2017年08月11日

重複表現

「馬から落馬する」「後悔が残る」「落ち葉が落ちる」など、
同じ意味の語を重ねた言い方を
「重言」(じゅうげん)、「二重表現」といいます。
なじんでしまっているために
気づきにくくなっているものもありますね。
例をみてみましょう。
・決着がつく 「着く」と「つく」
・違和感を感じる。「感」が二重
・従来より 「従来」に“〜から”の意を含む。
・秘密裏のうちに 「裏」と「うち」
・各ファイルごとに 「各」と「ごとに」
・あらかじめ予定された 「あらかじめ」と「予定」
・あらかじめ用意する
・満〇周年 「周年」は“まる1年”
・約10m程度 「約」と「程度」
・第1日目 「第」も「目」も順位を表す。
・過半数を超える 「過」と「超」
・まず最初に、 「まず」と「最初」
・一番最初 / 一番最後
・被害を被る
・返事を返す
・挙式を挙げる
・はっきりと断言する
・炎天下の下
・最も最強
・事前予約

日本語+外来語の重複例。
・排気ガス
・シェリー酒 sherryに“酒”の意。
・ラム酒 rumに“酒”の意。
・チゲ鍋 朝鮮語のチゲは“鍋料理”の意。
・ハングル文字 朝鮮語のグルは“文字”の意。
・クーポン券 仏語couponは“券”の意。

昔 取り上げた <「通常通り」は正しいか?!>
「通常通り」ってよく使ってますよね。
これも重ね言葉?
* * Webの答え * *
「通常」=いつもそうであるさま
「通り」=〜と同じように
これらを合わせたものが「通常通り」だと思う。
「通常通り」=as usual と思っていて、違和感を覚えない。
* * * * * * * *
「いつも」=「通常」の言い換えで
いつも通り=「通常通り」が出てきたものと思われます。
かなり浸透しているように思います。
重ねない表現としては、
・本日、平常通り営業します
・本日は通常の営業です




posted by 空凛 at 08:38| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月10日

意趣返し(いしゅがえし)

恨みを返すこと。仕返し。
「意趣晴らし」「意趣を晴らす」とも言います。

「意」にも「趣」にもマイナスの意味はなく、
「意趣」という熟語に悪い感じは受けませんが、
“恨み”という意味があります。

「意趣」(いしゅ)
1、恨み。
2、考え。意向。
3、意地。
4、理由。わけ。

Webで「意趣返し」の使用例を探すと、
タイムリーな話題に使われていました。
・文科省前次官の前川氏が意趣返しに内部文書をリーク
・安倍晋三の意趣返し! 電波に再び厳しい締め付け。
・恨み骨髄!電波に晋三の意趣返し!
・都知事選の意趣返し−小池氏「自民党費払う理由ない」
「仕返し」「復讐」「報復」と言うよりは、
ソフトに聞こえます。

「讐」は復讐以外であまり目にすることがありませんが、
どういった意味を持つのでしょう。
よく見ると、ふるとり(隹)が2つ並んでいます。
鳥と関係あり?
隹=小さな鳥の形
隹隹=“二つ並ぶ”意。
言=口+辛が変化した漢字。
辛(シン)= “心”で、
口からの心の現われ = “言葉”の意。
讐 = 隹隹+言 = 二つ並ぶ+言葉 → 返答
返答 → 応じる → 報いる(仕返し) →
“あだ・かたき”という変遷です。

「讐」
1、こたえる
2、むくいる
3、あだ

復讐といえば、
「臥薪嘗胆」(がしんしょうたん)という重苦しい語があります。
薪(たきぎ)の上に寝ること。
苦い胆(肝)を嘗める(なめる)こと。
自らを苛むことで復讐の志を奮い立たせおうとする姿です。
なんと過酷な生き様。
転じて、
“目的を達成するために苦心し努力を重ねる”
という意味で用います。

最後に「意」と「趣」の意味も確認しておきます。
「意」
「音」と「心」からなる会意文字。
言葉(音)で表せない“こころ”“思い”を意味しています。
1、こころ。おもい。
2、思う。考える。

意志・意思・意外・故意・同意・意匠・懇意・任意・
意義・意見・意向・意中・意味・意欲・善意・悪意・
随意・任意・合意・極意・敬意・好意・厚意・客意・
決意・原意・殺意・賛意・鋭意・意地・我意・愚意・
恣意・私意・合意・害意・意執・意念・意図・意訳
熟語ありますねー。
しかも日常的に使うものが多い。
馴染みの薄かったのが、

「意執」(いしゅう)
あることを心に固く信じて、それから離れられないこと。

「客意」(かくい)
旅行中の感慨。旅情。

「趣」おもむき
1、味わい。面白み。
2、自然にそう感じられる有様。感じ。

「趣」シュ
1、心の向かうところ。めざすところ。考え。
2、おもむき。あじわい。
3、仏教で、衆生が輪廻(りんね)の間に行って住む世界
posted by 空凛 at 08:39| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月09日

世界のことわざ

「誰も知らない世界のことわざ」ella francess sanders 著
魅力的なイラスト付きの絵本のような本です。
世界中から拾ってきた風変わりなことわざが51語。
その中から8語を紹介します。
まず、どんなことわざなのか想像をめぐらせてみて下さい。
答えはずっと後に↓あります。

(1)ザワークラウトの中で自転車をこぐ
<フランス>
ザワークラウト (Sauerkraut) とは、
ドイツにおけるキャベツの漬物。
原義は“すっぱいキャベツ”
酢漬けではなく、乳酸発酵によるものです。

(2)カラスが飛び立ち、ナシが落ちる。
= カラス飛んで梨が落ちる
<韓国>
カラスは悪の使者?
なんだかいわくありげなストーリーを想像しますね。

(3)彼の鼻は雲をつきやぶっている
<セルビア>
これは素直に絵を思い浮かべればOK。

(4)PとQに気をつけて
<イギリス>
小文字のpとqは似てますね。

(5)エビサンドに乗ってすべっていく
<スウェーデン>
エビサンドの意味することは?

(6)テーブルクロスには小さすぎ ナプキンには大きすぎる
<オランダ>
「帯に短し たすきに長し」的なこと?

(7)オオカミの口の中へ!
<イタリア>
恐ろしい物に立ち向かっていく姿?

(8)私のサーカスではないし、私の猿でもない。
<ポーランド>
何か突き放した感じがします。


答え >>>>>>>>> 先に見ないでね

A1>> キャベツと自転車
由来は初期のツールドフランス。
脱落した人や時間内に走り終えられない人を乗せる車に
しばしばザワークラフトの広告板があったため。

A2>> カラスと梨
カラスと梨の落下が関連ありそうに思われがちですが、
「関係のないことが同時に起きること」を意味します。
転じて“思わぬ疑いをかけられること”
起こりがちなことかもしれません。
同じ意味ではありませんが、
「瓜田李下」(かでんりか)という語が頭に浮かびました。
瓜畑で履物を履きなおすと瓜を盗むと疑われ、
また李(スモモ)の木の下で冠をかぶりなおすと李を盗むと疑われるという意から、
人に疑われるような言動は慎まなければいけないというたとえ。

A3>> 雲の上の鼻
“舞い上がっていて、うぬぼれている”という意。

A4>> PとQ
“言動に注意しなさい”という意味。
由来は諸説あるようですが、その1つが初期の活版印刷。
左右反転している文字を組み合わせて版を作っていたため、小文字のpとqはよく間違えられました。
版を組む人に対して注意を払うようにと言ったことから。

A5>> エビサンド
エビサンドは代々受け継がれてきた富の象徴で、働かずに安楽に暮らしていることを意味します。
また、その富にあまりふさわしくない、という皮肉が込められています。
「銀の匙をくわえて生まれてきた」という諺が似ていますね。

A6>> テーブルクロス
中途半端でどうしようもない様子を表現したもの。
日常のあらゆる場面で使われるようです。

A7>> 狼
Good luck!/検討を祈るよ!/がんばって!のイタリア語版です。
武者震いしている挑戦者への声援ですね。

A8>> サーカス
“私の問題ではない”という意味で、聞く耳を持たない相手に「話してもしかたがない」と言いたい時に使います。
「それは私のサーカスでなないし・・好きにしたらいい」
冷ややかに突き放す図。
posted by 空凛 at 08:21| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月08日

徒口(あだくち)

実意のない言葉。むだぐち

「徒」の読みは
ト・かち・あだ・むだ・いたずら

「ト」
・乗り物を使わないで歩くこと
・何も持たない
・むだ
・仲間

「かち」
・乗り物を使わないで歩くこと

「いたずら」
・役に立たないさま
・何もすることがないさま

「あだ」
・実がないこと
・浮ついたさま
・はかないさま
・かりそめ

以前、「徒花」(あだばな)を取り上げましたが、
「徒」(あだ)を使った語は消えつつあります。
実際、徒(あだ)の熟語は用例辞典を引いても、
サンプル不足で表示されません。
でもちょっと新鮮な語感があって、
ハッとする表現になると思うのですが・・・。
復活するといいのにと思いつつ、いくつか紹介します。

「徒心」(あだごころ)
浮気心。

「徒つく」(あだつく)
1、浮気心を起こしてそわそわする。
2、いちゃつく。じゃらつく。

「徒言」(あだごと)
実(じつ)のないあてにならない言葉。うそ。

「徒言/只事」(ただごと)
技巧などを用いない、ありのままの言葉。
歌語でも比喩でもない日常の言葉。

「徒顔/只顔」(ただがお)
化粧していないありのままの顔。素顔。

「ただがお」って、何となくとぼけた感じがします。
一方、
「素顔」は中立・無色のイメージ。
「すっぴん」は肌がピンと張った感じ。
「地顔」(じがお)はちょっと不細工ニュアンス。
雑誌や会話では、
「素顔」より「すっぴん」のほうがよく使われていますね。
すっぴんは2004年あたりから現れたようです。
2013年頃をピークに今もまだまだ元気な語です。
由来は「別嬪」(べっぴん)=“美人”です。
最近はあまり聞かれなくなりましたが、
中高年のおじさんが「べっぴんさん」と言ってるのを
たまに耳にすることがあります。
この「別嬪」の対語として生まれました。
素の嬪→「素嬪」(すっぴん)
元は、化粧をしなくても美人の意。
そこから素顔のままを意味するようになりました。


ちなみに、
「ただごとではない」の漢字、書けますか?



「徒事/只事/唯事」
取り立てていうほどのこともない事柄。普通のこと。
posted by 空凛 at 08:31| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月07日

小回りの利く「小」

接頭語「小」の付く表現は多いですね。
良い・悪い、どちら向きにも表現の幅を広げてくれます。
軽やかです。

・小耳にはさむ
・小首をかしげる
・小腹がすく
・小躍りする
・小競り合い(こぜりあい)
・小気味いい
・小まめな亭主
・小ざっぱりする
・小洒落た(こじゃれた)お店
・小奇麗な身なり
・小粋なしぐさ

「小」には、
“いやしい”“心がせまい”“つまらない”
などの意味もあります。

・小うるさいハエ
・小ずるい男
・小細工をする
・小バカにする
・小難しい議論
・小生意気な子ども
・小利口に立ち回る
・小賢しい知恵
・小汚い恰好

女性は「小太り」と言われるととても傷つきます。

「小手先」(こてさき)は
“小器用”“小才”
という意味もありますが、
現在では、
“その場しのぎで、将来を見通した深い考えのないこと”
と、マイナスの意味で使われています。
「小器用」「小才」にしても、
“小者感”が漂っていて、あまり嬉しくない語です。

「小」は「ささ/さざ」とも読みます。
=「細」(ささ)
「さざ波」は“小さい波”なのでした。

「ささ濁り」
川の水が若干濁っている状態のこと。
アユの友釣りなどで使われるようです。

「さざれ石」(細石)は 元は“小さな石”の意。
「君が代」の歌詞に出てきます。
-------・----・----・-------
君が代は 千代に八千代に
さざれ石の いわおとなりて
こけのむすまで
-------・----・----・-------
小さな石が長い年月をかけて
巌(いわお)という大きな石になり、
さらにその上に苔が生えるまで。
悠久の時。

この歌詞は「古今和歌集」の短歌の一つなんですね。
1880年(明治13年)に曲が付けられ、
1999年(平成11年)に正式に日本の国歌となりました。

「小」に比べて「大」は
面白みのある表現が少ない気がします。

「大言」は良い/悪い 両方の意味を持ちます。

「大言」(たいげん/だいげん)
1、物事を誇張していうこと。
2、りっぱな言葉。堂々とした言葉。

posted by 空凛 at 08:38| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする