますね。

ところで、「手玉に取る」の「手玉」は、
昔の女児が遊びに使ったお手玉のことで、
曲芸師が手玉を自由自在に扱ったところから
手玉を投げてもてあそぶように、人を自分の思うままに操る意味に。




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2017年12月11日

骨の名前

今回は骨に注目してみました。
まずは、難しい骨の読みから。
頭から下りていきます。

「篩骨」(しこつ)
鼻腔の天井にある骨。
「篩」は “ふるい”
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/155168/m0u/picture/0/

「鋤骨」(じょこつ)
鼻中隔の下部を形成する骨。
「鋤」は “すき”

「肋骨」(ろっこつ)
「あばら骨」ともいいますが、
「あばら」は「疎」で、隙間のあることやまばらであること。

「上腕骨内側上顆」(じょうわんこつないそくじょうか)
肘を曲げたとき、突き出た部分です。

肘をぶつけると、ジーンとしびれて痛いものですが、
これは、この部分の神経が浅いところを通っていて、刺激が伝わりやすいためです。

「橈骨」(とうこつ)
前腕にある二本の骨のうち、親指側。
撓(たわ)んだ形に由来。

「尺骨」(しゃっこつ)
前腕にある二本の骨のうち、小指側。

尺は親指と他の指を開いて幅を測る様の象形で、一開きの長さ。
測る骨の意味。

「寛骨」(かんこつ)
骨盤部分を構成する左右1対の不規則形の骨。
腸骨・座骨・恥骨の三つの扁平骨が癒合してできたもの。

「腓骨」(ひこつ)
「腓」は “ふらくはぎ”

「踵骨」(しょうこつ)
「踵」は “くるぶし”

「趾骨」(しこつ)
足の指の骨。
「趾」は “あしゆび”

↓全身の骨の図
http://health.goo.ne.jp/medical/body/jin004

骨のつく語には、
露骨・武骨・骨太・骨子・骨肉・骨董・
真骨頂・骨を折る・骨惜しみ・骨折り損・骨に沁みる・

「こつを掴む」の “こつ” は「骨」です。
骨は体の中心にあって体を支える役目を果たしていることから、
人間の本質や素質などを意味します。
そこから勘所や要領なども意味するようになりました。

「しゃれこうべ」は、
曝れ(され)頭(こうべ)からで、白骨化した人の頭蓋骨。
されこうべ・しゃりこうべ・どくろ
とも言います。




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2017年12月10日

五十音図の空欄

50音といいながら、
五十音図には空欄が5個あって、45音です。
いろは歌は、
旧仮名遣いの「ゐ」「ゑ」が加わって47文字。

●が空欄になっていますが、
古には、音が存在したものもありました。
--------------
あ い う え お
や ● ゆ ● よ
わ ● ● ● を
--------------
わ ゐ ● ゑ を (旧仮名遣い)
古代においては、
「いi」と「ゐ wi」
「えe」と「ゑ we」
それぞれ別の音でした。

奈良時代以前は「は行」の音はなく、
「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、
ファ・フィ・フ・フェ・フォという音でした。
「母」(ファファ)
「頬」(フォフォ)

「pぱ」 → 「fふぁ」 →「 h は」
「は」の音に変わったのは江戸以降。

平安時代の中頃まで、
イ・エ・オとは別に、
ウィ・ウェ・ウォという音がありました。
「紅」(クレナウィ)-- くれなゐ
「声」(コウェ)------ こゑ
「男」(ウォトコ)---- をとこ

西暦1000年を過ぎた頃からウォとオの発音が近づき、区別が失われます。
後れて、ウェ・ウィの音もエ・イ、
ウィ・ウェ・ウォはイ・エ・オと混同されていきます。

ワ行の「wu ウ」の音はなかったとされていますが、
ヤ行の空欄は音があったと考えられています。
--------------
や ヰ ゆ ヱ よ
--------------
「ヱ」← エ「je イェ」
ア行に似た音「エ」があったために、
「イェ」は仮名ができあがる前に消滅。

「ヰ」は「ji イ」という音があったのではと推測されています。
「行く」(いく/ゆく)
「いく」はア行の「い」
「ゆく」はヤ行の「ヰ」

「いく」は口頭的。「ゆく」は文章的。
以下の表現では「ゆく」を使います。
ゆく年・ゆく秋・過ぎゆく・移りゆく・
ゆく末・ゆくて・ゆくえ・立ちゆく・・・・

古代日本語にはラ行で始まる語は無かったと考えられています。
ラ行のほとんどが漢語と外来語です。
礼拝・来訪・落差・酪農・楽園・楽観・蝋燭・・・


「ん」は仮名ではなく、撥音を表す符号。
「撥音」(はつおん)
語中または語尾で1音節をなす鼻音。


古の音は方言に残っていることがありますね。
ファ、ウェ、ウォとかの響きはまあるくて、
古代の会話はふわふわ、ゆるゆるしたものだったのかなと想像します。
聞いてみたいですね。
AIで再現してくれないでしょうか。





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2017年12月09日

身体尺

人体や人間の能力に基づく単位。

古来から人は指幅・掌幅・開手幅・手長・足裏長・身長
などから長さを得ています。
紀元前6000年頃の古代メソポタミアでは、
すでに「キュビット」という身体尺が使われていました。
キュビットは肘から中指の先までの長さ。
現在でも残っているものにヤード・ポンド法があります。
「ヤード」は 片腕の長さ、「インチ」は男性の親指幅。
今回は、「寸」「尺」「尋」についてみていきます。

」(すん)
元々は指幅であったようです。
一本の指の幅が「寸」で、寸の十倍の長さが「尺」。

「寸」
1、尺貫法における長さの単位。
2、長さ
3、ごく短い。ごく少ない。

寸のつく語には、
・寸劇・寸志・寸借・採寸・寸止め
・寸暇を惜しんで(すんかをおしんで)
・寸分違わず(すんぶんたがわず)
・一寸先は闇


」(しゃく)
人の親指と人差し指を広げた象形文字で、
元々は手を広げた時の親指から中指までの長さでした。
それが時代などによって変化し、しだいに長くなっていきました。
1891年の度量衡法で 1尺=10/33m(≒30.3cm)と定義されました。
その後 1958年の計量法で、
尺貫法は公式の単位としては廃止されました。

「尺」
1、尺貫法の長さの基準となる単位。
寸の10倍、丈の10分の1。
2、ものさし
3、長さ。たけ。

・尺度・縮尺・尺寸・曲尺(かねじゃく)・計算尺・尺八
・間尺に合わない(ましゃくにあわない)
・尺を取る=尺を打つ=物差しで長さを測る


」(ひろ)
日本における慣習的な長さの単位で、
両手を左右に広げたときの長さ。
1872年の太政官布告で、1尋は曲尺の6尺と定められました。
「ひろ」という名称は「ひろげる」と同根で、
「尋」という漢字は「左」「右」「寸」を合成したもの。
上部の「ヨ」下部の「寸」は共に腕を表しています。

「尋」ジン・たずねる・ひろ
1、長さの単位。両手を広げた長さ。ひろ。
2、普通。なみ。
3、探り求める。訪れる。
4、「訊」の代用字で、問いたずねる。

「千尋」(ちひろ/せんじん)
一尋の千倍。
転じて、非常に長いこと。また、きわめて深いこと。

「尋常」は長さの単位「尋」と「常」からできたもので、
元々はわずかな長さ・広さの意でした。
2尋=1常(尋の2倍が常)

「尋常」(じんじょう)
1、特別でなく普通であること。
2、見苦しくないこと。目立たず上品なこと。
3、態度がいさぎよいこと。すなおなこと。
4、りっぱなこと。すぐれていること。

普通から優れているに意味が変化していますが、
語源辞典によれば、
日本では普通が目立たず上品であるという意識から、
見苦しくないこと。立派なさまもいうようになりました。





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2017年12月08日

なに「か」を気にしてみる

「なにかと」は、1つに限らずあれこれとの意味。

・なにかと忙しい
・なにかと便利である

この「なにか」は、
“なにかいいことないかな” の「何か」ではなく、
「何」と「彼」(か)でできたものです。
「何彼と」となります。
「彼」(か)は指示代名詞。
「何」と対になって物事を漠然と指します。
「なにやかや」「なにかにつけて」「たそがれ」もこの「彼」です。

夕暮れ時の薄暗い中で、あれは誰だ? と尋ねる頃。
「誰そ彼」→「たれそかれ」→「たそかれ」→「たそがれ」
「たそかれ」は「たそかれどき」の略。
「黄昏」は当て字ですが、しっくり嵌っています。
彼は誰「かわたれ」というのは明け方を指します。

「彼」(か)
1、不定称の指示代名詞
2、遠称の指示代名詞。 かれ。あれ。

「彼処」(かしこ)----あそこ。あのところ。
「彼方」(かなた)----あちら。むこうのほう。
「彼我」(ひが)------かれと、われ。相手と自分。あちらとこちら。

ところで、
「奈辺」という語をご存知ですか?
数学用語ではありません。

「奈辺/那辺」(なへん)
不定称の指示代名詞。どのあたり。どのへん。どこ。

「那」は中国語の疑問詞または遠称代名詞。
「奈」も「那」も疑問詞で、“どうして” “どのように” といった意味。
奈編という語は新聞で目にしたのですが、
かつて見たことも聞いたこともありません。
どんな使われ方をしているのでしょう。
・弁護士の本音は奈辺にありや
・問題と意図は奈辺にあるのか?
・奈辺から呼ばう声
・君は今 奈辺にいるや
・この挑戦的な気概は奈辺から生じたものであろうか

「なへんにありや」なんて、雅な響きがいい感じですが、
意味不明で、スルーされそうです。

「奈」
祭礼を意味する「示」に「木」からなる会意文字。
元々は祭礼の供物とされた果物を指したようです。

「奈落」は、
サンスクリット語を漢字で音訳したもので、
「奈」のそもそもの意味とは関係ありません。
「刹那」の「那」も同じです。

「奈」を調べていて、名前に「奈」を使いたいが、
「奈落」という語に使われいて縁起が悪いのでしょうか。
といった質問を多く目にしました。





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2017年12月07日

3つの月

腕・脚・腹 などの偏を “肉月” というのは知っていましたが、
何故 肉偏が月の字なのか疑問に思ったこともありませんでしたし、
月偏には3種類あるのも知りませんでした。

その3種とは、
●天体由来の月 ●肉由来の月 ●舟由来の月
昔は月の漢字も微妙に区別されていましたが、今はどれも同じです。
http://373news.com/_nie/qa/2009/091011.php

●天体の月
期・朔・朝・望・朗・朦・朧
拾ってみると、意外なほど少ないのでした。

「朝」は草原に太陽が昇るさまを表しています。
朝が “朝廷” を意味するのは、
古代のまつりごとが朝日を迎えて行ったことによります。

「朗」は月光が明るい意。

●肉月(にくづき)
「肉」は切り取った鳥獣の肉片の形にかたどった象形文字。

肌・脇・肛・肘・膝・股・胎・脂・肪・肥・
脈・胴・膣・腰・膀・膜・肺・腺・肝・膵・
脾・腫・肋・腸・脳・脱・臍・脇・膿・膳・
肓・肖・脅・腎・膚・臀・膏・肩・脊・肴・
肯・育・胃・背・


「有」の字のなかにある月も肉です。
「肉」と「又」(右手の意)からなる会意文字で、
手で肉を差し出す意。

●舟月
服・朕・勝
これらが舟と関係しているなんて意外です。
舟偏の漢字は、
船・舵・舶・艇・航・般・舷・艙・舳・

「服」
舟端にぴったりくっつく意。

「朕」
辞書によって原意の説明がいろいろでした。
後に、我の意に用いましたが、
天子の一人称になり、その他の意味は失われました。
「朕」の仲間の漢字には、勝・謄・騰・藤があります。

「勝」
「朕」+「力」からなる会意文字。
力を入れて物を持ち上げる意。

ちなみに、
「朋」は貝を紐で貫いて二筋に並べた様をかたどった象形文字。


一般に「偏」は漢字の左側のものを言いますが、
○○偏と呼ばれるものが必ずしも漢字の左側にあるというわけではありません。
漢字によっては、
冠(かんむり)、脚(あし)、旁(つくり)などになる場合もあります。




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2017年12月06日

気の毒

「気の毒」は「気の薬」に対する語でした。

「気の薬」は “心の保養になること” “おもしろいこと” で、
「気の毒」の本来の意味は、
“心の毒になること” “気分を害するもの” でした。

他人の不幸や苦痛に接した時、
自分のことのように感じて心苦しくなることから、
同情の意味で用いられるようになりました。

「お気の毒」や「かわいそう」はなぐさめる言葉でありながら、時として相手の気持ちを損なっている気がします。
心底から発せられた共感の「お気の毒」はまっすぐ伝わると思いますが、多くの場合、いくぶんかの優越感をもって発せられているように感じます。
私などは同情されるくらいなら、嫌われた方がましだと思うクチなので、かわいそうなんて言われたら、「なに上から目線で」とカチンときてしまいます。

と書いたところで、思わぬWeb情報を目にしました。
金沢を中心に北陸では、
「気の毒」は “気をつかってもらって申し訳ない”
というニュアンスで使われていて、
「これ少しなんですが・・」「つまらないものですがどうぞ」
などとお土産やお祝いを差し出すと、
「ほぉんに気の毒な」と返ってくるそうです。
へーー。

毒つながりで「目の毒」も見てみると、

「目の毒」
見ないほうがよいもの。見ると欲しくなるもの。

他にも、知らなければ心穏やかでいられたのに・・・
といった表現がいくつもありました。

・病人には目の毒
・知らぬが仏、知るが煩悩
・聞かぬが仏
・知らぬが仏
・聞くは気の毒、見るは目の毒
・見ぬが仏、聞かぬが花

言い得て妙ですね。

ムッとするといえば、
電話で、「お宅に言ってもしょうがないけど」
と言われて嫌な気分になりました。

「御宅」(おたく)
代名詞。
同等のあまり親しくない相手を軽い敬意を込めていう語。

本来は敬意を含んだ語だったんですね。
私などは「お宅」にダークなイメージがついています。
相手をやんわり威嚇しているシーンが目に浮かびます。
こだわりの趣味を持つ人を指す「オタク」の由来は同じ「お宅」です。
仲間内で「お宅」「お宅」と呼び合っているところからのネーミングなのでした。
当初「オタク」は変わり者のレッテルのような呼び名でしたが、
今ではすっかり存在感を高めて敬意を込めて言われるようになりました。




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2017年12月05日

見做す/看做す(みなす)

1、仮にそうと見る。仮定する。
2、判断してそうと決める。
3、法律で、ある事物と性質の異なる他の事物を、
一定の法律関係について同一視し、同じ法律効果を生じさせる。
4、見とどける。

「做」という漢字は熟語の展開もなく、
日中辞書以外では詳細な説明がみつかりませんでした。
「作」の異字体。
読みは サ・サク・なす。 意味は つくる。なす。

Webで「みなし○○」をたくさん拾いました。
・みなし労働時間制
・みなし残業
・みなし手当
・みなし規定
・みなし公務員
・みなし弁済
・みなし償却
・みなし法人課税
・みなし配当
・みなし再入国許可
・みなし仮設住宅
・みなし道路
・みなし相続財産
・みなし贈与財産
・みなし共同事業

上記、意味3の説明ではピンとこないかもしれませんので、補足します。
“みなし” とあっても法律効果が生じるという意味合いです。
事実とは異なるが、そういうことにする。
そういうものとして法律的に確定する。
といった感じです。
例えば、
失踪宣告は死亡と見做されます。
事実として生きていても、法律上は死んでいることになります。

「做」で発見した語が「聞き做し」です。
ご存知でした?
「聞き做し」(ききなし)
野鳥のさえずりを人の言葉に置き換えて、覚えやすくしたもの。
例えば、
・ウグイス ---- 「法華経」
・ホオジロ ---- 「一筆啓上仕り候」「源平ツツジ白ツツジ」
・ホトトギス --- 「特許許可局」「テッペンカケタカ」
・コノハズク --- 「仏法僧」
・コジュケイ --- 「ちょっと来い、ちょっと来い」

最初に「聞き做し」を用いた方は
鳥類研究家の川口孫治郎氏(1873〜1937)だそうです。

最後に「看」についても触れておきます。
「看」は「手」+「目」で、手をかざしてみるの意。
じっくりとみる。
看過・看破・看護・看病・看守・看板




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2017年12月04日

飯事

今回は最近おやっと思って振り返った語を紹介します。

「飯事」
あえてふりがなを外しました。
みなさんは読めます?

読みは「ままごと」
最初「はんじ」と読んで、どんな意味かと首を傾げ、
辞書を引いて、「ままごと」かーと脱力してしまいました。

「飯場」という語がありますが、こちらは「はんば」。
PCの入力候補には載っていません。
工事現場などにある作業員用宿泊施設のこと。
殺風景なイメージの「飯場」に対して「飯事」。
「飯事」「飯場」こうして並んでいると
落差が面白いなと思いました。

「ドヤ街」(ドヤがい)
日雇い労働者が多く住む街のこと。
「ドヤ」とは「宿」(ヤド)の逆さ言葉。
旅館業法に基づく簡易宿泊所が多く立ち並んでいることから。
東京の山谷、大阪のあいりん地区、横浜の寿町が知られています。
2015年、痛ましい火災が起きた川崎区日進町の辺りはかつてドヤ街でした。

「おいた」
「お」+「いた」は「いたずら」の略。
略語だったんですね。

「おませ」
「お」+「ませ」
子供が年齢のわりに大人びていること。早熟。

「ませる」
年齢の割に大人びる。

「おしゃま」
少女が年齢の割に大人びた知恵や感覚を身につけていること。
ませていること。

由来は江戸時代に流行った歌のくだり、
「猫じゃ猫じゃとおしゃます」(=おっしゃいます)
当初、おしゃまは猫のことでした。
猫が平気で人前を横切ったする様に例えて、
ませた少女の生意気な振る舞いや態度をいうようになりました。

早熟の類語に「夙成」という見慣れない語を見つけました。

「夙成」(しゅくせい)
若いうちに学業などができあがること。
他より早くおとなびること。早熟。早成。

「夙」シュク
昔から。早い時期から。つとに。

そういえば、
「早生」「早稲」(わせ)という語がありますが、
「わせ」と「ませ」に繋がりを感じてしまいました。




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2017年12月03日

「ケ」って、何もの

1ヶ月/ 2ヶ所 / 3ヶ条
など、日常的に使っている「ケ」ですが、
「ケ」は「箇」を省略したもの。
本来は、物を数える助数詞の「箇」で、
1箇月 / 2箇所 / 3箇条
と書くところです。

鎌倉時代の写本には、
すでに「ケ」の表記が見られるそうです。
当時の僧侶は書物を写す時に、
何度も出てくる字を大胆に省略して書き写しました。
「箇」も僧侶によって「ケ」になったものと思われます。

使い勝手が良かったのでしょう、今も大活躍しています。
また、数量ではないところの地名などにも、
市ヶ谷・八ヶ岳・自由ヶ丘・光ヶ丘 など、
「が」の音の部分を「ケ」で代用しています。

<「箇」と「個」>
「箇」 カ・コ
助数詞。

「個」 コ
1、一つの物。一人の人。
2、助数詞。

ご承知のように、
物の数え方はそれぞれに対応した助数詞が多数あります。
私も過去に3回ほど取り上げていますが、
ここでもちょっとだけ紹介します。

■俳句は1句、2句と数えますが、
和歌は1首、2首と「首」で数えます。
どうして和歌は「首」になっているのでしょう。

中国の漢詩に用いられた助数詞を
そのまま和歌に使ったことによります。

「和歌」は漢詩に対して、
日本語の詩を意味する言葉として造られました。
五音と七音を基調とする
「長歌」「短歌」「旋頭歌」(せどうか)「片歌」(かたうた)
などの総称。やまとうた。

平安時代以降は主に短歌をさすようになります。
「短歌」は、五・七・五・七・七の5句31音からなる歌。

その後「連歌」(れんが)が生まれ、
室町末期には俳諧の連歌が流行ります。
「俳諧」は、もともと「俳諧之連歌」の略称で、
滑稽な連歌を意味しています。
元禄時代に松尾芭蕉が俳諧を詩文芸として発展させました。

連歌や俳諧の第1句を「発句」(ほっく)と呼びます。
五・七・五の17音からなる句です。
俳諧から発句だけを独立させた俳句が起こり、
明治になって、正岡子規が「俳句」と命名しました。




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2017年12月02日

気のせい

「人のせいにする」「おまえのせいで・・」「気のせいだよ」
などの「せい」ってどこからきているのでしょう?

漢字にすると「所為」です。
訓で読み下せば「なすところの」となり、
“しわざ” “ふるまい” の意。
読みの「ショイ」がなまって「せい」になったと考えられています。

思いがけない漢字でした。

「所為」
1、しわざ。振る舞い。
2、そうなった原因・理由。せい。

通常、悪いことがらの原因・理由を表します。

「気のせい」は「気の所為」と書くんですね。
思い過ごし。

「気のせい」の類語に「思いなし」という語を見つけました。

「思いなし」
1、そうであろうと思い込むこと。気のせい。
2、まわりの人が推定して決めること。世間の評判。

「思いなし」は「思いなす」という動詞の連用形が名詞化したもの。
漢字にすると「思ひ做す」
・・だと考える。そのように自分から思う。
「見做す」(みなす)と同じ「做」です。
「做」は「作」の異体字。

副詞的に用いて、
思いなしか・・・という言い方はよくしますね。
そう思うせいか。気のせいか。

「心なしか」という言い方もしますが、
Webに間違いから生まれたという記述がありました。
「思い」+「なす」と勘違いされて、
「思い」を名詞ととらえて「心」に置き換えた誤用です。
「こころなす」という動詞はありませんが、
「心なしか」は辞書に載っています。
「心なし」は「心無し」で、思慮・分別のないこと。

「なし」つながりで、
「ろくでなし」を検索したら、これも意外な漢字でした。
漢字で書くと「陸でなし」なんです。
(「碌」でなしとあるのは当て字)

「陸」は “陸地のように平ら” が原義で、
“水平” “平坦なこと” の意味に。
「ろくな道」は “平らでなだらかな道”
「陸屋根」は “平らな屋根”
室町末期から江戸時代にかけて打消しを伴うようになり、
ろくでなし=まっすくでない → “まともでない” になり、
現在の “のらくらしていて役に立たない者” という意味に。

・ろくすっぽ食べていない
・ろくに寝てない
・ろくな目に合わない
なども「陸」です。




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2017年12月01日

託ける(かこつける)

ほかのことに関係づけてそのせいにする。

「託ける」が読めませんでした。

「託」の読みは
タク・かこつ-ける・ことづ-ける・かこ-つ
音読みの「タク」以外にこんな読みがあったなんて。
しかも、「託ける」には読み方が2つあります。

■「かこつける」 託ける
口実にする。

■「ことづける」 託ける/言付ける
人に頼んで伝言や品物を取り次いでもらう。

「託」の意味は、
1、他にあずける。ゆだねる。 信託・結託・嘱託
2、他の事にかこつける。 託言・仮託
3、神が他の口を借りて告げる。託宣・神託

・出張にかこつけて京都観光
・営業にかこつけて高級クラブへ
・就職活動にかこつけて親に無心する
・霊や因縁にかこつけて印鑑を売りつける

現在では「かこつける」はほとんど
“口実にする”という意味で使われているように思います。
「かこつける」の別の言い方に「事寄せる」がありますが、
同じ意味なのに受けるイメージがだいぶ違います。
良い印象のない「かこつける」ですが、
「託」を辿っていくと、ネガティブな意味を含んでいました。

古語辞典で「託つ」(かこつ)を見ると、
1、かこつける
2、恨み言をいう。嘆く。
3、頼る。

「託言」(かごと)
「かこちごと」の意。
1、口実。言い訳。
2、恨み言。ぐち。

「託言」(たくげん)
1、他のものにかこつけた言葉。口実。
2、ことづて。伝言。

「託」の熟語に「請託」というのがあって、
そこから収賄罪についての発見がありました。
賄賂罪は受け取る側の「収賄罪」と贈る側の「贈賄罪」がありますが、
「収賄罪」は公務員限定の罰則なんですね。知りませんでした。
収賄罪は公務員の不公平な行いで、
国民が不利益をこうむることがないように律するものです。
有罪になっても貰い得にならないように、
受け取った賄賂はすべて没収されます。

「請託」(せいたく)
内々で特別の配慮を請うこと。
特に公務員に対して一定の職務行為を行うことを依頼すること。

請託自体に悪い意味はありませんが、
公務員が職務に関する請託を受けて賄賂を受取ったり、
要求・約束をしたりした場合は「受託収賄罪」になります。
請託のない「単純収賄」より刑が重くなっています。




posted by 空凛 at 08:48| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする