2018年04月25日

しゃらくさい

今回は久々に語源ものです。

●しゃらくさい
生意気。
「しゃら」は高貴な人が使う香料の「伽羅」(きゃら)のこと。
身分の低い人がつけると「伽羅臭い」とからかられたことから。


●うんともすんともいわぬ
江戸時代に流行した「うんすんカルタ」に由来。
ポルトガルから伝わったカルタで、
「うん」は「1」
「すん」は「最高」を表す。
このカルタがすたれてしまったため、
誰もうんともすんとも言わなくなったと言われて。


●ざっくばらん
江戸時代、髪の毛が乱れている様子を「ざっくばらり」と言いました。
髪が乱れているようなあけすけな様子を指し、
それが次第に人間の様子や態度を表す「ざっくばらん」に。


●へなちょこ
酒を飲む猪口のこと。
「へな」という黒い粘土でできた猪口があり、
あまり出来がいいものではなかった。
そこから悪口として未熟者をからかう言葉になりました。

「へな」は辞書に載っていました。
「粘=土」(へな)
粘土。また、水底にたまった粘土を多く含んだ黒い土。
へなつち。

ヘヤーカラーの「ヘナ」を思い浮かべましたが、関係ありませんでした。
ヘンナ(ヘナ)は、
古代から染料として使用されてきたハーブで、高さ3〜6mの常緑低木。
葉を乾燥させ粉にしたものを水などで溶き、
髪・眉・爪・手足などの染色やペイントに使用されています。
数日で消えるヘナタトゥーというのもあります。

「へなへな」も「へなちょこ」とは無関係でした。

「へなへな」
擬態語
1、曲がったりしなったりするさま。
2、力なくくずれ、座りこむさま。

へなへな・へとへと・へろへろ
と並ぶと、サラリーマンの形容語みたいですね。
酔って、ぐでんぐでんのへなへなになったのが、
「べろんべろん」。

擬態語は愉快ですね。








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2018年04月23日

処理と処分

先日、文書作成中に処理と処分どちらを使うべきか迷ってしまいました。

「処理」(しょり)
物事を取りさばいて始末をつけること。

「処分」(しょぶん)
1、取り扱いを決めて物事の決まりをつけること。処理。
2、規則・規約などを破った者に罰を加えること。処罰。
3、不要なものや余分なものなどを始末すること。

「始末」(しまつ)
物事の締めくくりをつけること。
後片付けをすること。処理。

「処置」(しょち)
その場や状況に応じた判断をし手だてを講じて、物事に始末をつけること。

「処分」「処理」「処置」の用法をまとめると、
○処分
*人に対して使う場合は、違反・違法行為をした者に罰を加えること。
*物についていう場合は、捨てたり手放したりする意。

○処理
*人に対しては使わない。
*物に対して手を加えてそれまでとは違った形にしたり、片づけたりすること。

○処置
*人にも使う。
*「処理」より一時的で、当面の手当ての意が強い。

廃棄物処理法においては、「処分」と「処理」は明確に区分けされています。
「処分」は廃棄物の中間処理と最終処分を指し、
「処理」はゴミの収集・運搬・保管・中間処理・最終処分まで、すべての過程を表します。
処理業者としての免許を受ける際にはこの違いは重要になります。

日本語においては、処分>処理
廃棄物処理においては、処理>処分
という関係になります。

産業廃棄物は2つに区分されています。
「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」
「特別管理--」は、爆発性、毒性、感染性など、
人の健康又は生活環境に係る被害を生ずる恐れがあるもの。

最終処分場(埋立処分場)は大きく3種に分けられています。
「遮断型処分場」
安定化に長期間を要す有害廃棄物

「安定型処分場」
既に安定しているか、または埋立後すぐ安定する無害な廃棄物

「管理型処分場」
埋立終了後も維持管理を要する廃棄物

環境安全に必要不可欠なことなのに、ほとんど気にも留めずに暮らしています。
市民はもっと注意深い目を向けるべきかもしれません。








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2018年04月22日

素敵/素的(すてき)

1、とても好ましい。魅力的。
2、はなはだしい。並はずれた。

「素敵」「素的」は当て字で、
「すばらしい」の「す」に、接尾語「的」の付いたもの。
とする説が有力です。

この説明に「へーー」と思いました。
○○的と同じ作りとは全く予想外でした。
語源辞典を見ると、
「すてき」は江戸後期の庶民の流行語として使われていたようです。
当初はカナ書きが多く、
“程度がはなはだしい” “並はずれた” という意味でした。
明治頃から今の意味になり「素的」という字が、
大正から「素敵」が見られるようになり、
昭和になって「素敵」が一般化しました。
この当て字は “すばらしすぎて敵わない” から来ているようです。

「素晴らしい」は、
今では “すぐれている” として使っていますが、
元の意味は “程度がはなはだしい” で、
“ひどい” “とんでもない” という意味も持っていました。
両極の意味があったなんて面白いですね。
悪いほうに振り切っても “素晴らしい!”
痛い皮肉だ。

「ステキ」は女子が最も気軽に口にする褒め言葉。
多用されすぎて、ちょっと軽くなり下がった気もします。
最近は「ステキ」よりも「カワイー」の方が流行りですね。
世界的にも日本の「カワイー」というファッション感覚が注目されてきているようです。
それにしても女子は何見ても「カワイー」と言ってる。

試しに検索数を比較してみました。
「ステキ」 81,600,000
「カワイイ」77,900,000
「素敵」 299,000,000
「可愛い」 325,000,000

ところで、
○○的という表現を使えなくしたら、
猿ぐつわをしてしゃべらされるのと同じくらい
つらいことになるのではないでしょうか。

計画的・効率的・合理的・抜本的・効果的・
生産的・独占的・汎用的・国際的・発展的・
事務的・形式的・機械的・官僚的・一面的・
強制的・人為的・排他的・独占的・組織的・
政治的・保守的・閉鎖的・名目的・現実的・
独走的・複眼的・道義的・合法的・意図的・

何か言おう・書こうとすると、
必ず一つや二つ使っていそうな気がします。







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所在ない(しょざいない)

電車の中で本の広告が目に留まりました。

「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」
「拝読」(はいどく)
「失念」(しつねん)
「幸甚」(こうじん)
とあって、「所在ない」に引っかかりました。

-------------------------------------------------
所在ない
「何か仕事はありませんか?」では大人として軽すぎる。
--------------------------------------------------

私の周辺では耳にしたことはありませんが、
「所在ないのですが・・」と声をかけるのでしょうか。
私が使うフレーズは、
「手が空いているのですが・・」

「所在ない」(しょざいない)
することがなくて退屈だ。手持ち無沙汰だ。

漢語の「所在」は、
“存在する場所” や “ありか” などの意。
日本では “仕事” “職業” “地位” “行為”
といった意味を持つようになり、
所在ない=することが無い
という意味が生まれました。

「所在なげ」や「所在なさ」とも言いますね。

「所在なげ」
「げ」は接尾語。
形容詞の語幹について「〜そうだ」「〜らしい」の意。
「所在なげ」が正しい語ですが、
「所在なさげ」と言われることが多く、
辞書にも載っています。

・所在なさをまぎらわす。
・所在なげにタバコをふかしていた。
・所在なさそうに壁の絵を見ていた。
・30分ほど所在なく待っていると、私の番になった。

“退屈” という意味で、
「手持ち無沙汰」や
「無聊」「徒然」という古風な言い方もあります。

「手持ち無沙汰」(てもちぶさた)
「沙汰」(さた)とは、
「沙」=砂、「汰」=より分ける
水中でゆすって、選び分ける意。
“淘汰” “裁定” “音信” “評判” “事件”
などの意味があります。
「無沙汰」= 便りがない
「音沙汰」= 便り。連絡。


“事件・行為” という意味で、
「〇〇沙汰」という言い方がありますね。
・表沙汰
・正気の沙汰
・地獄の沙汰
・色恋沙汰
・暴力沙汰
・流血沙汰
・裁判沙汰
・警察沙汰

参考までに、
「無聊」「徒然」の例文を並べてみました。

「無聊」(ぶりょう)
・花作りに精を出すよりほかに無聊を慰める手段がなかった。
・秀秋は鷹狩をして無聊を紛らしていた。
・ようやくここ数日の無聊から解放されそうだ。

「徒然」(つれづれ)
・読書をして病床の徒然を紛らわした。
・徒然な舟の中は人々の雑談で持ち切った。








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2018年04月18日

ご案内

「ご案内のことと思いますが、日本は少子高齢化が進んでおります」
などとスピーチで耳にする「ご案内」に違和感を持っていました。
「ご承知」「ご存知」と言えば済むところをなぜあえて「ご案内」なの?
使い方が間違っているのじゃないのって思っていました。
でも調べましたら、
「案内」には、
“事情をよく知っていること” “承知” という意味がありました。

漢和を広げると、
「案」は木製の机の意で、
・つくえ
・考える・調べる
・考え
・下書き
・予想
などの意味を持っていました。

起案・議案・懸案・原案・考案・思案・試案・
新案・図案・成案・草案・提案・答案・発案・
腹案・文案・法案・立案・翻案・妙案・名案・

「翻案」(ほんあん)
既存の事柄の趣旨を生かして作りかえること。
特に小説・戯曲などで、原作の筋や内容をもとに改作すること。

「換骨奪胎」(かんこつだったい)という語があります。
骨を取り換え、胎(こぶくろ)を取ってわが物として使う意。
先人の詩文の表現や発想などを基にしながら、
これに創意を加えて、自分独自の作品とすること。

過激なたとえで鬼気迫る四文字熟語です。

「案」と言えば「案の定」があります。
「あんのじょう」って、古(いにしえ)の響きを感じます。
語源辞典によると、
近世から使われ始めた語だそうです。
「案」は “考え・計画・予想” の意、
「定」は “間違いないこと・確か・真実” の意で、
予想していたとおりに事が運ぶさま。

現在は聞かれませんが、
「案の内」「案の外」という語もありました。

「案の内」(あんのうち)
計画どおり。思いのまま。

「案の外」(あんのほか)
予想外。意外。

そして
「案外」(あんがい)
予想が外れること。思いがけないこと。

「あんがい」にはくだけた感じを持ってしまうのですが、
そうでもないのでしょうか。
友達同士などでは「あんがい」と言っても、
大人社会では「意外」を口にしています。







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2018年04月16日

浅薄(せんぱく)

考えや知識が浅く行き届いていないこと。

お恥ずかしい話し、
長いこと「浅薄」の読みを「ざんぱく」と間違っていました。
口に出して恥をかくことがないまま発見が遅れました。
「ざんぱく」と入力して変換されず、気づきました。
心の声では、
「なんて “ざんぱく” な私!」としょっちゅう言っていたので、
つい口から出そうです。

「浅」
セン・あさ-い
1、水かさが少ない。
2、濃くない。
3、知識・思慮が乏しい。あさはか。


知識が浅いという意味の語を拾ってみました。
浅学(せんがく)・浅見(せんけん)・
浅薄(せんぱく)・浅慮(せんりょ)・膚浅(ふせん)・
無知・無学・無教養・蒙昧(もうまい)

「膚浅」・・膚が浅い?

「膚」
1、からだの表面をおおう皮。はだ。
2、表面的。うわべ。

“はだ” ではなく “表面的” という意味でした。
「浅膚」(せんぶ)という語もあり、
こちらも知らないとちょっと勘違いしそうな熟語です。
ところで、
「膚」と「肌」の違いは?

漢和には、
「膚」
からだの表面をおおう皮

「肌」
肉をおおっているはだ。

Web上の説明は、
「肌」は皮膚を上から見たときのこと。
「皮膚」は表皮・真皮・皮下組織を足した臓器のこと。

「肌」には “気性” という意味で、○○肌という言い方があります。
・姉御肌
・親分肌
・学者肌
・天才肌
・名人肌
・芸術家肌
・勇み肌/競い肌(きおいはだ)
・鉄火肌(てっかはだ)/伝法肌(でんぼうはだ)
・臥煙肌(がえんはだ)

後半部分は聞いたことない肌です。

「勇み肌」/「競い肌」
威勢がよく、おとこ気のある気風。任侠(にんきょう)の気風。

「鉄火肌」/「伝法肌」
勇敢ではげしい気性。多く女性についていう。

「臥煙肌」
威勢のよいことを好む乱暴な性質。

「臥煙」とは、
1、近世、江戸の町火消しの鳶(とび)の者。
2、江戸城の見付の警固にあたった身分の低い者。
3、ならずもの。無頼漢。

無頼漢(ぶらいかん)という語もほとんど耳にしませんね







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2018年04月15日

よく知っている語だけど・・・

◆「灯台下暗し」(とうだいもとくらし)
灯台のすぐ下は暗いところから、
身近な事情はかえってわかりにくいたとえ。

私はずっと海にある灯台のことだと思っていました。
この「灯台」は昔の照明装置「灯明台」のこと。
灯明台の光りは弱くてあまり明るくなりませんでした。


◆「筆が立つ」(ふでがたつ)
字が上手なことではなく、文章がうまいこと。


◆「元も子もない」(もともこもない)
「元」は元金、「子」は利子。
すべて失うこと。


◆「身も蓋もない」(みもふたもない)
身は容器本体のこと。
すべてが丸出しの状態ということで、
露骨すぎて味気ないさま。


◆「そうは問屋が卸さない」(そうはとんやがおろさない)
そんな安い値段では問屋だって品物を卸さない。
世の中そう簡単に思い通りにならないというたとえ。


◆「目を皿にする」(めをさらにする)
驚いたり、物を探したりするときに、目を大きく見開く。
私は薄い皿のように目を細めることだと思っていました。
目の悪い人は目を細めるでしょ。あのイメージ。
皿は皿でも上から見た丸い皿のことでした。


◆「単刀直入」(たんとうちょくにゅう)
直接に要点を突くこと。
遠回しでなく、すぐに本題に入ること。
よくある勘違いが“短い刀を真直ぐ突く”ですが、
“単身で敵中へ斬りこむ”意です。


◆「二の足を踏む」(にのあしをふむ)
思い切れずに迷う。ためらう。しりごみする。

語源の情景は、
敵に向かって突き進んでいったところ、
背後から敵の援軍が現れた。
思い切って一歩進むことはできても、二歩目はもう無理。
戻るなら今、とためらって足踏みするのが「二の足を踏む」


◆「猫も杓子も」(ねこもしゃくしも)
だれもかれも。なにもかも。

この語は語源から離れた漢字が当てられて
軽やかで可笑しみのある語に変わりました。
元は「禰子も釈子も」なんです。
「禰子」(ねこ)とは、
神官の長が神主(かんぬし)
神主の下の位が禰宜(ねぎ)
禰宜の子孫が禰子(ねこ)

「釈子」(しゃくし)
お釈迦さまの弟子。
(お釈迦さまの教えを受け継ぐ者という意味)
「禰子」は神道、「釈子」は仏教徒を指しています。
昔、日本で宗教といえば仏教と神道の2つだったので、
お釈迦さまの弟子も神様の弟子もといえば、
“だれもかれも”ということになります。
漢字が難しいかったためか、
あまり関連のない漢字が当てられます。
「禰子」→「猫」
「釈子」→「杓子」
こうなると、語源がまるでわからなくなってしまいますね。








posted by 空凛 at 15:26| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月14日

文脈(ぶんみゃく)

・○○の文脈で考えると
・××の文脈でとらえると
こういう「文脈」が気になっていました。

文脈は文のことだけに使う語だと思っていたので、
インテリな方々が使っている「文脈」は
何か背景に学問的な意味を持っているのかと思っていました。
私も文脈の背景を理解して、この高尚な表現をマスターしたいと辞書を開きました。

あら、
“物事の筋道。物事の背景”
という意味がありました。
それでも「筋道」や「背景」というよりは
「文脈」のほうがより知的な響きがします。
私だけの感覚?

Webから「文脈」を拾ってみると、
・フェイスブックのIPOを歴史的文脈で見れば
・日本人の折衷的判断における社会的文脈の効果
・世界史的文脈で読むエチオピア戦争
・戦後政党の発想と文脈
・東日本大震災と都市・集落の地域文脈
・販促に大切なことは、積み重ねてきた文脈にメッセージを添えること

高尚で知的な感じがします。
ここで、
「高尚」「知的」以外にもピタッとくる語がないか探してみました。

「高尚」(こうしょう)
1、学問・技芸・言行などの程度が高く上品なこと。
2、けだかくてりっぱなこと。対義語:低俗

「高遠」(こうえん)
1、高く遠いこと。そのさま。
2 考えなどが広く深く、計り知ることのできないこと。
また、そのさま。

「高明」(こうめい)
1、徳が高く、賢明であること。そのさま。
2、富裕であること。

「雅馴」(がじゅん)
1、文章が品があって洗練されていること。
言葉遣いや筆づかいが正しく、練れていること。そのさま。
2、態度に品があって洗練されていること。そのさま。

「格調」(かくちょう)
詩歌・文章・演説などの構成や表現から生じる全体の品格。

もっと語句がありそうに思いましたが、
物足りない結果に終わりました。






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2018年04月11日

掩蔽(えんぺい)

1、おおい隠すこと。
2、地球と恒星または惑星との間に月が入り、恒星・惑星を隠す現象。
星食(せいしょく)ともいう。

5/21の金環日食という天文ショーを控え、
メディアが様々な情報を展開してくれて
天文無知の私も自然に天体の方に興味が向かいました。

「掩蔽」も金環日食を調べていて拾いました。

辞書では「食」と「掩蔽」は同じことに思えましたが、
Webに、実際には全く違うものだという説明がありました。

http://www.d1.dion.ne.jp/~ueharas/seiten/gt3/eclocc1.htm
「食」がおこるためには、3つの天体が必要。
A=光源天体、B=影を作る天体、C=影に入る天体
「掩蔽」には、このような制限はなく、
ただ観測者に近いものが遠いものを背後に隠せばよい。

「日食」-- 月が太陽をおおいかくす。
「月食」-- 地球の影が月にかかる。

私は「掩」が読めませんでした。
どんなところに使われているのでしょう。

「掩」エン・おおう
おおい隠す。かばう。

熟語には「掩蓋」「掩撃」「掩壕」「掩護射撃」・・
戦時に関するものばかりです。

「掩護」(えんご)
味方の行動や拠点を敵の攻撃から守ること。
転じて、かばって危険から守ること。
「援護」とも書く。

「援護」とも書くとありますが、
意味の違いがあります。

「援護」
困っている人をかばい助けること。

「掩護」
戦闘用語で、敵から “守る” こと。

援護 > 掩護 という関係です。

“たすける” という意味に「援助」「支援」がありますが、
この違いは、
「援助」
物や金を与えて助ける。

「支援」
間接的なやり方あるいは実際行動で助ける。









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2018年04月09日

ぶしつけ

「ぶしつけなお願いですが・・」という時の
「ぶしつけ」を変換すると、
・不躾
・不仕付け
・撫しつけ
が出てきました。

「躾」と「仕付け」? 「不」と「撫」?

「仕付け」(しつけ)
1、子供などに礼儀作法を教えて身につけさせること。「躾」
2、裁縫で、縫い目や折り目を正しく整えるために、仮にざっとあらく縫うこと。
3、田畑に作物を植え付けること。
4、作りつけること。

語源辞典を見ると、
「しつけ」
仏教語で「習慣性」を意味する「習気じっけ」が
一般に広まる過程で「しつけ」に変化し、
作りつける意味の動詞「しつける」(しつくの連用形)が
名詞化した「しつけ」と混同され成立した語。
「躾」はしつけの対象を礼儀作業に限定する武家礼式の用語として生まれた国字。

ということで、
「撫しつけ」は消えまして、「不躾」が適当かと思いました。

他にも最近知ったおもしろい語源を紹介します。

「出張」
戦いのために他の場所へいくことで「でばり」といいました。
「しゅっちょう」と音読みされるようになったのは室町時代後期。
その後は「でばり」「しゅっちょう」が併用され、
江戸時代後半には戦いとは関係のない場面でも用いられるようになります。
明治時代以降、官庁用語として「しゅちょう」が定着。

「とちる」
室町時代から “あわてふためく” 意で用いられていた「とちめく」の「とち」と同源で、「橡麺棒」(とちめんぼう)から。
「橡麺棒」は橡の実の粉を原料にした橡麺を作るときに使う棒のことで、せわしく動かして伸ばさないと橡麺が固くなってしまうところから、あわてるさまやあわて者をたとえていう。

「月並み」
平凡でありふれいること。
「月次」とも書く。
本来は毎月行うことをいい、
俳句などの月例会のことを「月並み会」といいました。
「月並み」が平凡でありふれたさまの意味になったのは、
正岡子規が俳句革新運動を展開する際、
自分たちの新しい俳句に対して、伝統的な旧派の俳句を「月並み調」と呼んで批判したことによります。

「台無し」
すっかりだめになること。
「台」は仏像の蓮の台座、蓮座のこと。
これがないと仏像も威厳がなくなることから。







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2018年04月08日

多彩な食の表現

今回は食に係わる語をあれこれと並べてみました。

◎味
風味・美味・滋味・涼味・玩味
無味・雑味・後味・大味・秋味

最後の「秋味」は、味といっても鮭。

「秋味」(あきあじ)
北海道で、秋に産卵のため川をのぼってくるサケ。
また、一般に塩鮭。
(秋を代表する味の意から)

「玩味」(がんみ)
1、食物をよくかんで味わうこと。
2、言葉や文章などの表している意味や内容などを、
よく理解して味わうこと。

「無味」(むみ)
1、味がないこと。
2、おもしろみがないこと。

と、辞書にはありますが、
日本には「無」の思想を尊重する文化がありました。
禅の思想、茶道の発展、水に恵まれた風土によって、
素材の味や水の味を究極の味わいとする考えが
日本料理に定着しました。

◎味の表現
甘い・塩っぱい・酸っぱい・苦い・えぐい・
香ばしい・香り高い・
口どけのいい・歯切れのよい・
コクがある・キレのある・まろやかな・スッキリした・
深みのある・味わい深い・後味がよい・
芳醇な・濃厚な・風味豊かな・
野趣・繊細な味・素朴な味・玄妙な味・
馥郁とした余韻・絶品・・・・

「馥郁」(ふくいく)
よい香りがただよっているさま。

◎調理法
煮る・焼く・炒める・揚げる・蒸す・
炊く・茹でる・ゆがく・
炙る/燔る(あぶる)・燻す(いぶす)・

そして「チンする」も欠かせません。

「燔」 ハン・ボン
1、やく。あぶる。
2、ひもろぎ。祭りに供える焼いた肉。

「茹でる」はサンズイではなく、草冠ですね。
Webで見つけた解説によると、
「如」は“しなやかに従う”という意味を含んでおり、
そこから “しなやかな菜”→ 茹でられたもの

「煮る」「茹でる」「ゆがく」の違いは?
しっかり中まで火を通す「煮る」と「ゆでる」
「煮る」---- 調味液
「茹でる」-- 水(湯)
「ゆがく」-- しんなりさせる

◎擬声語
ぷるぷる・プリプリ・ぷにゅぷにゅ・
もちもち・ふわふわ・つるつる・
とろとろ・ねっとり・ぬめぬめ・べちゃべちゃ・
かすかす・もそもそ・ぼそぼそ・
かちかち・かりかり・
パリパリ・コリコリ・サクサク・プチプチ・
シャキシャキ・シャリシャリ・
パクパク・ムシャムシャ・モグモグ・ゴクゴク

擬声語はどんな食べ物なのか想像できますし、
おいしそうに食べている姿が目に浮かびます。







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2018年04月07日

累卵(るいらん)

卵を積み重ねること。
不安定で危険な状態のたとえ。

「累計」「累積」「累進課税」・・
などで知っていたつもりの「累」ですが、
辞書を見るとたくさんの見知らぬ熟語がありました。

累乗・累加・累算・累代・累累・累次
累増・累減・累年・累月・累日・累代

死屍累々(ししるいるい)なんて語もありました。

「累」の原意は “重なり連ねる”
他にも “わずらわす” という意味があります。

「係累」(けいるい)
1、つなぎしばること。
2、心身を拘束するわずらわしい事柄。
3、面倒を見なければならない親・妻子など。

「累類」(るいるい)
親類。一族。一家。

「累」
他から受ける災い。巻き添え。迷惑。

・事業の失敗で親類にまで累が及んだ
・賛成すれば自国に累が及ぶことを恐れた
・事件に距離を保ち、累が及ぶことを避けた。
・脱藩は大罪で、家はとりつぶし親戚にも累が及んだ。

「累座」(るいざ)
他人の犯罪のかかわり合いになり、
その人とともに罰せられること。連坐。

「連座制」とは、
選挙の候補者と一定の関係にある人が、
選挙犯罪により刑が確定した時、
たとえ候補者自身がその行為にかかわっていなくとも、
候補者本人に当選無効、立候補制限を科す制度。

さて、“しだいに増える” という熟語には、
「累増」「漸増」「逓増」がありますが、
使い分けはどうなんでしょう。
漢和を見ると、
「漸」は、水が少しずつしみこむ意。
「逓」は、次々に変わっていく意。

検索で、
“「累増」「漸増」「逓増」の違い” と入れてみると、
3熟語を使った文書がいくつか出てきました。
その1つ、2010年8月作成の101ページものPDFファイル
「税制抜本改革と実現後の経済・社会の姿」から抜粋です。
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企業の配当政策の変化を反映して「漸増」傾向にあるが、
・・省略・・・
「累増」した政府債務を抑制するための財政健全化を、
うまく両立させることが求められる。
・・省略・・・
勤労所得の増加に合わせて税額控除が「逓増」する部分がある。
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しっかり使い分けてますね。






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2018年04月06日

執拗(しつよう)

1、しつこいさま。
2、自分の意見にいつまでもこだわりつづけるさま。がんこ。

「拗」
1、ねじれる。まっすぐでない。
2、すなおでない。すねる。

「執」を漢和で引くと、
刑罰の道具と人が手をのばしている形を合わせて、
罪人をとらえる意(会意文字)とありました。

1、手にとる。 執刀・執筆
2、とり行う。 執行・執政・執務
3、とりついて離れない。

「執」の読みは「シツ」と「シュウ」があり、
熟語の読みに迷うことがあります。
読み分けの原則としては、
上記分類でいうと、1・2 / 3
“とりついて離れない” 意が「シュウ」と読む。
執念・執心・執着・我執・妄執・固執・

ところが、この原則が崩れているのです。
「確執」「固執」「偏執」は「シツ」と読みます。
シツ・シュウ両方辞書に載っていますが、
現代広く用いられているのは「シツ」です。
こういう両方ありの状況はいやですね。

「とる」には、
「執る」「取る」「採る」「摂る」「撮る」がありますが、
普段「執る」を使うことがないのではたと考えてしまいました。

<使い分け>
「取る」
手に取る・自分のものにする。
連絡を−/資格を−/料金を−/機嫌を−/メモを−/年を−/手を−

「執る」
物事をしっかりつかんでとり行う。
事務を−/政務を−/指揮を−/筆を−







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2018年04月04日

接受(せつじゅ)

受け取ること。また、受け入れること。

新聞で引っかかりました。
私には見慣れない語です。
辞書を引くと、上記のようなさっぱりとした説明。
それにしては日常には聞かれません。

類語辞書を見ると、
甘んじる ・ 受容れる ・ 丸呑み ・ 受容 ・ 鵜呑み ・
迎え入れる ・ 受取る ・ 受け容れる ・ 丸呑 ・
応ずる ・ 応じる ・ 入れる

“甘んじる” “丸のみ”?
何か高圧的なものが隠されているのでしょうか。

使用例をWebで調べると、
・外交文書を接受する
・代表を接受したはじめての国際機関
・輸出信用状接受額
やはり日常語ではないようです。
例もあまりみつかりません。
さらに探していると、知りたいことが見つかりました。

「接受」は公文書類などを手に入れることと、
天皇の国事行為ということがわかりました。

*
「接受」とは、
「信任状捧呈式」で文書を受理すること。
外国の大使が赴任したり離任する時、
その旨を伝える「公式文書」を受理することが目的。
そこで行われる「拝謁」とか「接見」などとは、「接受」に付随したもの。
憲法で言う、外国の大使や公使との「接受」とは、
着席しないで 終始立ったまま行われる。
*
「接受」 とは、
外交使節に対して、
接受国として反対のない旨の意思表示(アグレマン)を与え、
その信任状を受ける行為。
*

「接受」に対比する語が「派遣」で、「接受国」「派遣国」

「捧呈」(ほうてい)
ささげ持ってうやうやしく差し出すこと。
敬意を示して物を贈ること。

「アグレマン Agrement」とは、フランス語の外交用語で、“同意”。
国が外交使節の長を派遣する際に、
あらかじめ事前に相手国に外交官待遇の同意があることを確認しなければならない。

さらに、
独立行政法人原子力安全基盤機構の「特定法人文書取扱規定」の中に「接受」を見つけました。
*
「接受」とは、
機構外から送達された特定法人文書が主管の部屋に到達し、
了知可能な状態に置かれたものを担当職員が受領することをいう。
*
ただ単に「受け取った」じゃだめなんですね。

それでは、
日常に使う “受け取る” にはどんな熟語があるでしょう。
受理・受領・領収・収受・受納・査収・収受・
状況によって変わります。







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2018年04月02日

葛藤(かっとう)

葛(かずら)や藤(ふじ)のことで、枝がもつれ絡むところから。

1、人と人とが譲ることなく対立すること。 争い。もつれ。
2、心の中に相反する欲求が同時に起こり、そのどちらを選ぶか迷うこと。
〔心理学〕 コンフリクト。
3、禅宗で、解きがたい語句・公案、また問答工夫の意。

いまさらながら「かっとう」が植物の組み合わせであることに気付きました。
「カズラ」はつる植物につけられる呼称で「葛」または「蔓」

「葛藤」(つづらふじ)という植物も存在します。
http://www.h3.dion.ne.jp/~sashiba/turusyokubutu/tudurahuji.htm
また「くずふじ」は「クズ」の別称です。

植物の「クズ」は、マメ科の多年生つる草。夏〜秋 山野に自生。
蔓(つる)は強靭で、かごなどの材料となり、
根は薬用(葛根湯など)、くず粉になります。
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/kuzu.html

「葛」の読みは、カツ・カチ・くず
「葛籠」(つづら)は、
ツヅラフジのつるで編んだ衣服を入れるかご。
舌切り雀のお話に出てきますね。

「葛」の漢字ですが、正字と俗字があります。
下の部分が微妙に違います。
葛飾区と書くときに迷った記憶があります。
正字--「人+L」
俗字--「ヒ」

混在する経緯がありました。
1983年にJISが独自に字体を変更して「ヒ」にしましたが、
批判を受けて2004年に正規の字体に戻しました。
PCではXPまでのMSゴシック・明朝は俗字のままで、
VistaからMSゴシック・明朝・メイリオでは変更されています。

「藤」(フジ)もマメ科の植物です。
「藤行李」(ふじごうり)というのがありました。
藤のつるを編んで作った行李。ふじごり。

「行李」(こうり)は若い人は知らないかもしれません。
編んで作った衣料品入れ。
中国語で、他国への “使者” を指した「行李」が、“旅人” や “旅” を指すようになり、さらに “旅の荷物” を言うようになりました。
日本語ではさらに “旅の荷物を入れる箱” に転じました。
材料によって「柳行李」「竹行李」があります。

ここで籐椅子や籐枕のことが浮かんだんですが、
同じ「トウ」でも違う漢字で別の植物。
竹冠の「籐」で、こちらはヤシ科です。

「葛藤」の原意は “もつれ” なのでしょうが、
私は “どちらを選ぶか迷う” という意味のみで認識していました。
「葛藤」の類語を見て、自分の思い違いに気付きました。
“同意・調和の欠如”
不協和音・軋轢・摩擦・軋み・間隙・確執・齟齬

「間隙」(かんげき)
1、物と物との、あいだ。空間的・時間的すきま。
2、人間関係の隔たり。不和。







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