2017年11月25日

誤りの多い日本語表現

2015年 8/1の新聞で取り上げられていた誤りの多い日本語です。
私も多くを間違って覚えていました。
時々こういう特集が出ますが、
間違いに気づくいい機会になっています。

× 間が持たない
○ 間が持てない (正答率14.3%)
一部の辞書は「間が持たない」と載せています。

× 足元をすくわれる
○ 足をすくわれる (正答率14.7%)

× 声をあらげる
○ 声をあららげる (正答率24.3%)
辞書には荒らげるの誤用として「荒げる」も出ています。
NHKも「荒らげる」「荒げる」両方とも
使っていいようになったようです。
「あららげる」って言いにくいですから、
いずれいいやすい方に変わっていくのでしょう。

× 采配を振るう
○ 采配を振る (正答率29.6%)

× 新規巻き返し
○ 新規蒔き直し (正答率29.8%)
種を蒔いたが芽が出ないので、蒔き直すこと。

× 目鼻が利く
○ 目端が利く (正答率41.3%)

× 上意げたつ
○ 上意かたつ (正答率29.2%)
「上意下達」(じょういかたつ)
上位の者や上層部の命令・意向を、下に伝えること。

× すどく
○ そどく (正答率46.4%)
「素読」(そどく)

× だいがえ案
○ だいたい案 (正答率67%)
「代替わり」(だいがわり)
「代替」(だいたい)
一部の会社や業界では「だいがえ」が主流になっているようです。

× ねんぼう
○ ねんぽう (正答率74.1%)
「年俸」(ねんぽう)
「棒」ではありません。

× しかめつらしい
○ しかつめらしい (正答率31%)
「顰め面」(しかめつら)とは違います。

「しかつめらしい」という語を知りませんでした。
「鹿爪らしい」という漢字表記になっていますが、
「鹿爪」は当て字で、鹿の爪とは何の関係もありません。
意味は、
まじめくさっていて堅苦しい。

しか-ありつべく-あるらし

しかつべうあらし

しかつべらし

しかつめらし
という変化のようです。
古語を直訳すると
“そのようにあるべきであるやうにあるようだ”
とてもまどろこしい言い方です。

ここで「まどろこしい」が方言のような気がして
辞書を引きましたら、
いろんは言い方があるのでした。
・まだるい
・まだるこい
・まだるっこい
・まどろこい
・まどろこしい
・まどろっこしい

「間怠い」(まだるい)
まのびしたり手際が悪かったりしてじれったい。




posted by 空凛 at 09:52| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月24日

擡頭(たいとう)

「蒼穹の昴」の書評を読んでいて、
「擡頭」と「徹底」が目に留まりました。
科挙の答案の書き方、書式の1つのとして出ていました。
↓ページ下の方、囲みの中です。
http://d.hatena.ne.jp/pyon3/20050906

擡頭」(たいとう)とは、
敬意を表すべき語で改行すると同時に、
他の行よりも1〜2字ほど高いところから書き出す方法。

擡頭の他にも
「闕字」(けつじ)、
「平出」(へいしゆつ)という記述形式があり、
古代・中世・近世を通じて公私の文書・記録類に使用されました。

徹底」とは、
擡頭の敬語がちょうど次の行頭にくるように、
その前行をぎっしりと最後まで埋めること。

中国ではそんな意味があったのですね。
それにしても、そんな形式ばったところに無駄に神経を使って、
肝腎の内容に集中できたのでしょうか。

「擡」とは “持ち上げる” 意。

常用漢字「台」の旧字が「臺」で、
“ 土 + 高 + 至 ”という成り立ちです。

「臺/台」の意味の1つに
貴人また相手の物や動作に冠して敬意を表す語。
というのがありました。
そんなこと知りませんでしたが、以下のような熟語がありました。
・台駕(たいが)----- 乗り物
・台覧(たいらん)--- 見ること
・台書(たいしょ)--- 手紙
・台聴(たいちょう)・台聞(たいぶん)--- 聞くこと
・台命(たいめい)--- 命令
・台臨(たいりん)--- 出席すること

「台覧試合」とは、
皇族が直接観戦している武道やスポーツ競技の試合。

台頭/擡頭」(たいとう)
1、頭をもたげること。勢いを増してくること。
2、上奏文などで、貴人の名やそれに関する語の出てくるとき、
敬意を表して改行し、一段高く書くこと。

「台」を調べていて、「台詞」の由来を拾いました。
セリフは外来語かなと思いましたが、
競り言う(せりいう)から来ているとされていて、
江戸時代から見られるそうです。
漢字の「台詞」は舞台詞(ぶたいことば)の略。
セリフにはもう一つ「科白」がありますが、
これは中国語からの借用です。
中国語では「科」は劇中の俳優のしぐさ、
「白」は言葉を指しています。
「台詞」も「科白」も熟字訓の当て字なのでした。

熟字訓」(じゅくじくん)
日本語において漢字の単字単位ではなく
熟字単位で訓読みを当てたもの。
昨日(きのう)・今日(きょう)・大人(おとな)・
梅雨(つゆ)・五月雨(さみだれ)・
小豆(あずき)・紅葉(もみじ)など。

捨て台詞」(すてぜりふ)は、
歌舞伎から来た語で、
役者がその場の雰囲気に応じて即興的に言う
台本にない短い台詞のことでした。




posted by 空凛 at 08:53| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月23日

「ほぼほぼ」と「むりくり」

「ほぼほぼ」と「むりくり」は私の周りではよく耳にします。
きちんとした場では使えないような気がするんですが、
どの程度許容されているのでしょう。

ほぼほぼ」は「ほぼ」を繰り返して強めた言い方です。

ほぼ」(副詞)
だいたい。あらかた。
漢字は「粗」「略」

漢字だとちょっと印象が変わりますね。
ということで「ほぼほぼ」は、
本来なら強調されて確率が高まっている意になりますが、
実際の用法をみると、そうでない場合もあるようです。
50%程度をうやむやにしたいときに使っている向きも見られます。
人それぞれの物差しでどうとでも言え、どうとでも受け取れますから、
なあなあで済ます時には便利に使えてしまいます。

「大体」(だいたい)は、大まかに見積もる場合。
九分九厘 > ほぼ > 大体
という進捗度になります。

むりくり
無理やり。
元々は北海道から青森にかけての方言だそうです。
方言が広まったものか、別の何かから生まれたのかは不明です。
方言には「むりしゃり」「しゃりむり」などもあります。

「むりくり」って、語感がかわいいですよね。
女子が似合いそうな語ですが、男子も使っています。
私は使いませんが。

佐里無理(しゃりむり)の音変化したものが、
遮二無二」(しゃにむに)で、漢字は当て字です。
むりやり。是が非でも。
「佐里」(しゃり)の語源は不明。

関西人は2回繰り返す語をよく使うとありました。
すぐ思い浮かんだのが「ちゃうちゃう」
京都では、
・アツアツなる
・チコチコ寄った
・キツキツ腫れた
といった形容詞を二度繰り返す言い方をするそうです。
その理由に、
関西は商業都市だったため、相手の心理を気にする文化が育まれた。
相手に気を遣うあまり再確認されなくて済むように
二度繰り返す言い方が根付いたのではないか。
という説明がありました。
ちょっと幼児語っぽい感じもありますね。





posted by 空凛 at 08:33| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月22日

とことん

最後の最後。
副詞的に用いて、徹底的に。最後まで。

日本舞踊の足拍子「トコトントコトン」を意味し、
転じて踊りの意味に。
「トコトン」は “床トン” という擬音が語源とされています。
近世には民謡などの囃子詞(はやしことば)として用いられました。
現代の意味 “最後まで” は、
明治初年の軍歌「とことんやれ節」に由来。
「とことんやれとんやれな」という囃子詞が添えられていて、
明治時代に大流行しました。

「囃子詞は」は、どっこいしょ・あーそーれ・えいさーなど、
民謡などで唄の調子を合わせるために入れられる合いの手。

お囃子」(おはやし)
「囃す」は「栄やす/映やす」と同語源で、
映えるようにする、ひきたてるという意味の「はやす」から来ています。
手を打ったり、声を出したりして歌舞の調子をとること。

元々は宮廷行事での笛・太鼓などの楽器によるものでしたが、
庶民が真似るようになると、
高価な楽器を揃えることはできないため、
口で合いの手を入れるようになりました。
囃子詞はたいてい意味のない掛け声に聞こえますが、
中には意味のあるものもあり、
地方の方言が元になっていることが多いそうです。
ただ、倒語(とうご)になっていたりして、
わかりずらくなっています。

倒語」(とうご)
語の音節の順序を逆にしてつくられる語。
隠語で使用されることが多い。
逆さ読みともいう。
種--ネタ、宿--ドヤ、場所--ショバ
うまい--マイウ、サングラス--グラサン

倒語を見ていたら、「デカ」の語源がありました。
明治時代、刑事は制服を着ずに角袖の着物を着ていました。
そのため犯罪者たちが刑事を「角袖巡査」や「かくそで」と呼びました。
「かくそで」の倒語である「そでかく」が
やがて「でか」になり、広まりました。

囃す」(はやす)
声をそろえてあざけったり、ほめそやしたりする。
あざけりとほめる両極含まれてますね。

嘲る」(あざける)
1、ばかにして悪く言ったり笑ったりする。
2、風月に心ひかれて声を上げて詩歌を吟じる。

「嘲る」も “歌” に関係していました。

「もてはやす」と「ほめそやす」の違いが気になりました。

もてはやす
1、口々に話題にしてさわぐ。ほめそやす。
2、美しく見せる。引き立たせる。
3、大切に取り扱う。厚遇する。

ほめそやす
しきりにほめる。ほめちぎる。

そやす
1、おだてあげる。そそのかす。
2、はやしたてる。ひやかす。

こうして語を分解してみると、
「もてはやす」も「ほめそやす」も
上っ面だけ持ち上げている感じが浮かび上がってきました。





posted by 空凛 at 09:01| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月21日

折伏(しゃくぶく)

1、仏語。悪人・悪法を打ち砕き、迷いを覚まさせること。
2、転じて、執拗に説得して相手を自分の意見・方針に従わせること。

鎌倉時代、仏教界には互いに矛盾する多くの教えがありました。
日蓮は仏の真の教えを求めて比叡山で修業を積み、
法華経が真の教えであるという結論に達しました。
そこから日蓮は各地で辻説法を行い、折伏に奮闘したのでした。
1253年 日蓮が法華経を開く。南無妙法蓮華経。

「折伏」は衆生を仏法に導く手段で、
「折伏」と対をなす手段に「摂受」があります。

「摂受」(しょうじゅ)
心を寛大にして相手を否定せず受け入れ、穏やかに説得すること。

北風と太陽のような対比ですね。
折伏が広く知られるようになったのは、
1951年 創価学会で「折伏大行進」が宣言され、
大規模な勧誘運動が展開されたことによります。

それにしても仏教用語は読みが難しい。
「衆生」も「しゅじょう」と読みます。
「教化」は「きょうけ/きょうげ」で、
人々を教え導いて仏道に入らせること。

「宗旨」(しゅうし)
ある宗教の教えの中心教義。

最初「折伏」を「せっぷく」と読んだのですが、
「せっぷく」には、
「切腹」以外に「折伏」「説伏」という語がありました。

「説伏/説服」(せっぷく)
相手をときふせて従わせること。説得。

「折伏/折服」(せっぷく)
相手を打ち負かして、自分に従わせること。

「折」で「シャク」と読む熟語は「折伏」だけのようです。

「伏」と「服」が置き換えられる語には、
圧伏 / 圧服
帰服 / 帰伏 (支配下に入ること。服従。)
屈伏 / 屈服
降伏 / 降服
承服 / 承伏





posted by 空凛 at 08:20| Comment(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする