2017年12月10日

五十音図の空欄

50音といいながら、
五十音図には空欄が5個あって、45音です。
いろは歌は、
旧仮名遣いの「ゐ」「ゑ」が加わって47文字。

●が空欄になっていますが、
古には、音が存在したものもありました。
--------------
あ い う え お
や ● ゆ ● よ
わ ● ● ● を
--------------
わ ゐ ● ゑ を (旧仮名遣い)
古代においては、
「いi」と「ゐ wi」
「えe」と「ゑ we」
それぞれ別の音でした。

奈良時代以前は「は行」の音はなく、
「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、
ファ・フィ・フ・フェ・フォという音でした。
「母」(ファファ)
「頬」(フォフォ)

「pぱ」 → 「fふぁ」 →「 h は」
「は」の音に変わったのは江戸以降。

平安時代の中頃まで、
イ・エ・オとは別に、
ウィ・ウェ・ウォという音がありました。
「紅」(クレナウィ)-- くれなゐ
「声」(コウェ)------ こゑ
「男」(ウォトコ)---- をとこ

西暦1000年を過ぎた頃からウォとオの発音が近づき、区別が失われます。
後れて、ウェ・ウィの音もエ・イ、
ウィ・ウェ・ウォはイ・エ・オと混同されていきます。

ワ行の「wu ウ」の音はなかったとされていますが、
ヤ行の空欄は音があったと考えられています。
--------------
や ヰ ゆ ヱ よ
--------------
「ヱ」← エ「je イェ」
ア行に似た音「エ」があったために、
「イェ」は仮名ができあがる前に消滅。

「ヰ」は「ji イ」という音があったのではと推測されています。
「行く」(いく/ゆく)
「いく」はア行の「い」
「ゆく」はヤ行の「ヰ」

「いく」は口頭的。「ゆく」は文章的。
以下の表現では「ゆく」を使います。
ゆく年・ゆく秋・過ぎゆく・移りゆく・
ゆく末・ゆくて・ゆくえ・立ちゆく・・・・

古代日本語にはラ行で始まる語は無かったと考えられています。
ラ行のほとんどが漢語と外来語です。
礼拝・来訪・落差・酪農・楽園・楽観・蝋燭・・・


「ん」は仮名ではなく、撥音を表す符号。
「撥音」(はつおん)
語中または語尾で1音節をなす鼻音。


古の音は方言に残っていることがありますね。
ファ、ウェ、ウォとかの響きはまあるくて、
古代の会話はふわふわ、ゆるゆるしたものだったのかなと想像します。
聞いてみたいですね。
AIで再現してくれないでしょうか。





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2017年12月09日

身体尺

人体や人間の能力に基づく単位。

古来から人は指幅・掌幅・開手幅・手長・足裏長・身長
などから長さを得ています。
紀元前6000年頃の古代メソポタミアでは、
すでに「キュビット」という身体尺が使われていました。
キュビットは肘から中指の先までの長さ。
現在でも残っているものにヤード・ポンド法があります。
「ヤード」は 片腕の長さ、「インチ」は男性の親指幅。
今回は、「寸」「尺」「尋」についてみていきます。

」(すん)
元々は指幅であったようです。
一本の指の幅が「寸」で、寸の十倍の長さが「尺」。

「寸」
1、尺貫法における長さの単位。
2、長さ
3、ごく短い。ごく少ない。

寸のつく語には、
・寸劇・寸志・寸借・採寸・寸止め
・寸暇を惜しんで(すんかをおしんで)
・寸分違わず(すんぶんたがわず)
・一寸先は闇


」(しゃく)
人の親指と人差し指を広げた象形文字で、
元々は手を広げた時の親指から中指までの長さでした。
それが時代などによって変化し、しだいに長くなっていきました。
1891年の度量衡法で 1尺=10/33m(≒30.3cm)と定義されました。
その後 1958年の計量法で、
尺貫法は公式の単位としては廃止されました。

「尺」
1、尺貫法の長さの基準となる単位。
寸の10倍、丈の10分の1。
2、ものさし
3、長さ。たけ。

・尺度・縮尺・尺寸・曲尺(かねじゃく)・計算尺・尺八
・間尺に合わない(ましゃくにあわない)
・尺を取る=尺を打つ=物差しで長さを測る


」(ひろ)
日本における慣習的な長さの単位で、
両手を左右に広げたときの長さ。
1872年の太政官布告で、1尋は曲尺の6尺と定められました。
「ひろ」という名称は「ひろげる」と同根で、
「尋」という漢字は「左」「右」「寸」を合成したもの。
上部の「ヨ」下部の「寸」は共に腕を表しています。

「尋」ジン・たずねる・ひろ
1、長さの単位。両手を広げた長さ。ひろ。
2、普通。なみ。
3、探り求める。訪れる。
4、「訊」の代用字で、問いたずねる。

「千尋」(ちひろ/せんじん)
一尋の千倍。
転じて、非常に長いこと。また、きわめて深いこと。

「尋常」は長さの単位「尋」と「常」からできたもので、
元々はわずかな長さ・広さの意でした。
2尋=1常(尋の2倍が常)

「尋常」(じんじょう)
1、特別でなく普通であること。
2、見苦しくないこと。目立たず上品なこと。
3、態度がいさぎよいこと。すなおなこと。
4、りっぱなこと。すぐれていること。

普通から優れているに意味が変化していますが、
語源辞典によれば、
日本では普通が目立たず上品であるという意識から、
見苦しくないこと。立派なさまもいうようになりました。





posted by 空凛 at 10:44| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月08日

なに「か」を気にしてみる

「なにかと」は、1つに限らずあれこれとの意味。

・なにかと忙しい
・なにかと便利である

この「なにか」は、
“なにかいいことないかな” の「何か」ではなく、
「何」と「彼」(か)でできたものです。
「何彼と」となります。
「彼」(か)は指示代名詞。
「何」と対になって物事を漠然と指します。
「なにやかや」「なにかにつけて」「たそがれ」もこの「彼」です。

夕暮れ時の薄暗い中で、あれは誰だ? と尋ねる頃。
「誰そ彼」→「たれそかれ」→「たそかれ」→「たそがれ」
「たそかれ」は「たそかれどき」の略。
「黄昏」は当て字ですが、しっくり嵌っています。
彼は誰「かわたれ」というのは明け方を指します。

「彼」(か)
1、不定称の指示代名詞
2、遠称の指示代名詞。 かれ。あれ。

「彼処」(かしこ)----あそこ。あのところ。
「彼方」(かなた)----あちら。むこうのほう。
「彼我」(ひが)------かれと、われ。相手と自分。あちらとこちら。

ところで、
「奈辺」という語をご存知ですか?
数学用語ではありません。

「奈辺/那辺」(なへん)
不定称の指示代名詞。どのあたり。どのへん。どこ。

「那」は中国語の疑問詞または遠称代名詞。
「奈」も「那」も疑問詞で、“どうして” “どのように” といった意味。
奈編という語は新聞で目にしたのですが、
かつて見たことも聞いたこともありません。
どんな使われ方をしているのでしょう。
・弁護士の本音は奈辺にありや
・問題と意図は奈辺にあるのか?
・奈辺から呼ばう声
・君は今 奈辺にいるや
・この挑戦的な気概は奈辺から生じたものであろうか

「なへんにありや」なんて、雅な響きがいい感じですが、
意味不明で、スルーされそうです。

「奈」
祭礼を意味する「示」に「木」からなる会意文字。
元々は祭礼の供物とされた果物を指したようです。

「奈落」は、
サンスクリット語を漢字で音訳したもので、
「奈」のそもそもの意味とは関係ありません。
「刹那」の「那」も同じです。

「奈」を調べていて、名前に「奈」を使いたいが、
「奈落」という語に使われいて縁起が悪いのでしょうか。
といった質問を多く目にしました。





posted by 空凛 at 08:33| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月07日

3つの月

腕・脚・腹 などの偏を “肉月” というのは知っていましたが、
何故 肉偏が月の字なのか疑問に思ったこともありませんでしたし、
月偏には3種類あるのも知りませんでした。

その3種とは、
●天体由来の月 ●肉由来の月 ●舟由来の月
昔は月の漢字も微妙に区別されていましたが、今はどれも同じです。
http://373news.com/_nie/qa/2009/091011.php

●天体の月
期・朔・朝・望・朗・朦・朧
拾ってみると、意外なほど少ないのでした。

「朝」は草原に太陽が昇るさまを表しています。
朝が “朝廷” を意味するのは、
古代のまつりごとが朝日を迎えて行ったことによります。

「朗」は月光が明るい意。

●肉月(にくづき)
「肉」は切り取った鳥獣の肉片の形にかたどった象形文字。

肌・脇・肛・肘・膝・股・胎・脂・肪・肥・
脈・胴・膣・腰・膀・膜・肺・腺・肝・膵・
脾・腫・肋・腸・脳・脱・臍・脇・膿・膳・
肓・肖・脅・腎・膚・臀・膏・肩・脊・肴・
肯・育・胃・背・


「有」の字のなかにある月も肉です。
「肉」と「又」(右手の意)からなる会意文字で、
手で肉を差し出す意。

●舟月
服・朕・勝
これらが舟と関係しているなんて意外です。
舟偏の漢字は、
船・舵・舶・艇・航・般・舷・艙・舳・

「服」
舟端にぴったりくっつく意。

「朕」
辞書によって原意の説明がいろいろでした。
後に、我の意に用いましたが、
天子の一人称になり、その他の意味は失われました。
「朕」の仲間の漢字には、勝・謄・騰・藤があります。

「勝」
「朕」+「力」からなる会意文字。
力を入れて物を持ち上げる意。

ちなみに、
「朋」は貝を紐で貫いて二筋に並べた様をかたどった象形文字。


一般に「偏」は漢字の左側のものを言いますが、
○○偏と呼ばれるものが必ずしも漢字の左側にあるというわけではありません。
漢字によっては、
冠(かんむり)、脚(あし)、旁(つくり)などになる場合もあります。




posted by 空凛 at 08:25| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月06日

気の毒

「気の毒」は「気の薬」に対する語でした。

「気の薬」は “心の保養になること” “おもしろいこと” で、
「気の毒」の本来の意味は、
“心の毒になること” “気分を害するもの” でした。

他人の不幸や苦痛に接した時、
自分のことのように感じて心苦しくなることから、
同情の意味で用いられるようになりました。

「お気の毒」や「かわいそう」はなぐさめる言葉でありながら、時として相手の気持ちを損なっている気がします。
心底から発せられた共感の「お気の毒」はまっすぐ伝わると思いますが、多くの場合、いくぶんかの優越感をもって発せられているように感じます。
私などは同情されるくらいなら、嫌われた方がましだと思うクチなので、かわいそうなんて言われたら、「なに上から目線で」とカチンときてしまいます。

と書いたところで、思わぬWeb情報を目にしました。
金沢を中心に北陸では、
「気の毒」は “気をつかってもらって申し訳ない”
というニュアンスで使われていて、
「これ少しなんですが・・」「つまらないものですがどうぞ」
などとお土産やお祝いを差し出すと、
「ほぉんに気の毒な」と返ってくるそうです。
へーー。

毒つながりで「目の毒」も見てみると、

「目の毒」
見ないほうがよいもの。見ると欲しくなるもの。

他にも、知らなければ心穏やかでいられたのに・・・
といった表現がいくつもありました。

・病人には目の毒
・知らぬが仏、知るが煩悩
・聞かぬが仏
・知らぬが仏
・聞くは気の毒、見るは目の毒
・見ぬが仏、聞かぬが花

言い得て妙ですね。

ムッとするといえば、
電話で、「お宅に言ってもしょうがないけど」
と言われて嫌な気分になりました。

「御宅」(おたく)
代名詞。
同等のあまり親しくない相手を軽い敬意を込めていう語。

本来は敬意を含んだ語だったんですね。
私などは「お宅」にダークなイメージがついています。
相手をやんわり威嚇しているシーンが目に浮かびます。
こだわりの趣味を持つ人を指す「オタク」の由来は同じ「お宅」です。
仲間内で「お宅」「お宅」と呼び合っているところからのネーミングなのでした。
当初「オタク」は変わり者のレッテルのような呼び名でしたが、
今ではすっかり存在感を高めて敬意を込めて言われるようになりました。




posted by 空凛 at 11:41| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする