2010年05月31日

備考欄(びこうらん)

いろんな書類に「備考欄」というのがあり、よく目にしますが、今までなんとなく“項目にないその他のことを書く欄”という認識でやりすごしていました。

「備考」(びこう)
参考のために付記すること。また、その事柄・記事。

他にも書類でよく見る語を確認してみました。

「摘要」(てきよう)
重要な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書きしたもの。
「摘記」(てっき)
「摘録」(てきろく)
「撮要」(さつよう)
も同じ意味です。

「摘」
テキ・つま-む
1、指先でつまんで取る
2、かいつまんで選び出す
3、悪事をあばきだす

「注記/註記」(ちゅうき)
1、本文の意味を理解させるために注を書き加えること。また、その注。
「注釈」「補注」とも言います。
2、物事を記録すること。また、その記録。

「脚注」(きゃくちゅう)
ページの下部、本文の枠外に表記される短文。
用語の注釈や、補足説明などを記述する。

「脚注」に対して「頭注」(とうちゅう)「冠注」(かんちゅう)という語があります。
また、
「傍注」(ぼうちゅう)は、
本文のわきに書き添えた注釈。

「付記」
本文に付け加えて書きしるすこと。また、その部分。

「追記」
あとからさらに書き足すこと。また、その文章。

いろんな言葉がありますね。

話しはそれますが、
「覚書」(おぼえがき)が気になりました。
1、忘れないように書き留めておくこと。また、その文書。メモ。備忘録。
2、条約に付帯した、あて名も署名もない略式の外交文書。
条約の解釈・補足、また、自国の希望・意見を述べたもの。
外交使節の署名のあるものは正式な外交文書となる。了解覚書。
3、契約をする者同士が交わす、契約の補足や解釈などを記した文書。

「覚書」と言った場合、
“備忘録”“外交文書”“契約文書”といった3つの意味がありました。
1つめの意味ですが、
いまどき「覚書」「備忘録」を口にする人も稀で、すっかり「メモ」に取って代わりました。
3つめの意味では、
「覚書」と「契約書」の違いは?
といった疑問がWeb上に多数見られました。
「覚書」とは、
契約書の内容を補足する内容を書面にしたもので、補足用契約書と考えられます。
契約書と同等の法律的効果をもちます。
尚、収入印紙の貼付は税法上の問題にすぎず、印紙が貼ってなくても法律的には全く問題なく有効とのことです。




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2010年05月23日

旁が「肖」の漢字

前回「哨戒」を取り上げましたが、
今回は、旁(つくり)が「肖」の漢字を追ってみました。

悄・逍・銷・鞘・蛸・鮹・梢・稍・・
読みが「ショウ」以外、特に共通項のようなものは見つかりませんでしたが、私にはいくつかの発見がありました。

「悄」
しょんぼりする。しおれる。
「悄然」(しょうぜん)という熟語はよく聞きます。
失望したり、叱られたりして元気を失う。

「しょげる」とよく言いますが、漢字は「悄気る」なんです。

「逍」
ぶらぶら歩き回る。
「逍遥」(しょうよう)は、
坪内逍遥という作家の名前だと思っていましたら、
熟語で“気ままにあちこちを歩き回ること。散歩”という意味を持っていたんですね。

「稍」
やや。ようやく。(漸)

「鞘」
さや。

「銷」
金属を溶かすこと。消える。
「銷夏/消夏」(しょうか)
夏の暑さをしのぐこと。

金属を溶かすような酷暑の形容かと思ったら、暑さをしのぐこと。


「蛸/鮹/鱆」
いずれも「タコ」です。
なんで、3つも漢字があるのでしょう。
本来の漢字は「鱆」です。
「蛸」は本来は足高蜘蛛(あしたかくも)のこと。
タコに足が何本もあるところから
「海の蛸」→「蛸」となったようです。
さらに「虫」を「魚」に変えた「鮹」の字ができたということです。


漢字を拾っているうちに、疑問がわきました。
「蛸」と「鮹」では違う旁の字なのではないだろうか、と。
月の上が「小」の字になっているものと、「ツ」のような形のもの。
それとも書体の違い?
漢和の「肖」を見てみると、
肉(月)と音をしめす「小」とを合わせ・・
とあり、「肖」の下に「鮹」の旁の字も載っていました。
同じ字と考えていいようです。






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2010年05月16日

哨戒(しょうかい)

敵の襲撃を警戒して見張りをすること。

哨戒機・哨戒ヘリ・哨戒艇・哨戒艦
何度も耳にしながら「哨戒」の意味を調べないままにしていました。

「哨」の意味は“みはり。みはりをする”
読みは「ショウ」訓読みはありません。

そういえば「歩哨」という語がありました。
軍隊で、警戒・監視などの任務につく兵士。「哨兵」「番兵」

「立哨」(りっしょう)は、
歩哨などが、その位置を動かずに監視・警戒にあたること。

「哨戒機」とは、
主に海軍が装備して、潜水艦や艦船を探知・攻撃する航空機。
対潜水艦戦以外にも、洋上監視、捜索救難、輸送、映像情報収集、通信中継など、任務の多目的化が進んでいる。
機内にはレーダー、ソーナー、磁気探知機、赤外線カメラなどの捜索機材が搭載載されており、空飛ぶコンピューターとも呼ばれる。
(Wikipediaより)

「索敵」(さくてき) という語が哨戒機の説明の中に出てきました。
戦闘中、敵軍のありかなどを捜し求めること。

・領空を哨戒する
・哨戒飛行
・機上から索敵を続ける
・基本的な索敵方法は目視である

ところで、
「戦略」と「戦術」の違いを説明できますか?

「戦略」は大局的・長期的な視点で練られ、
「戦術」はより具体的な目的達成のための方法・手段。
戦略の下に戦術があるという構図でしょうか。

それでは、
「宣撫」という語はご存知ですか?
「宣」に「撫でる」で、どういう意味になるのかまるで想像できませんでした。
「宣撫」(せんぶ)
占領地で、占領政策の目的・方法などを知らせて、人心を安定させること。
・住民を宣撫する
・宣撫工作
・宣撫官

不気味な語です。

最後に、
使い古された感はありますが、
検索してみるとまだまだ使われている「超ド級」
・超ド級の新人
・超ド級マグロ丼
・鳩山デフレ、超ド級不況
語源は、
20世紀初頭にイギリスが造った、超性能の戦艦ドレッドノートに由来。
各国はこの戦艦に対抗する戦艦の建造に狂奔しました。
「超ドレッドノート級」が省略されて「超ド級」

まさか戦艦名からきていたとはビックリです。
この「ド」はカタカナでなくてはいけないわけですね。






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2010年05月09日

揶揄(やゆ)

からかうこと。なぶること。

日常よく見聞きしているわりには、書けない「揶揄」です。

「揶」ヤ
からかう。あざける。
「揄」ユ
なぶる。からかう。

どちらも“からかう”という意味でした。
他での使用は見られず、「揶揄」として生き残っています。

“あざける”“なぶる”には、悪意しか伝わってきませんが、
“からかう”には、おふざけの軽さも感じます。
ひやかす・おちょくる・茶化すに近い語感です。

「からかう」
1、冗談を言ったりいたずらをしたりして、相手を困らせたり、怒らせたりして楽しむ。揶揄する。
2、抵抗する。争う。

「嘲る」(あざける)
人をばかにする。あざける。

「嬲る」(なぶる)
1、弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、もてあそんだりする。
2、からかってばかにする。愚弄する。
3、手でもてあそぶ。いじりまわす。

「弄ぶ/玩ぶ」(もてあそぶ)
「持て遊ぶ」から。
1、手で持って遊ぶ。いじくる。
2、心の慰みとして愛する。
3、思いのままに操る。
4、人を慰みものにする。なぶる。

Wikipediaには、
「揶揄」は、社会的立場が強い人に対して用いられ、風刺の意図が強い言葉として定義する。
とありました。

確かにWebでも政治に関するものが目に付きます。
・自民党の追及も、皮肉や揶揄のレベルを出ていない。
・首相の言葉を揶揄する発言
・政治家を揶揄するイラスト
・髪が薄い男性を揶揄する「かっぱ寿司」CMに非難の声

言い方が直接的でないということでは、
「あてこする」や「皮肉る」という語もあります。

「当て擦る」
ほかの話にことよせて、遠回しに悪口や皮肉をいう。

「皮肉る」は「皮肉」の動詞化で、
遠まわしに意地悪く相手を非難すること。

「皮肉」と「当てこすり」は同じ意味でした。
それでは
「風刺」は、
社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。

「愚弄」「嘲弄」よりは、「揶揄」や「皮肉」の方がじわじわボディブローに効いてくるような気がします。




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2010年05月02日

口利き(くちきき)

1、間に立って紹介や世話をすること。また、その人。
2、交渉や談判などのうまい人。
紛争の仲裁などに幅を利かせている人。
3、弁舌が巧みなこと。口巧者(くちごうしゃ)。

「口利き」と言えば、仲介のことだと思っていましたが、
“弁舌が巧みな人”の意味もありました。
Webには「口利き汚職」なる表現も見られ、政治家の「口利き」問題が目に付きました。
確かに、「口利き」には裏工作的なイメージが付いてしまった感もありますね。

「利」は、
穀物を鋭い刃物で収穫することで、
“するどい”意と、
刈り取ったものから“もうけ”の意が生じました。
リ・き-く
1、するどい。
2、うまくいく、都合がよい。
3、もうけ。
4、効き目がある。

利益・利権・薄利・暴利・利子・利札・
金利・利潤・利殖・利息・複利・単利・
こういった「利」は周りにあふれていますが、
“するどい”という意味には目を向けていませんでした。
「鋭利」は「鋭」「利」とも“するどい”意なのでした。
対語は「鈍」。
「文明の利器」という時の「利器」は、
“便利な機器”という意味ですが、
“よくきれる刃物”という意味もあります。
対語は「鈍器」
「利刀」(りとう)は、“よくきれる刀”

「利発」(りはつ)は、
1、賢いこと。頭の回転の速いこと。
2、役に立つこと。有益なさま。
「利発」は「利口発明」を縮めたものだそうです。
それぞれの熟語を見ると、
「利口」(りこう)
1、頭がよいこと。賢いこと。
2、要領よく抜け目のないこと。
3、口先のうまいこと。
「利口」って、100%誉め言葉ってわけではないですね。

「発明」(はつめい)
1、今までなかったものを新たに考え出すこと。
2、物事の道理や意味を明らかにすること。
1、賢いこと。(名・形容動詞)

「目利き」(めきき)は、
器物・刀剣・書画などの真偽・良否について鑑定すること。
その能力を備えた人。

「耳利き」(みみきき)なる語までありました。
うわさや秘密などを、いち早く聞き出したり探り出したりすること。

・利き腕・利き目・利き足
・気が利く
・鼻が利く
・目が利く
・顔が利く
それでは、
「幅が利く」(はばがきく)とは、
勢力や発言力がある。はぶりがよい。
「幅利き」(はばきき)という語もあります。

顔や幅が利く人が口を利くと圧になるわけですね。




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2010年04月25日

掩巻(えんかん)

書物を少し読んだら、いったんそれを伏せてその内実を味わうようにするという学習法。

江戸の私塾の読書法に「掩巻」と「慎独」というのがあったそうです。
「慎独」とは、読んだ内容を必ず他人に提供せよというもの。

掩巻のことを知らなくても、本に入り込んだ時など、途中で文字から目をはなし、追想することはありますね。

ところで、
「慎独」(しんどく)の意味は、
自分一人のときでも、行いを慎み雑念の起こらないようにすること。

「速読術」がよく知られているのとは反対に「掩巻」は変換もできず、辞書にも載っていませんでした。

「掩巻」をどこから拾ってきたかというと、
先日のTV東京「ワールドビジネスサテライト」という番組で、書評家・松岡正剛氏が語られた中に出てきた語でした。
その時はパソコンに向かっていて、背中でTVを聞いていて、思わずノートの端っこにメモしたものでした。
今日そのメモの漢字を見たのですが、TVのことはすっかり忘れていて、検索をして内容をたぐっているうちに思い出しました。

「掩」
エン・おお-う
1、おおう
2、かばう

「おおう」には、
「覆う」「被う」「蔽う」「蓋う」「掩う」
と5つの漢字があったんですね。

「掩」にはいくつかの熟語がありますが、ほとんど目にしないものばかりです。

「掩蓋」(えんがい)
1、物の上にかぶせるおおい。
2、敵弾を防ぐために塹壕の上に設ける木材・石材などのおおい。

「掩蔽」(えんぺい)
1、おおい隠すこと。
2、地球と恒星・惑星の間に月が入り、その恒星や惑星を遮り隠す現象。

「掩護」(えんご)
1、困っている人を助け守ること。
2、敵の攻撃から守ること。→援護

「掩耳盗鐘」(えんじとうしょう)
耳を掩(おお)いて鐘を盗む
鐘を盗もうとして、鐘の音の鳴り響くことを恐れ自分の耳をふさいでも何の意味もないという意から。
浅はかな考えで自分の良心を欺き、その場逃れをしても、いずれ悪事は知れ渡ってしまうこと。
また、自分を欺いて悪事をはたらくことのたとえ。
同じような意味に、
「掩耳盗鈴」(えんじとうりん)
「掩目捕雀」(えんもくほじゃく)

ちなみに、奄美大島でよく目にする
「奄」は
エン・おお-う
1、おおう
2、にわかに。たちまち
3、気がふさがって通じない。

「奄」も「気息奄々」(きそくえんえん)くらいしか使われていないようです。
息が絶え絶えになって、今にも死にそうなさま。




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2010年04月18日

「分掌」(ぶんしょう)

仕事・事務を手分けして受け持つこと。分担。

私は「分掌」という字に馴染みがありませんでしたが、
・職務分掌規程*
・業務分掌規定**
・職務分掌表
・公務分掌
・事務分掌
企業や公的機関・学校などで使われていました。

ところで「規程」も「規定」も“きまり”という意味を持ちますが、
違いは、
*「規程」は、官公庁・会社の執務規則
**「規定」は、法令の条文として定めること

「掌」の読みは、
ショウ・たなごころ・てのひら・つかさど-る

「手の平/掌」(てのひら)には、他の言い方もあります。
・たなごころ(手の中心の意)
・たなうら(手の裏の意)
・たなうち
・たなぞこ(手底)
「手のひら」と言った時、指は含まれず、
手首から指の付け根までの、手を握ったときに内側になる面を指します。

外側は「手の甲」ですが、こちらはこの言い方のみのようです。

手を握ると「拳」(こぶし)になり、
握りこぶし・拳固(げんこ)・拳骨(げんこつ)とも言います。
語源を見てみると、
元々は「こぶし」のことを「拳子(けんこ)」と呼び、
そこから「固く握りしめたこぶし」の意味で「拳固」と表され、
次第に「げんこ」との発音に転じたとのこと。
それから拳固を使って殴ることを「拳固殴ち」(げんこうち)と指すようになり、それが訛って「げんこつ」に。「拳骨」は当て字。

「掌」に関した語を拾ってみました。

「落掌」(らくしょう)
手紙・品物などを受け取ること。手に入れること。「落手」

「掌上に運らす」(しょうじょうにめぐらす)
てのひらの上で自由に操る。意のままに行う。

「掌中の珠」(しょうちゅうのたま)
手の中の珠。また、大事なものや最愛の子のたとえ。

「掌を反す」(たなごころをかえす)
1、物事がきわめてたやすくできるたとえ。
2、急に態度が変わるたとえ。
「手の平を返す」 「手の裏を返す」

余談ですが、
手の親指を伸ばして反らした時、親指の付け根に出来る三角形の窪みを「解剖学的嗅ぎタバコ窩」というWikipediaの記述を見つけました。
「嗅ぎタバコ窩」なんていう、妙な名前が目を引きました。
Webで説明を探しましたら、
* *
親指を伸展した時にできる長拇指伸筋腱(後方)と長拇指外転筋腱と短拇指伸筋腱(前方)の間のくぼみのこと。
ここを橈骨動脈が通り、その底には大菱形骨と舟状骨がある。
「嗅ぎタバコ」とは、粉末にしたタバコの葉を鼻孔から直接吸入するもの。
* *
手の甲、親指側の手首近くと言ったほうがわかるでしょうか。
その手の窪みに粉を置き、それをつまんで鼻から吸い込んだことから付いた名前のようです。
ちゃんとして学術名なんですね。びっくり。




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2010年04月11日

粛清(しゅくせい)

厳しく取り締まって、不正な者を除くこと。
特に独裁政党などにおいて、反対派を追放すること。

「粛清」という語には、ゾワリとする恐怖と凄みを感じます。
「粛む」(つつしむ)と「清める」この2文字から生まれた熟語が、いつの間にか血なまぐさい歴史をまとって、虐待・拷問・処刑・迫害・残虐・凄惨と同じイメージに染まっています。

「粛」が持つ意味は、
シュク・つつし-む
1、つつしむ
2、うやまう
3、おごそか
4、ただす
5、そこなう
6、しずか

・場内は粛として声もなかった
・粛として襟を正す
・隊列は粛々と行進した

同じ「しゅくせい」でも
「粛正」は、
おもに制度や規則などを対象として、厳しく不正を除くこと。

「綱紀粛正」(こうきしゅくせい)という四文字熟語があります。
乱れた規律や風紀を正すこと。
「綱」は太いつな、
「紀」は細いつなの意で、
国家を治める大法と細則。また、一般に規律。

「粛啓」(しゅくけい)は、
手紙のはじめに用いる敬意を表す語で、「拝啓」と同じ「つつしんで申し上げる」ということです。

「粛殺」(しゅくさつ)は、物騒な意味かと思ったら、
秋の厳しい気候が草木を枯らすこと。

「粛清」よりも「粛殺」の方が相応しいのではと思ってしまいました。

さて、
「粛む」「謹む」「慎む」の違いは、
*「粛む」
身をひきしめてつつしむ。厳粛
*「謹む」
言動に注意してかしこまる。謹呈
*「慎む」
手落ちのないように気を配る。慎重

「謹製」(きんせい)は、
心をこめ、つつしんで作ること。また、その製品。
多く、食品の製造業者が用いる、とあります。
森永ミルクキャラメルの裏側には「森永謹製」と記されているとのこと。
そういえば、「謹製」という文字を目にしたかもしれません。
意味を知ろうともせず、見過ごしたままにしていました。
今度、「謹製」を探してみます。



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2010年04月04日

「人事不省」(じんじふせい)

事故や病気などで、意識がはっきりせず、知覚を失っているさま。

・人事不省に陥る
・人事不省の重体

「人事不省」→ → →「意識不明」
この意味転換に私は悩みました。

「人事」と聞けば、会社の人事異動をすぐ思い浮かべてしまい、
「人事を省みず」ならば、
権力者の横暴な人事のことかと思ってしまいそうです。

辞書には、
「人事」はここでは、人のなしうることの意。
「不省」はわきまえない、かえりみない意。
とありましたが、
“人のなしうることをかえりみない”がどうして“意識不明”になるのか腑に落ちません。

「人事」に何か隠されているのでしょうか。

<大辞林>
「人事」
1、(自然の事柄に対して)人間に関する事柄。
2、人としてなしうる事柄。人としてすべき事柄。
・人事を尽くして天命を待つ
3、(会社や組織内での)個人の地位・職務・能力などに関する事柄。
4、人としての知覚や感覚。意識。

<デジタル大辞泉>
「人事」
1、人間社会の出来事。人世の事件。自然の事柄に対していう。
2、人間の力でできる事柄。人間が行う事柄。
3、社会・機構・組織などの中で、個人の身分・地位・能力の決定などに関する事柄。
4、俳句の季語の分類の一。天文・地理などに対し、人間に関する題材。

1・2・3までは共通ですが、4が違いますね。
大辞林は“意識”という意味をとっていますが、大辞泉はのせていません。
一方、
「省」も"かえりみる"や"はぶく"という意味の他に、
"安否をたずねる"という意味がありました。
ますます「人事不省」のことがわからなくなりました。

さて気をとりなおして、
「省」のほうに目を向けますと、
「帰省」(きせい)は、
「故郷に帰って親の安否を気遣う」という唐の漢詩が語源だそうです。
辞書には、
郷里に帰ること。また、郷里に帰って父母を見舞うこと。帰郷。
とあります。
私は“親の安否を気遣うという”意味があることは知らずに単に帰郷という意味で使っていましたが、実際はまさに親の顔をみるための里帰りでした。

“帰郷”の意味に、今では耳にしない「薮入り」という言葉があります。
江戸時代、商家に住み込みの奉公人たちは、正月と盆の年に2回だけしか休みをもらえないというのが一般的でした。
その休みを「薮入り」といいました。
他にも「宿入り」「宿さがり」「六入り」などの言い方があります。
薮入りは初めは正月だけでしたが、江戸中期からは7月にも薮入りをさせるようになり盆のものは「後の薮入り」と言いました。

薮入りの語源は、諸説あるようです。
*奉公人が親元に宿入りするから(宿は生家のこと)
*草深い田舎に帰るから
*父を養うために帰るから「養父(やぶ)入り」
*祭祀には野巫(やぶ)と呼ばれる陰陽師が欠かせないから「野巫要り」(やぶいり)
漢字からすれば、草深い田舎へ帰る「薮入り」ですけど、語源の信憑性はわかりませんね。
ところで、
「藪」(やぶ)という語は、弥生(やぶ)の意味で、
“益々生える、いよいよ生える”からきています。 




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2010年03月28日

逆ねじ(さかねじ)

1、非難したり抗議したりしてきた人に対して、逆に非難したりして攻撃し返すこと。
2、逆方向にねじること。

昨今あまり耳にしませんが、
“やり返す”という表現に「逆ねじ」があります。
「逆ねじを食う」「逆ねじを食わす」と言い方をします。
「口答え」は、
目上の者に言われたことに対してさからった言葉を返すこと。
「逆ねじ」は目上の者だけに限らず、相手をやっつけ返すこと。

「抗弁」は、
相手の主張に対して、誤りを指摘したりなどして反論すること。

“強引に押し込む”“責める”“押しかけて抗議”するという表現に、
「ねじ込む」があります。

ところで、
「ねじ」といえば「右ねじ」--(時計回りに回すと、締め付けられるもの)がほとんどですが、これは右利きの人が多く、右手にねじ回しを持つと、右ねじは締める時に力が入り易いためだそうです。
「逆ねじ」は機能的に有効な箇所などの特殊な用途に用いられています。

「ねじ」は「捩じる/捻じる」の連用形からきていまして、
漢字は「螺子/捩子/捻子」が当てられています。

「螺」は、巻貝の意。または巻貝のようにぐるぐるとまいたもの。

「螺旋」(らせん)は、
1、巻貝のからのように渦巻形になっていること。また、そのもの。
2、ねじ。

「旋」は“ぐるぐる回る”意です。
難読に、
旋毛(つむじ)・旋風(つむじかぜ)・旋網(まきあみ)

「捩じ上戸」(ねじじょうご)という言葉を見つけました。
酔うと理屈を並べたて人にからむくせ。また、その人。

過去に「下戸(げこ)/上戸(じょうご)」で取り上げましたが、
酒をよく飲む人を「上戸」、
お酒が飲めない人を「下戸」と言います。
また「○○上戸」の形で、酒に酔ったときに出る癖を表します。
・笑い上戸
・泣き上戸
・怒り上戸
この三つを「三人上戸」と言います。
これに「説教上戸」が加わって、お酒の癖は大きく4パターンに分かれそうです。
他にも、
・空上戸(そらじょうご)
酒を飲んでも酔いが少しも顔に出ないこと。

・盗人上戸(ぬすびとじょうご)
1、酒も甘い物も好む人。両刀使い。
2、酒を多量に飲んでも顔やようすに酔いの現れないこと。また、その人。

「盗人」も「ぬすびと」と言うと、なにやらわけありの情を感じますが、「ぬすっと」には突き放した蔑みを感じます。
「ぬすっと」は「ぬすびと」が転じたものです。




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2010年03月21日

物相飯(もっそうめし)

物相に盛った飯。盛りきりの飯。
特に、近世の牢獄で囚人に与えられた飯。

浅田次郎の「ハッピー・リタイアメント」で見つけました。
「物相飯」がどんな飯なのか、まったく想像できませんでした。

「物相」とは、
飯を盛って量をはかる器。
また、飯を一人分ずつ盛って出す器。

こう辞書にはありました。
ご飯をはかる軽量カップみたいな物?
どういう存在かよくわからなかったので、検索してみましたらやっと実態がわかりました。
ご飯の型抜きのことをいうようです。
「相」は木型のことで、同じ形の物を沢山作るための木型です。
お弁当に梅や松の形で抜かれたご飯が入っていますが、あれを「物相ご飯」といい、その形を作る型のことです。
和菓子用の型も物相型というようです。
田舎では祝いの時に押し寿司を作っていましたが、「物相寿司」というのもありました。

「相」には、
“すがた・ようす”という意味の
風貌・相貌・様相・面相・形相・血相・
という熟語があります。

「血相」(けっそう)って、
手相・家相・印相の後に並んだら、血液占いみたいに思いません?
「血相」は、“顔の表情・顔色”という意味ですが、
・血相を変える
という決まりきった言い方でしか使われていませんね。

「形相」(ぎょうそう)も“顔かたち”という意味ですが、
・必死の形相
・鬼のような形相
恐怖や怒り嫉妬など激しい感情の表情にのみ使われます。

「面相」(めんそう)は「相貌」や「容貌」「容姿」と同じニュアンスでは使われません。
・よくその御面相で・・
・怪盗20面相

「貌」は1字で、“顔立ち”“容姿”という意。

ちなみに、
「美人」は“美女”の意ですが、古くは男子もさしたようです。
「美貌」(びぼう)は、“美しい顔かたち”で、性別のことには触れていませんが、ほとんど女性の誉め言葉になっていますね。




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2010年03月14日

知悉(ちしつ)

知り尽くすこと。詳しく知ること。

「悉」という字が見慣れないですが、
訓読みは、“すべて・残らず”という意味の
「悉く」(ことごとく)なのでした。
「ことごと」とは、「事事」の意から。

私は使ったことがない「知悉」ですが、Webで以下のような例が拾えました。
・認知証を知悉する
・器械のことに知悉している医者
・天を知悉し、己を錬磨する
・光と影を知悉する監督
・固有の危険有害要因を知悉していること

同じような意味に、「熟知」「精通」がありますが、
Google検索をかけてみると、
精通----1230万件
熟知----573万件
知悉----165万件
やはり「知悉」の使用頻度は少ないと思われます。

「悉」
シツ・ことごと-く
1、全部。ことごとく。
2、きわめ尽くす。

「知悉曲筆」(ちしつきょくしつ)という言葉がありました。
事実とは違った、曲がった文章を書くこと。
「曲筆」は、
事実を曲げて書くこと。また、事実を曲げて書いた文。

「舞文曲筆」(ぶぶんきょくしつ)も似ています。
故意に言葉をもてあそび、事実を曲げて書くこと。曲筆舞文。

「舞文」って、きれいな字面(じづら)ですが、
意味は、悪いことなんです。
1、自分勝手に言葉をもてあそんで自分に有利な文章を書くこと。
また、その文章。
2、自分勝手な解釈で法律を濫用すること。

ところで、
「熟知」の「熟」の読みを見ていて、
「つらつら」とういう読みを発見しました。
「熟熟」と書いて「つらつら」なんです。
意味は、
“つくづく・よくよく”
漢字の「熟熟」を見れば、意味がとれるかと思いますが、
普通、ひらがな表記の「つらつら」、
かなりの人が誤解しているような気がします。
私自身、“ぼんやり”のような意味だと思っていました。
まったく違っていますね。
Webに意味理解調査の結果が出ていましたが、正解は少なく、
“だらだら”と思っている人が半数以上でした。
Webでの使用例を見ても、“よくよく”という意味にはとれないものが多く見られました。
つらつらの音に人それぞれのイメージを重ねてしまっている気がします。
私の場合は、無意識のうちに「うつらうつら」の影響を受けたのかも。




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2010年03月07日

懲戒処分(ちょうかいしょぶん)

公務員として果たすべき義務に違反した者に対する制裁として科せられる処分。裁判によって確定する刑事処分ではなく、処分権限者は、当該機関の長。
職員は、法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることはありません。
その規定は、国家公務員法第82条及び地方公務員法第29条にあります。
処分に不服のある場合には、人事院に申し立て、救済の審判を受けることができます。
懲戒処分は、違反行為の内容によって、
懲戒免職、停職、減給、戒告、訓告などがあります。

*免職
職員の意に反してその職を失わせる処分。
*停職
一定期間、職務に従事させない処分。
国家公務員の場合は1日以上1年以下。
*減給
国家公務員の場合は1年以下の期間、俸給の5分の1以下を減額。
*戒告
職員の非違行為の責任を確認し、口頭で注意すること。

民間企業における懲戒処分は、就業規則に則って行なわれますが、通常は公務員の規定に準じていることが多いようです。
ただし、公務員と違って「懲戒免職」ではなく、雇用契約を解除するという意味の「懲戒解雇」になります。

私は、このへんの公務員と民間との違いを認識していませんでした。

免職と同じ“職をやめさせる”という意味に「罷免」(ひめん)があります。
では、「免職」と「罷免」の違いは何なのでしょう。
「罷免」は、
違法行為に限らず、その職務を続けていくのに適しないとされた場合に辞めさせること。

免職には他にも、
「諭旨免職」「分限免職」というのがあります。

「諭旨免職」(ゆしめんしょく)
違法行為はあったが懲戒免職にするほどではないので、本人を諭して自分から申し出ての退職とすること。
通常、懲戒解雇に退職金の支給はありませんが、諭旨免職には退職手当の何割かは支給されます。

「分限免職」(ぶんげんめんしょく)
公務員としての適格性などを理由に身分を失わせること。

一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障がある場合など、その職に必要な適格性を欠く場合、公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。
職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり、懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当が支給されます。

「分限免職」というのは聞いたことがありませんでした。
「分限」とはどういうどういう意味なのでしょう。

「分限」(ぶんげん)
1、上下・尊卑の区別などによって定まる身分。身のほど。分際。ぶげん。
・分限をわきまえる
2、財力。財産。また、金持ち。ぶげん。
・分限者
3、公務員の身分に関する基本的なことがら。
4、それ相応の能力や力。

「ぶげん」と読むと、
1、身のほど。分際。
2、財力があること。また、財産家。富者。

「分限者」(ぶげんしゃ)
金持ち。財産家。ぶんげんしゃ。

「俄分限」(にわかぶげん)という言葉もありました。
急に大金持ちになること。また、その人。

「分限者」というのは、時代劇か何かで聞いたようなきがしますが、日常で「分限」という言葉は耳にしませんね。

似た意味に「分際」というのがありますが、
たいてい、
・養ってもらっている分際で・・
・子どもの分際で生意気な
・分家の分際で・・
などと、相手を見下してののしる時に使われることが多く、悪いイメージがついていますが、「分際」自体に悪い意味は含まれていないようです。

「分際」(ぶんざい)
1、身分の程。身の程。ぶん。
2、それぞれの人や物に応じた程度。



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2010年02月27日

杓子定規(しゃくじょうぎ)

規則や形式などにとらわれて応用や融通のきかないこと。

現在「杓子」という呼び方をしなくなったので、
そもそも「杓子」が何かということからはじめます。

「杓子」(しゃくし)
飯・汁などをすくう皿形の部分に、柄がつけてある道具。

現在は、ご飯用は「しゃもじ」、お汁用は「おたま」と使い分けていますね。

「しゃもじ」の語源は、
「杓子」の頭字「しゃ」に接尾語「もじ」が付いた女房言葉(にょうぼうことば)です。
本来「杓子」は飯・汁をよそうものですが、
しだいに米飯をよそうものを「飯杓子」(めしじゃくし)、
汁用を「お玉杓子」と使い分けました。
その後、飯用のものを「しゃもじ」というようにりました。
ちなみに、
カエルの子の「おたまじゃくし」の語源もここからきているとのこと。

さて、その「杓子」の柄は、古くはたいてい曲がっていました。
その曲がっている柄を「定規」代わりに使うということで、
誤った基準でものをはかろうとすることをいい、
転じて、融通のきかないやり方や態度をいうようになりました。

「杓子定規」って、曲がった柄を定規に使うことからきていたんですね。

ところで、
「曲尺」は、なんと読むでしょう?


「かねじゃく」と読みます。
主に大工さんが使う金属のL字型モノサシです。
金属でできていますが、「金尺」ではないんですね。
曲がった尺。

「かねじゃく」は「矩尺」とも書きます。

「矩」
1、曲尺に同じ。さしがね。
2、のり(法則)。きまり。
3、四角。

矩形(くけい)は“長方形”のことです。

杓子定規に似た意味に「四角四面」がありますが、こちらは真四角=正方形のことです。







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2010年02月20日

動意(どうい)

停滞し、ほとんど動きを見せなかった相場が、少しずつ上昇または下落する気配を見せること。
多くの場合は、上昇に向いたときに言う。

「動意」はマーケット情報で時々耳にすることがあり、面白い表現だなと思っていましたが、株の用語だとは知りませんでした。
以下のような、独特の言い方があります。
・株価が動く気配を示すことを「動意づく」
・横ばいだった相場が少しずつ上昇しはじめることを「動意をみせる」
・動き出そうとする気配が感じられることを「動意含み」
・動き出そうとする気配が見受けられないことを「動意薄」
といいます。

使い方としては、
・全体的に動意が乏しい
・景気の先駆けて動意を示す先行指標
・動意に欠けるマーケット
・動意銘柄

「○意」となる熟語はとんでもなく豊富にあります。

敬意・好意・善意・誠意・懇意・
民意・衆意・総意・合意・隔意・
悪意・敵意・殺意・故意・犯意・叛意・邪意・
辞意・留意・来意・翻意・
任意・随意・作意・創意・
注意・用意・失意・得意・不意・一意・
本意・真意・大意・鋭意・寸意・客意・

「意」は、広く心の働きに用いる語ですが、
自然の様子を表わすことにも使われていました。

「秋意」(しゅうい)
秋の気配。秋の風情。

「雨意」(うい)
雨の降りそうなようす。雨模様。

「雪意」(せつい)
雪が降ろうとする空模様。
・雪意を催ふして来た田の中道を横ぎって・・
・雪意ありて 犬の息白し 凍(いて) 戻る
横山大観の絵に「雪意」というのがありました。

「雨意」や「雪意」の「意」って、自然の意思ってことでしょうか。
日本人らしい表現だと思いました。



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2010年02月14日

揣摩臆測/揣摩憶測(しまおくそく)

根拠もなくあれこれおしはかって勝手に想像すること。当て推量。

・部長の辞任に関して揣摩臆測が飛び交っている
・相手の出方を揣摩臆測する
・揣摩臆測は慎んでもらいたい

「揣摩」(しま)
他人の気持ちなどを推量すること。

「摩」は“こする”という意味以外に“おしはかる”という意味がありました。
「揣」も“おしはかる”意。「揣摩」以外では使われいない漢字のようです。
さらに「揣摩」だけで使われている例はほとんど見られず、
「揣摩臆測」として生き残っているようです。
また、
「揣摩の術」(しまのじゅつ)というのがありました。
中国の一種の弁論術で、君主の心を見抜き、思いのままに操縦する術のこと。
中国の論争は西洋の論争とは違い、相手を追い詰めることはせず、気持ちを取り込む術。
司馬遷の「史記」にでてくる張儀(ちょうぎ)と蘇秦(そしん)が揣摩の術の達人として有名で、合従連衡(がっしょうれんこう)という言葉もこの二人が成し遂げた偉業です。

「揣摩臆測」は、摩天楼の「摩」を調べていたら、
「揣摩」なる熟語が目に止まり、
「揣摩」から「揣摩臆測」に至りました。
最初、何か深い意味が隠された語なのかと思ってしまいました。
ずいぶん前に拾った言葉でしたが、めったに使われないし、お蔵入りかなと思っていましたが、山崎豊子「沈まぬ太陽」で目にして、取り上げる気になりました。

“おしかはる”に似た意味の熟語を拾ってみると、
推量・推測・推察・推考・推論・推当・推知・推定・
臆測・憶断・臆説・
想察・想像・恐察・忖度・
仮想・仮定・仮説・
予測・予断・見当・目算

「恐察」(きょうさつ)
他人の事情を推察することをへりくだっていう。拝察。

「恐察」は怖い警察かと思いましたら、まるで違いましたね。




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2010年02月11日

地番(ちばん)

法務局が登記された土地に付した番号。

マンションの物件情報などで目にして気になっていたのですが、調べてみると不動産用語が芋づる式に引っかかってきました。

「地番」に対し、
通常よく見る住所は、市区町村が定めた「住居表示」です。
「○○丁目○○番○○号」という表記になっています。

「地番」は土地に付けられた番号
「住所」は建物に付けられた番号
と理解するといいようです。

土地の戸籍のようなものを「地籍」といい、地番・所有者・地目・面積などが記されています。

土地登記簿上で一個の土地とされたものを「一筆」(いっぴつ)
一筆の土地を分けることを「分筆」(ぶんぴつ)
一筆の土地に合わせることを「合筆」(がっぴつ)
と言います。
ここで、土地を数える単位がなぜ「筆」なのか疑問に思いました。
Webで調べてみると見つかりました。

江戸時代に徳川吉宗が行った享保検知で、検地帳に土地の所在・面積・土地の等級・所有者がスラスラッと一筆(一行)で記載されたことから、一個の土地を「一筆」と呼ぶようになったということです。

日本において土地の近代的所有権が確立したのは、明治維新後。
明治4年、廃藩置県が行われ、
明治5年、土地売買の自由が認められ、
官有地、私有地などが一筆の土地ごとに地券が発行されました。
尚、
明治以来国有地である土地は、登記されたことがないため地番が付されていません。
国有地の上に建つ建物にも「番地」がつきません。
これは、登記制度が「国が第三者の立場で権利の移転・設定の登記手続きが適法になされた事」を証明する制度であるため、当事者である国が、国の権利取得を証明する意味がないからです。

国有地上にある建物の住所は、最も近い「地番のついた」土地の番号を使って「○○番地先国有無番地」(もしくは「官有無番地」)と表示します。
網走刑務所の「番外地」という呼び名も、本来「国有無番地」であったものが、「別世界」というイメージから作られたものでした。

不動産業界の方には、何をいまさらというようなことなんでしょうが、知らないことばかり。
「国有無番地」という表記は目にしたことがありません。



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2010年02月07日

「曾て」

「曾て」って読めますか?

山崎豊子著「沈まぬ太陽」の中で何度も出てくるんですが、読めなくてイラっとしました。

「かつて」と読むのでした。
最近ではほとんど漢字表記は見られませんね。
「曾」の付く語には、
麻生前総理の発言から一躍有名になった「未曾有」や、
「曾孫」「曾祖父」「曾祖母」があります。

「未曾有」(みぞう)
《未(いま)だ曾(かつ)て有らず》
今までに一度もなかったこと。また、非常に珍しいこと。希有(けう)。

未曾有を辞書で確認していれば、「曾て」は読めましたね。

「曾」を見ると、
ソウ・ゾウ・かつ-て
1、かつて。以前に。
2、世代が重なること。
「曽」は俗字。

「曾孫」は“孫の子”という意味で、
読みが数通りあります。
「そうそん」
「ひいまご」---「ひまご」の音変化。
「ひこまご」
「ひひこ」
「ひこ」

「曾祖父」も「そうそうふ」の他に「ひいじじ」「ひじじ」とも読みます。

曾孫の子は「玄孫」(げんそん/やしゃご)と言います。
「やしゃご」までは聞いたことがありましたが、その先8代まで表す言葉がありました。
2--孫
3--曾孫(そうそん)
4--玄孫(げんそん)
5--来孫(らいそん)
6--昆孫(こんそん)
7--仍孫(じょうそん)
8--雲孫(うんそん)

他に「曾」のつく熟語は、
「曾遊」(そういう)がありました。
以前に訪れたことのあること。
・曾遊の地

ところで、
ひらがなの「そ」は、「曽」の草書体から、
かたかなの「ソ」は、「曽」の2画までをとったものでした。

「ソ」と「ン」は活字で見ると識別できますが、手書きの場合はとても紛らわしいですね。
「メゾン」などは、書いた当人でさえも読みづらいなと思ってしまいます。




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2010年01月31日

さばける

・魚をさばく
・大量の在庫を売りさばく
・たまった仕事をさばく
・荒馬の手綱をさばく
・着物の裾をさばく

この「さばく」の漢字が浮かびませんでした。
「捌」です。
手で別ける。なるほど。
ベツ・ハツ・ハチ・さば-く
1、やぶる
2、わける
国字は、さばく。さばき。

「捌く」(さばく)
1、入り乱れたりからんだりしているものを解きほぐす。
2、鳥・魚などを切り分ける。解体する。
3、扱いにくいものをうまく扱う。また、道具などを使いこなす。
4、物事を手際よく処理する。
5、商品を売り尽くす。
6、目立つように振る舞う。

・水はけがよい
・商品がよくはけた
・不満のはけ口
この「はけ」も「捌」です。

また、
「さばけた人」などと言う時も「捌けた」です。
私は“テキパキ手際がよい”というような意味で使っていましたが、辞書の「捌ける」には“世事に通じていて、物分かりがよい”とありました。

「さば」つながりで、
「さばさばする」は「さばける」から来ているのかと思いましたら、違うようです。
語源はわかりませんでしたが、漢字は当てられていません。

「さばさば」
1、面倒なことや嫌なことなどと縁が切れて、さっぱりした気分であるさま。
すっきり。
2、性質などがさっぱりしているさま。物にこだわらぬさま。

・面倒事が片付いてさばさばした気分になる
・さばさばした性格

似た意味合いとしては、
「あっさり」「さっぱり」などがあげられるでしょうか、それぞれに受ける感じが違いますね。
また「さばさばしている」は、プラス評価とマイナス評価の両面があるようです。
話の前後や相手の口調で感じ取れるものですが、悩ましい時もあるかもしれません。
特に女性の場合、女らしいうるおいがないことのように受け取りがちですので、誉めたつもりで言ってもムッとされるかもしれません。
私も「さばさば」には、なんだか大雑把なイメージを受けてしまいます。
勝手な思い込み?



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2010年01月30日

推敲(すいこう)

文章を何度も練り直すこと。

今さら説明するまでもない頻出の語です。
故事ということも知られていると思いますが、私はその成り立ちを知らないままきてしまいました。

「推」と「敲」で迷ったという話しですが、
どういう状況の文章だったのでしょう。

以下の詩の4行目がその箇所です。
結局「敲」の字が使われました。
* * *
閑居隣並少なく、
草径荒園に入る。
鳥は宿る池中の樹、
僧は敲く月下の門。
橋を過ぎて夜色を分かち、
石を移して雲根を動かす。
暫く去って還た此に来る、
幽期言に負かず。
* * *

お話しは---------
時代は唐の中頃、
賈島 ( かとう ) という男が ロバにゆられながら詩の創作にふけっていました。
「僧は推す月下の門」とできたのですが、
どうも「推 す」(おす)を「 敲く」(たたく)にした方が良い気もする。
さて、どっちが良いか?と迷い、ロバの背で、推したり敲いたりを真似して考えあぐねていたところ、ある貴人の行列に行き当たってしまいました。
衛兵に引き立てられたので、事情をつぶさに説明して非礼をわびたところ、貴人は怒るどころか、「それは君、「敲く」のほうが月下に音を響かせる風情があって良いな」との答え。
その貴人は詩人としても名高い 韓愈 ( かんゆ ) その人だったのです。
2人はそこで意気投合し、心ゆくまで詩を語り合いました。
後に、賈島は韓愈の門人(弟子)となり、詩人として独立しました。
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「推」に“おす”
「敲」が“たたく”
という意味があることを知りました。

「推」
スイ・おす
手でおしやる意。
“おしはかる”という意味で覚えていましたので、「押す」と類義だったのが発見でした。

「敲」
コウ・たた-く
指先やこぶしで軽くたたく。ノックする。

「敲」は「推敲」以外では使われていないようです。

一方、
「叩」
コウ・たた-く
1、たたく。はたく。
2、地面に打ち当てる。

「叩頭」(こうとう)
頭を地面にすりつけてお辞儀すること。叩首。

「叩扉」(こうひ)
扉をたたくこと。訪問すること

叩き台(たたき-だい)
よりよい成案をめざして意見や批判によって練り上げてゆくための、もとになる案。試案。

叩き上げ(たたき-あげ)
下積み時代の苦労を経て、腕を磨いて一人前になったこと。

「叩き台」や「叩き上げの○○」という言い方はよく聞きますね。





posted by 空凛 at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする