2017年10月05日

「創業」と「設立」の違い

あいまいなま認識のまま聞き流していました。

「創業」
営利を目的とした事業を始めること。

個人事業主として商売を始める場合など。
会社として法人登記しているか、していないかは関係なし。

「設立」
事業の内容に関係なく、会社などの法人をつくること。

法人をつくるには法務局への登記が必要で、
登記申請をした日が会社の設立日になります。

羊羹で有名な虎屋の創業は室町時代後期で、
株式会社虎屋の設立は1947年(昭和22年)です。

「法人」と「会社」の違いも確認します。

「法人」
法律により人格を認められ、
権利・義務の主体たる資格を与えられた団体。
・NPO法人
・認定NPO法人
・一般社団法人
・公益社団法人
・一般財団法人
・公益財団法人

「会社」
営利事業を目的として設立された「法人」のこと。

・株式会社
以下の3形態は出資者=経営者
・合同会社 (有限責任社員のみで構成)
・合資会社 (無限責任と有限責任社員の両方で構成)
・合名会社 (無限責任社員のみ)

「財団法人」
ある特定の個人や法人から拠出された財産(基本財産)で設立。

株式会社の「資本金」に当たるものが「基本金」、
「出資者」→「出捐者」になります。

「出捐」(しゅつえん)
金銭や品物を寄付すること。

「捐」エン
1、すてる。
2、金を出す。寄付する。

利益を分配できるのが「会社」で、株主や社員に分配できます。
利益を分配できないのが「法人」

さて、
「創」という字は 創作・独創性・創意工夫 など、
“作り出す” という意味で思い浮かべますが、
“刀” が示すように “傷” という意味もあります。
満身創痍・絆創膏・銃創
物を作り始めるときに切り出すことや、封じていたものを切り開くことから、
“はじめる” の意を表すようになりました。

「創」
1、刃物による傷。
2、初めて作り出す。はじめる。



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2017年10月04日

丸と円

「丸い」と「円い」の違いは?
という質問がWebにありました。
そういえば私もうまく説明できません。

端的に言えば、
「丸い」は “立体”、「円い」は “平面”
でも、人それぞれの感覚で使っている気がします。
私などは「円」は真円で、「丸」はアバウトにまるいもの。
といったイメージでした。
元々の意味を知るために漢字の成り立ちをみてみます。

「丸」まる・ガン
会意文字。乙+匕
短刀の象形と両端に刃のある彫刻刀の象形。
いろいろな刃物でまるくした “たま” “まるい” 意。
これで、丸い=“立体” が脳に刻まれました。
それと、
音読みの「ガン」が丸に似つかわしくない強い音で、
私は違和感を持ったのですが、
刀で削る音のイメージとしては納得です。
弾丸・丸薬・一丸

「まる」は「まろ」の音変化。
古語「まろ」の意味を確認します。

「丸/円」(まろ)
1、 まるいもの。まるいさま。
2、 丸々とふとっているさま。
3、 まるまる全部。
4、 銭

“まるまる全部” の「丸なんとか」の表現はよく使いますね。
丸投げ・丸抱え・丸つぶれ・丸のみ・丸かじり・
丸儲け・丸損・丸聞こえ・丸写し・丸暗記・丸刈り・
丸出し・丸裸・丸見え・丸洗い・丸焼け


「円」は、圓の草書体からとった略字です。
正字である「圓」の成り立ちからみていきます。

「圓」
会意兼形声文字。 囗+員
内側の員の上の小さな長方形は元は○型で、
下の貝は “カイ” ではなく、鼎(かなえ)。
鼎とは3本脚のついた金属製の煮炊きをする器で、儀式などに用いられました。
鼎には角形の方鼎と丸形の丸鼎があり、
上に○型を付けることで丸鼎を示して、“まるい”意を表しました。
後に「員」が “数える” などの意味も持つようになったため、
“まるい”を表すために鼎の口の縁を表す大きな○で囲んで、員と区別するようになりました。
「圓」は外も内も角ばっていますが、本来は○だったんですね。
なかなかにまどろこしい成り立ちです。

「円」エン
1、まるいこと。その形。
2、円周とその内部。
3、《Yen》日本の通貨単位。

「円ら」(つぶら)
まるくて、かわいらしいさま。

「円らな瞳」
瞳がまるくて可愛らしいさま。くりっとした目。

「円か」(まどか)
1、まるいさま
2、穏やかなさま。円満なさま。

円滑・円環・円熟・円満・真円・渾円・正円・団円

あまり聞かれなくなりましたが、
「大団円を迎える」という表現があります。
演劇や小説などの最後の場面で、すべてが丸く納まる結末をいいます。

見慣れない熟語に「円匙」というのがありました。
なんとスコップのことです。
帝国日本軍ではスコップのことを円匙「えんび」と呼んでいました。
(本来の発音は「えんし」)武器の一種。
shovel(英)、schop(蘭)



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2017年10月03日

辞任(じにん)

就いていた任務・職務を、自分から申し出て辞めること。

「辞」ジ・やめる・ことば・ことわる
1、言葉。文章。
2、ことわりを言う。やめる。
辞職・辞退・辞表・辞令・辞世・固辞

自分以外の意思で、職務や役職を辞めさせられる場合は「解任」

☆「辞表」「退職届」「退職願」の違い
「辞表」は、役員などの役職を自ら辞退する際に使います。
会社を辞めることとは関係なく、役職を辞める事に対して「辞表」が提出されます。

「退職届」は役職に関係なく職場を辞める時に出します。
「退職願」の場合は、
上司に提出して人事決定権のある者から退職承認され、
その旨が本人に告げられてはじめて、
“雇用契約の終了予告”がされたとして、法的に有効になります。
有効になるまでは撤回することが可能です。

「退職届」は提出した時点で、“雇用契約の終了予告”が成立。
会社側が望まない限り撤回できません。
また会社都合で辞める場合は「退職届」に、証拠として文面に会社都合であることを明記しておきます。
法律上は “書面” である必要はなく、口頭での意思表示でも終了予告になります。
そして会社側の承諾があって労働契約が終了します。

民法では、退職の意思表示は “14日前までに” とあります。
就業規則が1ヶ月前までとなっていたとしても、
“民法 > 会社規則” となります。


「辞職」は自らの意志で職をやめること。
「退職」は現職を退くこと。
「退任」は任務を退くこと。
※自発的に退くことにも、任期満了で退くことにも用いる。
「退官」は官職を退くこと。
現在では一部の公務員に対してのみ用います。

「下野」(げや)という語もあります。
官職を辞めて民間に下ること。
与党が政権を失い野党となること。

「野に下る」(やにくだる)
官職を退いて民間の生活にはいること。

この場合の「野」は “民間”の意です。
在朝(ざいちょう)に対する 在野(ざいや)。




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2017年10月02日

カタカナ語

「それっ!日本語で言えばいいのに!!」
(カタカナ語研究会議監修)
今年の4月に出版された本です。
最近 ちまたではどんなカタカナ語が飛び交っているのでしょう。
コミットメント・ユーザー・エビデンス・コンセプト・
コンテンツ・コンセンサス・アジェンダ・ペンディング・
イノベーション・リソース・オンデマンド・
コンバージョン・コンプライアンス・スキーム・
セグメント・ダイバーシティ・ベンダー・
マネタイズ・レコメンド・エッジ・ガジェット・
ソリューション・フェーズ・マター・オファー・
リテラシー・ロジック・ローンチ・・・・
これらのカタカナ語をイラスト入りで解説しています。

私が耳新しかった語は、
●バズ buzz
蜂などのブンブンうなるような羽音。人のざわめき、騒音。

口コミのこと。
口コミを利用した手法が「バズマーケティング」
「バズる」はネット上で、多くの人の話題に上っている状態を指します。

●フィジビリ feasibility studyの略
プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討すること。
「実行可能性調査」「採算性調査」とも呼ばれ、「F/S」と略記されます。

いっそ英語で話せばといいたくなるくらい、カタカナ語だらけの話しをする人がいますが、
「難しいこと知ってるなー」と感心します?
私などは「カタカナ語で煙に巻いてるんじゃないよ」なんて思ってしまいます。
大事なのは相手に思いを伝えること。
そのための言葉選びを考えたいですね。

カタカナといえば、
最近わかった私のカタカナ表記のまちがい。
×シュミレーション--simulation ---- ○シミュレーション
×アボガド--avocado ---- ○アボカド
×ギブス--Gips(独) ---- ○ギプス
×バトミントン --badminton ---- ○バドミントン

最後に「ターキー」のおもしろい話を。
「七面鳥」の呼び名は各国で違っているのご存知です?
英語turkeyターキーは “トルコの鳥”
でも、トルコでは“インドの鳥”
インドでは “ペルーの鳥”
ギリシアでは “フランスの鳥”
モロッコでは “ローマの鳥” と言われているんです。
国籍不明みたいになってますが、北米原産です。
ホロホロ鳥との混同があったようです。
16世紀頃 欧州では東方の異国ややイスラム世界から伝来したものは、何にでもturkeyと冠して呼んでいたそうです。




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2017年10月01日

矯めつ眇めつ(ためつすがめつ)

あるものを、いろいろの方面からよく見るようす。

語の構成は、
「たむ」「すがむ」の連用形に
“〜したり” を表す完了の助動詞「つ」

「矯める」(ためる)
ねらいをつける。じっと見る。

「眇む」(すがむ)
片目が細くなる。ひとみが片寄る。

「矯めつ眇めつ」
“じっと見たり片目を細めて見たりする” 意

「矯める」は弓に関わる言葉で、
矢をたわめてみては、それを目元にもっていって、
その強さや曲がり具合を吟味したことから。
転じて、
物事をいろいろな角度から見定めようとする意味に。
「すがむ」は強調的な意味でくっついたもの。
語呂もいいでね。

「矯める/揉める/撓める」(ためる)
1、曲げたりまっすぐにしたりして形を整える。
2、悪い性質やくせなどを直す。矯正する。
3、目をすえて見る。じっと見る。

「矢」由来の語に「伸るか反るか」があります。

「伸るか反るか」(のるかそるか)
私は “うまい話にのる” のように思っていたので、
「伸」と「反」の漢字が意外でした。
「伸る」は、“長く伸びる”や“真っ直ぐ伸びる”こと。
「反る」は“後ろにそる”こと。
矢師が矢を作る時、
「のため型」と呼ばれる竹の曲がりを直す物に入れ、竹を乾燥させます。
そこから取り出した竹が、真っ直ぐに伸びていたら矢として合格品。
少しでも曲がっていたら不良品。
矢師は「のるかそるか」と、成否を気にしながら竹を取り出したんですね。
転じて、
成功するか失敗するかは、一か八か。
今までは「伸るか反るか」というと、丁半博打のイメージでしたが、矢師の真剣な姿に塗り替えられました。

「いくさ」も「矢」由来です。
「戦」「軍」は当て字。
いくさの「いく」は、
矢を「射る」「射交わす」意の
「いくふ」(いくう)、
もしくは、
「まと」(的)を意味する「いくは」の語根。
いくさの「さ」は、
「矢」を意味する「さ」(箭・矢)、
もしくは接尾語の「さ」。
つまり、いくさの語源は “矢を射る” なんです。

他にも、思わぬ語に「矢」が隠れていたりします。

「手ぐすねを引く」
1、弓が滑らないように弓手(ゆんで)に薬煉(くすね)を塗る。
2、十分に用意して敵を待ち受ける。

「くすね」(薬煉)
「くすねり」の略。
松やにと油を練り合わせたもので、粘着力が強い。

他にも、
・満を持す
・的外れ ・的を射る ・的中
・図星
・矢面
・矢先
・矢継ぎ早
・矢の催促
・矢面に立つ
・白羽の矢が立つ
・光陰矢の如し
・弓を引く
・矢庭に(やにわに)
・矢も楯も堪らず(やもたてもたまらず)
・一矢を報いる(いっしをむくいる)

「矢」由来の語が現代までこんなに残っているのは、
何か心に響くものがあるのでしょうね。




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2017年09月30日

「長い」と「永い」

「長」を使うべきか「永」なのか、時々迷います。

「長」 チョウ・なが-い・おさ
長い髪の老人が杖をついている形の象形文字。
年長の人の意から後に “おさ” “ながい” の意に。

「永」エイ・ヨウ・なが-い
川の本流から支流が流れ出ている形の象形文字。
支流をもつ長い川の意から “ながい” 意に。

「長」は 形・距離・時間などがながい。
これに対して、
「永」は 時のながいこと。はてない意に用います。

二つの共通点は時間の “ながさ”。
ながねん・ながらく・ながなが・ながつづきする
などは「長」「永」どちらも使われます。
慣習として、「春の日永」「秋の夜長」
というように使い分けが決まっている語もあります。
「長い」は使用範囲が広いため、迷った時は「長」とするのが無難なようです。
「永」は死にまつわる語が多いですね。
死別=永訣=永別=永遠の眠り
永眠=永逝
悠久の時を表す語に、永遠・永劫・永久・とこしえ
「永久」と「永遠」は同じ意味ながら受ける印象は違いますね。
その違いの表現がなるほどと思わせられました。

永久はこの世的な印象。
永遠はもっと果てしない広がり。宇宙的な時間軸。

永久は “物理的” に続く感じ。
永遠は “精神的” に続く感じ。

永久は形而下的。
永遠は形而上的(超自然的)。

「とこしえ」は漢字で書くと「永久」で、
「とわ」は漢字で「永遠」
「とこしえ」と「とわ」の違いは?

「とこしえ」
ながく変わらないさま。永久不変であるさま。いつまでも同じ状態で続くさま。
えいきゅう。とこしなえ。

「とわ」
いつまでも変わらないこと。永久不変であること。
とこしえ。つね。

「とこしえ」と「とわ」の対比も
「永久」と「永遠」に似た感じです。
「とこしえ」はこの世的で、
「とわ」はこの世の外に広がっている感じ。

辞書によると、
○永遠/永久/とわ −−に栄える(3語とも使える)
○永遠/とわ −−−の眠りにつく
○永遠/永久 −−−に回り続ける天体




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2017年09月29日

連濁(れんだく)

「カ」「サ」「タ」「ハ」行ではじまる、語頭清音が語の複合によって濁音化する現象。
例を見た方が早いです。
草花(くさばな)、花園(はなぞの)、山鳩(やまばと)、草葉(クサバ)、白々(しらじら)
結合形容詞は必ずしも連濁するものではないため、外国人には悩ましいでしょうね。
NHKでは、迷いが生じている連濁の例を12語取り上げています。
1、芋焼酎
2、奥深い
3、返り咲く
4、河川敷
5、過払い/未払い
6、過不足
7、高利貸し
8、凍え死ぬ
9、税引き
10、庭作り
11、見え隠れ
12、紫水晶
どちらでも違和感のないものが多いですね。

連濁現象はハングルにおいても見られます。
たとえば、金大中。
個々に分解すれば、キム・テ・チュン、
つながると、キム・デジュン。
同様に、金正日はキム・チョンイル → キム・ジョンイル

「清濁併せ呑む」という語があります。
(せいだくあわせのむ)
大海が清流も濁流も隔てなく受け入れることから、
度量の大きいことのたとえ。
「清濁」とは、善と悪・善人と悪人・賢者と愚者などのたとえ。
この言葉、子供には説明しにくいですね。
Webにいい説明がありました。
大海は清濁いずれも嫌わず受け入れたことによって大海となった。
どんな濁流を呑み込んでも、海は全体としてみれば、変わらず青く澄んだ海。
とてもイメージしやすいですね。


濁音は3つ「が」「ざ」「ば」がありますが、
「ば」だけが清音と濁音で口の形が変わります。
そんなこと気にしたこともありませんでしたが、確かに不思議です。
では「ば」の清音は?
「ぱ」です。
「ば」も「ぱ」も破裂音。
古代は「は行」の音がなかったのです。
奈良以前-------- ぱ
奈良〜平安末期---ふぁ
江戸以降-------- は
方言に過去の音の記憶が残っています。
奄美では「人−ピトゥ」「骨−プニ」
与論島では「花−パナ」
秋田県の高齢者に「髭−フィゲ」「蛇−フェビ」
また、
16世紀には欧州からキリスト教宣教師が渡来しましたが、
当時のオランダの日本地図には、
平戸−Firando、肥前−Figen、博多−Facata
と書かれています。
発音についても、ハ行の発音は「ラテン語のFとHの中間」などと書かれています。
ハ行が パ → ファ → ハ と変化したのは、
「唇音退化」と呼ばれる現象で、唇を使う発音がだんだん唇を使わない発音へと変化していくものです。
パ行音がハ行音に変化したことにより、パ行音が失われて、現在では擬態語や外来語を除くと、パ行音の語はほとんどありません。
プイ・プカリ・プカプカ・プクプク・プスプス・プツリ・プツン・プチプチ・プックリ・プッツリ・プツプツ・プニプニ・プヨプヨ・プルプル・プリプリ・プルン
かわいらしい表現が多いですね。
日本語は擬態語が基になった言葉がたくさんあります。




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2017年09月28日

「ニッポン」と「ニホン」

オリンピックの声援では、誰もが自然と「ニッポン頑張れ!」と口にしていますね。
なんとなく「ニッポン」が正式なのかと思っていましたが、どちらも認められています。
日本国 名前の由来は、
大和時代に国名として「日の出の国/日ノ本」として、
「日本」(やまと)が決まりました。
“日が昇るもと”の意味で、当時の読みは「ヒノモト」
大化の改新の頃には「日本」の表記があります。
「ヤマト」は昔の国号「大和」を引き継いもので、
「ニッポン」と音読されるようになったのは奈良時代以降。
「ニッポン」という読みは、
呉音読み「ニチホン」が音変化したもの。
「ニホン」は「ニッポン」よりも後に生まれた読み方で、
「ニホン」と読まれるようになった理由は明らかではありませんが、
通説としては、
平安時代にひらがなが生まれましたが、当初 ひらがなには促音や半濁音の表記がなかったため、「にっぽん」の「っ」が抜け、半濁音の「ぽ」が「ほ」になったといわれています。
どちらが一般的だったかは、時代や社会情勢によるようです。
戦前・戦時中は「ニッポン」が優勢で、現在は、ニホンが多いですね。
お札を見ると、NIPPON GINKOになっています。
国家意識が強かったり、公式の場という雰囲気では、「ニッポン」が使われます。
ニッポンのほうが重々しい響きがありますから、自然な流れかなと思います。
「ホ」は摩擦音。
「ポ」は破裂音。
破裂音のほうが強い響きですし、ポの前が促音のため、唇をきつく閉じて一瞬息を止めてからパッと勢いよく開くために、より力強く感じられます。
だから声援にはピッタリなんですね。

恥ずかしいほど歴史に疎い私は、飛鳥時代のイメージを山岸凉子の「日出処の天子」から膨らませました。
厩戸王子(聖徳太子)が隋の煬帝に送った国書。
“日出ずる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無しや”
この恐れを知らぬ大胆な書き出し。
衝撃的!!




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2017年09月27日

あどけない

無邪気でかわいい。無心である。

漢字はないんですね。

「あどなし」に「気」(け)がついたもの。
「あど」は足跡処(あとど)の略で、
幼児の足もとの不安定さから。(一説)
古語「あどなし」は “子供っぽい” “あどけない”意。

類語の「いたいけ」には、「幼気」という漢字が当てられています。
これ、知らないと「おさなげ」って読みますよ。

「幼気」(いたいけ)
1、子供などの痛々しく、いじらしいさま。
2、幼くてかわいいさま。
3、小さくてかわいらしいさま。いとけない。

いたき(痛き)+ け(気)
→ 「いたきけ」の音変化。
心が痛むくらいいいじらしいさま。

「いとけない」は「幼い/稚い」という漢字。
「いとき-なし」の転化。
おさない。あどけない。

前回 取り上げた、
<「かわいそう」と「かわいい」は遠くない感情?>で、
江戸初期までは、
「かわいい」は “かわいそう” という意味があった。
と書きましたが、
「可憐」も漢字が示すように憐れむ気持ちが根底にあります。
「可憐」(かれん)
姿・形がかわいらしく、守ってやりたくなるような気持ちを起こさせること。

意外な由来で、へーーと思った語が「ややこしい」です。

「ややこしい」
複雑である。こみいってわずらわしい。

「稚児」(ややこ)からきています。
ややこ(赤ん坊)+ 形容詞化語尾「し」
“赤子のように扱いにくい”意から。
対義語は「大人」(おとな)+「し」 → 「おとなし」
赤ん坊は相手をするのがわずらわしくて「ややこしい」
大人はききわけがよくて「おとなしい」

「緑児/嬰児」(みどりご)
本来は「緑児」ですが、現在では「嬰児」表記に。
古くは「みどりこ」と清音。
私は蒙古斑からの緑子かと思っていましたが、
大宝令で <3歳以下の男児を緑児、女子を緑女と称する>
とする規定があったことから。
新芽のように生命力溢れる赤ん坊の意。

※大宝令
「大宝律令」は刑罰を規定した「大宝律」と
行政組織や官吏の勤務規定が定められた「大宝令」からなります。

“幼い”つながりで最後にもう一語。

「頑是ない」(がんぜない)
1、まだ幼くて物の道理がよくわからないさま。
2、あどけないさま。無邪気だ。

「頑是」(がんぜ)
是非の区別。分別。

「頑」
物の道理がわからない。融通がきかない。

「是」
道理にかなっている。


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2017年09月25日

共感(きょうかん)

人の意見や感情などにそのとおりだと感じること。

日経「こころの経済学」のコーナーで、「共感」のことが目に留まりました。
「sympathy」の訳が戦前・戦後・現在で変化していたというものです。
戦前は“同情”と訳され、
戦後に“同感”
そして最近は“共感”の訳が増加。
「同情」は戦前、他人の喜びと悲しみの両方を対象としましたが、戦後は他人の不幸への気持ちのみを表すようになり、「共感」という新語が登場したのです。

「同情」「同感」「共感」は
誰もが混同することなく使い分けていると思いますが、改めてその違いに注目してみたいと思います。

「同情」
Webにズバリと核心を突いた説明がありました。
< 憐れみに支えられた
一方的な
得てして上から目線の
マイナスの出来事に関する共感 >

「同感」
「私もそう思う」「わかる」といった同意を示す気持ち。
同じ価値観を持っている人には持ちやすいが、異なる価値観を持つ相手には持ちにくい。

「共感」
他者の立場になって思いを感じ取ろうとする気持ち。    
異なる価値観を持つ相手に対しても持つことができる。

心理学上の意味を見ると、
「sympathy」
他人の体験する感情を自分のもののように感じとること。
「empathy」
人・物への感情移入。

同情の類語に「惻隠」「憐憫」という難しい語があります。
「惻隠」(そくいん)
かわいそうに思うこと。あわれむこと。
由来は、
孟子の句「惻隠之心仁之端也」「無惻隠之心非人也」等から。

「憐憫」(れんびん)
かわいそうに思うこと。あわれむこと。

「憐」レン・あわ-れむ
1、気の毒に思う。あわれむ。
2、かわいく思う。いとおしむ。

「憫」ビン・ミン・あわ-れむ・うれ-える
気の毒に思う。あわれむ。




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「かわいそう」と「かわいい」は遠くない感情?

前回「共感」の類語で出てきた「憐憫」の「憐」に
“かわいく思う” “いとおしむ” という意味が含まれていて、
「んっ?」と思った方がいらっしゃったのでは?
というわけで、今回に繋がりました。

「可愛い」は当て字です。
「かわいい」は、もともと“不憫”や“気の毒”という意味で、
それが中世以降に変化して“かわいい”になったようです。

▼「かわいい」の変遷
かほはゆし (顔映し)
↓ かははゆし 音変化
↓ かはゆし 短縮
↓ かわゆい 口語
↓ かわいい

「映し」(はゆし)
1、まばゆい
2、きまりが悪い。恥ずかしい。照れくさい。

「面映ゆし」(おもはゆし)
きまりが悪い。

「かははゆし」
恥ずかしさに顔が赤らむ思い。

「かはゆし」
1、恥ずかしい。気まりが悪い。
2、見るにしのびない。かわいそうで見ていられない。
3、かわいらしい。いとしい。

平安時代には「かはゆし」は “恥ずかしい” という意味で使われていて、
鎌倉時代に “可哀想でみていられない” という意味になり、
江戸初期までは “かわいそう” でしたが、
江戸から明治にかけて “愛らしい” “いとおしい” に変化します。
方言には古い言葉が残っていることが多いですが、
飛騨の方言では「かわいい」は “かわいそう” の意味だそうです。

“哀れみ”の感情から手を差し伸べたいという気持ちになり、
寄り添うことで “いとしい” という気持ちに変わっていく。
愛情が芽生えれば “かわいく” 見えてくるもの。
そんな風な流れを想像しました。

若い子がなんでもかんでも「カワイー」と言ってるのを
なんだかなーという思いで聞いていましたが、
「かわいい」が “憐憫” に根差した語だと知ってしまうと、
私の中で、許容範囲がぐっと広がりました。
今や「カワイー」は世界に通用する語になっています。

ちなみに、
「愛しい」(いとしい)は「いとおしい」から。
「愛おしい」
1、たまらなくかわいい。
2、気の毒だ。
3、つらい。

「愛しい」は「厭う」からの派生という説があります。
「いとおしい」もまた、他人に対して “かわいそう” と思う気持ちから、“かわいい” 意が生じています。

「かわいい」「いとしい」いずれにしても、根底に憐憫の情がありました。




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2017年09月24日

多幸感(たこうかん)

多幸感ってよく聞きますが、変換できないんですね。
念のためと思って辞書を引いてみると

「多幸感」(たこうかん)
非常に幸せな感じ。
特に、薬物などがもたらす過度の幸福感についていう。

“薬物”の文字が。
多幸感って、盛られた幸福感なんですね。
それが一般に使われるようになって、
単に“幸せがいっぱい”と思っている人も多いかもしれません。
「多幸感に包まれる」と言わない方がいいかもしれません。

・皆様のご多幸をお祈り致します
「ご多幸」は正しい使い方です。

文書でよく見られるのが「幸甚」(こうじん)。
“幸いなること 甚(はなは)だし”です。
ちょっと「甚だし」という表現に違和感を覚えます。
「甚だしい」(はなはだしい)は、
“普通の度合いをはるかに超えてる”意で、よくないことに使います。
“幸せすぎて怖い”といった気持ちの表れでしょうか。
・ご出席いただければ幸甚に存じます
・お会いできましたことは幸甚の至りでございます。

私が「射幸心」とういう語を知ったのは遅くて、カジノ誘致がメディアで騒がれた頃。
ギャンブル依存症が心配されるといった声があがるなかで、
「射幸心」という語が耳に入ってきました。

「射幸心」(しゃこうしん)
幸運を得たいと願う感情のこと。

「射幸」(しゃこう)
偶然に得られる成功や利益を当てにすること。


「幸」のつく熟語を見ていて、「幸」が天皇を表す語になっていることに気づきました。

「行幸」(ぎょうこう)
天皇が外出すること。御幸(みゆき)

「還幸」(かんこう)
天皇が出先から帰ること。

「潜幸」(せんこう)
天皇がひそかに行幸すること。

「臨幸」(りんこう)
天皇が行幸してその場に臨むこと。臨御。
・式典に臨幸される

「行幸啓」(ぎょうこうけい)/「還幸啓」
天皇・皇后がご一緒に外出されること/お帰りになること。

天皇を表す特別な語があります。

「玉体」(ぎょくたい)--- 天皇の身体
「玉音」(ぎょくおん)--- 天皇の声、歩行
「玉顔」/「龍顔」(りゅうがん)--- 天皇の顔
「宸襟」(しんきん)--- 天皇の心
「叡慮」(えいりょ)・「聖慮」--- 天皇の考え・気持ち。
「御真影」(ごしんえい)--- 天皇の写真
「御親覧」(ごしんらん)--- 天皇の出席

「宸」シン
天子の住まい。また、天子に関する物事に冠する語。



posted by 空凛 at 08:54| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月23日

おかんむり

機嫌が悪いこと。怒っていること。不機嫌なさま。

・今日の部長はおかんむりだ。
・彼女はちょっとおかんむりだった。

「おかんむり」は、
「冠(かんむり)を曲げる」を縮めた言い方です。
冠とは頭にかぶるものの総称で、特に公家などが正装でかぶった物。
日本人が公の場で冠をかぶるようになったのは、推古天皇の時代(554〜628)とされます。
公家の中には反発心からか、わざと曲げてかぶる者もいて、ここから「冠を曲げる」という言葉が生まれ、
転じて“反発”や“腹を立てる”という意味で使われるようになりました。

「おかんむり」はおっとりとした響きで、角を感じませんね。

「つむじを曲げる」「へそを曲げる」も似た表現で、
「曲げる」は本来の形をゆがめることから、
“気を損じた”さまを表します。

「ご機嫌斜め」
機嫌が悪いこと。

この“斜め”もおもしろい表現ですよね。

日本人は円形・垂直・水平をよしとする考えがあり、
三角形など傾いたものを好まず、よくないとしたことから、
古語「なのめ」には “いいかげんだ” “おろそかだ” という意味がありました。
これが「ごきげんななめ」という言い方に残ったとされています。
辞書を引くと、
「斜」には“傾いてる”意の他に、人の気持ちなどが普通とは違っていること。わるいこと。
とありました。

Webにおもしろい解釈がありました。
・腹を “立てる” ほどではない、その途中の斜め程度。
・斜め → 気分が下り坂。

斜といえば、「斜に構える」という語があります。
1、剣道で、刀を斜めに構える。
2、身構える。改まった態度をする。
3、物事に正対しないで、皮肉やからかいなどの態度で臨む。

「しゃに構える」 「はすに構える」
2つの言い方がありますが、どちらも正解です。
剣道からきた語で、語源的に言えば「しゃ」です。
剣道には上段・中段・下段という構えがあり、中段の構えは胸元から相手に向かって斜めに刀を突き出す形で、一番隙のない構えになります。
ここから “身構える” “態度を改める” といった意味になりました。
現代では “皮肉な態度” の意味で使われていますね。




posted by 空凛 at 11:23| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月22日

不貞腐れる(ふてくされる)

不平・不満があって、投げやりになったり反抗的になること。
どうして「不貞」?
何か不貞と関係する話でもあり?
残念ながら「不貞」は当て字でした。
紛らわしい当て字はやめてほしいわ。
「ふてくされる」は「ふてる」+「くさる」
動詞「ふてる」は、“投げやりな行動をする”“強情をはる”意。
「ふてぶてしい」の「ふて」と同じで、「太い」からとされます。
「ふてくされる」の「腐る」は
相手の動作に対して軽蔑やののしりの気持ちを表すものです。
・いばりくさる
・まじめくさる
・言いくさる
・寝くさる
「・・くさる」は方言だと思っていました。

「ふてぶてしい」
開き直っていてずぶとい。大胆不敵である。

「ふてぶてしい」には
いくぶんかの“感嘆”のニュアンスも感じます。
太い神経。動じない強さ。
小心者にはこのふてぶてしさが羨ましく映ります。

「やけ」「やけくそ」「やけっぱち」
「自暴自棄」「破れかぶれ」「捨て鉢」
崖っぷちの言葉です。
捨て身で当たって道が開けることもありますけど。

「やけ」の漢字は「自棄」です。
動詞の「焼ける」から。
火事などの災難にあって全財産を焼き、がっかりしてしまう「焼け」から転じて、自暴自棄のふるまいを指すようになりました。

「自暴自棄」(じぼうじき)は孟子由来でした。
<<自ら暴(そこな)う者は、ともに言(かた)ること有るべからず。自ら棄つる者は、ともに為すこと有るべからず>>
不満や失望などが原因で、やけになって自分の身を粗末に扱うこと。

「捨て鉢」の「鉢」は、托鉢の僧が持っている鉢のこと。
修行の厳しさに耐えられず、ヤケを起こして鉢を捨てて逃げ出したことから。

小僧さん、よっぽど辛かったんですね。
情景が浮かんで「捨て鉢」に哀愁を感じます。

「落とし前」(おとしまえ)
もめごとの後始末。そのための金品。

「落とし前をつけてもらおうか」
ドラマでよく聞きますね。
香具師(やし)・的屋(てきや)の間で使われていた隠語で、露店などで商品の値段について客と話をつけること。
「落とす」は“決着させる”意、
「前」は分け前の「前」と同じく金額のことで、
“決着させる金額”というのが原義。
そこから、もめごとなどの“仲に立って話を付ける”意に。
さらに“後始末をつけること”をいうようになりました。




posted by 空凛 at 12:02| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月21日

二択問題|どちらが正しいでしょう?

間違いやすい語を集めた本を手に取りました。
多くは私も取り上げたことがあるものでしたが、だいぶ忘れていていくつも間違ってしまいました。
私の記憶がお粗末なせいもありますが、引っかかりやすい語というのもありますね。

さあ、どちらが正しいでしょう。
答えは最後にあります。

1) いちようらいふく の時を待つ
一陽来復 / 一陽来福

2) いっちょういっせき にはできないこと
一鳥一石 / 一朝一夕

3) いはつをつぐ
衣鉢 / 遺髪

4) かいきえん をあげる
快気炎 / 怪気炎

5)年末は かきいれどき
掻き入れ / 書き入れ

6) かつをいれる
渇 / 活

7) 肝に めいじる
命じる / 銘じる

8) こんりんざい 付き合いたくない
今輪際 / 金輪際

9) さいだい 漏らさず報告を
細大 / 最大

10)じゃっかん 二十歳
若干 / 弱冠

11)せいこん 尽き果てる
精魂 / 精根

12)袖振り合うも たしょうのえん
多少の縁 / 多生の縁

13)たいぎめいぶん
大義名分 / 大義名文

14)たんとうちょくにゅう にものを言う
単刀 / 短刀

15)戦時下 とうか管制がしかれた
灯火 / 灯下

<答え>
1)一陽来復
冬が終わり春が訪れること。
転じて、悪いことが続いた後で幸福に向かうこと。
2) 一朝一夕
3) 衣鉢を継ぐ
4) 怪気炎
5) 書入れ時
6) 活を入れる
7) 肝に銘じる
8) 金輪際
9) 細大
10)弱冠
11)精根
12)多生の縁
13)大義名分
14)単刀直入
15)灯火管制
「灯火親しむべき候となりました」という慣用句があります。
夏が去り、灯りの下も過ごしやすくなり、読書に適した秋が到来したという意。



posted by 空凛 at 08:15| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする