2017年08月06日

偏む(こずむ)

1、筋肉がかたくなる。凝る。
2、心が重くなる。気がめいる。
3、競馬で、馬の肩や腰が硬直して歩行がぎこちなくなる。
4、1か所にかたよって集まる。

知らない語で、読めませんでした。
用例検索でも出てきませんから、
日常では使われていないようです。
でも、
「偏む」の連用形が名詞化した「こずみ」は
競馬界で使われていました。
競馬用語の「こずみ」は馬の筋炎や筋肉痛の俗称。
馬の歩行がぎこちない状態をいいます。
・こずみが酷い
・あの馬はこずんでいる
・調教の失敗か、今日はこずんでいる
ちなみに、
静岡辺りでは「こずむ」は、
“物質が沈殿すること”を言うそうです。
・砂糖がこずんでいる

「こずむ」の原因は 偏り(かたより)にある。
と理解しました。
一方、
「肩が凝る」の「凝」は、
液体がこりかたまる。じっとして動かない。
心が一つのことに注がれて他に動かない意。

「凝る」(こる)
1、「〇〇にこる」の形で、
趣味・スポーツなどに夢中になる。ふける。
2、細かい点まで趣味を貫く。意匠をこらす。
3、筋肉が張ってこわばる。
4、一か所に寄り集まる。また、氷結する。

凝血・凝固・凝視・凝縮・凝集・
凝議・凝念・凝立・凝塊・凝然・凝滞・凝望
「凝」の付く熟語は頭に付く語ばかりでした。

「凝議」(ぎょうぎ)
熱心に相談を重ねること。
・再び緊急村会が召集されて対策が凝議された。
・一同はこの敗戦の収拾を凝議した。

「凝念」(ぎょうねん)
思いをこらすこと。また、その思い。

「凝念」も一般にはあまり使われていませんが、
仏教やヨガの世界、そして教育現場で生きています。
成蹊中学・高等学校では毎朝の朝礼で凝念を行い、
生徒の集中力を高めています。
明星中学校・高等学校でも「凝念」という教育が、
創立以来受け継がれています。

「疑念」に“二水”(にすい)が付くだけで大変身です。
「凝念」には修行のイメージがあります。
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2017年08月05日

「磯」と「礒」

「いそざき」さんを変換した時、
「礒崎」という候補が出てきました。
「礒」も「いそ」なのだと初めて知りました。
でも、調べてみると
筆書きの字体が似ていたための誤読のようです。
「礒」は岩石のようすであって、水とは関係ありません。
中国の古典に用例が見られるものの、
現代中国では使われていないとのこと。
日本でも苗字・地名以外では使いません。

「磯」の本来の意味は、
渓流の中にあり、
水がぶつかってしぶきを上げる岩のことです。
日本では海岸の岩について使っています。
磯と聞けば潮の香りが漂ってくる感じですが、
元は海ではなかったんですね。
サンズイも付いていませんものね。
それではサンズイの「海」の字源は?
“母なる大地”と言いますが、
海こそは生物の源。だから毎は母か?
海の成り立ちは、
流れる水 + 髪飾りを付けて結髪する婦人
↓ 思い切りイメージを広げて下さい。
黒い髪 → 暗い → 広く深く暗い海
女性が関係していましたね。
それでは「瀬」はどうでしょう。
「瀬」の旧字は「P」
刀と貝ですが、「刀」に注目。
→ “水を切る”
→ “水がくだけて流れる”意。
そこから「瀬」の意味は広がっています。
1、浅瀬。
2、川の流れの急な所。潮流。
3、機会。
4、立場。
5、そのような点。
6、場所。

「瀬踏み」(せぶみ)
1、川を渡るときに、足を踏み入れるなどして、
あらかじめ水の深さを測ること。
2、物事を始める前に試してみること。

「潮」は
「流れる水」と「草+太陽」と「潮流が岸に至る象形」

「潮時」(しおどき)は“好機”という意味。
漁に最も適した時に船を出すことからきた語です。

「潮汐」(ちょうせき)は、海水の満ち引きですが、
朝方のが「潮」、夕方のが「汐」。
朝と夕、そんな風に呼応していた語とは。
「血潮」「血汐」ともに「ちしお」です。

posted by 空凛 at 11:20| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

ご機嫌斜め(ごきげんななめ)

「ご機嫌斜め」という言葉は機嫌が悪い状態をいいますが、
元来は「ご機嫌うるわしいこと斜めならず」で、
“ことさら機嫌が良い”というものでした。
古語「斜めならず」(なのめならず/ななめならず)は
“格別だ”の意。
ここで終わればスッキリするのですが、
古語「斜め」(なのめ)を見ると、
1、普通。平凡。
2、いいかげん。
3、格別だ。
並・悪・良と3つの違った意味を持っています。
「斜めならず」が“格別だ”という意味で使われていたのが、
鎌倉時代以降 「斜め」が「斜めならず」の意味で
用いられるようになって意味が変わりました。
このように相反する意味を持つ語はけっこうありそうです。
「言語道断」(ごんごどうだん)もそうです。
・言語道断の放送事故
・主の命にそむくなど言語道断
現在では“とんでもないこと”の意味で使われていますが、
大正時代までは「言葉に出来ないほど素晴らしい」
ということを表しました。
辞書を確認すると、確かにあります。

「言語道断」
1、仏語。奥深い真理は言葉で表現できないこと。
2、言葉で言い表せないほどひどいこと。
3、言葉で言いようもないほど立派なこと。
4、表現しがたいほど驚嘆した気持ちを表す語。
感動詞的に用いられる。

私は「言語道断」を「げんご」と読みそうになります。
「ゲン」と読むのは漢音、「ゴン」と読むのは呉音で、
呉音は仏教系の言葉に多く見られます。

「サバを読む」
昔はサバが腐るのが早かったので
その分を見込んで余分に入れておくという
良心的な商売の事を言ったものですが、
今ではごまかしという意味になっています。

「貴様」(きさま)
漢字が示すように元は敬意をもった語です。
いまではののしりの呼びかけになってしまいました。
もうこの漢字は使えませんね。

「敬遠」 (けいえん)
元は敬いつつも近寄らないことを言いました。
それが“遠ざける”の意味が強くなり、
うわべでは敬っているように見せつつ、
実際は関わりを持たないようにする。
というような意味で用いられるようになり、
さらに“敬い”の意が薄れ、
嫌って避けることを表すようになりました。
畏敬 → 尊敬 → 敬愛 → 親愛 → なれなれしさ → 嫌悪
posted by 空凛 at 08:25| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月03日

恋々(れんれん)

「恋々と地位にしがみついていた」
菅官房長官の発言にあった「恋々」という語が
私には聞きなれないものでした。

「恋々」(れんれん)
<名詞> 思いきれずに執着すること。

<形容動詞>
1、恋い慕って思いきれないさま。

2、執着して未練がましいさま。
・社長の地位に恋々としている経営者の多いこと
・吉田総理も政権に恋々とせず、退くべきときには退くべきだ

似ている語に「めんめん」と「れんめん」があります。

「綿々」(めんめん)
長く続いて絶えないさま。

・日記には思慕の情が綿々と書き連ねてあった
・古代以来 綿々と天皇位が継承されてきた

「連綿」(れんめん)
長く続いて絶えないさま。

・日本人が連綿と持ち続けてきた美意識でもある
・連綿と受け継がれてきたヨーロッパのニュアンスのようなもの

他にも同じ音を繰り返す語を探してみました。

〇きゅうきゅう 汲々
〇えんえん 延々
〇もんもん 悶々
〇まんまん 満々
〇たんたん 淡々
〇だんだん 段々
〇めんめん 面々

〇いんいん 陰々
・陰々滅滅とした精神状態

〇えんえん 奄々
息も絶え絶えであるさま。生気のないさま。
・気息奄々の業界

〇れんれん 連々
続いて絶えることのないさま。
・家並みが連連と続く

〇じんじん 陣々
風が盛んに吹くさま。
・陣陣たる清風

「綿」(メン)には“連なる”という意味もあります。
「綿々」と「連綿」は共に“連なる”を重ねた熟語でした。
綿花を手で紡いでいく作業を思い浮かべると、
綿々にかすかな感傷が漂います。

↓プランターで種から綿を育てて、
糸にまでする過程をみることができます。
https://lovegreen.net/interior-diy/p17303/
posted by 空凛 at 08:48| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月02日

発破をかける(はっぱをかける)

1、発破をしかける。
2、激しい言葉をかけたりして奮い立たせる。
気合をかける。

「発破をかける」は、最近 耳にしなくなりました。
職人的でかっこいい表現だと思うのですが、
そもそも熱い激励はうとまれる時代かもしれません。
「発破」とは、
鉱山や土木工事などで、火薬を仕掛けて爆破すること。
「爆破」は火薬類を使って「物体を破壊する行為」を指します。
「発破」は建築業や鉱業の分野限定で使われる語。
簡潔にまとめると、
「爆発」とは、急速な膨張
「爆破」とは、爆発で破壊すること
「発破」とは、建築・採掘分野での爆破


最近、鉱山や土木工事で使われる「切羽」という語を知りました。

「切羽」(きりは)
鉱石の採掘やトンネル工事で、掘削が行われる現場。切り場。

「切羽、発破」というタイトルのブログを見つけました。
切羽に穴を開けてダイナマイトを装填し発破。
という文章から始まっています。
http://yasublog.hatenadiary.jp/entry/2014/11/13/230203

「切羽」を「きりは」と読めるのは業界の人だけでしょう。
一般の人は「せっぱ」と読むところです。

「切羽」(せっぱ)
1、刀の柄(つか)と鞘(さや)に接する部分に添える薄い金具。
2、さしせまった困難。

「切羽詰まる」
ある事態などが間近に迫ってどうにもならなくなる。
身動きがとれなくなる。
切羽が詰まると刀を抜くこともできず、
為すすべがなくなることから。
posted by 空凛 at 09:02| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする