2018年03月03日

せせら笑う

ばかにして笑う。あざけり笑う。小ばかにする。

この「せせら」はどこから来ているのか気になりました。
でもそれらしきことも見つかりません。
似ている語に「せせらぎ」「せせる」が思い浮かびましたが、
“浅瀬を流れる水の音” とは関連なさそうです。
「せせる」の “つつきほじくる” は多少同じ臭いを感じます。

Webで「せせ」のつく方言が出ていました。

「せせかう」   
一時に忙しい。混雑。繁用。忙殺。  
長崎県

「せせかましい」 
・きぜわしい。落ち着きが無い。山口県  
・いらいらさせる。 愛媛県
・うるさい。   大分県          

「せせくる」   
・いじる。弄ぶ。歯などをつつく。大阪府
・さわりまくる。  山口県
・いじくる。つきちらかす。 長崎県            
・ちょっかいを出す。   静岡県

「せせこましい」
・狭い               京都府
・狭くるしい。めまぐるしい。うるさい。大阪府

「せせる」    
・ほじくる。       兵庫県
・軽いいじめ。      島根県
・いじる。        山口県
・いじくる。つきちらかす。長崎県

「せせろうしい」 
煩雑でうるさい。 山口県      


「せせろしい」  
やかましい。  大分県          

「せせ」がつく語に品のいいものはありませんね。

「せせら笑う」に戻って、
「笑う」にも陽の「笑」と陰の「笑」があります。
・嘲笑う(あざわらう)
・冷笑する(れいしょう)
・嘲笑する(ちょうしょう)
・鼻で笑う
・物笑い

「ほくそ笑む」は
うまくいったことに満足して、一人ひそかに笑う。

私は「ほくそ笑む」に、悪巧みがうまくいった的な腹黒いイメージが付いていました。

語源辞典を見ると、
<北叟(ほくそう)笑む>(ほくそうえむ)からきているとのこと。
「北叟」は、古く中国で北方の砦に住むとされた老人のこと。
北叟が喜ぶときも憂うときも少し笑ったという故事から。

「悦に入る」にも少し影のイメージがあるんですが・・。

「悦に入る」(えつにいる)
事がうまく運び、満足して喜ぶ。

そんなこともないですね。
「悦」は、
喜ぶこと。うれしがること。
熟語には、
悦楽・喜悦・恐悦・法悦・満悦・愉悦

「恐悦」(きょうえつ)は、
相手の好意などを、もったいなく思って喜ぶこと。

「悦」はちょっと古めかしい語感があります。
Yahoo!の質問箱に超かしこまった表現が出ていました。
*
ご尊父様への拝眉の栄に浴しましたことは、
誠に以って恐悦至極にて、
これも皆、あなた様の御高配の賜物と、
深甚なる謝意の念、禁じ得ません
*





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2018年02月27日

罷り越しましてござりまする

なんて言ってるのーー?

「罷り越す」(まかりこす)
「越す」(“行く” “来る” 意)の謙譲語。
参上する。参る。

「罷免」(ひめん)で知ってる「罷」ですが、
「まかり」と読むんですね。

「まかり間違えば」「まかり通ると思うなよ」
時代劇の「まかりならぬ!」などよく耳にした「まかり」。
そういえば「まかり」がどこから来ているのか
疑問に思ったこともありませんでした。

「罷り」(まかり)
1、行くこと。貴人などの前から退出すること。
2、貴人の食膳を下げること。またその膳。

「罷り間違う」(まかりまちがう)
「間違う」を強めていう語。
万が一間違うと大変なことになるという気持ちでいう。

「罷り成る」(まかりなる)
「成る」の謙譲語。
ある状態にいたる。

「罷り成らぬ」(まかりならぬ)
「成らぬ」を強めていう。
いけない。断固許さない。

「罷り通る」(まかりとおる)
1、「通る」「通用する」を強めていう語。
わがもの顔で通る。堂々と通用する。
2、「通る」の謙譲語。通り行く。

「罷り出る」(まかりでる)
「まかりいず」の音変化。
1、「出る」の謙譲語。退出する。
2、人前に出る。出てくる。
現代語では、多く「あつかましい」という非難の気持ちを含む。

「身罷る」(みまかる)
この世から罷(まか)り去る意。
死ぬ。死去する。

「ヒ」と読む「罷」も見てみましょう。
1、仕事を中止する。 罷業・罷工
2、役目をやめさせる。 罷免
3、疲れてやる気がなくなる。罷弊/疲弊

罷業も罷工も知らない語でした。
ストライキの日本語が「同盟罷業」/「同盟罷工」。

今日のまとめ、
・同盟罷業は罷り成らぬ
・理由なき罷免は罷り通らぬ

おまけ、
「まかりならぬ」から「まがりなりにも」が浮かんだんですが、
これは「曲り形」(まがりなり)で、
曲がった形。物事の状態が不完全であること。

「曲り形にも」
不完全ながら。どうにかこうにか。






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2018年02月26日

おきゃん

“おきゃんな娘” って、どんな子?

「おきゃん」とは、
活発で、やや軽はずみな若い女性のこと。

この漢字が「御侠」なのにビックリ。
「御」は接頭語で、
「侠」はやくざ映画のテーマ「任侠」の「侠」です。

「おきゃん」は「侠」の唐音読み「きゃん」に「お」を付けたもの。
元は男女を問わず使われていましたが、
明治時代になってから「お」を付け、
若い女性のみをさす語になりました。

「侠」(キャン)
勇み肌で粋なこと。

「侠」(キョウ)
信義にあつく、強きをくじき弱きを助ける人。
男気。男だて。

「任侠」(にんきょう)
弱い者を助け強い者をくじき、
義のためならば命も惜しまないといった気性に富むこと。
男気。

「侠客」(きょうかく)
義侠・任侠を建て前として世渡りする人。


“お転婆” も “おきゃん” もすっかり聞かれなくなりました。
「侠気」(おとこぎ)は、まだ生き残っているでしょうか。





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2018年02月25日

茜さす(あかねさす)

枕詞。
茜色に鮮やかに照り映える意から、
「日」「昼」「紫」「君」などにかかる。

・茜さす
・八雲さす
・光さす
・若葉さす
・緑さす

「八雲さす」も枕詞で、出雲にかかります。

「さす」が効いています。
鮮烈に萌えたつ緑、神々しい光。
自然の生命力がまっすぐに刺さる表現でないでしょうか。
ハッとした感動が伝わります。

これらの「さす」に漢字は当てられていません。
漢字がないほうが、イメージがふくらむ気がします。

そもそも「さす」は変換に悩んでしまう語です。
「差」「指」「射」「刺」「挿」「注」
いつも、ウっと動きが止まります。

「差す」--- さし挟む。入れる。
・傘を差す ・刀を差す
・嫌気が差す ・赤味が差す

「指す」--- 指示。方向。指定。
・犯人を指す
・図星を指す

「射す」--- 光がさす。
・影が射す
・月光が射す
「刺す」--- 突きさす
・肌を刺す寒さ
・鼻を刺す臭い

「挿す」--- 差し込む。
・髪に簪(かんざし)を挿す
・花瓶に花を挿す

「点」--- 少し垂らす。
・目薬を点す

「注す」--- 注ぐ。
・水を注す

「挿」「点」「注」になると、
文筆家でもなければ「さす」ですませてしまうところです。

・言いさす
・飲みさす
この「さす」は「止す」です。

「さす」(止す)
接尾語。
しかけていた動作を中途でやめる意を表す。

「飲み止す」の名詞化が「飲み止し」(のみさし)
飲みかけ。
・飲み止しのタバコ


私の中の「茜」は、夕焼けの赤いイメージがあるのみでした。
茜という植物の存在も、
暗赤色の染料ができることも知りませんでした。
↓ 白い小さな花をつけた茜の写真
https://www.weblio.jp/content/%E3%81%82%E3%81%8B%E3%81%AD

アカネ科アカネ属の多年草で、
根は古くから茜染めの原料とされてきました。
茜色とは、
元々「あずき」の種皮のような濃い赤紫色のことでしたが、
いまでは夕焼けような朱橙色の意味に変化しています。






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2018年02月24日

「爾」ってどういう意味?

漢字クイズで答えが出せなかった問題です。
Q すべての□に当てはまる漢字はなんでしょう?
・何□
・新□
・高□
・兵□
・□爾
・□倒
・□然
・□寿

答えは「卒」です。
卒然と卒爾という熟語を知りませんでした。

「卒然」(そつぜん)
事が急に起こるさま。だしぬけ。突然。

「卒爾」(そつじ)
1、にわかなこと。だしぬけ。突然。
2、軽率なこと。かるはずみ。

「卒爾ながら」
人に声をかけたり、物を尋ねたりするときに言う語。
突然で失礼だが。

「卒」の意味を確認します。
1、下級の兵士。
2、急なさま。にわかに。
3、おわる。おえる。
4、卒業のこと。
5、身分の高い人が死ぬ

そして「爾」です。
この字を初めて目にしたのはたぶん中学の時。
クラスに啓爾という名前の男子がいて知りました。
難しげな漢字で、なんだかすごそうな気がしつつ、
書くのに手間取ってテストの時なんか損だなー。
なんて思ったのを記憶しています。
それから今まで意味を知らないままきてしまいました。
さあ、やっと辞書を引きます。

「爾」ジ・ニ・なんじ・しかり
1、なんじ。おまえ。
(近くにいる相手をさす)
2、しかり。その通り。
(近くにある事物や前に述べた事柄を示す)
3、しか。そのように。
4、のみ。限定のことば。
5、状態を示す助字。 卒爾・莞爾・徒爾
5、以来。以後。

「爾後」(じご)・「爾来」(じらい)
それ以来。その後。

ちなみに、「事後」は 事が終わったあと。

「莞爾」(かんじ)
にっこりとほほえむさま。

「徒爾」(とじ)
無益であること。むだ。

・大震災が下した天の教訓は徒爾に終わるであろう
・徒爾といふ ことば浮かびぬ 地震(ナイ)の春
Webから拾ってきた徒爾の例ですが、
上は関東大震災のこと、下は先の東日本大震災のことです。

バツが4つ目に飛び込んできて、
私にはそれが刃物のイメージに映りましたが、
まったく違った意味をもった「爾」でした。
やっと正体を知ったところですが、熟語はあまり使われていませんね。

漢和で「璽」という漢字を見つけました。
これは、玉で作ったしるし(印)の意。
秦以前は、印をすべて璽といい、秦以後は天子の印に限っていう。印璽・御璽

「印」は、
手と人が膝をついてかがんでいる形をあわせた会意文字で、
上から押さえつけている意。
→ 上から押し付ける → はんこ






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2018年02月23日

ちょろまかす

「くすねる」の類語を見たとき、
かっぱらう・がめる・ちょろまかす
あまり品のよろしくない語が並んでいて、「ちょろまかす」が気になりました。
「ちょろい」と同義なんでしょうか。

「ちょろまかす」
1、他人の目をかすめて物を盗む。かすめとる。
2、冗談やその場のがれのことを言ってごまかす。

「ちょうろまかす」は「ちょろ舟」からきているというのが有力な説のようです。
「ちょろ舟」とは「猪櫓舟」と書き、櫓をこいで走る舟。
猪牙舟(ちょきぶね)より一回り小型で小回りがきき、速いのが「ちょろ舟」。
この “ちょろ舟” より素早いという意味から
「ちょろ負かす」という言葉ができたようです。

「猪牙舟」(ちょきぶね)
屋根がなく、舳先(へさき)のとがった細長い軽快な小舟。
舳先がイノシシの牙に似ているので「猪牙」というのは、なるほどと思いましたが、他にも説があり定かではないとのこと。

「猪牙舟」は浅草山谷(さんや)にあった新吉原へ通う遊客の足として盛んに用いられました。
それで「山谷舟」ともいわれます。
「ちょろい」は、
猪牙舟に乗って吉原通いをした放蕩息子を揶揄した口調から、
「ちょろ」 を形容詞化し、 「ちょろい」 としたものと思われます。

「ちょろい」
1、考え方などが安易だ。浅薄だ。
2、容易だ。簡単だ。
3、取るに足りない。つまらない。
4、なまぬるい。てぬるい。

「ちょろい」も「ちょろまかす」も最近の語かと思いましたが、江戸前期には使われていた言葉でした。
尚、井原西鶴の 「好色盛衰記」 には、
「ちょろまかす」 は流行言葉で「ちょろりと誤魔化す事」
と書かれているそうです。

「ちょろり」
(多く「と」を伴って)
1、動きがすばやいさま。
2、軽々しく事を行うさま
3、水などがわずかに流れ出るさま。

「はげちょろ」「はげちょろけ」まで辞書に出ていたのが、なんだか可笑しかった。







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2018年02月22日

徒花(あだばな)

「徒花」って、いろんな意味合いで語られているような気がします。

1、咲いても実を結ばない花。
外見ははなやかでも実質を伴わないもののたとえにもいう。
2、季節はずれに咲く花。狂い咲き。
3、咲いてすぐ散るはかない花。特に桜の花。

辞書によっては4番目の意味が載っています。
4、祝儀として渡す紙纏頭(かみばな)で、
あとで現金にかえるつもりのないもの。

「徒」の読みは ト・かち・あだ・むだ・いたずら
読み別に意味を並べてみます。

「ト」
・乗り物を使わないで歩くこと
・何も持たない
・むだ
・仲間

「かち」
・乗り物を使わないで歩くこと

「いたずら」
・役に立たないさま
・何もすることがないさま

「あだ」
・むだ
・浮ついたさま
・一時的ではかないさま
・いいかげんなさま

「生徒」「徒歩」から「徒花」「徒然」まで幅のある「徒」です。
私は「徒花」にうらぶれた哀しい女性のイメージを持っていましたが、
「あだ」には “不誠実で浮気っぽい” や “かりそめ” の意味がありました。
「あだめく」なる語もあり、勝手に女性のイメージをふくらませていました。

「婀娜めく」(あだめく)
1、色っぽくみえる
2、うわつく

「婀娜やか」(あだやか)という語もあります。
「婀娜」のそれぞれの漢字の原意を知りたかったのですが、
漢和辞書にもWebでも見つけることができませんでした。

ちなみに、
「艶やか」(あでやか)は「あてやか(貴)」の転とありました。
はなやかで美しいさま。なまめかしいさま
「艶やか」は「つややか」とも読みます。
光沢があって美しいさま。

時代劇などで聞くセリフ「あだやおろそかにはできぬ」の「徒や疎か」は、「徒にも疎かにも」が縮まった語なんです。
無駄にすることもいいかげんにすることも(できない)。







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2018年02月21日

〜しいの「の」

・見物しいの 土産を買いの 忘れえの
・蹴りいの たたきいの わめきいの
・飲みの 食べの 吐きいの

この「の」で繋ぐ言い方はリズムがあっておもしろい言い回しですね。
お笑い芸人さんがはやらしたような感じがしますが、
江戸時代から使われているそうです。
1785年『莫切自根金生木』(きるなのねからかねのなるき)に
“福は外へまきちらしの、鬼は内へ” とあります。

日本古典文学大系の注記によれば、
「まきちらしの」の「の」は、動詞の連用形につけて、
「そして」「それから」等の意をあらわす。
当時の通人などが好んで用いた語だそうです。

「きるなのねからかねのなるき」
なんて読みずらいタイトルだと思ったら、
これ頭から読んでもおしりから読んでも同じ “回文” になっていました。
金がありすぎて苦しむ大金持ちの話しです。↓
http://www.geocities.jp/ezoushijp/kirunanonekara.html

このあいだ、40代男性が「むかっぱら たちっぱ」と言ってるのを耳が拾いました。
このような “おしり省略形” って、増殖してる気がします。
・パソコン「つけっぱ」
・財布「置きっぱ」
・ドア「開けっぱ」
・洗濯物「干しっぱ」
・布団「引きっぱ」
「食べっぱ」「飲みっぱ」「出しっぱ」「言いっぱ」 「借りっぱ」
まあ、何でもはしょりたがる傾向にありますよね。


おかしみのある表現に、
「ぎゃふん」と「けちょんけちょん」がありますが、
どこから来ているのでしょう?

「ぎゃふん」
言い負かされて言葉も出ないさま。
2つの感動詞から成っています。
驚きの「ぎゃ」と「ふむ」と同じ承諾を意味する「ふん」
明治以降にみられます。
江戸時代は「ぎょふん」と言われていたそうです。
サカナ君が今も口にしていそうです。

「けちょんけちょん」
非常にいためつけたり、徹底的にやっつけるさま。
和歌山県日高郡の "非常に" という意の「けちょに」という方言から。







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2018年02月20日

俄然(がぜん)

[副詞]
突然ある状態が生じるさま。急に状況が変わるさま。にわかに。

意味を調べてエッと思いました。
私は "いっそう" とか "ますます" のような意味で使っていました。
Webにも勘違いされているという記述がありました。

語源を見ると、
「俄然」
徳川夢声(大正〜昭和にかけて活躍した弁士・漫談師)の造語。
俄かに(にわかに)・だしぬけに・急に
といった意味で使われた。
“だしぬけに” の意味で 1930年代に流行し、そのまま定着。
これが2000年代前半になると、
俄然と断然の聞き間違いか「断然」と同じ意で若者を中心に普及。
さらに2004年10月に avexから「俄然パラパラ」というオムニバスCDシリーズが発売されて、"断然" の意味が広まったようです。
今となっては "にわかに" の意味を知る人のほうが少数派かもしれません。

人の世には突然なことがよく起きます。
忽ち・いきなり・突如・突然・急に・
出し抜けに・忽然・矢庭に・唐突・
不意に・とみに・はたと・ふいと・ついと・
突として・出し抜けに・・・

気になった語が、
「矢庭に」(やにわに)
こんな漢字だったんですね。
名詞「矢庭」と助詞「に」からなる「やにはに」が
ハ行音変化で「やにわに」に。
「矢庭」は矢を射ている場所のことで、
助詞の「に」が付くことで「その場に」「矢場を去らずに」
といった意味で用いられ、
その場ですぐに事を行うさまを表すようになりました。

「卒然/率然」(そつぜん)
事が急に起こるさま。だしぬけ。突然。

「遽然」(きょぜん)
急なさま。あわてるさま。突然。

俄然・突然・忽然・率然・遽然
"然" が付くのが5つも拾えました。

「短兵急」(たんぺいきゅう)
「短兵」は刀剣や手槍など相手に接近して用いる短い武器のこと。
「長兵」は長槍など長い武器や弓矢などの飛び道具をいう。
短兵急は刀剣などを持っていきなり攻めるさまが原義で、
転じて突然行動するさまを表すようになりました。

「短兵急」は元が合戦の語でもあり、切迫感がありますね。







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2018年02月19日

めくるめく

「めくるめく」を辞書で引いてみたら
「目眩く」
目がくらむ。めまいがする。
とありました。
単に、めまいのこと?
もっとトキメキを含んだ語のように思っていましたが・・

他の辞書をあたってみると、ありました。
“魅力にひかれて理性を失う”
・めくるめく快楽の日々
・めくるめく恋の高揚感
・めくるめく魅惑の世界
・めくるめくクルーズ旅行
めくるめくの後には楽しいことが続きます。
めくるめく地獄の日々...とは言わないですよね。

「眩く」(くるめく)なる語もありました。
「くる」はクルクルのクルで擬態語です。
1、物がくるくると回る。
2、目が回る。目がくらくらする。
3、あわて騒ぐ。せわしく動き回る。

「眩」
ゲン・くらむ・くらます・まぶしい・まばゆい
目がくらむ。目をくらます。

「目眩」「目眩る」「目眩く」「目眩まし」と並んでいたら、読むのに戸惑います。
「めまい」「めくる」「めくるめく」「めくらまし」です。

めまいは「眩暈」とも書きます。
「暈」
ウン・かさ・ぼかす
「笠」と同語源。
1、日や月の周りにできる薄い光の輪。かさ。
2、めまい。眩暈(げんうん)
3、ぼかし。

「船暈」(せんうん)って “船酔い” のことです。


しかしここ何年もめくるめくことが起きてないわー。
胃がキュッとすることはよく起きるんですけど。
トホホ






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2018年02月18日

良い事/悪い事 どちらに使う?

「すごい」(凄い)
「すごい」は本来は悪い事例を修飾する語でしたが、
江戸時代に“素晴らしい”という意味でも使われるようになり、
昭和初期には “最上級の賛美として用いられる”
と解説している本も見られます。
現在では “はなはだしい” 意で、
良い/悪い 両方で使われています。

「ひどい」
「非道」が形容詞化された「非道い」から。
“非常識だ” → “残酷だ” “むごい”
などの悪い意味になり、形容詞「ひどい」に。
形容詞「ひどい」はマイナス評価に用いられますが、
副詞の「ひどく」は良い/悪い 両面で使われます。

「素晴らしい」
“みごとである” と賛美する語で使っていますが、
江戸時代は “ひどい” “あきれる” 意でした。
現在では、ほぼ誉め言葉になっていますが、
方言に古い言い方が残っています。
北海道の方言: 素晴らしく寒い = ひどく寒い

「やばい」
本来は危険なことをいいましたが、
今や “すごい” をはじめ、
あらゆる感情の高ぶりを表すマルチ語です。
「たった3文字ですべての感情を表現できるマジヤバい言葉」
という投稿から選ばれた解説がgoo辞書に載っていました。
若い子たちから「やばい」を奪ったら、アワアワ状態になりますね。

「あわや」
「危うく」が本来の意味。
危機の時や驚いた時に発する語で、
幸運な出来事には使いません。
×あわやホームランだった

「だらけ」
私は好ましくないことに使うのかと思っていましたが、
辞書を見ると、そんなことないですね。

「だらけ」接尾語
1、そのものがいっぱいであるさまを表す。ばかり。
2、そのものが一面に付いているさまを表す。まみれ。

傷だらけ、泥だらけ、血だらけ、毛だらけ、
嘘だらけ、間違いだらけ、
夢だらけ、いいことだらけ、ゲームだらけ、猫だらけ、

ただ、goo辞書には
1、それのために汚れたり、
それが一面に広がったりしているさまを表す。
“汚れ” の記述があります。

「屈指」
優れていることに使います。
×この坂は屈指の難所だ。

「圧倒的」
勝っているものに対して使います。
×圧倒的に不利である

「前代未聞」
後に続くのは珍事・不祥事などのことです。
近年では良い場合にも使われるようになっています。







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2018年02月17日

おどろおどろしい

形容詞
1、不気味で恐ろしい。すさまじい。
2、ぎょうぎょうしい。大げさだ。
3、声や音などが人を驚かすように大きい。騒々しい。

古めかしい表現のように思いますが、
実際、平安時代ぐらいからある言葉です。
「驚く」と同じ語源。
元々は “仰々しい” というような意味でしたが、
江戸時代になると
「おどろおどろと鳴る雷(かみ)に」などとあり、
「どろどろ」「ごろごろ」と同じような擬声語として使われています。
江戸川乱歩の「陰獣」でも、
遠くのほうから雷鳴のようなものが、わたし自身の耳鳴りにまじって、オドロオドロと聞こえてきた。
とあります。

現在も「おどろおどろ」がいろいろに活用されています。
・おどろおどろした見出し
・おどろおどろの人気イラスト
・おどろおどろなものが好きだ

goo辞書には、
「おどろおどろ」
(副)いかにも激しく恐ろしいさま。

コトバンクには派生語として
「おどろおどろしげ」(形容動詞)
「おどろおどろしさ」(名詞)が載っていました。

Webで拾った「おどろおどろ」の描写
・「死霊のはらわた」は残虐描写はたっぷり、おどろおどろしさは減退。
・美しさとおどろおどろしさの幸福な結婚 --「スリーピー・ホロウ」
・遠野の世界 -- やさしさとおどろおどろしさ
・おどろおどろしさの演出が安っぽい
・芸能報道のおどろおどろしさ

おどろ-おどろのように重ねる語には、
猛々しい・雄々しい・神々しい・女々しい・初々しい・
ながながしい・忌ま忌ましい・憎々しい・禍々しい・事々しい

「事々しい」(ことごとしい)は知らない語でした。
大げさだ。ものものしい。 ぎょうぎょうしい。


▽古い時代のおどろおどろしい医療器具の画像。
医療器具というより拷問器具のよう。ゾワリと肌が粟立ちます。
http://karapaia.livedoor.biz/archives/51456923.html






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2018年02月16日

「詐欺」と「詐取」と「欺罔」の関係

日頃ちょっとしたことでも「詐欺だ。詐欺だ」と軽く使っていて、犯罪としての「詐欺」の意味には無頓着でした。

「詐欺」(さぎ)
1、他人をだまして、金品を奪ったり損害を与えたりすること。
2、他人をあざむいて錯誤に陥らせる行為。

「錯誤」(さくご)
1、まちがい。あやまり。
2、事実とそれに対する人の認識が一致しないこと。

これだけ読むとよくわかりませんね。

「詐欺」とは、相手をだまして錯誤に陥らせ、
財物・財産上の利益の処分を相手にさせ、
それを自分の物あるいは第三者に移転すること。
欺罔行為 → 錯誤 → 処分行為 → 取得
という流れです。
個人の財産が侵害された場合に、詐欺罪が成立します。

「欺罔」(ぎもう)
1、人をあざむき、だますこと。
2、法律上、詐欺の目的で人をだまして錯誤に陥らせること。

「欺罔」は知らない語でした。
「罔」は、“鳥獣を捕える網” “捕らえる” 意です。

“だます” 関連の漢字には、

「瞞」マン・バン・あざむ-く
あざむく。だます。
くらい。はっきり見えない。

「欺」ギ・キ・あざむ-く
あざむく。だます。
うそ。いつわり。
口をあける意の「欠」で、原意は “おどす”

「詐」サ・いつわ-る
うそをつく。
いつわり。うそ。

「偽」ギ・いつわ-る・にせ
いつわる。
にせ。つくりごと。
うそ。かりもの。

「詭」キ・いつわ-る
いつわる。あざむく。
あやしい。そむく。

「騙」ヘン・かた-る
馬にとびのる。
かたる。だましとる。

「謀」ボウ・ム・はか-る・はかりごと
「謀る」(たばかる)
1、(あれこれ工夫して)だます。
2、方策を考える。工夫する。うまく対処する。
3、相談する。

「謀る」は “悪事をたくらむ” ことと思っていましたが、
悪意のない “考えをめぐらす” “相談する”
良い意味の “工夫する” といった意味も持っていました。

「権謀術数」(けんぼうじゅつすう)
「権謀」--- “臨機応変のはかりごと”
「術数」--- “はこりごと。たくらみ”


「オレオレ詐欺」と言われだしたのは2003年頃のようです。
それが2004年に「振り込め詐欺」になり、
2013年には公募で「母さん助けて詐欺」になりましたが、これは定着せず、「オレオレ詐欺」と言われることが多いですね。
詐欺の仕掛けが非常に巧妙になっていて、悪党ながら騙しの罠に感心することがあります。






posted by 空凛 at 10:30| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月15日

しゃあしゃあ

1、あつかましく、少しも恥ずかしがらないさま。
2、勢いよく水などが流れ出るときの音。

アクセントは "あつかましい"が後半、"水音" が前半にあります。

ほぼ同じ意味に「ぬけぬけ」があります。
「抜け抜けと」(ぬけぬけと)副詞。
愚かで人にだまされるさま。まぬけなさま。
あつかましいさま。鉄面皮なさま。しゃあしゃあ。

どちらも憎々しさ加減は同じくらいでしょうか。
これが「いけしゃあしゃあ」となると、ちょっと軽るくなって、少し毒が抜ける感じがします。

全方位的に好感を持たれることは無理ですが、疎ましい人とは思われたくないものです。
虫唾が走る・虫が好かない・鼻につく・鬱陶しい
なんていうのも痛いですね。

類語に「気疎い」なんて語も見つけました。

「気疎い」(けうとい)
いとわしい。うとわしい
不愉快で、いやである。わずらわしい。

ブログに気疎いの例文が載っていました。
*
有島武郎の「カインの末裔」の文中に、その言葉はあった。
… 真直な家並みは廃村のように寒さの前にちぢこまって、
電信柱だけが、けうとい唸りを立てていた。…
*

「煩わしい」と言われたら、バッサリ切られた気がしますが、
「けうとい」「いとわしい」「うとわしい」は、きつさが尖っていない感じです。
さらに「いとわしい」は「いとしい」に影響されているのか、優しい感じすらします。






posted by 空凛 at 09:12| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月14日

語感

言葉の本に目が留まりました。
「日本語の“語感”練習帖」 中村 明
常々、音からくる印象がずいぶんあるなと思っていましたが、
重要な要素だということが再認識できました。


これぞという一語にたどり着くには
2つの道筋を通り抜ける。
1つの道は、その語が何をさすかという “意味” の面、論理的に探す道。
もう1つの道は “語感” から感性によって、ひらめきとともに探りとる道。
めざす最適の表現は、この二筋の道の交点で発見されるはずである。


あいまいに感じていたことがこうして言葉にしてもらうとスッキリします。
語感が変化する例として、
以前 取り上げた「食べる/食う」が出ていました。
昔は「食べる」が “いただく” という意味の表現だったが、
普通の日常語になってしまったため、
普通の言葉だった「食う」がぞんざいな感じになってしまった。
「大食い」「共食い」「食い扶持」「ガソリンを食う」
「食うか食われるか」「道草を食う」
などにぞんざい感はありませんが、
「食い放題」には私は少し抵抗があり、
「食べ放題」と言います。
「飯を食う」「腹が減る」も元は普通に使われた言葉でしたが、
「ご飯」「おなかが空く」という表現が広まって、
相対的にレベルが下がってしまったものです。

逆にマイナスからプラスに変わった語には「こだわり」があります。
従来は “ささいなことを必要以上に気にする”
というマイナス評価で使われていましたが、
1970年代からはプラス評価にも使われるようになり、
今や「こだわりの商品」などのように、
「こだわりの○○」商品が溢れています。

「語感」をWebで検索しておもしろいHPを見つけました。
「語感分析士育成会」
<ネーミングは今、「意味+音」の時代へ>
音声の分析もすごい研究が進んでいるようですし、
味覚も数値で表示できる機器が登場しています。
商業用に語感分析ソフトが開発されていても不思議ではありません。
でも感覚的なものを数字で示されるのが変な感じです。
http://www.bunsekishi.com/index.html
上記ページ左下で文字をかなでいれると語感を分析してくれます。
私の名前を入れてみたら、
意外なことに “可憐” “優しい” がマックスでした。
古臭くてかわいげがないと思っていたので意外でした。







posted by 空凛 at 08:53| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする