2020年09月27日

つい(終/遂)

1、物事のおわり。終局。最後。
2、生命のおわり。
多く「ついの」の形で用いる。


〇「終の事」(ついのこと)
結局はそうなること。

〇「ついのすみか」
最後に安住する所。

〇「ついのわかれ」
最後の別れ。死別。

〇「ついのみち」
人が最後に通る道。死出の道。

〇「ついのけぶり」
火葬の煙。

「ついの〇〇」というと、
しっとりとした言い方になりますね。


「すみか」(住み処/住家/棲家/栖)

「棲」
1、すむ。すまう。すみか。
2、す。ねぐら。鳥の巣。

「栖」
1、す。ねぐら。鳥の巣。
2、すむ。すみか。


「香華」(こうげ)
仏前に供える香と花。

「散華」(さんげ)
花をまいて仏に供養すること。


「ご愁傷様」はお葬式での定番言葉ですが、
「愁傷」という熟語には馴染みがありませんでした。

1、嘆き悲しむこと。
2、相手を気の毒に思うこと。

・愁傷の眉をよせて、手を束ねているよりほかないのである。
・女たちは髪を振り乱して、愁傷の叫びをあげた。
・われらにあるは、ただ哀惜と愁傷と頬に流るる涙のみ。

ちなみに、
「御〜様」の言い方は多いですね。
・ご苦労さま
・お疲れさま
・おじゃまさま
・お互いさま
・お蔭さま
・おあいにくさま
・お世話さま
・お粗末さま
・お待ち遠さま

こういったねぎらいや気遣いの言い方は
江戸時代後半くらいからみられるそうです。








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2020年09月20日

寄せる

・寄せては返す波(近づく)
・口を耳に寄せて話す
・額にしわを寄せる(集める)
・義援金が寄せられる
・便りを寄せる (届ける)
・思いを寄せる
・1と2を寄せると3になる(数を加える)
・友人宅に身を寄せる(一時的に世話になる)
・他人のことに寄せて文句を言う(かこつける)
・今夜、寄せてもらいます。(訪問する)
へりくだった言い方。

「寄せる」はたくさんの表現がありますが、
昨今、SNSなどで新しい使い方が広まっているようです。
私はSNSと距離をとっているので、気づきませんでした。

▼新しい用法
・自分のものまねに、本人が寄せてきた。
・〇〇にめちゃくちゃ寄せてるけど似てない。
・演技で誰かを参考にしたり、寄せるようなことはしない。
・流行の〇〇ヘアスタイルに完璧に寄せてやる!
・外見を彼氏の好みに寄せてみる。
・背景とか80年代に寄せてる?

「まねる」「似せる」には偽物感が漂いますが、
「寄せる」には否定的なニュアンスが薄いように感じます。
そういう「寄せる」の肯定的なニュアンスが広まった要因かもしれません。


意味が変わった言葉はたくさんありますが、
「せいぜい」(精精)もそうです。
「精」には元々 “力を尽くす” という意があり、
2つ重ねた「精精」は
“力の限り” “精いっぱい” が本来の意味で、
「せいぜい頑張って」は
“精いっぱい頑張って” という激励の言葉でした。
現在は否定的な意味での使い方が多くなっていて、
「せいぜい頑張って」なんていうと、
嫌な顔をされてしまいそうです。


「せいぜい」(精精)
1、能力の及ぶかぎり努力するさま。できるだけ。精いっぱい。
・せいぜいおまけします。
・せいぜい養生して下さい。

2、できるだけ多く見積もってもその程度であるさま。たかだか。
・高くてもせいぜい1万円だろう。
・頑張っても完成できるのはせいぜい1日10個くらい。


<「せいぜい」と「たかだか」の違い>
「せいぜい」
〇その上限に達することを目標にする意。
・せいぜい努力します。
・せいぜいお大事に。
〇それほど期待はしていないという気持ち。
・相手は強豪揃いだ。せいぜい頑張るさ。

「たかだか」
上限の程度を大したことではない、とみる気持ち。
・工事費はたかだか10万円
・集まってもたかだか50人だろう。









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2020年09月13日

いたいけ

漢字にすると「幼気」
1、子供などの痛々しく、いじらしいさま。
2、幼くてかわいいさま。
3、小さくてかわいらしいさま。いとけない。

いたき(痛き)+ け(気)
「いたきけ」の音変化で、
心が痛むくらいいじらしいさま。


「いじらしい」
幼い子供や弱い者などの振る舞いが、
何ともあわれで同情したくなる感じである。
けなげでかわいそうなさま。


「いとけない」(幼い)
おさなくて小さいさま。あどけない。


「いたいけない」(幼気ない)
という語も使われているようです。
「いたいけな」と「いとけない」とが混同されたもの。
「ない」は「いとけない」「せつない」「はしたない」
などと同じ接尾語で、
意味を強調し、形容詞化する働きをもちます。


かわいい・いたいけ・いじらしい・可憐
これらの語に共通しているのは哀れみの感情です。

「かわいい」は江戸初期までは、
“かわいそう” という意味でした。
「かわいい」の語源をたどると、
かほはゆし (顔映し)
↓ かははゆし 音変化
↓ かはゆし 短縮
↓ かわゆい 口語
↓ かわいい

古語「かはゆし」
1、恥ずかしい。気まりが悪い。
2、見るにしのびない。かわいそうで見ていられない。
3、かわいらしい。いとしい。


小さいものを守ってあげたい気持ちは本能でしょうか。







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2020年09月06日

縦覧(じゅうらん)

自由に見ること。思うままに見てまわること。
・縦覧随意


「縦」はたて糸が由来。
本来の「縦」の意味は
“ゆるめる” “放つ” “ほしいまま” ですが、
「たて/よこ」の「たて」に借用されて広まりました。

「横」
旁の「黄」は 門を閉める閂(かんぬき)のこと。
“ふせぐ” “とめる” 意をもちます。
閂は木でできた横棒であるところから、
「よこ」という意味に使われるようになりました。
「横」にはネガティブな意味があります。
横着・横暴・横柄・横領・横行
「横」にも “ほしいまま” という意味がありますが、
強引で乱暴なほしいままです。

「たて/よこ」の本来の対になる漢字は「緯」と「経」。
両方とも糸偏で、織物のたて糸とよこ糸です。


「縦覧」は見知らぬ語でしたが、
固定資産税を払ってらっしゃる方はご存じかと思います。
Web検索で、自治体の説明が多数ヒットしました。

▽縦覧と閲覧の違い
「縦覧」
〔土地・家屋価格等縦覧帳簿〕で、
自己の固定資産の評価額が適正であるかどうかを他の固定資産の評価と比較し確認するための制度。

「閲覧」
自分の土地・家屋の評価額などを記載した〔固定資産課税台帳〕を確認するための制度。

いずれも毎年一定期間、見ることができます。


「公職選挙法」では
「閲覧」と「縦覧」を明確に使い分けていましたが、
平成28年12月に行われた公職選挙法の一部改正により、
縦覧制度は廃止され、閲覧制度に一本化されました。


一般的な意味の「閲覧」は、
書物・新聞・書類・ウェブページなどの内容を
調べながら読むこと。


「笑覧」(しょうらん)
自分の物を他人に見てもらうことをへりくだっていう語。


「詳覧」(しょうらん)
くわしく見ること。ていねいに目を通すこと。


「照覧」(しょうらん)
1、明らかに見ること。はっきりと見ること。
2、神仏が御覧になること。


「照臨」(しょうりん)
太陽や月が下界を照らす意から。
1、神仏が人々を見守ること。
2、君主が国土や人民を統治すること。君臨。
3、貴人の訪問・臨席などを敬っていう語。









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2020年08月30日

ごめんください

「ごめんください」もおもしろい言葉ですよね。
他家を訪問した時の挨拶の言葉であり、
人と別れる時の言葉でもあり、
若い方には馴染みがないかもしれませんが、
電話を切るとき、
わびるときにも使います。

「ごめん」は「御免」です。
尊敬を表す接頭語「御」に
“許可” を意味する「免」。

正式に許可や認可することを、
その決定を下す者を敬っていう語でした。
それが室町前期には、
自分の無礼をわびながらも
許してもらいたいという表現の
「御免あれ」「御免候」が使われました。
その後、
「御免くだされ」「御免させてください」
といった挨拶の言葉になり、
「ごめんください」になりました。
お宅へ上がらせて頂くことへの
許しを請う意味合いが込められています。

新潟県では「ごめんください」が
「こんにちは」「初めまして」「さよなら」
として使われています。

「御免」(ごめん)
1、正式に免許・認可することを、
その決定を下す者を敬っていう語。
・名字帯刀がご免になる。

「天下御免」(てんかごめん)
公然と許されること。
はばかることなく堂々と振る舞えること。

2、役職などを解かれることを、
その決定を下す者を敬っていう語。
・お役ご免となる。

3、嫌で拒否する気持ちを表す語。もうたくさん。
・戦争は二度とご免だ。

4、過失などをわびるときや許しをこうときに言う語。
・遅くなってご免。

5、他家を訪問したり辞去したりするときに言う挨拶の語。

鎌倉時代に生まれた「御免」という言葉が、
室町時代から表現に変化がうまれ、
江戸時代以降には拒絶・断りの表現にも用いられるようになりました。


「すみません」も感謝と謝罪が同居する不思議な言葉です。
呼びかけにも使いますね。
「済む」+打消しの助動詞「ぬ」=「すまぬ」
「すまぬ」の丁寧語「すみませぬ」が原型。
「ぬ」を「ない」に替えた形が「すまない」
「済む」は「澄む」と同源で、
“終了する” といった「済む」の意味の他に
気持ちがおさまる。気持ちがはれる。
とった意味も表わします。
相手への謝罪に用いる「すみません」も
相手に失礼なことをしてしまい、
このままでは自分の心が澄みきらないことを表わします。
感謝の意の「すみません」は、
“何のお返しも出来ず、すみません” の意から。
心が澄みきらない意から離れ、
謝罪を表すようになってからの表現です。
依頼や呼びかけの際に用いる「すみません」は
軽い謝罪の意味からと考えられます。


「感謝」と「謝罪」
「謝」も “あるがとう” と “ごめんなさい” が同居しています。
「言」+「射」
“言葉を放つ”
真っすぐに届けるイメージがあります。








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2020年08月23日

鬼の霍乱(おにのかくらん)

普段は健康な人が珍しく病気になることのたとえ。

「鬼のかくらん」って、
「攪乱」ではなく、「霍乱」だったんですね。

語源を見ると、
「揮霍撩乱」(きかくりょうらん)の略とありました。
もがいて手を激しく振り回す意。
「霍乱」は、暑気あたりによっておきる諸病の総称。
辞書によって病名が変わりますが、
多くが日射病を指しています。

「霍」 カク
にわか。はやい。すみやか。

「攪乱」(かくらん)
「こうらん」の慣用読み。
かき乱すこと。

「攪」コウ・カク
みだす。かきまわす。かきまぜる。

「攪拌」(カクハン/コウハン)
「撹」は「攪」の異体字。

「暑気中り」(しょきあたり)
夏の暑さのためにからだをこわすこと。あつさあたり。

「中り」(あたり)
からだに害となること。中毒。
多く他の語と複合して用いられる。
食中り・水中り・湯中り


今年も40℃超えが観測されました。
35℃超えを「猛暑」と呼んでいますが、
40℃超えの暑さをどう呼ぶことになるのでしょう。
猛暑・酷暑・極暑・厳暑・激暑・炎暑
これ以上の言葉となると難しいですね。
「暴暑」「烈暑」「辣暑」・・・
皆さんはどんな語を提案されますか。


最後に、
私の好きな夏の言葉を紹介します。
懐かしい夏の情景が目に浮かびます。

「草いきれ」
夏草のむっとする匂いのこと。
「いきれ」は「熱れ」と書きます。
蒸されるような熱気。ほてり。

「万緑」(ばんりょく)
草木が見渡すかぎり緑であること。

「片影」(かたかげ)
夏の暑い日、日差しが建物や塀などに影をつくること。

「蝉時雨」(せみしぐれ)
多くの蝉が一斉に鳴きたてる声を時雨の降る音に見立てた語。








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2020年08月16日

刀からうまれた言葉

今回は、
調所一郎著「刀と日本語」から
刀からうまれた言葉を紹介します。

・土壇場(どたんば)
・切羽詰まる(せっぱつまる)
・鎬を削る(しのぎをけずる)
・鍔迫り合い(つばぜりあい)
・鞘当て(さやあて)
・懐刀(ふところがたな)
・単刀直入(たんとうちょくにゅう)
・焼きを入れる(やきをいれる)
・抜き打ち(ぬきうち)
・反りが合わない(そりがあわない)
・諸刃の剣(もろはのつるぎ)
・一刀両断(いっとうりょうだん)

「切羽」「鎬」「鍔」「鞘」
刀の名称がわからないと、意味の由来がピンとこないかもしれません。
「刀と日本語」は写真とイラストがふんだんで、語の背景が見えるようになっています。
何となく知ってたつもりの語が勘違いしていたことに気づきました。

「土壇場」(どたんば)
首切りの刑を行うために築いた土の壇。

「檀」ダン
1、土を盛り上げてつくった、祭りその他の儀式を行う場所。
2、他より一段高くこしらえた場所。演壇・講壇など。


「目抜き通り」と「真打ち」が刀由来だったのが以外でした。

●目抜き通り(めぬきどおり)
人通りの多い、中心的な通り。

元は「目貫」でした。
目貫は刀身と柄(つか)の両方の穴を通して固定するための金具。
刀身にある目(穴)は「目釘穴」と呼ばれ、
目を貫いて固定することから「目貫」と呼ばれました。
しだいに目釘とは別れて独立した飾り道具となり、
装飾的な役割が強くなっていきました。
刀の中でも特に目立って中心的だということから、
江戸時代には、目立つものや目立つことを「目貫」と言うようになりました。
これが転じて、現在の意味になり、
漢字も「目貫」から「目抜き」になりました。


●真打ち(しんうち)
落語・講談などで最後に登場する人。

刀の注文主が将軍家や大名、上級武士などの場合、
数振り作刀して一番出来が良いものを
「真打ち」として納めました。
残りを「影打ち」と呼び、
これは安く売ったり、廃棄することもありました。

「影打ち」という呼び方が何とも味わいがありますね。

刀の数え方は複数あります。
一振り(ひとふり)/ 一本(いっぽん)
一口(ひとふり/ひとくち/いっこう)
人腰(ひとこし)
一刀(いっとう)/ 一剣(いっけん)
「口」は刀を振り下ろして切り口をつけることから。
「人腰」は腰に差すからですね。










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2020年08月09日

虐待(ぎゃくたい)

むごい扱いをすること。

Webに
どうして虐待という漢字は「虐体」ではなく「虐待」なんですか?
という質問がありました。

確かに何故「待」なんだろうと思ってしまいます。
歓待・招待・接待・優待・待望・待遇
“もてなす” 熟語の中で、「虐待」だけが異色です。

虐待の「待」は “もてなす” や “待つ” 意ではなく、
“あしらう” “取り扱う” といった意味です。

「待」タイ・ま-つ
1、まち受ける。まつ。
2、もてなす。取り扱う。

「虐」 ギャク・しいた-げる
しいたげる。いじめる。むごいめにあわせる。
虎と爪から成り、
トラが他の動物を傷めつける様を表しています。

「あしらう」はマイナスの意味も持っています。

「あしらふ」
「あいしらう」の音変化。
1、応対する。応答する。
2、相手を軽んじた扱いをする。みくびって適当に応対する。
3、素材や色などをうまく取り合わせる。配合する。

古語「あいしらう」(あひしらふ)
「あえしらう」の音変化。
「あい」は「あう」(合・和)の連用形。
「しらう」は “たがいに物事をし合う” 意。
原義はたがいの調和をはかること。
1、応対する。
2、適当に取り扱う。
3、程よく取り合わせる。

あえしらう → あいしらう → あしらう
とういうふうに転じています。

「あしらう」を漢字で書くと「遇う/配う」となります。
「遇」は “もてなす” “あつかう”
「配」は “組み合わせる” 意。








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2020年08月02日

「収束」と「終息」

同音異義語でおもしろいものを見つけると嬉しくなります。
このコロナ禍にあっては、
〇「抗体」の「後退」
〇「収束」と「終息」

政治家や役人が「しゅうそく」と言ってる時、
どちらの熟語が浮かびますか?
・まずは感染の拡大を防止し、その流行を早期に “しゅうそく” させることこそが、経済の観点からも最大の課題だと考えております。
・まずは感染拡大の “しゅうそく” を目指していくということが第一であります。

「収束」は、
文字通り集めて束ねるということで、
まとまって収まりがつくこと。

「終息」は物事が終わって、やむこと。

新型コロナでは、まずは「収束」を目指し、
望むべくは「終息」ですけど、
根絶というわけにはいかないウイルスのようです。


●「精魂」と「精根」
どちらも力が入っている言葉です。

「精魂」
たましい。精神。
物事に打ち込む精神力のこと。

「精根」
精力と気力。
物事を成し遂げようと集中した体力と精神力。

・精魂を傾ける
・精魂を込めた仕事
・精根が尽き果てた
込めるのは精神と魂で、尽きるのは精力と根気。


●「絶対」と「絶体」
絶対安静・絶対音感・絶対多数・絶対君主・絶対温度、
それでは「ぜったいぜつめい」は?
「絶体絶命」体が命なのです。
引っ掛け問題になりますね。

「絶対」
1、他に比較するものや対立するものがないこと。
2、他の何ものにも制約・制限されないこと。
(副詞的用法)
〇どうしても。何がどうあっても。
・絶対に行く
・絶対合格する」
〇(あとに打消しの語を伴って)決して。
・絶対に負けない
・絶対許さない
「絶対」の対語は「相対」

「絶体絶命」
どうにも逃れようのない、
差し迫った状態や立場にあること。

「絶体」「絶命」ともに九星術でいう凶星の名。
これが由来と言われています。
体・命が尽きるような切羽詰まった局面・境地を言います。
由来を知ると間違いませんね。


おしゃべりでの「ゼッタイ、ゼッタイ」はカタカナのイメージ。
軽くて、「ウソー」とか「チョー」と同じ並びです。







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2020年07月26日

ミイラ取りがミイラになる

人を探しに行った者が戻ってこないために、逆に探される立場になること。
または、
説得におもむいた者が、逆に相手に説得されて相手と同意見になってしまうこと。

「ミイラ取り」なんて、インパクトのある諺です。
私はずっと、
包帯グルグルのミイラを盗む=墓荒らし
だと思っていましたが、
この「ミイラ」は “没薬”「ミルラ」のことです。

「没薬」(もつやく)=ミルラ
熱帯産のカンラン科の低木コミフォラからとれるゴム樹脂。
痛み止め・健胃薬・うがい薬や、遺体の防腐剤として利用されました。

当時、ミルラには不老不死の薬効があると信じられ、
高値で取引きされていたため、ミルラ盗りがいました。
墓は砂漠にあり、多くの者が途中で行き倒れたり、
事故にあったりして命を落としました。
その屍が自然乾燥でミイラ化したため、
「ミイラ取りがミイラになる」という諺が生まれました。

布で巻かれたミイラは古代エジプト式のミイラです。
古代エジプトでは、肉体は死んでも魂は死なず、
来世で復活を遂げた魂は現世の器を使うと考えられていました。
理性の宿る場所は脳ではなく心臓であり、
心臓は “審判” で使うため、内臓を抜いた体内に戻しました。
70日間でミイラ化を完成させる間、
死者は “死者の書” に従って歩みを進め、
70日間たくさんの質問責めに合います。
そして心臓と真実の羽を天秤にかけられます。
羽よりも軽い心臓ならば、善良な者だったと認められ、永遠の命を与えられます。

ミイラの話しになってしまいましたが、言葉に戻ります。

「金字塔」(きんじとう)とは、ピラミッドのことです。
ピラミッドを側面から見ると漢字の「金」に形が似ているところから。
転じて、
後世に永く残る立派な業績、偉大な作品や事業のことをいうようになりました。
・金字塔をうちたてる。

「没薬」というのも初めて知りましたが、
「没分暁」という語を見つけました。

「没分暁」(ぼつぶんぎょう)
道理のわからないこと。物わかりの悪いこと。

「没」は “ない” という否定の意。

「分暁」
1、夜が明けること。
2、明らかに悟ること。
3、明らかであること。

「没分暁漢」(ぼつぶんぎょう-かん)
ものの道理がわからない男。わからずや。
「漢」は “男” の意。








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2020年07月19日

形而上学(けいじじょうがく)

ずっとよくわからない語のままでした。
「而」の存在が謎を深めている気がします。
先ずは辞書を紐解きます。

〔goo辞書〕
現象的世界を超越した本体的なものや絶対的な存在者を、
思弁的思惟や知的直観によって考究しようとする学問。
主要な対象は魂・世界・神など。

〔三省堂 大辞林〕
存在者を存在者たらしめている超越的な原理、
さらには神・世界・霊魂などを研究対象とする学問。
第一哲学。

難解な文章です。
この説明を理解するのにさらに辞書が必要です。

「思弁的」
経験によらず、思考や論理にのみ基づいているさま。


Webで思い切りくだけた説明を探しました。
*
「形而上学」は哲学の分野の一つで、
実際に見たり確認することのできないものについて考えること。
*

「哲学」
世界・社会・人生などの根本原理を探究する学問。


次に、「而」とは何なのか探ります。

「而」
長く垂れたあごひげを表した象形文字。
早くに元の意味は失われ、
音を仮借した意味のみが残りました。
古くは指示詞として用いられ、
「それ」「その人(なんじ)」
それが接続詞に転じました。
「そして」「それなのに」

「而」ジ
1、なんじ。おまえ。
2、接続詞
順接---しかして。しこうして。そして。
逆説---しかるに。しかれども。しかも。


「而」自体に意味はなく、接続詞の役割をしています。
「形而上」の「而」は順接で、“and” の意。
なぜ、ややこしい「而」を付けたのか?
由来がありました。

「形而上」は、
中国の古書「易経」の中に出てくる
『形而上者謂之道、形而下者謂之器』
という言葉から来ています。
「形がないものを道、形があるものを器と呼ぶ」という意味です。
そこから、形がないものを「形而上」と呼ぶようになりました。

「形而上」(けいじじょう)
1、形をもっていないもの。
2、哲学で、
感覚の働きによってはその存在を知ることができなくて、
思考でのみ知ることができる超自然的なもの。

「形而下」(けいじか)
1、形のあるもの。 物質的なもの。
2、哲学で、
感性を介した経験によって認識できるもの。
時間・空間の中に形を備えているもの。









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2020年07月12日

服用(ふくよう)

薬を飲むこと。

服と薬がどう繋がるのか謎です。

「服」フク
1、着るもの。
2、自分のものにする。
3、従う。
4、薬や茶を飲む。

「服」の意味は広く、それぞれの関係性が見えません。
振り返ってみると、
過去に「服」の付く語は何度も取り上げていました。
「頓服」「感服」「着服」「服ふ」(まつろう)
改めて「服」を深堀してみます。
まずは「服」という字の成り立ちから。
「わたし舟」の象形と
「ひざまずく人の象形と右手の象形」
という成り立りです。
原意は “舟の両側につけるそえ板” の意。
そえ板を “ぴたりと付ける” から派生した意味が分かれています。
Webにわかりやすい説明がありました。
*
「服」の意を“自分に寄り添うもの”と考えます。
布が人に寄り添う → 衣服
人が自分に寄り添う → 服従
困難が人に寄り添う → 克服
*

さて、服と薬の関係ですが、
Webに回答がありました。
中国の古書「山海経」(せんがいきょう)に
「外服」と「内服」という記述があり、
これが語源と思われます。
*
薬草などを「衣服」のように
体にまとい病気の原因となる邪気を防ぐことを「外服」
体の中に入れて体内で邪気を防ぐことを「内服」
と言い表しています。
*

繋がりが見えました。

ちなみに、
「山海経」は全18巻あり、
その内容は山川の地理、動植物や鉱物、
山岳祭祀、辺遠の国々と異形の民、
伝説上の帝王の系譜など多岐にわたり、
奇怪な姿の動植物や神々が多く記されています。








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2020年07月05日

「まあまあ」「そこそこ」

・まあまあイケてる
・そこそこイケてる
どちらが点数高いでしょうか?
改めて「まあまあ」と「そこそこ」を確認してみました。

「まあまあ」[形動]
十分ではないが、一応は満足できるさま。

「そこそこ」[副詞]
十分ではないが一応のレベルにあるさま。

辞書からは明確な答えが出せませんが、
ニュアンス的に、
僅差で〔 そこそこ > まあまあ 〕ではないかと思います。
いずれにしても嬉しくない評価です。

「なかなか」と言われると胸が張れます。
思っていた以上であるさま。かなりな。相当な。

そういえば、
仲裁に入る時はたいてい「まあまあ」といって間に入りますね。
・まあまあ、お二人とも落ちついて
この「まあまあ」は感動詞です。

ところで、
“〜したいのはやまやま” という時の「やまやま」は「山」なんです。

「やまやま」(山々)[副詞]
“山のようにたくさん” の意で、
実際はできないが、ぜひそうしたいと思うさま。
・貸してあげたいのはやまやまなんだが、ウチも金がないんだ。
・お役に立ちたいのはやまやまだが、今は身動きがとれない。
・話したいのはやまやまだが、差し障りがあってできない。


繰り返しの言葉をもう一つ。
「まんまと」は「うまうまと」が転じた言葉です。

「うまうまと」(旨旨と)[副詞]
巧みなやり方で、物事を自分の思いどおりに進めるさま。まんまと。

「まんまと」
もののみごとにある事が成し遂げられるさま。首尾よく。

意味を見ると、ポジティブな語のようですが、
現代では、ほとんど悪い意味で使われています。
・外交官特権でまんまと罪を逃れた。
・まんまと一杯食わされた。
・甘い言葉にまんまと騙された。

・うまうまと乗せられた。
・うまうまと出し抜かれた。

「うまうまと」も悪い意味で多く使われています。
私も「まんまと」「うまうまと」には黒いイメージがあります。









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2020年06月28日

「夭折」と「夭逝」


「夭折」(ようせつ)
年が若くて死ぬこと。若死に。


「夭逝」(ようせい)
「夭折」に同じ。


「夭」 ヨウ
1、若く、みずみずしい。
2、若死にする。

「逝」 セイ・ゆ-く・い-く
立ち去って帰らない。死ぬことを婉曲にいう語。


私の勝手なイメージですが、
「夭折」は、命がポッキリ折られてしまったという、無念さを感じますが、
しんにょうがついた「夭逝」は天に昇ってしまう絵が浮かびます。


「早世」と「早逝」も若くして亡くなること。
私は「早逝」の方に馴染みがありましたが、
「早世」のほうが古くから使われていて、
「早逝」よりも「早世」を用いるほうが好ましい。
という主張があるようです。



「しんにょう」について付け加えます。

漢字にすると「之繞」。
辞書には、
「しんにょう」「しんにゅう」両方の読みが載っています。
元々の読み方は「しにょう」です。
しにょう → しんにょう → しんにゅう

「之」 シ・これ・こ-の・の・ゆ-く
「繞」 ニョウ
漢字の構成部位のうち、
左から右下にかけて囲む部分。

「之」の草書体 →「シ」「し」
「之」 が「し」の字に似ていることから
「し-にょう」の名が付きました。
○えんにょう 延 建 廻
○そうにょう 赴 起 越
○かんにょう 函 凶 凹
○きにょう 魅 魁 魃
○ばくにょう 麺 麩 麹
最近は「えんにょう」などと統一するため、
「しんにょう」と読む傾向にあります。


しんにょうには頭の点が1点と2点がありますが、
二画目以降の筆の運びが続いているかいないかの違いで、本来は同じものです。
意味の違いはありません。
1981年に制定された常用漢字表では
1点しんにょうに統一されていますが、
2010年に新常用漢字表が告示され、
「遡」「遜」「謎」は2点しんにょうが正体となりました。

どんなこだわりで3字だけ残ったのでしょう。









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2020年06月21日

古(いにしえ)の言葉

「古」(いにしえ)
「往(い)にし方(へ)の意。


今回は、古い言葉を発掘してみました。

●「うつくしむ」(慈しむ/愛しむ)
かわいがる。大切にする。愛する。

「いつくしむ」
弱い者に愛情を注ぐ。かわいがって大事にする。

古語「うつくしむ」は
小さくて可愛らしいものをさす語でした。
優しいまなざしが目に浮かびます。


●「面憎し」(おもにくし)
顔を見るだけで憎らしく感じられる。
つらにくい。

そういえば、
「憎たらしい」という表現はそんなにありませんね。
「憎々しい」
「小憎らしい」
「虫唾が走る」


●「消え物」(きえもの)
1、小道具のうち、舞台でこわしたり消耗したりして1回しか使えないもの。
2、贈答品で使うとなくなるもの。
食品・調味料、洗剤・入浴剤など。

「消え物」は業界用語として今も残っているようです。


●「現責め」(うつつぜめ)
江戸時代に行われた、睡眠をとらせず、夢うつつの状態を続けさせて白状させた拷問。

拷問のイメージが浮かばない響き。


●「畳水練」(たたみすいれん)
畳の上で行う水泳の訓練の意。
理論や方法を知っているだけで、
実際の役には立たないことのたとえ。

畳の上で水泳の練習なんて思いも浮かばず、印象に残った語です。
Webに、畳ではないけど床の上で平泳ぎの手足の動かし方を練習した、という記事がありました。


●「昼行灯」(ひるあんどん)
日中に行灯をともしても、うすぼんやりとしているところから。
ぼんやりした人、役に立たない人をあざけっていう語。


●「朴念仁」(ぼくねんじん)
わからずや。無口で愛想のない人。
がんこで物の道理のわからない人。

論語の「剛毅木訥 仁に近し」から。
意思が強く強固で、素朴で口数が少ない人物が、道徳の理想である仁に最も近い者であるということ。


●「唐変木」(とうへんぼく)
気が利かず偏屈なこと。


ののしり語もおっとりしています。









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