2010年03月14日

知悉(ちしつ)

知り尽くすこと。詳しく知ること。

「悉」という字が見慣れないですが、
訓読みは、“すべて・残らず”という意味の
「悉く」(ことごとく)なのでした。
「ことごと」とは、「事事」の意から。

私は使ったことがない「知悉」ですが、Webで以下のような例が拾えました。
・認知証を知悉する
・器械のことに知悉している医者
・天を知悉し、己を錬磨する
・光と影を知悉する監督
・固有の危険有害要因を知悉していること

同じような意味に、「熟知」「精通」がありますが、
Google検索をかけてみると、
精通----1230万件
熟知----573万件
知悉----165万件
やはり「知悉」の使用頻度は少ないと思われます。

「悉」
シツ・ことごと-く
1、全部。ことごとく。
2、きわめ尽くす。

「知悉曲筆」(ちしつきょくしつ)という言葉がありました。
事実とは違った、曲がった文章を書くこと。
「曲筆」は、
事実を曲げて書くこと。また、事実を曲げて書いた文。

「舞文曲筆」(ぶぶんきょくしつ)も似ています。
故意に言葉をもてあそび、事実を曲げて書くこと。曲筆舞文。

「舞文」って、きれいな字面(じづら)ですが、
意味は、悪いことなんです。
1、自分勝手に言葉をもてあそんで自分に有利な文章を書くこと。
また、その文章。
2、自分勝手な解釈で法律を濫用すること。

ところで、
「熟知」の「熟」の読みを見ていて、
「つらつら」とういう読みを発見しました。
「熟熟」と書いて「つらつら」なんです。
意味は、
“つくづく・よくよく”
漢字の「熟熟」を見れば、意味がとれるかと思いますが、
普通、ひらがな表記の「つらつら」、
かなりの人が誤解しているような気がします。
私自身、“ぼんやり”のような意味だと思っていました。
まったく違っていますね。
Webに意味理解調査の結果が出ていましたが、正解は少なく、
“だらだら”と思っている人が半数以上でした。
Webでの使用例を見ても、“よくよく”という意味にはとれないものが多く見られました。
つらつらの音に人それぞれのイメージを重ねてしまっている気がします。
私の場合は、無意識のうちに「うつらうつら」の影響を受けたのかも。




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2010年03月07日

懲戒処分(ちょうかいしょぶん)

公務員として果たすべき義務に違反した者に対する制裁として科せられる処分。裁判によって確定する刑事処分ではなく、処分権限者は、当該機関の長。
職員は、法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることはありません。
その規定は、国家公務員法第82条及び地方公務員法第29条にあります。
処分に不服のある場合には、人事院に申し立て、救済の審判を受けることができます。
懲戒処分は、違反行為の内容によって、
懲戒免職、停職、減給、戒告、訓告などがあります。

*免職
職員の意に反してその職を失わせる処分。
*停職
一定期間、職務に従事させない処分。
国家公務員の場合は1日以上1年以下。
*減給
国家公務員の場合は1年以下の期間、俸給の5分の1以下を減額。
*戒告
職員の非違行為の責任を確認し、口頭で注意すること。

民間企業における懲戒処分は、就業規則に則って行なわれますが、通常は公務員の規定に準じていることが多いようです。
ただし、公務員と違って「懲戒免職」ではなく、雇用契約を解除するという意味の「懲戒解雇」になります。

私は、このへんの公務員と民間との違いを認識していませんでした。

免職と同じ“職をやめさせる”という意味に「罷免」(ひめん)があります。
では、「免職」と「罷免」の違いは何なのでしょう。
「罷免」は、
違法行為に限らず、その職務を続けていくのに適しないとされた場合に辞めさせること。

免職には他にも、
「諭旨免職」「分限免職」というのがあります。

「諭旨免職」(ゆしめんしょく)
違法行為はあったが懲戒免職にするほどではないので、本人を諭して自分から申し出ての退職とすること。
通常、懲戒解雇に退職金の支給はありませんが、諭旨免職には退職手当の何割かは支給されます。

「分限免職」(ぶんげんめんしょく)
公務員としての適格性などを理由に身分を失わせること。

一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障がある場合など、その職に必要な適格性を欠く場合、公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。
職場内の綱紀粛正を目的とした懲戒処分とは異なり、懲罰的な意味合いは含まれておらず、免職となった場合でも退職手当が支給されます。

「分限免職」というのは聞いたことがありませんでした。
「分限」とはどういうどういう意味なのでしょう。

「分限」(ぶんげん)
1、上下・尊卑の区別などによって定まる身分。身のほど。分際。ぶげん。
・分限をわきまえる
2、財力。財産。また、金持ち。ぶげん。
・分限者
3、公務員の身分に関する基本的なことがら。
4、それ相応の能力や力。

「ぶげん」と読むと、
1、身のほど。分際。
2、財力があること。また、財産家。富者。

「分限者」(ぶげんしゃ)
金持ち。財産家。ぶんげんしゃ。

「俄分限」(にわかぶげん)という言葉もありました。
急に大金持ちになること。また、その人。

「分限者」というのは、時代劇か何かで聞いたようなきがしますが、日常で「分限」という言葉は耳にしませんね。

似た意味に「分際」というのがありますが、
たいてい、
・養ってもらっている分際で・・
・子どもの分際で生意気な
・分家の分際で・・
などと、相手を見下してののしる時に使われることが多く、悪いイメージがついていますが、「分際」自体に悪い意味は含まれていないようです。

「分際」(ぶんざい)
1、身分の程。身の程。ぶん。
2、それぞれの人や物に応じた程度。



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2010年02月27日

杓子定規(しゃくしぎょうぎ)

規則や形式などにとらわれて応用や融通のきかないこと。

現在「杓子」という呼び方をしなくなったので、
そもそも「杓子」が何かということからはじめます。

「杓子」(しゃくし)
飯・汁などをすくう皿形の部分に、柄がつけてある道具。

現在は、ご飯用は「しゃもじ」、お汁用は「おたま」と使い分けていますね。

「しゃもじ」の語源は、
「杓子」の頭字「しゃ」に接尾語「もじ」が付いた女房言葉(にょうぼうことば)です。
本来「杓子」は飯・汁をよそうものですが、
しだいに米飯をよそうものを「飯杓子」(めしじゃくし)、
汁用を「お玉杓子」と使い分けました。
その後、飯用のものを「しゃもじ」というようにりました。
ちなみに、
カエルの子の「おたまじゃくし」の語源もここからきているとのこと。

さて、その「杓子」の柄は、古くはたいてい曲がっていました。
その曲がっている柄を「定規」代わりに使うということで、
誤った基準でものをはかろうとすることをいい、
転じて、融通のきかないやり方や態度をいうようになりました。

「杓子定規」って、曲がった柄を定規に使うことからきていたんですね。

ところで、
「曲尺」は、なんと読むでしょう?


「かねじゃく」と読みます。
主に大工さんが使う金属のL字型モノサシです。
金属でできていますが、「金尺」ではないんですね。
曲がった尺。

「かねじゃく」は「矩尺」とも書きます。

「矩」
1、曲尺に同じ。さしがね。
2、のり(法則)。きまり。
3、四角。

矩形(くけい)は“長方形”のことです。

杓子定規に似た意味に「四角四面」がありますが、こちらは真四角=正方形のことです。







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2010年02月20日

動意(どうい)

停滞し、ほとんど動きを見せなかった相場が、少しずつ上昇または下落する気配を見せること。
多くの場合は、上昇に向いたときに言う。

「動意」はマーケット情報で時々耳にすることがあり、面白い表現だなと思っていましたが、株の用語だとは知りませんでした。
以下のような、独特の言い方があります。
・株価が動く気配を示すことを「動意づく」
・横ばいだった相場が少しずつ上昇しはじめることを「動意をみせる」
・動き出そうとする気配が感じられることを「動意含み」
・動き出そうとする気配が見受けられないことを「動意薄」
といいます。

使い方としては、
・全体的に動意が乏しい
・景気の先駆けて動意を示す先行指標
・動意に欠けるマーケット
・動意銘柄

「○意」となる熟語はとんでもなく豊富にあります。

敬意・好意・善意・誠意・懇意・
民意・衆意・総意・合意・隔意・
悪意・敵意・殺意・故意・犯意・叛意・邪意・
辞意・留意・来意・翻意・
任意・随意・作意・創意・
注意・用意・失意・得意・不意・一意・
本意・真意・大意・鋭意・寸意・客意・

「意」は、広く心の働きに用いる語ですが、
自然の様子を表わすことにも使われていました。

「秋意」(しゅうい)
秋の気配。秋の風情。

「雨意」(うい)
雨の降りそうなようす。雨模様。

「雪意」(せつい)
雪が降ろうとする空模様。
・雪意を催ふして来た田の中道を横ぎって・・
・雪意ありて 犬の息白し 凍(いて) 戻る
横山大観の絵に「雪意」というのがありました。

「雨意」や「雪意」の「意」って、自然の意思ってことでしょうか。
日本人らしい表現だと思いました。



posted by 空凛 at 21:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月14日

揣摩臆測/揣摩憶測(しまおくそく)

根拠もなくあれこれおしはかって勝手に想像すること。当て推量。

・部長の辞任に関して揣摩臆測が飛び交っている
・相手の出方を揣摩臆測する
・揣摩臆測は慎んでもらいたい

「揣摩」(しま)
他人の気持ちなどを推量すること。

「摩」は“こする”という意味以外に“おしはかる”という意味がありました。
「揣」も“おしはかる”意。「揣摩」以外では使われいない漢字のようです。
さらに「揣摩」だけで使われている例はほとんど見られず、
「揣摩臆測」として生き残っているようです。
また、
「揣摩の術」(しまのじゅつ)というのがありました。
中国の一種の弁論術で、君主の心を見抜き、思いのままに操縦する術のこと。
中国の論争は西洋の論争とは違い、相手を追い詰めることはせず、気持ちを取り込む術。
司馬遷の「史記」にでてくる張儀(ちょうぎ)と蘇秦(そしん)が揣摩の術の達人として有名で、合従連衡(がっしょうれんこう)という言葉もこの二人が成し遂げた偉業です。

「揣摩臆測」は、摩天楼の「摩」を調べていたら、
「揣摩」なる熟語が目に止まり、
「揣摩」から「揣摩臆測」に至りました。
最初、何か深い意味が隠された語なのかと思ってしまいました。
ずいぶん前に拾った言葉でしたが、めったに使われないし、お蔵入りかなと思っていましたが、山崎豊子「沈まぬ太陽」で目にして、取り上げる気になりました。

“おしかはる”に似た意味の熟語を拾ってみると、
推量・推測・推察・推考・推論・推当・推知・推定・
臆測・憶断・臆説・
想察・想像・恐察・忖度・
仮想・仮定・仮説・
予測・予断・見当・目算

「恐察」(きょうさつ)
他人の事情を推察することをへりくだっていう。拝察。

「恐察」は怖い警察かと思いましたら、まるで違いましたね。




posted by 空凛 at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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