2017年12月05日

見做す/看做す(みなす)

1、仮にそうと見る。仮定する。
2、判断してそうと決める。
3、法律で、ある事物と性質の異なる他の事物を、
一定の法律関係について同一視し、同じ法律効果を生じさせる。
4、見とどける。

「做」という漢字は熟語の展開もなく、
日中辞書以外では詳細な説明がみつかりませんでした。
「作」の異字体。
読みは サ・サク・なす。 意味は つくる。なす。

Webで「みなし○○」をたくさん拾いました。
・みなし労働時間制
・みなし残業
・みなし手当
・みなし規定
・みなし公務員
・みなし弁済
・みなし償却
・みなし法人課税
・みなし配当
・みなし再入国許可
・みなし仮設住宅
・みなし道路
・みなし相続財産
・みなし贈与財産
・みなし共同事業

上記、意味3の説明ではピンとこないかもしれませんので、補足します。
“みなし” とあっても法律効果が生じるという意味合いです。
事実とは異なるが、そういうことにする。
そういうものとして法律的に確定する。
といった感じです。
例えば、
失踪宣告は死亡と見做されます。
事実として生きていても、法律上は死んでいることになります。

「做」で発見した語が「聞き做し」です。
ご存知でした?
「聞き做し」(ききなし)
野鳥のさえずりを人の言葉に置き換えて、覚えやすくしたもの。
例えば、
・ウグイス ---- 「法華経」
・ホオジロ ---- 「一筆啓上仕り候」「源平ツツジ白ツツジ」
・ホトトギス --- 「特許許可局」「テッペンカケタカ」
・コノハズク --- 「仏法僧」
・コジュケイ --- 「ちょっと来い、ちょっと来い」

最初に「聞き做し」を用いた方は
鳥類研究家の川口孫治郎氏(1873〜1937)だそうです。

最後に「看」についても触れておきます。
「看」は「手」+「目」で、手をかざしてみるの意。
じっくりとみる。
看過・看破・看護・看病・看守・看板




posted by 空凛 at 11:36| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月04日

飯事

今回は最近おやっと思って振り返った語を紹介します。

「飯事」
あえてふりがなを外しました。
みなさんは読めます?

読みは「ままごと」
最初「はんじ」と読んで、どんな意味かと首を傾げ、
辞書を引いて、「ままごと」かーと脱力してしまいました。

「飯場」という語がありますが、こちらは「はんば」。
PCの入力候補には載っていません。
工事現場などにある作業員用宿泊施設のこと。
殺風景なイメージの「飯場」に対して「飯事」。
「飯事」「飯場」こうして並んでいると
落差が面白いなと思いました。

「ドヤ街」(ドヤがい)
日雇い労働者が多く住む街のこと。
「ドヤ」とは「宿」(ヤド)の逆さ言葉。
旅館業法に基づく簡易宿泊所が多く立ち並んでいることから。
東京の山谷、大阪のあいりん地区、横浜の寿町が知られています。
2015年、痛ましい火災が起きた川崎区日進町の辺りはかつてドヤ街でした。

「おいた」
「お」+「いた」は「いたずら」の略。
略語だったんですね。

「おませ」
「お」+「ませ」
子供が年齢のわりに大人びていること。早熟。

「ませる」
年齢の割に大人びる。

「おしゃま」
少女が年齢の割に大人びた知恵や感覚を身につけていること。
ませていること。

由来は江戸時代に流行った歌のくだり、
「猫じゃ猫じゃとおしゃます」(=おっしゃいます)
当初、おしゃまは猫のことでした。
猫が平気で人前を横切ったする様に例えて、
ませた少女の生意気な振る舞いや態度をいうようになりました。

早熟の類語に「夙成」という見慣れない語を見つけました。

「夙成」(しゅくせい)
若いうちに学業などができあがること。
他より早くおとなびること。早熟。早成。

「夙」シュク
昔から。早い時期から。つとに。

そういえば、
「早生」「早稲」(わせ)という語がありますが、
「わせ」と「ませ」に繋がりを感じてしまいました。




posted by 空凛 at 13:41| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

「ケ」って、何もの

1ヶ月/ 2ヶ所 / 3ヶ条
など、日常的に使っている「ケ」ですが、
「ケ」は「箇」を省略したもの。
本来は、物を数える助数詞の「箇」で、
1箇月 / 2箇所 / 3箇条
と書くところです。

鎌倉時代の写本には、
すでに「ケ」の表記が見られるそうです。
当時の僧侶は書物を写す時に、
何度も出てくる字を大胆に省略して書き写しました。
「箇」も僧侶によって「ケ」になったものと思われます。

使い勝手が良かったのでしょう、今も大活躍しています。
また、数量ではないところの地名などにも、
市ヶ谷・八ヶ岳・自由ヶ丘・光ヶ丘 など、
「が」の音の部分を「ケ」で代用しています。

<「箇」と「個」>
「箇」 カ・コ
助数詞。

「個」 コ
1、一つの物。一人の人。
2、助数詞。

ご承知のように、
物の数え方はそれぞれに対応した助数詞が多数あります。
私も過去に3回ほど取り上げていますが、
ここでもちょっとだけ紹介します。

■俳句は1句、2句と数えますが、
和歌は1首、2首と「首」で数えます。
どうして和歌は「首」になっているのでしょう。

中国の漢詩に用いられた助数詞を
そのまま和歌に使ったことによります。

「和歌」は漢詩に対して、
日本語の詩を意味する言葉として造られました。
五音と七音を基調とする
「長歌」「短歌」「旋頭歌」(せどうか)「片歌」(かたうた)
などの総称。やまとうた。

平安時代以降は主に短歌をさすようになります。
「短歌」は、五・七・五・七・七の5句31音からなる歌。

その後「連歌」(れんが)が生まれ、
室町末期には俳諧の連歌が流行ります。
「俳諧」は、もともと「俳諧之連歌」の略称で、
滑稽な連歌を意味しています。
元禄時代に松尾芭蕉が俳諧を詩文芸として発展させました。

連歌や俳諧の第1句を「発句」(ほっく)と呼びます。
五・七・五の17音からなる句です。
俳諧から発句だけを独立させた俳句が起こり、
明治になって、正岡子規が「俳句」と命名しました。




posted by 空凛 at 13:21| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月02日

気のせい

「人のせいにする」「おまえのせいで・・」「気のせいだよ」
などの「せい」ってどこからきているのでしょう?

漢字にすると「所為」です。
訓で読み下せば「なすところの」となり、
“しわざ” “ふるまい” の意。
読みの「ショイ」がなまって「せい」になったと考えられています。

思いがけない漢字でした。

「所為」
1、しわざ。振る舞い。
2、そうなった原因・理由。せい。

通常、悪いことがらの原因・理由を表します。

「気のせい」は「気の所為」と書くんですね。
思い過ごし。

「気のせい」の類語に「思いなし」という語を見つけました。

「思いなし」
1、そうであろうと思い込むこと。気のせい。
2、まわりの人が推定して決めること。世間の評判。

「思いなし」は「思いなす」という動詞の連用形が名詞化したもの。
漢字にすると「思ひ做す」
・・だと考える。そのように自分から思う。
「見做す」(みなす)と同じ「做」です。
「做」は「作」の異体字。

副詞的に用いて、
思いなしか・・・という言い方はよくしますね。
そう思うせいか。気のせいか。

「心なしか」という言い方もしますが、
Webに間違いから生まれたという記述がありました。
「思い」+「なす」と勘違いされて、
「思い」を名詞ととらえて「心」に置き換えた誤用です。
「こころなす」という動詞はありませんが、
「心なしか」は辞書に載っています。
「心なし」は「心無し」で、思慮・分別のないこと。

「なし」つながりで、
「ろくでなし」を検索したら、これも意外な漢字でした。
漢字で書くと「陸でなし」なんです。
(「碌」でなしとあるのは当て字)

「陸」は “陸地のように平ら” が原義で、
“水平” “平坦なこと” の意味に。
「ろくな道」は “平らでなだらかな道”
「陸屋根」は “平らな屋根”
室町末期から江戸時代にかけて打消しを伴うようになり、
ろくでなし=まっすくでない → “まともでない” になり、
現在の “のらくらしていて役に立たない者” という意味に。

・ろくすっぽ食べていない
・ろくに寝てない
・ろくな目に合わない
なども「陸」です。




posted by 空凛 at 09:06| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月01日

託ける(かこつける)

ほかのことに関係づけてそのせいにする。

「託ける」が読めませんでした。

「託」の読みは
タク・かこつ-ける・ことづ-ける・かこ-つ
音読みの「タク」以外にこんな読みがあったなんて。
しかも、「託ける」には読み方が2つあります。

■「かこつける」 託ける
口実にする。

■「ことづける」 託ける/言付ける
人に頼んで伝言や品物を取り次いでもらう。

「託」の意味は、
1、他にあずける。ゆだねる。 信託・結託・嘱託
2、他の事にかこつける。 託言・仮託
3、神が他の口を借りて告げる。託宣・神託

・出張にかこつけて京都観光
・営業にかこつけて高級クラブへ
・就職活動にかこつけて親に無心する
・霊や因縁にかこつけて印鑑を売りつける

現在では「かこつける」はほとんど
“口実にする”という意味で使われているように思います。
「かこつける」の別の言い方に「事寄せる」がありますが、
同じ意味なのに受けるイメージがだいぶ違います。
良い印象のない「かこつける」ですが、
「託」を辿っていくと、ネガティブな意味を含んでいました。

古語辞典で「託つ」(かこつ)を見ると、
1、かこつける
2、恨み言をいう。嘆く。
3、頼る。

「託言」(かごと)
「かこちごと」の意。
1、口実。言い訳。
2、恨み言。ぐち。

「託言」(たくげん)
1、他のものにかこつけた言葉。口実。
2、ことづて。伝言。

「託」の熟語に「請託」というのがあって、
そこから収賄罪についての発見がありました。
賄賂罪は受け取る側の「収賄罪」と贈る側の「贈賄罪」がありますが、
「収賄罪」は公務員限定の罰則なんですね。知りませんでした。
収賄罪は公務員の不公平な行いで、
国民が不利益をこうむることがないように律するものです。
有罪になっても貰い得にならないように、
受け取った賄賂はすべて没収されます。

「請託」(せいたく)
内々で特別の配慮を請うこと。
特に公務員に対して一定の職務行為を行うことを依頼すること。

請託自体に悪い意味はありませんが、
公務員が職務に関する請託を受けて賄賂を受取ったり、
要求・約束をしたりした場合は「受託収賄罪」になります。
請託のない「単純収賄」より刑が重くなっています。




posted by 空凛 at 08:48| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする