2018年04月01日

役割語(役割語)

話者の特定の人物像を想起させる特定の言葉遣い。
(年齢・性別・職業・階層・時代・容姿・風貌・性格など)

「役割語」という言葉は知らなくても、
私たちはマンガやアニメなどで
たくさんの「役割語」に接しています。

・おお そうじゃ、わしが知っておるんじゃ。
・あら そうよ、わたくしが知っておりますわ。
・うん そうだよ、ぼくが知ってるよ。
・んだ んだ、おらが知ってるだ。
・そやそや、わしが知ってまっせー。
・うむ さよう、拙者が存じておりまする。

「キャラ語尾」
---ざます
---ざんす
---じゃん
---ぜよ
---だっちゃ
---だわさ
---ニャン

役割語によって瞬間にキャラクターが浮かび上がります。
一番最初の「〜じゃ」という言い方は、
鉄腕アトムの御茶ノ水博士を思い浮かべました。

実際には使われていない話し言葉なんですけど、違和感なく受け入れていますね。
役割語の提唱者である日本語学者の金水敏は「バーチャル日本語」と言っています。
共通のイメージと結びついているという点で、ステレオタイプの言語といえます。

「私」「僕」「俺」「ワシ」「おら」「拙者」「貴様」「それがし」など、
日本語の豊富な人称代名詞と文末表現を組み合わせることで役割語が生み出せます。

農民や田舎者を表現する際には、
「おら」「〜するだ」「〜だべ」のような東北弁風のしゃべりが使われ、
中国人を表現する際には、
「〜あるよ」「〜あるね」「〜するよろし」など、助詞を省略した話し方。
外国人俳優やスポーツ選手のインタビュー翻訳もキャラクター付けされた言葉使いになっています。

老人語ができ上がったのは江戸時代であることがわかっています。
男女の話し方の違いは、明治時代の東京ででき上がったそうです。
「おれは行くぜ」「行ってちょうだい」
「正直にいいたまえ」「すてきだわ」
会話だけの文章では、役割語によって誰が言ってるのかわかりやすくなります。

役割語は使いすぎてもいただけませんが、
全くないのも味気ないものになってしましますね。








posted by 空凛 at 19:25| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月31日

火急(かきゅう)

火のついたように、さし迫った状態にあること。
また、そのさま。緊急。

「かきゅう的速やかに」という表現に「火急」って書きそうですが、正解は「可及」です。
私は「火急」と「可及」の違いも気付いていませんでした。

意味の違いを見るべく「かきゅう」と入力すると
「火急」は出ても「可及」はありません。
辞書にも「可及」はなく、「可及的」で載っていました。
漢文の「可レ及」からできた語で、
できるかぎり。なるべく。

「可及」自体に “急ぐ” の意味はないんですね。
ほとんど「可及的速やかに」という一体化した語で使っているので、
可及=火急というイメージが作られていました。

さて、世間ではどんな火急なことが飛び交っているでしょう。
・医療機関のBCP策定が火急の課題
・所得の世代間格差の是正こそ火急の政治問題
・特許投機家対策は火急の課題
・火急の案件として検討されている女性宮家創設
・教育の改革は火急の問題
・先達が収集した生物資源の保全は火急の急務

※BCPとは
事業継続計画(Business continuity planning)

※生物資源とは
食料、衣料、薬品など人間の生活上に必要な資源として利用される生物のこと。
近年の過度な利用により、絶滅の危機に瀕しているものも多い。
このため生物多様性条約などで持続可能な利用が求められている。

それにても「火急」はストレートに伝わる語ですね。
火がつけば そりゃあわてふためずにはおれません。
類語に「焦眉の急」(しょうびのきゅう)という諺があります。
火が眉を焦がすほどに迫っている状況ですから、切迫しています。

さらに、
「轍鮒の急」(てっぷのきゅう)なる故事成語も見つけました。
車輪の跡の水たまりにいる鮒(ふな)。
非常に苦しい境遇にある者は、ぐずぐずしていては救えないということ。
また、差し迫った危険や困窮のたとえ。

辞書の寄り道で「剣ヶ峰」という語も知りました。
(けんがみね)
1、噴火口の周縁。特に富士山のものをいう。
2、相撲で、土俵の俵の一番高い部分。
3、追いつめられて、もう余裕のない状態。絶体絶命。

語源辞典によると、
剣ヶ峰に立つと今にも落ちそうで、
そこを踏みこたえられるか否かによって生死が決まることから、
ぎりぎりの状態をいうようになった。







posted by 空凛 at 15:36| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月28日

迂闊(うかつ)

1、うっかりしていて心の行き届かないこと。また、そのさま。
2、回り遠くて実情にそぐわないこと。実際の役に立たないこと。

私は粗忽者で、毎日迂闊なことの1つや2つやらかしています。
よく知っている熟語ではありますが、
それぞれの漢字については無知なのでした。

「迂」ウ
1、遠回りする。
迂遠・迂回・迂曲・迂路
2、世事にうとい。
迂愚・迂拙
3、自分を謙遜していうときに冠する語。
迂生(うせい)・迂叟(うそう)

男性が自分をへりくだっていう語に「小生」がありますが、
「迂生」「愚生」「愚拙」なる語もあったのです。
「迂叟」は、「叟」が老人の意で、年寄りの男性向け。

「闊」カツ
1、広くゆとりがある。
闊達・闊歩・寛闊・広闊
2、間があいている。うとい。
迂闊・久闊

「活」があるので活動的なイメージがあったのですが、
“広い” という意味がありました。

「闊葉樹」(かんようじゅ)= 広葉樹
「闊背筋」(かっぱいきん)= 広背筋

「広い」といえば、
「浩」は “広い” という意味がありました。
浩さんにしたら「そんなことも知らなかったのか!」ですね。

「浩」コウ
1、広々としている。
浩浩・浩然
2、大きい。大いに。
浩歌・浩嘆

「浩浩」(こうこう)
1、水がみなぎり広がっているさま。
2、果てしなく広々としているさま。

違う字の「ひろし」さんも見てみます。

「弘」コウ
1、スケール・度量が大きい。
弘毅
2、ひろめる。
弘報

「宏」コウ
1、規模や度量が大きい。ひろい。
宏壮・宏大・寛宏
2、ひろげる。

「広大」の類語を見ると、
宏闊 ・ 弘大 ・ 闊大 ・ 寥廓(りょうかく) ・
宏大 ・ 広範囲 ・ 広汎 ・ 浩浩たる ・ 広闊 ・
浩蕩たる ・ 大規模 ・ 浩大 ・曠然(こうぜん)・

なるほど「広」「弘」「浩」「宏」「闊」「大」の組み合わせです。








posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月26日

瓜田李下(かでんりか)

瓜畑で履物を履きなおすと瓜を盗むと疑われ、
また李(スモノ)の木の下で冠をかぶりなおすと李を盗むと疑われるという意から、
人に疑われるような言動は慎まなければいけないというたとえ。

四つの漢字から意味を想像することはできませんね。
「うりた りか」なんて読むと、人の名前みたいです。
「瓜」はつるに実がなっている形の象形文字です。

さて、以下の瓜の付く野菜・植物は何でしょう?
1.南瓜
2.胡瓜/黄瓜
3.西瓜
4.冬瓜
5.糸瓜
6.木瓜
7.真桑瓜


1.かぼちゃ
2.きゅうり
3.すいか
4.とうがん
5.へちま
6.ぼけ
7.まくわうり

●カボチャの由来は、国名のカンボジア。
ポルトガル人がカンボジアの産物として日本に伝えたことから。
当初は「カボチャ瓜」と呼ばれました。
「南瓜」は南蛮渡来の瓜の意味。

●胡瓜の「胡」という字は、
シルクロードを渡って来たことを意味しています。
「キュウリ」の呼称は、
漢字で「木瓜」/「黄瓜」(きうり)と書いていたことに由来。
熟したキュウリは黄色くなります。

●スイカの漢字は中国語の西瓜から。
中国の西方(中央アジア)から伝来した瓜の意。
スイカという発音も広東語のサイクワァが訛り転化したもの。

●ヘチマの漢字がなぜ「糸瓜」?
果実から繊維が得られることから「糸」なのでした。
糸瓜「いとうり」が後に「とうり」と訛り、
「と」はいろは歌で「へ」と「ち」の間にあることから
「へち間」→「へちま」
へー、そんな言葉遊びからきてたんですね。

●ボケの実は瓜に似ていて、木になる瓜→「木瓜」
木瓜「もけ」→「ぼけ」に転訛したとも、
木瓜「ぼっくわ」→「ぼけ」に転訛したとも言われます。

●真桑瓜(まくわうり)の由来は、
日本では美濃国真桑村(岐阜県本巣市)産が有名だったことから。
現在、本巣市の名産は富有柿でした。
「まくわうり」はウリ科キュウリ属メロン種となります。

すっかり瓜特集になってしまいましたが、
最後に瓜だらけの早口言葉を紹介します。
「瓜売りが瓜売りに来て瓜売り残し、売り売り帰る瓜売りの声」







posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月25日

瞋恚の炎(しんいのほのお)

燃え上がる炎のような激しい怒り・憎しみ、または恨み。
瞋恚のほむら。

「瞋恚」(しんい)「しんに」ともいう。
1、怒り。
2、仏語。三毒・十悪の一。
自分の心に逆らうものを憎み怒ること。

この見慣れない難し気な「瞋恚」は変換候補に入っていました。

「瞋」シン
いかる。

「恚」イ
いかる。うらむ。

「瞋」も「恚」も“いかる”意ですが、
どちらも漢字からは「怒」のようなメラメラ感はないですね。
むしろ私は静かなイメージを受けました。

「怒り」という漢字の語源は、
心の上に「奴」とあるように
「こんなことになったのはアイツのせいだ」と思うところからきています。

さて、仏教で教える「瞋恚」とは。

108つの煩悩のなかでも六大煩悩と言われるのが、
「貪欲」(とんよく)
「瞋恚」(しんい)
「愚痴」(ぐち)
「疑」(ぎ)
「慢」(まん)
「悪見」(あっけん)

六大煩悩の中でも三毒の煩悩が「貪欲」「瞋恚」「愚痴」
人を毒するから三毒。
「貪」--- 欲
「瞋」--- 怒り
「痴」--- 真理に対する無知の心

欲望の器は膨張します。
満たしても満たしても、もっと欲しくなるのが欲望。
欲望が妨げられたときに表れるのが怒りで、
カッとなるというのは、怒りの炎に身を焼かれたこと。

「瞋恚」は “怒り” と訳されていますが、
本来の意味は “対象に敵意を抱くこと”。
人は気に入るか気に入らないかを瞬時に判断します。
出会った瞬間に気に入らなければ、瞋恚を起こします。
瞋恚は動物が生き残るために備わった危機回避の反応です。
一瞬の判断が生死につながります。
この本能的な「瞋恚」を抑えるのは難しいこと。
仏教ではコントロールするように教えています。

仏教語の「愚痴」は、真理に対する無知の心。
現象や道理に対しての知識や知恵がないために
的確な判断ができずに迷い惑うこと。

「貪欲」「瞋恚」「愚痴」
煩悩に絡め取られないように気をつけたいものです。







posted by 空凛 at 13:38| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月24日

総花(そうばな)

1、料亭・遊女屋などで客が使用人全部に出す祝儀。
2、関係者全部にまんべんなく恩恵を与えること。
対義語は「重点的」

「総花」の意味を知ってネーミングが粋だなと思いました。
あまり使われていない語かと思いきや、何度か新聞紙上で目にしましたし、Web上にも使用例がたくさん見つかりました。
・政府は総花的減税をやった
・総花的で訴える力が弱い
・総花的な支援から集中への期待
・総花的予算配分を今こそ重点式へ
・日本再生戦略で勇ましい数字が並ぶが、総花的で具体案の実現・実効性が見通せない。
・金融サミットは総花的な理想論ばかりで、参加国の多くが具体論に踏み込めていない。

もともとは豪気なお客がご祝儀を振舞ったことからきていますから、景気のいい言葉ですし、いい意味もありますが、
「総花的」と使われる場合、
否定的、批判的な意味を込めて言われることが多いようです。
“ 集中と選択” 的な戦略が声だかに言われる昨今、
「総花」はバラマキ的に見られています。

「花」の付く麗しい語はないでしょうか。

「花香」(はなが)
1、花の香気。また、煎(せん)じたての香りのよい茶。
2、におい。いろつや。色香。また、心ばえ。

「花客」(かかく)
1、花見客。
2、お得意の客。顧客。

「花顔」(かがん)
花のように美しい顔。うるわしい顔だち。花のかんばせ。

「花笑み/花咲み」(はなえみ)
花が咲くこと。
また、咲いた花のような華やかな笑顔。

「花笑み」なんて、きれいな表現ですね。
「花」とあるだけでパッと華やいだ印象を受けます。

最後に、
童謡「花一匁」(はないちもんめ)の意味を紹介します。
--------------------------
勝って嬉しいはないちもんめ
負けて悔しいはないちもんね
あの子が欲しい
・・
-------------------------
今更ながらこの何気ない唄の中に、
貧しかった日本の哀しい歴史があったことを知りました。
細かい部分は地方によっても違うようですが、
おおむね 貧しい家の子供が売られていったお話しです。
「匁」は重さの単位(≒3.75g)で、
昔、花の売買は重さ基準で行われていました。
「花一匁」は当時 子供が安い値段で売買された事実を伝えています。
http://homepage1.nifty.com/cats/music/hanaichi.html







posted by 空凛 at 13:55| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月21日

もとい

「御紹介にあずけました、もといっ!
御紹介にあずかりました、○○です!」
などと言い間違いを訂正する時の「もとい」。
軍人が上官の前で緊張しつつ声張り上げてる絵が思い浮かぶのですが、軍隊由来の語でしょうか。

辞書を引くと、
「元へ」(もとへ)で載っていました。
旧軍隊用語から。「もとい」とも。

1、体操などで、いったん取った姿勢などをもとの状態にもどす時にかける号令。直れ。
2、前言を取り消して言い直しをする時の語。

あら、簡単に軍隊由来と出てきました。
自衞隊の「基本教練教範」には、
補助的な号令として「もとい」が今も載っているそうです。
音変化で「もとえ」から「もとい」になったもの。

ある自衞官の話しでは、
「もとい、といふ言葉はなーい!」と教官に怒られたそうで、
正しくは「元へ」であると認識されているようです。

「前へ進め」「右へ曲がれ」等の号令を掛ける時、
号令者は大方 一気には言いません。
「前へ」「右へ」と言って一呼吸の後、
「進め」なり「曲がれ」なりの動作指示をします。
この予告的な号令を「豫令」(予令)、
実際に動作に移る際の号令を「動令」といいます。


音便には「イ音便」「ウ音便」「撥音便」「促音便」があります。
変化後の音がそれぞれ「イ」「ウ」「ン」 「ッ」となります。

●イ音便
・新前 シンマエ → シンマイ
・お前ら → オマイラ
・前へー進め → マイエーススメ

●ウ音便
・よく → よう
・思ひて → 思うて

●撥音便(はつおんびん)
・神無月 カミナヅキ → カンナヅキ
・真中 マナカ → マンナカ

●促音便
・願ひて → ネガッテ



自衛隊から尖閣・竹島問題のことを連想して、
過去ブログで扱った「蚕食」という語を思い出しました。
「蚕食」(さんしょく)
(カイコがクワの葉を端から食べるように)
他の領地を次第に侵略すること。
少しずつ、でも確実に食い尽くされるイメージ。







posted by 空凛 at 11:02| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月19日

与する(くみする)

仲間に加わる。味方する。同意する。

「よする」と読んでしまいました。
さらに「くみする」は知ってる語でしたが、
「くみしく」の連想から “押さえ込む” と勘違いしていました。
「与する」再確認です。

「与」 旧字は「與」
ヨ、あたえる・くみする・あずかる
1、仲間になる。くみする。
2、かかわりができる。あずかる。
3、あたえる。

「与国」(よこく)
助け合う関係にある国。同盟国。

「与党」(よとう)
1、政党政治で、政権を担当している政党または政権を支持している政党。
2、くみする仲間。同志。徒党。一味。

「いちみ」というと悪い奴らという感じですが、
本来 悪い意味を持っているのでしょうか。

「一味」(いちみ)
同じ目的をもって寄り集まった仲間。同志。
現代では、主に悪事を企てる場合に用いる。

「連中」(れんちゅう)も悪意をこめて言うことがありますが・・
仲間である者たち。
また、同じようなことをする者たちをひとまとめにしていう語。
親しみ、あるいは軽蔑を込めていう。

「連中」(れんじゅう)
音曲や演芸の一座の人たち。

歌舞伎用語の「連中」(れんじゅう)は、俳優を後援する観劇団体。
見連(けんれん)、組、組見(くみけん)ともいいます。

上方では古くから手打連中というものがあり、
顔見世のときには一座の俳優に進物を贈り、
茶屋の軒には連中の印のある箱提灯をかけ、
揃いの頭巾をかぶって奇妙な手を打ちました。

昔からファンクラブ的なものがあったんですね。

「輩」(やから)も汚い言葉になっていますが・・
仲間。連中。ともがら。特に、よくない連中。

「輩」は「ともがら」とも読むんですね。

先輩・後輩・弱輩・軽輩・徒輩・奴輩・同輩・
年輩・老輩・末輩・朋輩(ほうばい)・

「朋輩」(ほうばい)
同じ主人に仕えたり、同じ先生についたりしている仲間。
また、同じくらいの身分・年齢の友。同輩。
「朋」は当て字。







posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月18日

一意(いちい)

「一意の番号」という表記を目にしました。
私には馴染みのない語でした。
“唯一の番号” といった意味で使われていました。

IT用語としての「一意」は、
“重複しない” “オンリーワン” といった意味です。
「ユニーク」とも言います。
Webで使われる「ユニークユーザ」といえば、
同じ人が複数回来ても1人と数えること。

一般の意味での「一意」は、
1、一つの考え。同じ考え。
2、一つの事に心を集中すること。ひたすら。

“ひたすら” の意味の「一意専心」はよく聞かれますね。
わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと。

「一意」は、ほとんど使ったことがないので、
使用例が思いつきませんでした。
・意見の一意がとれている
・仕訳を一意の番号で管理する
・一意性の証明にはいくつかの方法がある
・逆行列は一意に定まる

「一意的」
意味や値などが一つに確定しているさま。

・幾何学は一意的である。
・三角形の心とは、任意の三角形から一意的に求めることができる点の総称である
・生体内において、ほとんどのタンパク質の一次構造は一意的に3次元構造をとる

一で始まる四文字熟語を探してみると、
一念発起・一心不乱・一切合切・一目瞭然
一触即発・一網打尽・一件落着・一知半解
どれもキリリと歯切れがいいですね。


「東亰」という表記を見ました。
「亰」という漢字は初めてです。
特殊な意味があるのかと思いましたが、
単に「東京」のことでした。
昔、「亰」なる字があったんです。

「亰」は、「京」の異体字とされています。
明治時代までは、書籍の表紙や扉などに
「東亰」と表記されたものがよく見られました。
例えば「東亰朝日新聞」。
同紙は、1888年(明治21)に創刊されて以来、
1940年(昭和15)に「朝日新聞」に変わるまで、「東亰」の字を用いていました。
それが明治後期、国定教科書で「京」の字体が採用され、
その後も「亰」はどの漢字表にも載ることなく、消えていきました。
さまざまな字体が乱立していた漢字を少しずつ整理してきた経緯があるのでした。







posted by 空凛 at 21:30| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月17日

八面六臂(はちめんろっぴ)

1、仏像などが八つの顔と六つの腕をもつこと。
2、あらゆる方面にめざましい働きを示すこと。

昔から「八面六臂の活躍」でお馴染の語でしたが、
「臂」のことは調べないままでいました。

「臂」 ヒ・ひじ
肩から手首までの部分。腕。

“腕” のことだったとは。
でも “ひじ” とも読むんですね。
改めて「ひじ」とは、
上腕と前腕とをつなぐ関節部の外側。
別の説明では、
人間の腕の移行部で、上腕と前腕を繋ぐ肘関節(ちゅうかんせつ)と、これらを取り巻く筋や腱のことを指す。
脚における膝に対応する。
狭義には、腕を折り曲げたときに外側になる部分を指す。

“ひじ” の漢字には、
「肘」「肱」「臂」があります。

「肘」 チュウ・ひじ
ひじ。腕の中ほどの部分。

「肱」 コウ・ひじ
旁の部分は 右手で弓を引くときなどのひじを張った形。
1、ひじ。かいな。
2、たのみとするもの。
上腕と前腕とをつなぐ関節。
また、その折り曲げたときの外側の部分。
肘・臂とも書く。

「三面六臂」(さんめんろっぴ)という語もありました。
私はこちらの語は知りませんでしたが、
まず「三面」があり、
この三面があらゆる方面を表す「六面」に転じて、
「八面六臂」が多用されるようになったようです。

3つの顔と6本の腕を持つ阿修羅像は有名ですが、
8つの顔をもつ仏像はあるのでしょうか。
検索してみると、
三宝荒神(さんぼうこうじん)の象があげられるようです。
三面像の頭上に5つの小面を持つ、憤怒の形相の象です。
荒神象は、インド由来の仏教尊像ではなく、
神道、密教、山岳信仰などのさまざまな要素が混交して成立したものと説明されていました。
密教のなかから衆生を救うために千手観音、十一面観音のような多面多臂(ためんたひ)の像が考え出されました。

「肱」のつく渋い四文字熟語を見つけました。

「曲肱之楽」(きょくこうのたのしみ)
「曲肱」はひじを曲げて腕枕とすること。
肱を枕の代わりにするような貧しい生活という意から。
清貧の中でも、常に正しい道を行う楽しみ。
また、貧しさの中にある楽しみ。

ついでに「膝」も見てみると、
「膝栗毛」(ひざくりげ)が
自分の膝を馬の代わりに使う徒歩旅行のことだと知りました。
十返舎一九「東海道中膝栗毛」って、そういうことなのね。






posted by 空凛 at 10:55| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月13日

体たらく(ていたらく)

ようす。ありさま。(名詞)

現代では 好ましくない状態やほめられない状態についていいます。
「体(てい)たり」のク語法。そのような体であること。

元々は単に “ありさま” の意味だったんですね。
Web上に「ていたらくぶり」なる表現が見られますが、
「〜ぶり」は “〜な様子” という接尾語なので、
「有り様な様子」と重複表現になります。

「体たらく」が “お粗末” “低レベル”
といった意味にとられているからだと思われます。
体たらくが多くはネガティブ語とセットで使われたため、
体たらく事態によくない意味が移ってしまったようです。
音からも「低」「落」といったイメージが付いたかもしれません。

「体」
テイと読むと “見かけのようす”

体裁(ていさい)、風体(ふうてい)、人体(にんてい)

「憎体」(にくてい)なる語も見つけました。
1、憎々しいこと。また、そのさま。
2、憎体口(にくていぐち)の略。
「憎体口」は “にくまれぐち” のこと。

「憎体」はほとんど使われてないようですが、
ちょっと今風の言い方にも聞こえます。
“憎らしい亭主” の隠語みたいです。

「生憎」(あいにく)
都合の悪いことに。折あしく。(副詞)

「生憎」の語源は、「あやにく」で、
「あや」は感動詞で「ああ」の意味、
「にく」は形容詞である「憎し」の語幹。
「あやにく」は元々「ああ、憎い」の意味で、
それが次第に憎たらしいほど間が悪い状況や様を指すようになりました。
「あや」の「生」は当て字。
近代以降に「あいにく」と発音されるようになりました。


「体もない」(たいもない)
くだらない。つまらない。らちもない。

「体をなす」(たいをなす/ていをなす)
まとまった形になる。

「体をかわす」(たいをかわす)
からだの向きを変えて避ける。

「体を引く」(たいをひく)
あとへ下がる。

からだという漢字には、体・躰・身体がありますが、
よく「体」と「身体」で迷います。
Wed上にもこの違いに関する質問と答えがいろいろ出ていましたが、
どれが正しいのかよくわかりませんでした。
言えるのは、
「躰」は「體」の俗字。
新聞では「体」に統一されています。






posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月12日

莫逆(ばくぎゃく/ばくげき)

互いに争うことがない親しい間柄。
「荘子」大宗師から。心に逆らうこと莫(な)しの意。

「莫逆」が “親友” の意味とは。
辞書を見て、えーーとのけぞりました。

「莫逆」を検索すると、
「莫逆家族」という映画が引っ掛かりました。
2012年公開のチュートリアル 徳井義実主演の映画です。
以前TVで徳井さんが宣伝しているのを見た時、
「バクギャク」は造語かと思いました。
音も「爆」や「暴」を連想してインパクトありますし、
暴力シーンの多そうな映画でしたので、
「莫逆」は激しく抵抗する的な意味かと思いました。

「莫」
バク・マク・ない・なかれ
1、否定を表す語。ない。
2、むなしい。

「莫」は草間に日が沈む形を表しています。
後に否定詞に用いるようになり、
区別するため「日」が加えられた「暮」が作られました。

「莫」に否定を表す意味があったとは知りませんでした。
「莫大」も “これより大なるは莫し” の意味なんですね。

「メリヤス」は「莫大小」という字が当てられています。
自由に伸び縮みする → サイズフリー →「大小莫し」
うまいこと付けたものです。

「莫」にさんずいが付いた
「漠」は、
1、はてしなく広々としているさま。
2、とりとめがなくはっきりしないさま。

「漠」はまた数の単位にも使われていました。
10のマイナス12乗。

少数に24単位あり、
分、厘、毛、糸、忽、微、繊、沙、塵、埃、
渺、漠、模糊、逡巡、須臾、瞬息、弾指、
刹那、六徳、虚空、清浄、阿頼耶、阿摩羅、涅槃寂静

「分」「厘」までしか知りませんでしたが、
その後に22語もあったんですね。
もっとも、「忽」以下は名前がついているだけで
実際にはほとんど用いられないとのこと。
でも順番を見ていると面白いですね。
塵>埃 で並んでます。

「渺」(びょう)は、
水面などが限りなく広がり、遥かに霞んでいるという意。
渺、漠の後に曖昧模糊の「模糊」“ぼんやり” が続くんですね。
最後は、「あらや」「あまら」「ねはんじゃくじょう」
何かのネーミングの時に使ってみようかしら。






posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月11日

せどり

ニュースで「せどり」という語が耳に入りました。
北朝鮮のタンカーが瀬取り!
海上で物資を積み替えて密輸を行っていたというものです。
ネットで古本を売る「せどり」は知っていましたが、
船の「せどり」もあったんですね。

辞書で「せどり」を引くと、
「背取り」「瀬取り」「競取り/糶取り」と3つありました。

「背取り」
古書業界で、
転売を目的として同業者や愛好家から古書を買い取ること。
特に、掘り出し物を見つけて高く転売すること。

「瀬取り」
親船の積み荷を小船に移し、陸揚げすること。
また、その小船。

「競取り/糶取り」
同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ること。
また、それを業とする人。

元々は「糶取り」という字が使われていました。
「糶」(ちょう・せり・うりよね)とは、
貯蔵してあった米を選り出して売りに出す意。
そこから「米の競り売り」や
「行商」のことを指すようになり、
転じて、
多くの物の中から選び出して売ることを「糶取る」。

◇本の「せどり」の由来
古書を競りで取引していたことから「競取り」。
現在では、個人のバイヤーが多くなって
本の背表紙を見て仕入れることから「背取り」に。
一般的にはひらがなで「せどり」と書きます。

◇船の「せどり」の由来
高度経済成長時代に港湾の荷役量が急増し、
岸壁がいっぱいになったのと水深の問題から、
港の沖に船を停泊させ、そこに直接艀(はしけ)を付け、
荷役が行われ、これを「せどり」と言いました。

「艀」(はしけ)
「はしけぶね」の略。
河川・港湾などで、
大型船と陸との間を往復して貨物や乗客を運ぶ小舟。

「艀」(はしけ)を動詞化した「艀ける」という語がありました。
今風な言い方ですね。

「艀ける」(はしける)
1、艀で乗客や貨物を運ぶ。
2、こっそり他へ移す。隠す。
3、くすねる。ちょろまかす。

船関係の語は読みが難しいですね。

「舳先」(へさき)
船の前部。船首。みよし。

「艫」(とも)
船の後部。船尾。

「舷」(げん)
船の両側面。ふなべり。ふなばた。

「舫う」(もやう)
船と船をつなぎ合わせる。
また、杭などに船をつなぎとめる。

◇船に関した諺
「渡りに船」
困っているときに、
ちょうどよく助けになる人や環境に恵まれること。

「船を漕ぐ」
居眠りをする。

「乗り掛かった船」
いったん手をつけたら、
途中でやめることのできないたとえ。

「船頭多くして船山に登る」
(せんどうおおくして ふねやまにのぼる)
指図する人が多くて方針の統一がはかれず、
物事がとんでもない方向にそれてしまうことのたとえ。

「呉越同舟」(ごえつどうしゅう)
敵対する者同士や、仲の悪い者同士が
同じ場所に居合わせることのたとえ。
また、仲の悪いもの同士が協力することのたとえ。







posted by 空凛 at 09:31| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月10日

不祝儀(ぶしゅうぎ)

めでたくないこと。特に、葬儀。不祝言。

訃報の知らせを聞いた時の対応が、いつもおどおどとしたものになっています。
失礼のないよう改まった言葉使いになっているか、自信がないまま もごもごと口ごもって終わってしまいます。

人が亡くなったことを表す語には、
死亡・死去・逝去・死没・閉眼・物故・不帰・往生・・
たくさんの語があります。
類語を見てこんなにあるかと目を見開きました。
適切な言葉を使えるように語の意味を確認してみたいと思います。

「絶命」
命が絶えること。死ぬこと。

「長逝」(ちょうせい)
死ぬこと。永眠。逝去。

「落命」(らくめい)
命を落とすこと。特に、不慮の災難などで死ぬこと。

「他界」
死後の世界。あの世。来世。死ぬことを婉曲にいう語。

「先途」(せんど)
行き着くところ。人の死。

「寂滅」(じゃくめつ)
消滅すること。死ぬこと。

「召天」(しょうてん)/「帰天」
キリスト教で信者が死ぬこと。

「卒去」(そっきょ)しゅっきょの慣用読み
身分のある人が死ぬこと。

「薨去」(こうきょ)/「薨逝」(こうせい)
皇族または三位以上の人が死去すること。

「御事」(おんこと)
貴人を敬って、その誕生や死を婉曲にいう語。

「登仙」(とうせん)
貴人、特に天子を敬ってその死をいう語。

「崩御」(ほうぎょ)
天皇、皇帝、国王、太皇太后、皇太后、皇后、
その他君主等の死去を表す敬語。
元々は中国起源の語であり、礼記(らいき)曲礼篇に
天子の死は崩(ほう)と曰(い)ひ、
諸侯は薨(こう)と曰ひ、
大夫(たいふ)は卒(そつ)と曰ひ、
士は不禄(ふろく)と曰ひ、
庶人は死と曰ふ。

2012年6月に寛仁(ともひと)親王殿下が亡くなられた時に、
新聞で「薨去」「斂葬の儀」という見慣れない語を目にしました。
「斂葬」(れんそう)とは、死者を埋め葬ること。






posted by 空凛 at 13:46| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

勘違いしているかも

知ってるようで、勘違いしているかもしれない語を集めてみました。

「寸断」(すんだん)
長く続いているものをきれぎれに切ること。
ずたずたに切ること。

単に “断ち切る” 意味で使われていることがあります。
土砂崩れなどで道路が1カ所塞がれただけのケースなどには使いません。
「分断」というほうが適切です。


「唱和」(しょうわ)
一人がまず唱え、
続いて他の多くの人たちが同じ言葉を唱えること。

みんなで一緒にうたうことではありません。
「唱」には “人に先立って言う” という意味があります。


「あわよくば」
うまく行けば。好機に会えば。

形容詞「あわよい」の未然形+接続助詞「ば」
「あわ」は 古くは「あわい」と呼ばれていた「間」のこと。
あわいがよければ=時間的な間が良ければ
元はタイミングが良いことを意味していましたが、
“運” の意味合いが強まりました。

私は「あわよくば」に悪いイメージを持っていました。
思うに、「あわよくば」って、我欲が覗くからかもしれません。


「独白」(どくはく)
独り言。

× インタビューで心境を独白
“吐露する” 意味に使われていることがあります。


「悲喜こもごも」
哀しみと喜びをかわるがわるに味わう。

一人の胸中を表現する語です。
悲しんでいる人もいれば、喜んでいる人もいる。
といった複数の人の状況を言う語ではありません。


「奇特」(きとく)
優れて感心なこと。

「奇特な人」は、奇妙な人や珍しい人ではないですよ。


「好々爺」(こうこうや)
優しくて人のいいおじいさんのこと。

スケベじじいのイメージもってませんか?







posted by 空凛 at 09:26| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする