2018年06月17日

手懐ける(てなずける)

<goo辞書>
1、動物などを、なつくようにする。
2、面倒をよくみるなどして、味方に引き入れる。

<三省堂 大辞林>
1、うまく扱って、なつくようにする。
2、さまざまな手段を使って、味方に引き入れる。

私は「手懐ける」に、
企み的なニオイを感じてしまいます。
籠絡する・懐柔する・抱き込む・取り込む・丸め込む
に近いものです。
大辞林には、ちょっとそのニュアンスを感じます。

世間ではどんなものを手なずけているのでしょう。
・キレ客を手なずける最上級の“いなし方”
・ウザいあの人を一瞬で手なずける大人の社交術
・部下を手なずける心理テクニック
・潜在意識を手なずける「自分を変える習慣力」
・怒りの正体を見極め、手なづける!「アンガーマネジメント」

手に関する表現は実に多いです。
手が果たしていることを思えば当然ですね。
手入れ
手がかり
手探り
手を焼く
手立て
手引き
手を組む
手を付ける
手を打つ
手を回す
手ぬるい
手ごわい
手を差し伸べる
手加減
手詰まり
手玉にとる
手を返す
手を抜く
手を染める
手際が悪い
手に負えない
手抜かり
手を汚す
手落ち

Webに手の表現を分類したものがありましたので紹介します。

<手で方向を表す>
山手(やまて)/「山の手」(やまのて)・
浜手(はまて)・上手(かみて)・下手(しもて)
横手(よこて)・手前(てまえ)・行く手を遮る

<手で人を表す>
読み手・聞き手・語り手・踊り手・借り手・
貸し手・やり手・担い手・釣り手・稼ぎ手・
歌手・投手・選手・運転手・名手・助手・
手が足りない

<手で傷を表す>
手負い・痛手・深手⇔浅手=薄手

<手で材質を表す>
厚手の紙・薄手の茶碗

<手段・方法>
いつもの手・あらゆる手・最後の手・奥の手・
うまい手・手を失う・手を尽くす・
敵の手に乗せられた・その手は食わない・
手の施しようがない・手を替え品を替え

分類を見て、
「手」がいろんな役割になっていることに気づきました。










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2018年06月10日

間違った表現

陥りやすい間違い例です。

〇 負けず劣らず
× 負けずとも劣らない

他と比較して、優劣つけにくいなら「負けず劣らず」
互角またはそれ以上なら「勝るとも劣らない」
間違いは、この2つを混同したものですね。

〇 冗談めかし
× 冗談ごかし

「めかし」は “のように見える” “らしい” 意。
「ごかし」は接尾語。
口実を設けて自分の利を図る意。

「おためごかし」
表面は人のためにするように見せかけて、
実は自分の利益を図ること。

「親切ごかし」
親切そうに振舞いながら、裏で自分の利益を図る。


〇 ありえます
× ありうります

「ありうる」の語形変化で、
「ありうらない」「ありうります」とはなりません。
「ます」に続くときは、
「ありえる」「ありうる」どちらも「ありえます」


〇 いい人みたいね/いい人のようね
× いい人そうね

様態を表す「〜そう」は動詞や形容詞・形容動詞に付き、
人のような名詞には付きません。
「行きそう」「おいしそう」「元気そう」など。


〇 さいなまれる
× さい悩まされる

「さいなむ」の受け身型と混同したもの。
ただの「悩まされる」はOK。

「苛む」/「嘖む」(さいなむ)
1、叱ったり責めたてたりする。
2、苦しめる。いじめる。


〇 いつ以来
× いつぶり

「いつ」と問われた時は、特定の日時を返す。
「ぶり」は経過した時間を表す。3日ぶり。1年ぶり。


〇 すごく楽しい
× すごい楽しい

すごい外車、すごいロボットなど、
「すごい」の後には必ず名詞がくる。


〇 意外にやさしい
× 彼は意外とやさしい。


〇 足をすくわれた
× 足もとをすくわれた








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2018年06月03日

「氏」「姓」「苗字」「名字」、どう違うの?

姓(せい)と言ったり、
名字(みょうじ)と言ったり、
いろいろな言い方をしていますが、
どう違うのでしょう。
まず、漢字の意味から見ていきます。

◆「」 シ・うじ
匙(さじ)の形に象った象形文字。
食べ物をすくい分ける。

代々血を分け伝える血筋や血統の意。

◆「」 セイ・ショウ・かばね
象形の「女」+「生」 の会意文字。
「生」(草木が地上に生じてきた)

人が母から生まれてきた意。

「姓」(セイ)
1、同じ血統を表す。一族の名。
2、名字(みょうじ)。氏(うじ)。

「姓」(ショウ)
同じ血統を表す。一族の名。

「姓」(かばね)
天皇から有力な氏族に与えられた、
王権との関係・地位を示す称号。

◆「」 なえ・ビョウ・ミョウ
「草」+「田」の会意文字。
田畑に生えた細い草の意。
「苗」には “子孫”という意味があります。

「苗裔」(びょうえい)
遠い血筋の子孫。後胤(こういん)。末裔。

「苗胤」(びょういん)
遠い子孫。苗裔。

「苗嗣」(びょうし)
遠い跡継ぎ。末の子孫。

「苗族」(びょうぞく)
ちすじ。血族。


次に歴史的なところを見ていきます。

略説すれば、
「氏」-- 祖先を同じくする同族集団。氏族。

「姓」-- 天皇からいただいた称号。

「名字」-- 誰もが名乗れる呼び名。

「苗字」-- 江戸時代から使われる。

「名字」-- 現在

古代の日本では、
祖先が同じ人たちが集まって親族集団を作っていました。
それぞれの集団が氏族で、氏(うじ)を持っていました。
<代表的な氏(うじ)>
地名由来の氏: 蘇我氏・出雲氏・尾張氏など。
職務に由来する氏: 物部氏・大伴氏・額田部氏など。
天皇に姓をもらった後に命名された氏:
藤原氏・橘氏・源氏・平氏・豊臣氏など。

」(かばね)
有力な氏族は天皇に仕えて、
朝廷での役職をもらうようになりました。
「姓」は天皇からいただいた役職や地位を表します。
<代表的な姓(かばね)>
臣(おみ)・連(むらじ)・造(みやつこ)・
首(おびと)・直(あたい)・朝臣(あそん)など。
※時代によって変化しています。

名字」(みょうじ)
藤原氏、源氏、平氏などが繁栄して家が区別しづらくなったため、
地名や所領地を家名として区別したことに始まります。
代表的な名字:西園寺家・鷹司家・近衛家・九条家など。

身分が固定化した江戸時代になると、
苗(血縁)を同じくするという意味で、
「苗字」が使われるようになります。
苗字が使われるようになっても、
氏(うじ)や姓(かばね)がなくなったわけではなく、
家柄を示すものとして使われ続けました。
例えば「徳川家康」の場合
正式名:源朝臣徳川次郎三郎家康 
氏 : 源           
姓 : 朝臣         
名字: 徳川         
通称: 次郎三郎       
実名: 家康          

↓名字と苗字の由来はこちらの説明がわかりやすいです。
https://tadtadya.com/glossary-sei-uji-myouji/#index-list-13

明治8年(1875年)2月13日 平民苗字必称義務令により、
苗字を名乗ることが義務化されました。

ということで、
現在の「氏」「姓」「名字」「苗字」に違いはありません。
「氏名」=「姓名」
尚、現在「苗字」は使われていません。









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2018年05月27日

匹敵(ひってき)

比べてみて能力や価値などが同程度であること。
肩を並べること。

「匹敵」の漢字が思い浮かばず、
変換した「匹敵」という漢字を見て、
なぜに「匹」と「敵」なんだろうと疑問に思いました。

Webの漢和/語源辞典は、
「馬の尻尾を象ったもの」とあり、
標準漢和辞典は、
「馬のしりの形に象どる」とありました。
いずれにしろ馬のお尻部分が語源ということですね。

「匹」 ヒツ・ひき・たぐい
1、「ヒキ」
〇馬を数える単位。
〇布を数える単位。二反=一匹

2、「たぐい」
対になっているもの。

3、「たぐう」
〇同等のものとして肩を並べる
〇つれそう。


「類う/比う」(たぐう)
1、同等のものとして肩を並べる。匹敵する。
2、並ぶ。添う。
3、共に行く。伴う。

匹敵の類語:
互角・伯仲・比肩・五分五分

「匹」は、
動物を数える序数として思い浮かべますが、
“対になっているもの” という意味がありました。
匹敵もこの意味の熟語です。
元々は、
馬の尻が左右2つに分かれて
対になっているところからきているようです。
2つのものが互角であることを表します。

古くは馬を「匹」で数えました。
その後、広く動物を数えるのに用いられました。
「頭」が使われるようになったのは、明治末期頃から。
英語由来です。
西洋では、放牧に出した牛の数が減っていないか、
頭数(あたまかず)を確認したことから、
牛は “head” で数えました。
やがて大形の家畜一般の数え方となりました。

動物学などの論文で、“head” と書かれた部分が、
「頭」と日本語に直訳され、
日本でも、大形の家畜だけでなく、
他の大形動物も「頭」で数えることが、
定着していったと考えられています。
その影響で、かつては馬を数えた「匹」は、
「頭」では数えられない動物を数えるのに使われました。

ちなみに、
英語のrivalの語源は「小川」を意味するラテン語
rivus から派生した rivalis。
rivalis は “川を競い争っている者” “川を共同で使う者”
水源の確保から生まれた言葉です。

「rival」は、
“同僚”“仲間”

“肩を並べるもの” “対抗馬”

“競争相手”
といった意味に変化しました。









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2018年05月25日

肉置き

今回は、山本一力著「おたふく」に出てきた言葉を取り上げました。
「出面」
「肉置き」
読みと意味、想像つきます?


「出面」(でずら)
1、日雇い労働者などの日当。でめん。
2、出席すること。
“顔出しをすること” からきています。

「出面」は入力もできませんし、死語かと思いましたが、
土木用語として載っていました。
出欠勤のことで、
現場に出勤してきた作業員を数えることを
「出面を取る」というそうです。
「出面管理システム」「出面表」なるエクセル画面も見つけました。
江戸から平成へと生き残っていたのですね。

「肉置き」(ししおき)
からだの肉のつきぐあい。

・肉置き豊かに、目なざし燃ゆる如くなれば(鴎外)
・肩や臀のむっちりとした肉置き
・肉置きはやや豊かなくらいがいい

生々しい表現ですね。
「肉置き」の使用例を見るために検索をしましたら、
現在の使用はほとんど見られず、
なぜか刀関係の記事ばかりが並んでいました。
刀に「肉置き」?
不思議に思いましたが、
刀のほうは「にくおき」と読み、
刀身の膨らみ具合を意味していました。
刀というものはあらゆる面で平面というものはなく、
すべて微妙に変化する曲面で構成されているものなんだそうです。

・斬り込んだ際に抜けが良い最高の肉置き
・簡素な中にも気品の漂う肉置きの締まった拵え
・肉置きをいかに整えて仕上げるかというのが、日本刀の造形の急所といっていいでしょう。
肉置きを生かすも殺すも鍛冶屋と研ぎ屋の腕次第、
肉置きのきちんと極まった刀は非常に痛快ですが、
逆に肉置きの崩れた刀は精神衛生上よろしくありません。

「肉置き」の意味するところががつかめたでしょうか。
以下のページは刀の名称を図で説明してくれています。
http://www.toukenhataya.jp/guide/spe.html
http://homepage3.nifty.com/naohiro-tantohjo/naohirotantohjo.iroha1.html

「しし」と読ませる熟語は他に1つだけでした。
「肉叢」(ししむら)
肉のかたまり。また、肉体。










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