2017年08月21日

「ずく」と「づく」

これだけだと何のこと?ですよね。
接尾語です。

■「尽く」(ずく)接尾語
〇それにものをいわせての意。
・力ずく
・腕ずく
〇それをした上での意。
・納得ずく
・計算ずく
・算盤ずく

■「付く」(づく)
〇そのような状態になる。その様子が強くなる意。
・活気づく
・調子づく
・怖気づく
・秋づく
〇そういう事が頻繁に起こる。
・ゴルフづく
・芝居づく
・歴史づく
・旅行づく

「尽く」は「尽くし」の略。

「尽くし」(づくし)接尾語
名詞に付いて、その類のものをすべて並べ上げる意。
・花尽くし
・和牛尽くし
・異例尽くし

ここで「おやっ」と疑問に思われた方は鋭い!
「尽く」は「ずく」なのに、「尽くし」は「づくし」なんです。

では「尽くめ」は?
・異例尽くめ
・いいこと尽くめ
・黒尽くめ

「尽くめ」(ずくめ)
何から何までそればかりであること。

「黒ずくめ」「黒づくし」と変わります。

「じ」「ず」「ぢ」「づ」は
だれもが“どっち?”と迷うところ。
これらは「四つ仮名」(よつがな)と呼ばれます。
仮名の使い方は原則 発音通り「じ」「ず」 で、
特定の場合に「づ」「ぢ」になります。
〇同音の連呼: づづく・ちぢむ
〇2語の連合:
「基づく」もと-づく・「地続き」じ-つづき
「息づく」いき-づく・「箱詰め」はこ-づめ
あいそ-づかし・「人妻」ひと-づま
「鼻血」はな-ぢ・「入れ知恵」いれ-ぢえ
とはいえ、
判断の根拠にあいまいな部分があるため、迷うんでしょうね。
↓四つ仮名の分類表
http://www.akenotsuki.com/kyookotoba/shiryoo/yotsugana.html



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2017年08月19日

社会人として押さえておきたい語

日経の広告で目に入りました。
「語彙力がないまま社会人になってしまった人へ」山口謠司
社会人として押さえておきたい語として、
以下の語が挙がっていました。
尽力・斟酌・忖度・拝承・ 慶賀・踏襲・乖離・汎用・相対的・惹起・瑣末

この後、森友学園問題に火が付き、
「忖度」(そんたく)がスポットライトを浴びました。
連日の報道で、若者にも浸透したのではないでしょうか。
「忖」-- 心+寸 → 心をはかる。気持ちを推測する。
「度」-- 物差し。はかる。
「忖度」= 他人の心をおしはかること。

「斟酌」も意味が近いですね。
「斟」-- くむ。
「酌」-- 酒を杯につぐこと。また、つぐ人。
「斟酌」(しんしゃく)
水や酒をくみ分ける意から。
1、相手の事情や心情をくみとること。
また、くみとって手加減すること。
2、あれこれ照らし合わせて取捨すること。
・市場の状況を斟酌して生産高を決める
3、言動を控えめにすること。遠慮すること。
・斟酌のない批評

忖度と斟酌の違いは、
ただ相手の心情を推し量るのが「忖度」
心情を汲み取って手だてをすることが「斟酌」

「惹起」(じゃっき)は昔 取り上げましたが、
いまだにカタカナのジャッキに聞こえてしまいます。
「Jack」
対象物の下に置かれてその物を支えたり、持ち上げるために使われる機械装置。
日本語では「扛重機」(こうじゅうき)というんですね。
「扛」という漢字はほとんど見かけませんが、
読みはコウ・あげ-る・かつ-ぐ
意味は“あげる”“二人以上でかつぎあげる”

「瑣末」(さまつ)=些末
重要でない、小さなことであるさま。些細。

「些」-- いささか。わずか。
「瑣」-- 小さい。細かい。

「些細」
あまり重要ではないさま。取るに足らないさま。

瑣末と些細の違いは辞書からは見い出せませんが、
「末」と「細」からくるニュアンスから、私は「末」のほうにより“取るに足らない”感を受けます。

「拝承」(はいしょう)
謹んで承るという意味。
「聞く」「承知する」の謙譲語。
「拝」 は“おがむ”意。
Webで日立用語のことを知りました。
日立製作所で「拝承」「拝復」「拝受」などが頻繁に使われているそうです。
http://blogs.wankuma.com/jeanne/archive/2006/05/30/29706.aspx




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2017年08月18日

きな臭い

1、紙や布などのこげるにおいがする。こげくさい。
「衣臭い」(きぬくさい)の転化。
2、戦争・動乱などの起こりそうな気配がする。
火薬の硝煙のニオイに対しても「きな臭い」といったことから。
3、なんとなく怪しい。うさんくさい。

「胡散臭い」(うさんくさい)
どことなく怪しい。疑わしい。

「胡散」
怪しいさま。不審なさま。胡乱。

胡散の語源は
「胡乱」(うろん)説と
茶碗の「烏盞」(うさん)説が有力。
香辛料説もWebにありましたが、
そのような香辛料や薬は実在しないため偽説のようです。
あやうく騙されるところでした。
胡「ウ」は唐音、散「サン」は漢音のため
「胡散」は和声漢語と思われます。

「胡乱」(うろん)
1、正体の怪しく疑わしいこと。
2、確かでないこと。真実かどうか疑わしいこと。
3、乱雑であること。

「胡乱」は室町時代に禅宗を通して日本に入った語。
ウ・ロンとも唐音。
モンゴル高原で活躍した遊牧騎馬民族「匈奴」(きょうど)を
「胡」(えびす)と言い、
胡が中国を攻撃したとき
住民が慌てふためき乱れたという故事から。

胡椒(こしょう)・胡麻(ごま)・胡瓜(きゅうり)・胡桃(くるみ)
などは中国の西域由来なのですね。

接尾語としての「臭い」
1、…のようなにおいがする。
・汗くさい
・焦げくさい
2、…のようなようすである。
・年寄りくさい
・インテリくさい
3、上にくる語の意を強める。
・ケチくさい
・てれくさい

金正恩、次の一手は? 
それに対してトランプは?
まさに「一触即発」の状況ですね。




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2017年08月17日

味気ない

「味気ない」には2つの読みがありました。
「あじけない」と「あじきない」です。
「あじきない」の存在を知りませんでした。
用例検索をすると、
・名状し難い遣る瀬なさとあじきなさに襲われて・・谷崎潤一郎
・端唄が現す恋の苦労や浮世のあじきなさも・・永井荷風
・人の世のあじきなさ、しみじみと骨にも透とおるばかりなり。・・福田英子
昭和の頃まで使われていたようです。

「あじきない」
「あずきなし」の音変化で、「味気」は当て字。
1、面白みや風情がない。
2、乱暴である。不当である。
3、努力するかいがない。
4、耐え難い。やるせない。

古語は「あぢきなし」で、
人の力ではどうしようもない状態をさし、
にがにがしいあきらめの境地をいいました。
「あじきない」にはまだ古語の意味が残っていますが、
現代の「あじけない」は“面白みがない”に絞られています。

「味気ない」(あじけない)
面白みや風情がない。

それにしても、味気が当て字なんて。 
“味のある”の対極にあるイメージを持っていました。

「味」
口+末(こずえの意)→ 新芽の味わい

「あじ」
1、飲食物を舌にのせた時に起こる感じ。
2、ものごとの持つ深み。
甘味・苦味・味見・味噌
意味・趣味・地味
味方・気味・不気味

「気味」(きみ)
1、ある事態や物事から受ける感じ。きび。
・気味のわるい話
2、いくらかその傾向にあること。
・慢心の気味がある
3、香りと味。
4、物事の趣。味わい。

接尾語の「気味」(ぎみ)
そのような傾向。
・カゼぎみ
・疲れぎみ

「気味がいい」
好ましく思っていない人が
災難にあったり失敗したりして愉快である。
・いい気味だ。

「気味が悪い」
なんとなく恐ろしい。なんとなく気持ちが悪い。

「気味がいい」と「気味が悪い」
「いい」と「悪い」で対語のようでありながら、
どちらも暗い意味合いになっていますね。
この「いい」は良い意味で使われていません。

「いい」(好い/善い/良い)
「よい」のくだけた言い方。

●皮肉をこめた言い方、相手を非難する言い方
・いいざまだ
・いい気になる
・いい恥さらし
・いい年をして
・いい迷惑
・いいご身分だ

●十分すぎる。その必要がない。
・酒はもういい。

皆さんは「不気味の谷」という言葉をご存じですか?
人型ロボットやCG映像などで人間に似せて作られたときに、
見る者に違和感や嫌悪感を抱かせてしまう現象。
実物との差に違和感を持ちますが、さらに似せて見分けがつかないほどになると、再び親近感が生まれます。
この親近度をグラフにするとVの形になり、これを谷と称したものです。



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2017年08月16日

逸物

群を抜いて優れているもの。
昔は、多くは馬について言ったようです。
(いちもつ/いちぶつ/いつもつ/いつぶつ)
読みかたが 4つも存在して悩ましいですね。
「逸」の字は略体で、
元の字は兎が走り逃げる様子を表していました。

「逸」イツ・イチ・そ-れる・はや-る
1、はしる。にげる。 逸走
2、それる。 逸脱
3、うしなう。なくなる。 散逸
4、気まま。気楽。 安逸
5、すぐれる。 逸材・逸品・秀逸

「逸話」(いつわ)
世間一般にあまり知られていない話。

「逸失利益」(いっしつりえき)
事故などで死んだ人が何事も無く労働可能な年齢まで生きていたら、その間に得たであろうと推定される収入。

「秀逸」の類語を見ると、
秀抜・卓抜・卓越・出色・傑出・突出

でも最後の「突出」は同心円の外かもしれません。
他の語はいずれも辞書に“優れている”が入っていますが、
「突出」には入っていません。
1、高く、長く、または鋭くつき出ること。
2、つきやぶって出ること。
3、他より目立って多いこと。
しかも「とくしゅつ」と入力しても変換されません。

「抜群」(ばつぐん)
バツグンってカタカナのイメージがあって、ちょっと子供っぽい言い方のように感じていました。
でも、漢字でみるとパッと抜きんでていることがわかります。

「兎」といえば、
「兎に角」(とにかく)は当て字です。
「とにかく」の「と」は「ああ(だ)」、
「かく」は「こう(だ)」の意を表す古語の指示副詞。
「に」は助詞。
「とにもかくにも」は、「とにかく」を強めた言い方。
無用な誤解を生むから当て字はやめてもらいたいですが、夏目漱石が使ったところから広まったようです。
紛らわしいのが「兎角」とういう語があること。
「兎角」は仏教語の「兎角亀毛」(とかくきもう)から。
この世にあり得ないもののたとえで、もとは戦争の起こる兆しのことを言いました。
でも現在では「兎角」はほとんど使われていないようです。



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2017年08月15日

汽水(きすい)

淡水と海水がまじり合った塩分の少ない水。
深く入り込んだ湾や河口部の海水。
「汽水湖」は淡水中に海水が侵入している湖。

私は海沿いの町で育ったのに汽水という語を知りませんでした。

「汽」
流れる水の象形 + 湧き上がる雲の象形
水が蒸発して“枯れる”“水蒸気”“ゆげ”の意。

今回は、水に関する語を拾ってみました。
水には上水・中水・下水とありますが、
「中水」(ちゅうすい)とは何でしょう。
下水を殺菌・消毒して、再び給水するもの。
水洗トイレの水・公園の噴水・工業用水などに使用。
「上水」(じょうすい)は飲料に供給されるきれいな水。
同じ音で「浄水」。
「うわみず」と読めば“水の上のほうの部分”
「上澄み」という語もあります。

「水文学」(すいもんがく)
“地球上における水は全地球を循環している”とみた立場から研究する分野で、水にまつわる森羅万象を科学する学問。
ひとつの製品ができるまでに、どのくらいのCO2を排出しているかを表す「カーボンフットプリント」のように、どのくらいの水を必要とするかを表すのが「ウォーターフットプリント」。
今回、はじめて水文学の存在を知りましたが、地球規模で水不足が深刻化する中で、注目度が上がってくるのでないでしょうか。

「水火」(すいか)
1、水と火。洪水と火事。
2、洪水や火事のように、勢いが激しいこと。
3、水におぼれ、火に焼かれるような苦しみ。
4、水と火のように、互いに相容れないこと。氷炭。

・水火も辞さない
どんな苦痛や危険もいとわず、物事に力を尽くす。

・水火を踏む
非常に苦しい状況にある。また、危険をおかす。

「君子の交わりは淡きこと水のごとし」
才徳ある人の交際は、淡々とした水のようにあっさりしているようだが、長く変わることなく続くということ。

「知者は水を楽しむ」
知者が物事に固着しないで順応し、円滑自在に事を処理するさまを、水が一か所にとどまらずに流れ去るさまにたとえたもの。

「水媒花」(すいばいか)
花粉が水によって運ばれて受粉する花。
虫媒花・風媒花・鳥媒花

松濤・怒濤・波濤・風濤などの
「濤」は“大きな波”の意。

「松籟」(しょうらい)は
松の梢(こずえ)に吹く風。また、その音。松韻。松濤。

「松濤」(しょうとう)は
松の梢を渡る風の音が、海岸に打ち寄せる海の濤(なみ)のように聞こえることから。

「松濤」といえば東京渋谷区の高級住宅地が思い浮かびますが、
昔は松林が広がっていた場所なんですね。
松林といえば、
佐賀県唐津市の「虹の松原」は故郷の近くの景勝地です。
http://www.asobo-saga.jp/search/detail.html?id=87
日本三大松原の一つ。
残り2つが、
静岡県清水市の「三保の松原」(みほのまつばら)
福井県敦賀市の「気比松原」(けひのまつばら)

写真を眺めていたら、波の音を聞きたくなりました。




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2017年08月14日

身近な漢字の字源

今回は身近な漢字の成り立ちを紹介します。

「川」
両岸の間を流れる水の形を象った字。

「永」
川の流れがいくつにも分かれている様子を象った字。

「牛」
角の生えた牛の頭を象った字。

「羊」も頭。
象・犬・鳥・亀・馬は体全体の形。

「生」
植物の芽を象った字。

「主」
火が灯ったロウソクの形。
火が重要だった時代、
火を管理したのが家の主だったことから。

「集」
木の上に鳥が集まっている様子の会意文字。

「進」
小さい鳥は後ろに下がることができない。
前に進むだけ。

「冬」
下の2つの点は氷。
上の部分は食べ物をぶら下げている形。

「夏」
お面を付けて踊る人の姿を象った字。
元は夏祭りの踊りの名前を指していましたが、
転じて夏を意味するように。

「原」
崖から水が湧き出る様子を象った字。
がんだれは崖を表しています。

「卵」
鶏の卵ではなくて、カエルの卵を象ったものです。

「蟹」
分解しやすいのがカニ。

「解」
牛と刀と角に分解されます。
牛を解体することを意味していました。

「田」
中国では田んぼも畑も「田」
「畑」は国字です。
木や草を焼いた後に作物を育てたことから。
田んぼで力仕事をするのが「男」
女偏はあるのに男偏はありません。
婿(むこ)も女偏です。
漢字の世界では男は存在感が薄いですね。

「旅」
会意文字
方偏(かたへん)は“のぼり旗”、
旁(つくり)は人が多数従う様を表していて、
旗をもった人の後ろに多くの人がつき従っているさまを表しています。
旗は軍旗で、旅は戦争に出かける兵士の集団を意味します。
古代中国では軍隊の単位が「旅」、
兵士500人集団を「一旅」と呼びました。
旅団 < 師団
旅の原意が戦争に行くことだったとは。
現在でこそ旅はレクレーション的なものですが、
昔は目的のための移動で、危険や苦難を伴なうものでした。

「月極駐車場」(つきぎめちゅうしゃじょう)
この「月極」看板で多くの人が勘違いをしました。
江戸時代から「極」には「きめる」という意味と読みがあり、
戦前まで「きめる」は「決」と「極」両方が使われました。
戦後に「決める」だけと定められて、
「極」は「きわめる」に限定されました。
今も駐車場の看板には慣用的に使用されていますが、
北海道と高知には「月決め駐車場」という表示があるそうです。




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2017年08月13日

対義語を考える

石黒圭著「語彙力を鍛える」という本に、
“対義語を考えることは語彙力強化になる” とありました。
確かに、比べることで元の語の理解が深まりますよね。
私は対語を見てハッとすることが少なからずあります。
対義語は必ずしも1対1の対応になっているわけではありません。
複数の意味をもつ「多義語」の場合は、複数になります。
高い・・・低い/安い
薄い・・・厚い/濃い
冷たい・・熱い/優しい
破壊的・・創造的/建設的/生産的

対義語には3つの形があります。
1、対立関係
内−外、大きい−小さい、笑う−泣く

2、対(つい)の形
男−女、歩く−走る

3、否定の関係
可能−不可能、完成−未完成

以外とスルリと出てこない対義語。
試しに3問。
Q1、ケチ
Q2、貸切バス
Q3、生産



A1、気前のいい
A2、乗り合いバス
A3、消費

Webには面白い対義語が披露されています。
赤の他人・・・・・白い恋人
鳥貴族・・・・・・漁民
天使のブラ・・・・鬼のパンツ
やせ我慢・・・・・デブ大暴れ
鶴の恩返し・・・・亀の逆ギレ
進撃の巨人・・・・撤退の阪神
花咲かじいさん・・除草ばばあ
プラダを着た悪魔・しまむらを脱いだ天使
クスっと笑えます。
頭を柔らかくする言葉遊びとしていいかもしれません。
最後に、
社会人として確認しておきたい対義語を集めました。
故意・・過失
懐柔・・威圧
玄人・・素人
抽象・・具象
隠蔽・・暴露
引力・・斥力
永住・・仮寓
栄転・・左遷
穏健・・過激
温厚・・酷薄
快諾・・固辞
華美・・質素
寡黙・・多弁
閑職・・激職
貫徹・・挫折
更正・・堕落
斬新・・陳腐
拾得・・遺失
譲歩・・固執
尋常・・非常
杜撰・・緻密
精巧・・粗雑
清浄・・汚濁
正論・・曲論
刹那・・永劫
促進・・抑制
派遣・・召還
繁忙・・閑散




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2017年08月12日

様子がいい

書家・篠田桃紅(しのだ とうこう)氏が
「“様子がいい”と言う言葉を聞かなくなった。深みのある日本語がだんだん減って行く」
と語られていて、気になる言葉になりました。
桃紅氏は1913年(大正2年)3月28日生まれの104歳。
枯れてなお凛としたたたずまい、
芯の通ったキッパリとした話しぶり、
渋くて個性的な着物の趣味も洗練されています。
日本にこんなカッコいい女性が活躍されていたとは。
私は数年前にNHKのドキュメントで知りました。
さて、
「様子がいい」ですが、
残念ながら、辞書には載っていませんでした。
落語には出てきますから
落語好きな方には馴染みの語かと思います。
・お前は背中に筋があって様子がいいよ
・あの人はほんとに様子がいいねぇ

「様子」には“状態・事情・風采・外観・気配”などの意味がありますが、
「ありさま」との比較で、
外見だけでなく、そこから受ける印象も「様子」には含まれる。
とあります。
「ありさま」は“物事の状態”“境遇”の意で、印象は含まず。

「様子がいい」は、
人柄が現れたものとしての
“身なり”や“ふるまい”や“しぐさ”などが
好ましいということでしょうか。

落語には「料簡」もよく出てきます。
・どういう料簡だい
・とんだ料簡違いだよ
・悪い料簡を起すな
・料簡が狭い

「料簡」も捉えずらい語ですね。

「料簡/了見」(りょうけん)
1、思いをめぐらすこと。考え。思案。
2、こらえて許すこと。

「料」は米とますの合字で、“米をますで量る”意。
「簡」は“分別する”“選ぶ”意。
「料簡」(りょうかん)は本来“はかり選ぶ”
という意味ですが、日本では「りょうけん」と読み、
あれこれの事情をはかり、その中から適切な考えを選ぶこと。
→ 深く考える → 考え

桃紅氏は100才になって何冊も本を上梓されています。
* *
「この歳になると、誰とも対立することはありませんし、
誰も私とは対立したくない。百歳はこの世の治外法権です」
* *
「ひとりひとり違うのだから、
理解しあえなくて、モトモトなのです」
* *
「あきらめられないから 悩みが尽きず、
あきらめられないから 希望も続く。」
人生は、その繰り返し」
* *
「歳相応という言葉がありますが、
人を批評するのに年齢はたいへん便利な言葉です。
私は歳には無頓着です。
これまで歳を基準に物事を考えたことは一度もありません。
何かを決めて行動することに歳が関係したことはありません。
自分の生き方を年齢で判断する、これほど愚かな価値観はないと思っています」
* *
など、独自の物の見方や言葉に説得力があります。
なんといっても104歳を生き抜いてこられた方の言ですから。





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2017年08月11日

重複表現

「馬から落馬する」「後悔が残る」「落ち葉が落ちる」など、
同じ意味の語を重ねた言い方を
「重言」(じゅうげん)、「二重表現」といいます。
なじんでしまっているために
気づきにくくなっているものもありますね。
例をみてみましょう。
・決着がつく 「着く」と「つく」
・違和感を感じる。「感」が二重
・従来より 「従来」に“〜から”の意を含む。
・秘密裏のうちに 「裏」と「うち」
・各ファイルごとに 「各」と「ごとに」
・あらかじめ予定された 「あらかじめ」と「予定」
・あらかじめ用意する
・満〇周年 「周年」は“まる1年”
・約10m程度 「約」と「程度」
・第1日目 「第」も「目」も順位を表す。
・過半数を超える 「過」と「超」
・まず最初に、 「まず」と「最初」
・一番最初 / 一番最後
・被害を被る
・返事を返す
・挙式を挙げる
・はっきりと断言する
・炎天下の下
・最も最強
・事前予約

日本語+外来語の重複例。
・排気ガス
・シェリー酒 sherryに“酒”の意。
・ラム酒 rumに“酒”の意。
・チゲ鍋 朝鮮語のチゲは“鍋料理”の意。
・ハングル文字 朝鮮語のグルは“文字”の意。
・クーポン券 仏語couponは“券”の意。

昔 取り上げた <「通常通り」は正しいか?!>
「通常通り」ってよく使ってますよね。
これも重ね言葉?
* * Webの答え * *
「通常」=いつもそうであるさま
「通り」=〜と同じように
これらを合わせたものが「通常通り」だと思う。
「通常通り」=as usual と思っていて、違和感を覚えない。
* * * * * * * *
「いつも」=「通常」の言い換えで
いつも通り=「通常通り」が出てきたものと思われます。
かなり浸透しているように思います。
重ねない表現としては、
・本日、平常通り営業します
・本日は通常の営業です




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2017年08月10日

意趣返し(いしゅがえし)

恨みを返すこと。仕返し。
「意趣晴らし」「意趣を晴らす」とも言います。

「意」にも「趣」にもマイナスの意味はなく、
「意趣」という熟語に悪い感じは受けませんが、
“恨み”という意味があります。

「意趣」(いしゅ)
1、恨み。
2、考え。意向。
3、意地。
4、理由。わけ。

Webで「意趣返し」の使用例を探すと、
タイムリーな話題に使われていました。
・文科省前次官の前川氏が意趣返しに内部文書をリーク
・安倍晋三の意趣返し! 電波に再び厳しい締め付け。
・恨み骨髄!電波に晋三の意趣返し!
・都知事選の意趣返し−小池氏「自民党費払う理由ない」
「仕返し」「復讐」「報復」と言うよりは、
ソフトに聞こえます。

「讐」は復讐以外であまり目にすることがありませんが、
どういった意味を持つのでしょう。
よく見ると、ふるとり(隹)が2つ並んでいます。
鳥と関係あり?
隹=小さな鳥の形
隹隹=“二つ並ぶ”意。
言=口+辛が変化した漢字。
辛(シン)= “心”で、
口からの心の現われ = “言葉”の意。
讐 = 隹隹+言 = 二つ並ぶ+言葉 → 返答
返答 → 応じる → 報いる(仕返し) →
“あだ・かたき”という変遷です。

「讐」
1、こたえる
2、むくいる
3、あだ

復讐といえば、
「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)という重苦しい語があります。
薪(たきぎ)の上に寝ること。
苦い胆(肝)を嘗める(なめる)こと。
自らを苛むことで復讐の志を奮い立たせおうとする姿です。
なんと過酷な生き様。
転じて、
“目的を達成するために苦心し努力を重ねる”
という意味で用います。

最後に「意」と「趣」の意味も確認しておきます。
「意」
「音」と「心」からなる会意文字。
言葉(音)で表せない“こころ”“思い”を意味しています。
1、こころ。おもい。
2、思う。考える。

意志・意思・意外・故意・同意・意匠・懇意・任意・
意義・意見・意向・意中・意味・意欲・善意・悪意・
随意・任意・合意・極意・敬意・好意・厚意・客意・
決意・原意・殺意・賛意・鋭意・意地・我意・愚意・
恣意・私意・合意・害意・意執・意念・意図・意訳
熟語ありますねー。
しかも日常的に使うものが多い。
馴染みの薄かったのが、

「意執」(いしゅう)
あることを心に固く信じて、それから離れられないこと。

「客意」(かくい)
旅行中の感慨。旅情。

「趣」おもむき
1、味わい。面白み。
2、自然にそう感じられる有様。感じ。

「趣」シュ
1、心の向かうところ。めざすところ。考え。
2、おもむき。あじわい。
3、仏教で、衆生が輪廻(りんね)の間に行って住む世界
posted by 空凛 at 08:39| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月09日

世界のことわざ

「誰も知らない世界のことわざ」ella francess sanders 著
魅力的なイラスト付きの絵本のような本です。
世界中から拾ってきた風変わりなことわざが51語。
その中から8語を紹介します。
まず、どんなことわざなのか想像をめぐらせてみて下さい。
答えはずっと後に↓あります。

(1)ザワークラウトの中で自転車をこぐ
<フランス>
ザワークラウト (Sauerkraut) とは、
ドイツにおけるキャベツの漬物。
原義は“すっぱいキャベツ”
酢漬けではなく、乳酸発酵によるものです。

(2)カラスが飛び立ち、ナシが落ちる。
= カラス飛んで梨が落ちる
<韓国>
カラスは悪の使者?
なんだかいわくありげなストーリーを想像しますね。

(3)彼の鼻は雲をつきやぶっている
<セルビア>
これは素直に絵を思い浮かべればOK。

(4)PとQに気をつけて
<イギリス>
小文字のpとqは似てますね。

(5)エビサンドに乗ってすべっていく
<スウェーデン>
エビサンドの意味することは?

(6)テーブルクロスには小さすぎ ナプキンには大きすぎる
<オランダ>
「帯に短し たすきに長し」的なこと?

(7)オオカミの口の中へ!
<イタリア>
恐ろしい物に立ち向かっていく姿?

(8)私のサーカスではないし、私の猿でもない。
<ポーランド>
何か突き放した感じがします。


答え >>>>>>>>> 先に見ないでね

A1>> キャベツと自転車
由来は初期のツールドフランス。
脱落した人や時間内に走り終えられない人を乗せる車に
しばしばザワークラフトの広告板があったため。

A2>> カラスと梨
カラスと梨の落下が関連ありそうに思われがちですが、
「関係のないことが同時に起きること」を意味します。
転じて“思わぬ疑いをかけられること”
起こりがちなことかもしれません。
同じ意味ではありませんが、
「瓜田李下」(かでんりか)という語が頭に浮かびました。
瓜畑で履物を履きなおすと瓜を盗むと疑われ、
また李(スモモ)の木の下で冠をかぶりなおすと李を盗むと疑われるという意から、
人に疑われるような言動は慎まなければいけないというたとえ。

A3>> 雲の上の鼻
“舞い上がっていて、うぬぼれている”という意。

A4>> PとQ
“言動に注意しなさい”という意味。
由来は諸説あるようですが、その1つが初期の活版印刷。
左右反転している文字を組み合わせて版を作っていたため、小文字のpとqはよく間違えられました。
版を組む人に対して注意を払うようにと言ったことから。

A5>> エビサンド
エビサンドは代々受け継がれてきた富の象徴で、働かずに安楽に暮らしていることを意味します。
また、その富にあまりふさわしくない、という皮肉が込められています。
「銀の匙をくわえて生まれてきた」という諺が似ていますね。

A6>> テーブルクロス
中途半端でどうしようもない様子を表現したもの。
日常のあらゆる場面で使われるようです。

A7>> 狼
Good luck!/検討を祈るよ!/がんばって!のイタリア語版です。
武者震いしている挑戦者への声援ですね。

A8>> サーカス
“私の問題ではない”という意味で、聞く耳を持たない相手に「話してもしかたがない」と言いたい時に使います。
「それは私のサーカスでなないし・・好きにしたらいい」
冷ややかに突き放す図。
posted by 空凛 at 08:21| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

徒口(あだくち)

実意のない言葉。むだぐち

「徒」の読みは
ト・かち・あだ・むだ・いたずら

「ト」
・乗り物を使わないで歩くこと
・何も持たない
・むだ
・仲間

「かち」
・乗り物を使わないで歩くこと

「いたずら」
・役に立たないさま
・何もすることがないさま

「あだ」
・実がないこと
・浮ついたさま
・はかないさま
・かりそめ

以前、「徒花」(あだばな)を取り上げましたが、
「徒」(あだ)を使った語は消えつつあります。
実際、徒(あだ)の熟語は用例辞典を引いても、
サンプル不足で表示されません。
でもちょっと新鮮な語感があって、
ハッとする表現になると思うのですが・・・。
復活するといいのにと思いつつ、いくつか紹介します。

「徒心」(あだごころ)
浮気心。

「徒つく」(あだつく)
1、浮気心を起こしてそわそわする。
2、いちゃつく。じゃらつく。

「徒言」(あだごと)
実(じつ)のないあてにならない言葉。うそ。

「徒言/只事」(ただごと)
技巧などを用いない、ありのままの言葉。
歌語でも比喩でもない日常の言葉。

「徒顔/只顔」(ただがお)
化粧していないありのままの顔。素顔。

「ただがお」って、何となくとぼけた感じがします。
一方、
「素顔」は中立・無色のイメージ。
「すっぴん」は肌がピンと張った感じ。
「地顔」(じがお)はちょっと不細工ニュアンス。
雑誌や会話では、
「素顔」より「すっぴん」のほうがよく使われていますね。
すっぴんは2004年あたりから現れたようです。
2013年頃をピークに今もまだまだ元気な語です。
由来は「別嬪」(べっぴん)=“美人”です。
最近はあまり聞かれなくなりましたが、
中高年のおじさんが「べっぴんさん」と言ってるのを
たまに耳にすることがあります。
この「別嬪」の対語として生まれました。
素の嬪→「素嬪」(すっぴん)
元は、化粧をしなくても美人の意。
そこから素顔のままを意味するようになりました。


ちなみに、
「ただごとではない」の漢字、書けますか?



「徒事/只事/唯事」
取り立てていうほどのこともない事柄。普通のこと。
posted by 空凛 at 08:31| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

小回りの利く「小」

接頭語「小」の付く表現は多いですね。
良い・悪い、どちら向きにも表現の幅を広げてくれます。
軽やかです。

・小耳にはさむ
・小首をかしげる
・小腹がすく
・小躍りする
・小競り合い(こぜりあい)
・小気味いい
・小まめな亭主
・小ざっぱりする
・小洒落た(こじゃれた)お店
・小奇麗な身なり
・小粋なしぐさ

「小」には、
“いやしい”“心がせまい”“つまらない”
などの意味もあります。

・小うるさいハエ
・小ずるい男
・小細工をする
・小バカにする
・小難しい議論
・小生意気な子ども
・小利口に立ち回る
・小賢しい知恵
・小汚い恰好

女性は「小太り」と言われるととても傷つきます。

「小手先」(こてさき)は
“小器用”“小才”
という意味もありますが、
現在では、
“その場しのぎで、将来を見通した深い考えのないこと”
と、マイナスの意味で使われています。
「小器用」「小才」にしても、
“小者感”が漂っていて、あまり嬉しくない語です。

「小」は「ささ/さざ」とも読みます。
=「細」(ささ)
「さざ波」は“小さい波”なのでした。

「ささ濁り」
川の水が若干濁っている状態のこと。
アユの友釣りなどで使われるようです。

「さざれ石」(細石)は 元は“小さな石”の意。
「君が代」の歌詞に出てきます。
-------・----・----・-------
君が代は 千代に八千代に
さざれ石の いわおとなりて
こけのむすまで
-------・----・----・-------
小さな石が長い年月をかけて
巌(いわお)という大きな石になり、
さらにその上に苔が生えるまで。
悠久の時。

この歌詞は「古今和歌集」の短歌の一つなんですね。
1880年(明治13年)に曲が付けられ、
1999年(平成11年)に正式に日本の国歌となりました。

「小」に比べて「大」は
面白みのある表現が少ない気がします。

「大言」は良い/悪い 両方の意味を持ちます。

「大言」(たいげん/だいげん)
1、物事を誇張していうこと。
2、りっぱな言葉。堂々とした言葉。

posted by 空凛 at 08:38| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月06日

偏む(こずむ)

1、筋肉がかたくなる。凝る。
2、心が重くなる。気がめいる。
3、競馬で、馬の肩や腰が硬直して歩行がぎこちなくなる。
4、1か所にかたよって集まる。

知らない語で、読めませんでした。
用例検索でも出てきませんから、
日常では使われていないようです。
でも、
「偏む」の連用形が名詞化した「こずみ」は
競馬界で使われていました。
競馬用語の「こずみ」は馬の筋炎や筋肉痛の俗称。
馬の歩行がぎこちない状態をいいます。
・こずみが酷い
・あの馬はこずんでいる
・調教の失敗か、今日はこずんでいる
ちなみに、
静岡辺りでは「こずむ」は、
“物質が沈殿すること”を言うそうです。
・砂糖がこずんでいる

「こずむ」の原因は 偏り(かたより)にある。
と理解しました。
一方、
「肩が凝る」の「凝」は、
液体がこりかたまる。じっとして動かない。
心が一つのことに注がれて他に動かない意。

「凝る」(こる)
1、「〇〇にこる」の形で、
趣味・スポーツなどに夢中になる。ふける。
2、細かい点まで趣味を貫く。意匠をこらす。
3、筋肉が張ってこわばる。
4、一か所に寄り集まる。また、氷結する。

凝血・凝固・凝視・凝縮・凝集・
凝議・凝念・凝立・凝塊・凝然・凝滞・凝望
「凝」の付く熟語は頭に付く語ばかりでした。

「凝議」(ぎょうぎ)
熱心に相談を重ねること。
・再び緊急村会が召集されて対策が凝議された。
・一同はこの敗戦の収拾を凝議した。

「凝念」(ぎょうねん)
思いをこらすこと。また、その思い。

「凝念」も一般にはあまり使われていませんが、
仏教やヨガの世界、そして教育現場で生きています。
成蹊中学・高等学校では毎朝の朝礼で凝念を行い、
生徒の集中力を高めています。
明星中学校・高等学校でも「凝念」という教育が、
創立以来受け継がれています。

「疑念」に“二水”(にすい)が付くだけで大変身です。
「凝念」には修行のイメージがあります。
posted by 空凛 at 11:23| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする