2018年05月16日

なるほど

学者やコメンテーターなどの話しを受けて、
司会者などが「なるほど」という相槌を連発しているのを耳にしますが、
皆さんは気になりませんか?
私はどうしても「なるほど」が上からものを言っているように聞こえてしまうのです。
Webでも「なるほど」が取り上げられていました。

「なるほど」は、
他からの知識・意見や現実の状況などに対して、
その正しさ・合理性などを認める気持ちを表すといわれます。
相手からの情報・意見などである場合には、
評価するというニュアンスが生じるため、
目上の人への相槌としては用いられにくいと考えられます。
一方、
正しさ・合理性を認める対象が現実に観察される状況・事物であれば、
相手の発話を受けての相槌とはなりませんから、
目上の人であっても礼をかくことにはなりません。

やはり不遜であると受取られるようです。

ではどういった相槌があるでしょうか?

「いかにも」は時代がかっていますね。
「ごもっともです」
「おっしゃる通りです」
うーん。どうでしょう。
以外とうまい相槌ってないものですね。

それから、
「なるほどですね」もよく耳にしますが、
これは「なるほど、そうですね」が短縮したもの。
短縮せずに言ったほうがいいようです。

相槌と言えば、
おもしろい狂歌を紹介します。
・世の中は 左様然らば御尤も そうで御座るか確と存ぜぬ
(さよう いかにも ごもっとも そうでござるか しかとぞんぜぬ)
今の言葉にすれば、
「はい」
「まったく」
「そうですよ」
「そうなんですか」
「よくわかりませんけど」

この5つの相槌で聞き上手まちがいなしです。

ところで「狂歌」と「川柳」の違いは?

「狂歌」(きょうか)
五・七・五・七・七
社会風刺や皮肉、滑稽を盛り込んだパロディ形式の短歌。
独自の分野として発達したのは江戸時代中期。

・白河の清きに魚のすみかねて もとの濁りの田沼こひしき
(松平定信の厳しい改革より、田沼意次の多少裏のあった政治の方が良かった)

・泰平の眠りを覚ます上喜撰 たった四杯で夜も眠れず
(上喜撰とは玉露茶の商品名。濃茶を飲むと興奮するように、たった4隻の黒船に驚き、心配している)

「川柳」(せんりゅう)
五・七・五
俳句の季語のような制限がない。
江戸町人文化を背景に盛んとなる。
サラリーマン川柳は人気ですよね。
おかしみの底に悲哀が漂っていて共感してしまいます。

ついでに「都々逸」(どどいつ)も見てみましょう。
七・七・七・五の音数律に従う。
元来は、三味線と共に歌われる俗曲で、音曲師が寄席や座敷などで演じる出し物。
主として男女の恋愛を題材として扱ったため情歌とも呼ばれる。
江戸末期、初代の 都々逸坊 扇歌によって大成される。
・御貴殿の心ひとつでこの剃刀が 喉へゆくやら眉毛やら
・夢に見るよじゃ惚れよがうすい 真に惚れたら眠られぬ










posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月14日

まことしやか

いかにも本当らしく見せるさま。

goo辞書には「真しやか」と出ていましたが、
「誠」「実」「信」という漢字も当てられるようです。
「まことしやか」は 「まこと」と「しやか」ではなく、
文語の形容詞「まことし」+ 接尾語「やか」です。
「やか」は接尾語「や」と「か」を重ねたもので、
形容動詞の語幹を構成します。

例によって「やか」の付く語を集めてみました。
・健 すこやか
・撓 たおやか
・艶 つややか
・淑 しとやか
・華 はなやか
・穏 おだやか
・和 なごやか
・鮮 あざやか
・雅 みやびやか
・匂 におやか
・甘 あまやか
・円 まろやか
・細 こまやか
・軽 かろやか
・伸 のびやか
・聳 そびやか
・広 ひろやか
・澄 すみやか
・晴 はれやか
・賑 にぎやか
・慎 つつましやか
・なよやか
・にこやか
・さわやか
・湿 しめやか
・忍 しのびやか
・密 ひそやか
・冷 ひややか

最近は使われていませんが、
「青やか」「高やか」「近やか」「大きやか」「小さやか」・・
なども言葉としてあるようです。

こうして並べてみて気づきましたが、
「やか」の付く言葉は「冷ややか」以外 ほとんど誉め言葉ですね。
音の響きも古風で、耳あたりがいいですね。

「やか」を取り上げたブログで、
おもしろい広告コピーを紹介していました。

2008年 地下鉄梅田駅に出ていた大きな広告看板
--------------------------------------------
はれやか。しとやか。なごやか。まろやか。
さわやか。こまやか。しなやか。はなやか。
おだやか。かろやか。すこやか。にぎやか。
スポやか。ウマやか。
--------------------------------------------
コピー元の提供は3誌。
・朝から話題王「サンケイスポーツ」
・勝負!データ満載「競馬エイト」
・週刊の怪物「Gallop」

この3紙に「しとやか」はいらなかったような・・・

ちなみに、
「たおやか」の「たお」は「撓」(たわ)の音変化。
1、姿・形がほっそりとして動きがしなやかなさま。
2、態度や性質がしとやかで上品なさま。

私は「甘やか」というと「お母さん」という言葉を思い浮かべます。
母を見送って久しい今もついポロリと「お母さん」とつぶやいています。









posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

有り得る(ありうる)

起こる可能性がある。当然考えられる。

「有り得る」という時、
「う」と「え」の間で迷いませんか?
「ありうる」が正しいのですが、
「ありえる」と言う人が多くて、
もやもやした気持ちを抱えたままでした。

今回、「あるうる」を深堀りしました。

大辞林にはこうあります。
--------------------------------
古語の下二段動詞「ありう」が、
現代語でも「ありえる」という形にならないで、
例外的に下二段活用を保っているもの。
→ うる(得る)
---------------------------------
「ありうる」は文語の「うる」の活用が残ったもの。
苦手な活用から見ていきます。

■文語「有り得る」(ありうる)(下二段活用)
ありえ(ず)/ありえ(たり)/ありう/ありうる(こと)/ありうれ(ども)/ありえよ
え/え/う/うる/うれ/えよ

■口語「有り得る」(ありえる)(下一段活用)
ありえ(ない)/ありえ(ます)/ありえる/ありえる(こと)/ありえれ(ば)/ありえよ
え/え/える/える/えれ/えよ

★現状の「有り得る」(ありえる)の活用は変則的な下二段活用。
ありえ(ない)/ありえ(ます)/ありうる/ありうる(こと)/ありえれ(ば)/ありえよ
え/え/うる/うる/えれ/えよ

本来なら、口語動詞の終止形は「ありえる」になるべきでした。
文語動詞「得」(う)が、
口語動詞「得る」(える)になったのだから、
「ありう」の口語体は「ありえる」が本筋。

ではなぜ「ありうる」になったのか?
古語「有り得」(ありう)の意味は、
世の中にあることができる。生き長らへられる。
現代語の意味は、英語 posibleの訳語でした。
posibleに「ありう」という文語体を当て、
「ありうべき」という言い回しを生み出しました。
possible : ありうべき
impossible : ありうべからず
そして「有り得べき」が権威を持ち、
そのまま成句として口語体に取り込まれたのです。
西洋渡来の概念で、他に適当な表現がないこともありました。
「言い得る」も「いいうる」に。
文法的には筋が通らないが、文化史的には正統。
という説明がありました。
文法に縛られない言葉もあるってことですね。

「ありうる」が正統とはいえ、
否定形が「ありえない」なので、
「ありえる」と誤読する人も多く、
「ありえる」派の勢力は増していくように思います。
NHKでも単体で「得る」を使う時は、
「える」と言うようになっているそうです。
・職を得る(える)
・知識を得る(える)

お叱りを受けそうですが、
「ありえる」でいいじゃないと思ってしまいました。







posted by 空凛 at 13:19| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月12日

知己(ちき)

1、自分のことをよく理解してくれている人。親友。
・この世に二人とない知己を得る

2、知り合い。知人。
・知己を頼って上京する
・十年の知己のごとくうちとける

読みをまちがっていました。
「ちこ」で変換されずに気づきました。
「己」の読みは「コ」と「キ」、「おのれ」「つちのと」
「コ」読みに、一己・自己・利己
「キ」読みに、克己・知己

読みも間違っていましたが、
意味も “知人” としか理解していませんでした。
ちょっとした知り合いと親友ではずいぶん違いがあります。
これからはどちらの意味合いか考えてしまいます。

“己を知る” がなぜ親友の意味になったのでしょう。
出典は 司馬遷の「史記」刺客列伝、
「士は己を知る者のために死す」に由来しています。
元々は “己の埋もれた才能を知って厚遇してくれる主君” という意味でしたが、
時を経て “親友” の意味に代わっています。
↓こちらに刺客列伝の記述がありました。
http://www17.ocn.ne.jp/~hasshi/shiki006.htm


Web上に「知己を得る」の誤用がちらほら見られるとありました。
×・○○氏の知己を得る
「知遇を得る」との混同かと思われます。

「知己」は自分を良く理解してくれる「人」
「知遇」は厚く待遇してくれる「こと」です。

類語に「知音」(ちいん)があります。
1、互いによく心を知り合った友。親友。
2、知り合い。知己。
3、恋人となること。恋人。なじみの相手。

この語にも由来があります。
中国の春秋時代、
琴の名人伯牙は親友鍾子期が亡くなると、
自分の琴の音を理解する者はもはやいないと
愛用していた琴の糸を切って再び弾じなかった。
(「列子」湯問などの故事から)

こういう物語を知ると言葉が心に残りますね。









posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月11日

自縄自縛(じじょうじばく)

自分の縄で自分を縛る意から、
自分の心がけ・言葉・行為のために、自由な動きがとれず苦しい立場になること。

「縄」の音読みが思い浮かばす、
「じじょう」が読めませんでした。
後から「縄文時代」を思い出しました。

「縄」
ジョウ・なわ
1、なわ。
2、大工道具の一。すみなわ。また、正しさの規準。

「ジョウ」と読む熟語を探してみると、

「縄律」(じょうりつ)
きまり。規則。

「縄矩」(じょうく)
1、墨縄(すみなわ)と差し金。
2、標準。規律。

「縄規」(じょうき)
1、墨縄(すみなわ)とぶんまわし。
2、きまり。規則。

「ぶんまわし」とは、
1、コンパスの和名
2、歌舞伎で回り舞台のこと

「規矩準縄」(きくじゅんじょう)
物事・行動の規準になるもの。法則。規則。手本。
(「準」は平をはかる水盛り、「縄」は直をはかる墨なわ)

「水盛り」(みずもり)って何?
水平の印をつけること。
文字通り水を盛って、建物の基準となる水平を定めること。
透明の管に水を入れて両端の水面を同じ高さにするもの。

↓建築用語「縄張り」「水盛り」「遣り方」の図入りの説明がありました。
http://diy-ie.com/kouza/kouza-kiso02.html

「縄張り」って、ヤクザ屋さんたちだけの語ではなかったんですね。

さて、自縄自縛の用例をWebで探してみると、あまり使用例はありませんでした。
・自縄自縛−普天間移設問題
・政治改革の失敗によって自縄自縛となった日本政治
・菅首相、自縄自縛のTPP
・モノ言えば自縄自縛の鳩山政権
政治の手詰まり感が出ています。

自縄自縛の類語に
「自家撞着」(じかどうちゃく)がありました。
同じ人の言動や文章などが前後で矛盾していること。
自分で自分の言行に反することをすること。

他にも、
自己矛盾 ・ 自業自得 ・ 墓穴を掘る ・
ヤブヘビ ・ 自滅する ・ 自らの首を絞める ・ お鉢が回る

最後に、これ読めますか?
「延縄」


(はえなわ)です。
「はえなわ漁」は知っていましたが、難読です。
どうして「延」が「はえ」となったんでしょうね。








posted by 空凛 at 08:00| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする