2017年10月16日

撞着(どうちゃく)

1、つきあたること。ぶつかること。
2、つじつまが合わないこと。矛盾。

「矛盾」の類語を見ていて見つけた、見知らぬ語でした。

「撞」 トウ・シュ・つく
1、つく。
2、つき当たる。さしさわる。

「自家撞着」(じかどうちゃく)
同じ人の言動や文章などが前後で矛盾していること。
自分で自分の言行に反することをすること。

「矛盾撞着」(むじゅんどうちゃく)
二つの事柄が論理的に食い違って、つじつまが合わないこと。

矛盾に類する語はまだありました。

「二律背反」(にりつはいはん)
哲学で、相互に矛盾する二つの命題が同等の妥当性をもって主張されること。

「形容矛盾」(けいようむじゅん)
論理学で、ある語をその語のもつ性質に矛盾する語で形容すること。

「両義性」(りょうぎせい)
ある概念や言葉に相反する二つの意味や解釈が含まれていること。

「撞着語法」という修辞法はご存じでしょうか。
私は「撞着」も知らなかったくらいですから、「撞着語法」もさっぱりです。
でも、難しい名前は知らなくても、この言い回しは知っていました。
きっと誰にも馴染みの表現です。
「矛盾語法」ともいいます。
用例を見れば “このこことか” とすぐ納得です。
・慇懃無礼
・有難迷惑
・公然の秘密
・永遠の一瞬
・生きた化石
・無慈悲な親切
・残酷な優しさ
・細マッチョ
・ブサかわいい
・ツンデレ
・うれしい悲鳴
・このろくでもない素晴らしい世界

ピタリとはまるとおもしろくて刺さる表現が生まれますね。
英語だと「oxymoron オクシモロン」
ギリシア語の「oxys」(鋭い)と「moros」(愚かな)を合成した語。
相反する言葉を結びつけて効果を与える言い回しですが、
厳密に対義語になっている必要はありません。

☆撞着語法の効果
* 興味をひく
* 刺激的・衝撃的
* 意表をつく
* 新しい考え方
* 真理に迫る深遠さ
* 皮肉・風刺

似ていて紛らわしいのが「逆説法」
一見、真理にそむいているようにみえて、実は一面の真理を言い表している表現。
・急がば回れ
・負けるが勝ち
・損して得取れ

「撞着語法」--- 矛盾した内容の語を組み合わせる
「逆説法」----- 一見常識に反する表現を用いて真意を伝える

逆説法はよくことわざや成句に使われます。
ことわざには、相反する内容のものが並存していて、
人の世はそう単純にはできていないと気づかされます。
例えば、
善は急げ / 急がば回れ、急いてはコトをし損じる
君子危うきに近寄らず / 虎穴に入らずんば虎児を得ず
蛙の子は蛙 / 鳶が鷹を生む
立つ鳥跡を濁さず / 旅の恥はかき捨て
一石二鳥 / 二兎を追う者は一兎をも得ず
三人寄れば文殊の知恵 / 船頭多くして船山に上る




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2017年10月15日

語感を感じてみる

黒川伊保子著「語感対決77」という面白い本を見つけました。
誰しも言葉の音から何かしらのイメージを浮かべていると思いますが、それはぼんやりとあいまいなもの。
この本は、語感対決というおもしろい切り口で、言葉の持つイメージを表現してみせます。

発音体感は小脳を経由して潜在意識に作用。
語感は脳に様々なイメージをもたらしています。
言葉の音は絶対的な感覚もたらすものではなく、受け手の脳の状況によって違ってくる相対的なもの。
語感が受け手の脳の生理状態に合っているときに、よい言葉と感じます。
言葉の音を長く研究してきた黒川氏は
「爽やかS音」「癒しのM音」「華やかなR音」「相手を威嚇するI音」など、
音を分解して語感をスパっと分析してみせます。

例を1つ紹介します。

〇コシヒカリ vs ササニシキ <ツヤ対決>
− KoSHiHiKaRi −
しっかりしたK音ではじまり、
湿り気のSHi(シ)、
温かさを感じさせるHi(ヒ)、
語尾のRi(リ)が放つ輝きとかたさ。

− SaSaNiSHiKi −
湿度を持つSが3つもあり、十分な水分量を感じさせ、
語尾のKi(キ)が弾力を伝える。

どちらも優劣つけがたいが、
ササニシキにはないR音が米のツヤ感をだして、
コシヒカリの勝ち。


音のイメージをこんな風に表現した学者もいました。
あ --- 広厚
か --- 堅牢
さ --- 窄小
た --- 剛直
な --- 和順
は --- 混沌
や --- 進前
ら --- 形状
わ --- 操曲

「窄小」という語は中国語辞典に載っていました。
狭くて小さい。せせこましい。

「窄」は “せまい”“せばめる”意。
「狭窄」という語があります。

「操曲」という語は、どの辞書にもWebにも見つかりませんでしたが、
「操典」(そうてん)の説明に「騎兵操典」という語が出てきました。
旧日本陸軍が作成した、各兵種の教育および戦闘についての典拠書。


以前、怪獣の名前を集めてみたことがありました。
怪獣のネーミングは「ラ」と「ゴン」を展開していました。
語感はどうなっているでしょう。
「ラ」は “華やかなR音”そして “形状”
「ゴ」は喉を絞め出す音で、脳がストレスを感じる音。

☆「ラ」のつくネーミング
ゴジラ (ゴリラ+クジラ)
エビラ
モスラ (蛾=moth)
キングギドラ (モスラの幼虫)
ガメラ (亀)
原始鳥 リドラ
冷凍怪獣 ペギラ
四次元怪獣 トドラ
古代怪獣 ゴモラ
海獣 ゲスラ

☆「ゴン」のつくネーミング
ナメゴン
カネゴン
ステゴン
レオゴン
ゴダイゴン

☆「ドン」のつくネーミング
ガヴァドン
テレスドン
メガドン
スカイドン

ゴジラのヒットで、怪獣の名前に「ラ」をつけるようになったそうです。
どれも怖いというより、かわいさを感じます。



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2017年10月14日

相克と相生

「相剋/相克」(そうこく)
1、対立・矛盾する二つのものが互いに相手に勝とうと争うこと。
2、五行説で互いに相手に勝つ関係にあること。
対語: 「相生」

「剋」 コク・か-つ
重い兜を身に着けた人の象形。
原意:重さに耐える・打ち勝つ。刀で打ち勝つ。殺す。
1、耐え抜いて打ちかつ。=克
2、きびしい。むごい。
剋薄=刻薄=酷薄

「相生」(そうせい/そうじょう)
五行説で、木は火を、火は土を、土は金を、金は水を、水は木を生じるということ。

「相生」は「あいおい」と読むと、
1、一緒に生育すること。
2、1つの根元から2つの幹が分かれて伸びること。

「あいしょう」とも読みますし、ややここしいですね。


「そうせい」と読む熟語に「早世」「早逝」がありますが、
どちらも “若くして死ぬこと” = 夭折(ようせつ)
「早世」は古くからある語ですが、
「早逝」は後から自然発生的に生まれた語で、辞書によっては載っていません。
「逝去」「急逝」などの「逝」と「早く」が結びついて「早逝」となり、広まったようです。

「相」の読みは ソウ・ショウ
読み別に熟語を並べてみました。
「ソウ」
手相・家相・骨相・死相・人相・面相・
形相・血相・滅相・瑞相・真相・世相・
「ショウ」
首相・宰相・相国寺(京都にある禅寺)
「ショウ」と読むものは限られていて悩まずにすみます。

「五行説」
世の中のすべての事象は、
木・火・土・金・水という5つの要素で説明できる。
という考え方。
互いが相乗効果で良い相性を生む「相生」(そうじょう)
もうひとつはお互いに力を弱め合う「相剋」(そうこく)
陰陽説は古くから存在したのに対し、
五行説は陰陽説よりも後から出来たもので、
当初から陰陽説と一体となり「陰陽五行説」といわれます。
「陰陽五行説」は風水をはじめ中国のあらゆる占い、漢方医学や鍼灸医学などでも用いられています。

◆相生の関係
木をこすりあわせると火が生まれる
→ 火は燃えて土に還る
→ 土の中から金が生まれる
→ 金を冷やすと水が生まれる
→ 水は木を育てる

◆相克の関係
木は土を破って出、
土は水をせき止め、
水は火を消し、
火は金属を溶かし、
金属は木を切る、
それぞれ支配し合う関係。

↓ わかりやすい相関図
http://bikancha.com/wp/wp-content/uploads/2012/09/%E4%BA%94%E8%A1%8C%E5%9B%B3.png




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2017年10月13日

ちょっと懐かしい言葉

今回は最近拾ったちょっと懐かしい語を紹介します。

「得恋」(とくれん)
恋愛が成就すること。失恋に対していう語。

失恋の対語を想像したこともありませんでしたが、
こんな語があったんですね。
でも、ほとんど使われていないような・・・
・得恋話し
・お礼参りで、得恋感謝
・失恋より得恋が多かった

「片思い」の逆は「両思い」(りょうおもい)と言ってますが、
対語は「相惚れ」(あいぼれ)とありました。
片思いに似た語に「岡惚れ」があります。
時代劇でたまに出てきます。

「岡惚れ」(おかぼれ)
親しくしたことのない人や他人の恋人を、わきから恋すること。
自分のほうだけがひそかに恋していること。

なぜ「岡」の字なのでしょう。
「おか」は “傍ら(かたわら)” の意味。
小高いところの意の「岡」と同源。
人々の生活の中心であった平地。その傍らには岡。
平地と岡 = 中心と傍ら → “わき” の意味が生じたもの。
「岡目八目」や出前用の箱「岡持ち」の「岡」も同じです。

「秋の扇」も失恋に類する語です。
知らない語でしたが、なんとなくイメージできました。
帝の寵愛を失ったわが身を秋の扇にたとえて嘆いた妃の故事から。
愛を失って捨てられた女のたとえ。
とても優美なたとえですけど、ひっそりとした哀しみが痛々しい。

「近劣り」(ちかおとり)
近くで見ると遠くで見るよりも見劣りがすること。
対語は「近優り」(ちかまさり)

「お平らに」
「膝を崩して」お楽にして下さいという意味。
とても柔らかな言い方ですね。

「お膝送り」は、昔 法事などで聞いた覚えがあります。
座ったまま膝を動かし詰めることです。
後から来た人のために、
「お膝送りをお願いします」と声をかけて譲ってもらいます。
「膝行」(しっこう)という語もあります。
「いざる」とも言います。
椅子の生活が多くなって、あまり聞かれなくなりました。




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2017年10月12日

粘稠(ねんちゅう)

ねばりけがあって密度の濃いこと。
「稠」は “びっしり集まる” 意。
「稠」の読みは「チュウ」なのですが、
多くの人が「ちょう」と誤読して、多くの人がそれに気づかず、誤読が広まっている語です。
日常で耳にすることはまれですが、専門的な分野で使われていました。
・大量の砂糖を溶解させたものは粘稠な液体となる。
・濃硫酸も粘稠な液体であるが、発煙硫酸はそれ以上に粘稠である。
・化膿は、組織の損傷部が炎症を起こし、好中球を主とした白血球の浸潤と炎症組織の溶解により、粘稠な浸出液を形成すること。
組織内に貯留するものは膿と呼ばれ、上部気道炎症では痰として排出される。

痰・血液・唾液などの医学的形容で使われています。
唾液もストレスがあるとネバっぽくなるそうです。

「稠」の熟語に「稠密」(ちゅうみつ)があります。
一つのところに多く集まっていること。こみあっていること。
稠密も使ったことがないので、どんな風に使われているか見てみました。
・狭小な国土に稠密な人口。
・人口が稠密な大都市圏の出生率は低い。
・様々な生きものが稠密にひしめいていた。
・稠密な乗合バス路線が運行されている。

旁が「周」で「ちょう」と読む漢字には「調」と「凋」があります。

「凋落」(ちょうらく)
草木がなえてしぼむ。勢いが衰える。
こちらは「しゅう」と誤読されることが多いようです。

間違いも多くの人が使うようになると辞書に登録され、受け入れられていきます。
「耳ざわり」も変化の兆しがある語です。

「耳障り」(みみざわり)
聞いていて不快に感じること。
“差しつかえる” “じゃま” の「障る」ですが、
最近は「耳触り」も載せている辞書があります。
肌触り・舌触り・手触り・歯触りなどに加えて、
「耳触り」が “聞いたときの感じ・印象” の意で使われています。
・キーキーというひどく耳障りな音がした。
・耳触りのいいメロディ
・耳触りの良いことばかり口にする政治家は信用できない。

「目障り」「耳障り」「気障り」は眉根の寄るものですが、
「耳ざわり」は嫌悪/好感の両方に用いられるようになっています。





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2017年10月11日

刹那(せつな)

きわめて短い時間。瞬間。
仏教用語で時間の最小単位を意味します。
本来「短い時間を大切に過ごしなさい」と言う教えで、
「刹那主義」は、現在の瞬間を生きることに全力を尽くすという考え方。
それが今では一般に、
一時的な快楽を求めようとする考え方になっています。

一方「快楽主義」は、
「人生の目的は快楽であり、快楽こそが最高の善である」
というエピクロスという哲学者が説いた考え。
一見、自堕落なことのように思えますが、
ここでいう「快楽」とは、
肉体において苦しみのないことと、魂において乱されないということ。

仏語の「快楽」は「けらく」と読み、
煩悩から解放されて得られる安楽。
けっして酒池肉林的な快楽ではありません。

仏語には時を表す難しい語がいくつもありました。

「弾指」(だんし/だんじ)
指を1回弾いて出る音の長さ。
曲げた人指し指の爪を親指の腹にかけて強くはじくこと。
密教系や禅系で使われる所作で、
許諾・警告・不浄の除去などに使われます。
「指弾」「爪弾き」はこの所作から来ています。

「須臾」(しゅゆ)
短い時間。しばらくの間。
仏語では一昼夜の三十分の一の時間。
見慣れぬ語ですが、以前は小説などでも多く使われていたようです。
・槍は兵士を追い、かれらを須臾の間に血まみれの骸と変えていった。
・その巨大・強力な勢力には、須臾の弛みも許されない。
・須臾にして、五感が一つ一つ、嗅覚を先にして恢復して行った。
・20世紀なんてものは、人類生存の年限からいったら、ほんの須臾のあいだだ。

「玉響」(たまゆら)という珍しい語も時を表します。
漢字といい音といい神秘的な感じしませんか。
なんだかいわくありげに見えます。
玉が触れ合ってたてる微かな音のこと。
転じて “ほんのしばらくの間”
あるいは “かすか” を意味する古語。
・日々のたまゆらの慰めになった
・たまゆらのよろこびに浸っている
・たまゆらの充足をもとめて、永遠のむなしさに陥ってしまう。

○時を表す熟語
一瞬・ 瞬間・瞬刻・瞬時・瞬息・瞬目・咄嗟・片時・
寸時・寸隙・寸刻・寸陰・
永遠・永久・永劫・久遠・恒久・長久・悠久・無窮




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2017年10月10日

禿頭(とくとう)

はげ頭

いつも「ハゲ」「ハゲ」と言って笑いのタネにしていますが、
「禿頭」という真面目な?熟語があったんですね。
他に「ハゲ」の固い表現はないようです。
「はげちゃびん」「はげちょろ」「はげちょろけ」「はげちょろける」
などの語が辞書に載っていました。

「はげ」は「剥ぐ」の名詞形から。

禿髪(とくはつ)
髪の毛が抜けてはげること。

「禿」(かぶろ/かむろ)
「古くは「かぶろ」で、近世以降「かむろ」に。
1、はげ頭。
2、おかっぱの童子の髪型のこと。
3、遊郭の太夫が側におい身の回りの世話をさせた少女(かむろ)

「禿」のところに「禿びる」という語がありました。

「禿びる」(ちびる)
先がすり切れて短くなる。
「ちびる」は、「禿ぶ」(ちぶ)の口語的表現。
元は小さいものを意味する「粒」(つび)から。
「ちび」は「ちびる」の連用形が名詞化した語。
ちび ← ちびる ← 禿ぶ ← 粒
“小さい” が “ちょっと” 何かをするという俗語的な表現になり、
<ちょっと小便を漏らす> → <小便をちびる>に。
「禿」という漢字は私には凛々しく映るのですが、
「チビ」と「ハゲ」2つの意を含んでいました。

「髢」(かもじ)はご存知でしょうか。
髪を結う時、自分の髪に添え加える毛。

「毟る」(むしる)という漢字もほとんど目にしませんね。
日本で作られた国字です。
意味はそのものズバリ、毛をむしりとって少なくする。
薄毛の方々には「むしり取るなんてありえなーい」
と叫ばれることでしょう。
抜け毛に悩んでいる人には 目に突き刺さる漢字かも。



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2017年10月09日

囲繞(いじょう/いにょう)

まわりを取り囲むこと。

「繞」 ニョウ・ジョウ
めぐる。かこむ。

あまり聞かない語かと思いますが、不動産業界の方はご存知ですね。

「囲繞地」(いにょうち/いじょうち)
民法上、袋地を囲む周囲の土地。
袋地所有者は公路に出るためこの土地の通行権をもつ。
→「囲繞地通行権」

「袋地」(ふくろち)
道路に面していない土地。
http://allabout.co.jp/gm/gc/419539/

実は、この語にたどり着いたのは、
しんにょうの点が1つと2つの違いが気になったことからです。
しんにょうは「之繞」と書くんですね。
「繞」(にょう)は、
漢字の構成部位のうち、左から右下にかけて囲む部分。
「之」(し)の字に似ていることから
「之繞」(しにょう)の名がつき、
なまって「しんにょう」、さらに「しんにゅう」とも。
最近は「えんにょう」などと統一するため、
「しんにょう」と読む傾向にあります。

点が1つと2つの経緯はややこしいです。
歴史と国語審議会と書体の問題が入り組んでいます。
1716年清の康煕帝(こうきてい)の勅命によって作られた康煕字典は、最も正当な規範と考えられていますが、康煕字典に載っている漢字はすべて二点しんにょうです。
二画目以降の筆の運びが続いているかいないかの違いで、本来は同じものということです。
常用漢字に関しては「一点しんにょう」が正しいとなります。
2010年に新常用漢字表が告示され、
「遡」「遜」「謎」はそのまま二点しんにょうが正体となりました。
どんなこだわりで3つ漢字が残ったのでしょう。
ただ、一点しんにょうで書いても良いことになっています。
とりあえず全て一点しんにょうでOKと覚えておきます。

「しんにょう」は道や歩く事に関するもの。
○3画のしんにょう
込 辺 迅 近 迎 逆 迷 逐 連 逓 通 逸 遅 道
違 遠 遺 遮 遍 遣 遵 還 返 述 迭 迫 送 退
追 逃 逝 造 速 途 透 週 進 逮 運 過 遇 遂
達 遊 遭 適 選 遷 避 迪 遥 遼
○4画のしんにょう
辻 迄 迂 這 逗 辿 遁 逼 遡 遜
遽 邏 邁 逍 逞 逅 迸 逢 迦 邂

○えんにょう 延 建 廻
○そうにょう 赴 起 越 超 趣 赳 趙 趨
○かんにょう 凶 凹 出 凸 函
○きにょう 魅 魁 魃 魑 魍 魎
○ばくにょう 麺 麩 麹
○ふうにょう 颱 颶
○すいにょう 処
○そうにょう 爬

「繞」の付く語に
「纏繞」(てんじょう)という語がありました。
まといつくこと。からまりつくこと。
「纏」は “まとわりつく” “身に着ける” という意味で、
中国の「纏足」(てんそく)の漢字でした。



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2017年10月08日

これ、読めますか?

神仏に関する語です。
「手水」 「直会」 「御神籤」 「山車」 「地車」

「手水」(ちょうず)
てみずの転。
てみず → てうづ → ちょーず
1、手や顔などを水で洗うこと。また、その水。
2、トイレへ行くこと。

「直会」(なおらい)
祭事が終わってのち、
供え物のお酒や飲食物を下げて酒食する宴。
「直り合い」(なほりあひ)から。
祭祀のため行った斎戒を解き、平常に直るという意。

「お御籤/御御籤/御神籤」(おみくじ)
神仏のお告げを得て吉凶を知るために引く、くじ。
おみくじの「お」「み」は、
「おみき」「おみこし」などと同じ接頭語で、
「み」を「神」と書くのは当て字。

籤(くじ)の語源は、諸説あります。
〇串(くし)説。
串のような棒状の物を使うことが多かったため。
〇抉る(くじる)説
箱などに入った物を引く
→ 中の物をえぐって取り出すことから。
〇公事(くじ)説。
神仏による審判と考え、
裁判を意味する「公事(くじ)」から。

「山車」(だし)
祭礼のとき、引いて練り歩く装飾を施した屋台。

「山車」は当て字で、
屋台の鉾につけた竹籠の編み残し部分を
垂れ下げてだした「だし」から。

「地車」(だんじり)
日本の祭礼に奉納される山車(だし)に用いられる
西日本特有の呼称。

「楽車」「壇尻」「台尻」「段尻」とも表記されます。

こちらも由来が諸説あります。
〇屋台をじりじりと動かすことから「台じり」説。
〇台にじり説。
〇祭場を意味する「壇」を引きづる説。

最後は神仏ではありませんが、最近気づいた、私の間み間違い。
「引数」を「いんすう」と読んでいました。
引火・引水・引責・引退などの読みは「イン」なので、
何の疑いも持っていませんでした。

「引数」(ひきすう)
プログラム中で、関数に引き渡すデータ。
引数=parameter(パラメーター)

般若心経の 「波羅蜜多」はパーラミターの音を漢字にしたもの。
サンスクリット語のパーラミターの意味は “完成した状態”

長いこと誤って覚えていた語は、
知った後も、間違った方が口に出るんですよね。
気をつけねば。



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2017年10月07日

揶揄(やゆ)

からかうこと。なぶること。

日常よく見聞きしているわりには、書けない「揶揄」です。

「揶」ヤ
からかう。あざける。

「揄」ユ
なぶる。からかう。

どちらも“からかう”という意味でした。
他での使用は見られず「揶揄」として生き残っています。

“あざける” “なぶる” は悪意のみですが、
“からかう” には、おふざけの軽さもあります。

「からかう」
冗談を言ったりいたずらをしたりして、相手を困らせたり、怒らせたりして楽しむ。揶揄する。

「おちょくる」も “からかう” “ばかにする”という意味ですが、明るくおどけた感じです。

「嘲る」(あざける)
人をばかにする。

「嬲る」(なぶる)
1、弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、
もてあそんだりする。
2、からかってばかにする。愚弄する。
3、手でもてあそぶ。いじりまわす。

「弄ぶ/玩ぶ」(もてあそぶ)
「持て遊ぶ」から。
1、手で持って遊ぶ。いじくる。
2、心の慰みとして愛する。
3、思いのままに操る。
4、人を慰みものにする。なぶる。

Wikipediaには、
「揶揄」は社会的立場が強い人に対して用いられ、
風刺の意図が強い言葉として定義する。
とありました。
言い方が直接的でないということでは、
「あてこする」や「皮肉る」もあります。

「当て擦る」
ほかの話にことよせて、遠回しに悪口や皮肉をいう。

「皮肉る」
「皮肉」の動詞化で、
遠まわしに意地悪く相手を非難すること。

「風刺」
遠まわしに社会・人物の欠陥などを批評すること。

スマートで切れのいい「揶揄」や「皮肉」には、
小気味いいものを感じます。

話しはそれますが、
「揶揄」のように同じ偏の熟語って、繰り返しのリズムがあって印象的です。
齟齬(そご)なんて、ヘンテコな絵に見えます。
同じ偏の熟語を探してみると けっこうありました。

纏繞(てんじょう)・紛糾(ふんきゅう)
髑髏(どくろ)・軋轢(あつれき)・標榜(ひょうぼう)
咄嗟(とっさ)・叱咤(しった)・
蹂躙(じゅうりん)・躊躇(ちゅうちょ)
逃避(とうひ)・迅速(じんそく)・迂遠(うえん)
狡猾(こうかつ)・獰猛(どうもう)
指揮(しき)・指摘(してき)・揶揄(やゆ)
惨憺(さんたん)・憔悴(しょうすい)・憤慨(ふんがい)
忸怩(じくじ)・憧憬(どうけい)
淘汰(とうた)・潤沢(じゅんたく)
徘徊(はいかい)・傀儡(かいらい)
贈賄(ぞうわい)・齟齬(そご)
寛容(かんよう)・罵詈(ばり)・蘊蓄(うんちく)



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2017年10月06日

間違いやすい語

間違いシリーズは何度かやってますが、
身近にいくらでもあるものですね。

× 後仕末
○ 後始末

× 一睡の夢
○ 一炊の夢

× 極め付けの芸
○ 極め付きの芸

× お求めやすい価格
○ お求めになりやすい価格

× 世におもねた態度
○ 世におもねった態度

× 足下をすくわれる
○ 足をすくわれる

× 枯れ木も花のにぎわい
○ 枯れ木も山のにぎわい 

× 焼けぼっくりに火がついた
○ 焼けぼっくいに火がついた

「ぼっくい」は「木杭」で、切り株や杭のこと。
「棒杭」(ぼうくい)が音変化したもの。
一度 炭化した杭は火が付きやすいことから、
すぐに燃え上がる関係、
特に恋愛関係について言うようになりました。
私は煤けた松ぼっくりの絵を思い浮かべていました。

× 一つ返事で快諾した
○ 二つ返事で快諾した

「二つ返事」(ふたつへんじ)
気持ちよく、すぐに承諾すること。
「はいはい」と2度言う意味もあります。

めんどうくさそうに「はい、はい」と返事するイメージがあって、「一つ返事」という表現が生まれたのでしょうね。

× 肉迫
○ 肉薄

本来は体と体が触れ合うほど大勢が密集して、敵に攻め寄ることを意味しました。
そこから、相手に鋭く詰め寄る意に。
「肉」は “肉体”、「薄」は “迫る”
辞書には「肉迫」も載っています。




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2017年10月05日

「創業」と「設立」の違い

あいまいなま認識のまま聞き流していました。

「創業」
営利を目的とした事業を始めること。

個人事業主として商売を始める場合など。
会社として法人登記しているか、していないかは関係なし。

「設立」
事業の内容に関係なく、会社などの法人をつくること。

法人をつくるには法務局への登記が必要で、
登記申請をした日が会社の設立日になります。

羊羹で有名な虎屋の創業は室町時代後期で、
株式会社虎屋の設立は1947年(昭和22年)です。

「法人」と「会社」の違いも確認します。

「法人」
法律により人格を認められ、
権利・義務の主体たる資格を与えられた団体。
・NPO法人
・認定NPO法人
・一般社団法人
・公益社団法人
・一般財団法人
・公益財団法人

「会社」
営利事業を目的として設立された「法人」のこと。

・株式会社
以下の3形態は出資者=経営者
・合同会社 (有限責任社員のみで構成)
・合資会社 (無限責任と有限責任社員の両方で構成)
・合名会社 (無限責任社員のみ)

「財団法人」
ある特定の個人や法人から拠出された財産(基本財産)で設立。

株式会社の「資本金」に当たるものが「基本金」、
「出資者」→「出捐者」になります。

「出捐」(しゅつえん)
金銭や品物を寄付すること。

「捐」エン
1、すてる。
2、金を出す。寄付する。

利益を分配できるのが「会社」で、株主や社員に分配できます。
利益を分配できないのが「法人」

さて、
「創」という字は 創作・独創性・創意工夫 など、
“作り出す” という意味で思い浮かべますが、
“刀” が示すように “傷” という意味もあります。
満身創痍・絆創膏・銃創
物を作り始めるときに切り出すことや、封じていたものを切り開くことから、
“はじめる” の意を表すようになりました。

「創」
1、刃物による傷。
2、初めて作り出す。はじめる。



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2017年10月04日

丸と円

「丸い」と「円い」の違いは?
という質問がWebにありました。
そういえば私もうまく説明できません。

端的に言えば、
「丸い」は “立体”、「円い」は “平面”
でも、人それぞれの感覚で使っている気がします。
私などは「円」は真円で、「丸」はアバウトにまるいもの。
といったイメージでした。
元々の意味を知るために漢字の成り立ちをみてみます。

「丸」まる・ガン
会意文字。乙+匕
短刀の象形と両端に刃のある彫刻刀の象形。
いろいろな刃物でまるくした “たま” “まるい” 意。
これで、丸い=“立体” が脳に刻まれました。
それと、
音読みの「ガン」が丸に似つかわしくない強い音で、
私は違和感を持ったのですが、
刀で削る音のイメージとしては納得です。
弾丸・丸薬・一丸

「まる」は「まろ」の音変化。
古語「まろ」の意味を確認します。

「丸/円」(まろ)
1、 まるいもの。まるいさま。
2、 丸々とふとっているさま。
3、 まるまる全部。
4、 銭

“まるまる全部” の「丸なんとか」の表現はよく使いますね。
丸投げ・丸抱え・丸つぶれ・丸のみ・丸かじり・
丸儲け・丸損・丸聞こえ・丸写し・丸暗記・丸刈り・
丸出し・丸裸・丸見え・丸洗い・丸焼け


「円」は、圓の草書体からとった略字です。
正字である「圓」の成り立ちからみていきます。

「圓」
会意兼形声文字。 囗+員
内側の員の上の小さな長方形は元は○型で、
下の貝は “カイ” ではなく、鼎(かなえ)。
鼎とは3本脚のついた金属製の煮炊きをする器で、儀式などに用いられました。
鼎には角形の方鼎と丸形の丸鼎があり、
上に○型を付けることで丸鼎を示して、“まるい”意を表しました。
後に「員」が “数える” などの意味も持つようになったため、
“まるい”を表すために鼎の口の縁を表す大きな○で囲んで、員と区別するようになりました。
「圓」は外も内も角ばっていますが、本来は○だったんですね。
なかなかにまどろこしい成り立ちです。

「円」エン
1、まるいこと。その形。
2、円周とその内部。
3、《Yen》日本の通貨単位。

「円ら」(つぶら)
まるくて、かわいらしいさま。

「円らな瞳」
瞳がまるくて可愛らしいさま。くりっとした目。

「円か」(まどか)
1、まるいさま
2、穏やかなさま。円満なさま。

円滑・円環・円熟・円満・真円・渾円・正円・団円

あまり聞かれなくなりましたが、
「大団円を迎える」という表現があります。
演劇や小説などの最後の場面で、すべてが丸く納まる結末をいいます。

見慣れない熟語に「円匙」というのがありました。
なんとスコップのことです。
帝国日本軍ではスコップのことを円匙「えんび」と呼んでいました。
(本来の発音は「えんし」)武器の一種。
shovel(英)、schop(蘭)



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2017年10月03日

辞任(じにん)

就いていた任務・職務を、自分から申し出て辞めること。

「辞」ジ・やめる・ことば・ことわる
1、言葉。文章。
2、ことわりを言う。やめる。
辞職・辞退・辞表・辞令・辞世・固辞

自分以外の意思で、職務や役職を辞めさせられる場合は「解任」

☆「辞表」「退職届」「退職願」の違い
「辞表」は、役員などの役職を自ら辞退する際に使います。
会社を辞めることとは関係なく、役職を辞める事に対して「辞表」が提出されます。

「退職届」は役職に関係なく職場を辞める時に出します。
「退職願」の場合は、
上司に提出して人事決定権のある者から退職承認され、
その旨が本人に告げられてはじめて、
“雇用契約の終了予告”がされたとして、法的に有効になります。
有効になるまでは撤回することが可能です。

「退職届」は提出した時点で、“雇用契約の終了予告”が成立。
会社側が望まない限り撤回できません。
また会社都合で辞める場合は「退職届」に、証拠として文面に会社都合であることを明記しておきます。
法律上は “書面” である必要はなく、口頭での意思表示でも終了予告になります。
そして会社側の承諾があって労働契約が終了します。

民法では、退職の意思表示は “14日前までに” とあります。
就業規則が1ヶ月前までとなっていたとしても、
“民法 > 会社規則” となります。


「辞職」は自らの意志で職をやめること。
「退職」は現職を退くこと。
「退任」は任務を退くこと。
※自発的に退くことにも、任期満了で退くことにも用いる。
「退官」は官職を退くこと。
現在では一部の公務員に対してのみ用います。

「下野」(げや)という語もあります。
官職を辞めて民間に下ること。
与党が政権を失い野党となること。

「野に下る」(やにくだる)
官職を退いて民間の生活にはいること。

この場合の「野」は “民間”の意です。
在朝(ざいちょう)に対する 在野(ざいや)。




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2017年10月02日

カタカナ語

「それっ!日本語で言えばいいのに!!」
(カタカナ語研究会議監修)
今年の4月に出版された本です。
最近 ちまたではどんなカタカナ語が飛び交っているのでしょう。
コミットメント・ユーザー・エビデンス・コンセプト・
コンテンツ・コンセンサス・アジェンダ・ペンディング・
イノベーション・リソース・オンデマンド・
コンバージョン・コンプライアンス・スキーム・
セグメント・ダイバーシティ・ベンダー・
マネタイズ・レコメンド・エッジ・ガジェット・
ソリューション・フェーズ・マター・オファー・
リテラシー・ロジック・ローンチ・・・・
これらのカタカナ語をイラスト入りで解説しています。

私が耳新しかった語は、
●バズ buzz
蜂などのブンブンうなるような羽音。人のざわめき、騒音。

口コミのこと。
口コミを利用した手法が「バズマーケティング」
「バズる」はネット上で、多くの人の話題に上っている状態を指します。

●フィジビリ feasibility studyの略
プロジェクトの実現可能性を事前に調査・検討すること。
「実行可能性調査」「採算性調査」とも呼ばれ、「F/S」と略記されます。

いっそ英語で話せばといいたくなるくらい、カタカナ語だらけの話しをする人がいますが、
「難しいこと知ってるなー」と感心します?
私などは「カタカナ語で煙に巻いてるんじゃないよ」なんて思ってしまいます。
大事なのは相手に思いを伝えること。
そのための言葉選びを考えたいですね。

カタカナといえば、
最近わかった私のカタカナ表記のまちがい。
×シュミレーション--simulation ---- ○シミュレーション
×アボガド--avocado ---- ○アボカド
×ギブス--Gips(独) ---- ○ギプス
×バトミントン --badminton ---- ○バドミントン

最後に「ターキー」のおもしろい話を。
「七面鳥」の呼び名は各国で違っているのご存知です?
英語turkeyターキーは “トルコの鳥”
でも、トルコでは“インドの鳥”
インドでは “ペルーの鳥”
ギリシアでは “フランスの鳥”
モロッコでは “ローマの鳥” と言われているんです。
国籍不明みたいになってますが、北米原産です。
ホロホロ鳥との混同があったようです。
16世紀頃 欧州では東方の異国ややイスラム世界から伝来したものは、何にでもturkeyと冠して呼んでいたそうです。




posted by 空凛 at 15:13| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする