2010年06月06日

義捐金(ぎえんきん)

慈善のため、また不幸や災害にあった人に対して、金品を寄付すること。

「捐」の意味は、
1、すてる。
2、金を出す。寄付する。

「義捐」は明治時代につくられた和製漢語です。
「義援金」という表記は、新聞協会による独自の基準で定めた代用表記で、元は「義捐金」なのでした。

“すてる”とい意味で「棄捐」という熟語があります。
「棄捐」(きえん)
1、すてて用いないこと。
2、江戸時代、法令によって貸借関係を破棄すること

2を補足するような説明がWikipediaにありました。
「義捐令」(きえんれい)
江戸時代幕府が財政難に陥った旗本・御家人を救済するために、債権者である「札差」に対し債権放棄・債務繰延べをさせた武士救済法令。
松江藩・加賀藩・佐賀藩など諸藩でも行われました。
松平定信が寛政の改革の一環として発したのが最初で、
天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を下げ(年利18%→6%)、以後の法廷利率は12%、長期の年払いにするもの。

「札差」(ふださし)とは、
江戸時代、蔵米取の旗本・御家人の代理として蔵米を幕府の浅草蔵から受け取り、米商人への委託販売を行った江戸の金融商人。
本来の業務は米100俵につき金3分の手数料をとるものであったが、蔵米を担保とする金融も行い、旗本・御家人の財政窮迫に拍車をかけた。

当初、困窮した旗本・御家人はこの法令に大喜びをしましたが、札差は大きな損害を受け、その後 旗本・御家人に対する貸付は行われなくなりました。
結果、借金が出来なくなったことで、また彼らは生活に困ることに。

こんな歴史知りませんでした。
Webに、
「亀井金融相のモラトリアム制度は平成の棄捐令か?」なる記事がありましたが、改正貸金業法といい、よく似た情況ですよね。

ちなみに、
「モラトリアム制度」とは、「返済猶予制度」
銀行からの借金元本返済を一定期間猶予するというもの。
また、
2010年6月から完全施工になる「改正貸金業法」とは、
●借入総額が年収の1/3まで。
●専業主婦(夫)は、配偶者の同意が必要。
●一定額以上の借入には年収の証明が必要。
●個人事業主は決算書等の書類が必要。
●個人の信用情報の登録が必要。
●新たな借入の上限金利は20%以下。

「義捐金」からとんだろころまで行ってしまいました。

言葉に戻って、
「募金」(ぼきん)は、
寄付金などをつのって集めること。
それでは、
「醵金」(きょきん)は?
ある事をするために複数の者が金を出しあうこと。
また、その金。

似ていますが、募金活動に応じてお金を出す行為が「醵金」で、
お金を集める行為が「募金」。
でも、お金を出す行為も「募金する」って言ってますね。

「醵」は“多くの人で金銭を出し合う”意。

「醵出」(きょしゅつ)は、
金品を出し合うこと。

この「醵」も「拠」で代用されて、
「拠金」「拠出」と書かれます。





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2010年05月31日

備考欄(びこうらん)

いろんな書類に「備考欄」というのがあり、よく目にしますが、今までなんとなく“項目にないその他のことを書く欄”という認識でやりすごしていました。

「備考」(びこう)
参考のために付記すること。また、その事柄・記事。

他にも書類でよく見る語を確認してみました。

「摘要」(てきよう)
重要な箇所を抜き書きすること。また、その抜き書きしたもの。
「摘記」(てっき)
「摘録」(てきろく)
「撮要」(さつよう)
も同じ意味です。

「摘」
テキ・つま-む
1、指先でつまんで取る
2、かいつまんで選び出す
3、悪事をあばきだす

「注記/註記」(ちゅうき)
1、本文の意味を理解させるために注を書き加えること。また、その注。
「注釈」「補注」とも言います。
2、物事を記録すること。また、その記録。

「脚注」(きゃくちゅう)
ページの下部、本文の枠外に表記される短文。
用語の注釈や、補足説明などを記述する。

「脚注」に対して「頭注」(とうちゅう)「冠注」(かんちゅう)という語があります。
また、
「傍注」(ぼうちゅう)は、
本文のわきに書き添えた注釈。

「付記」
本文に付け加えて書きしるすこと。また、その部分。

「追記」
あとからさらに書き足すこと。また、その文章。

いろんな言葉がありますね。

話しはそれますが、
「覚書」(おぼえがき)が気になりました。
1、忘れないように書き留めておくこと。また、その文書。メモ。備忘録。
2、条約に付帯した、あて名も署名もない略式の外交文書。
条約の解釈・補足、また、自国の希望・意見を述べたもの。
外交使節の署名のあるものは正式な外交文書となる。了解覚書。
3、契約をする者同士が交わす、契約の補足や解釈などを記した文書。

「覚書」と言った場合、
“備忘録”“外交文書”“契約文書”といった3つの意味がありました。
1つめの意味ですが、
いまどき「覚書」「備忘録」を口にする人も稀で、すっかり「メモ」に取って代わりました。
3つめの意味では、
「覚書」と「契約書」の違いは?
といった疑問がWeb上に多数見られました。
「覚書」とは、
契約書の内容を補足する内容を書面にしたもので、補足用契約書と考えられます。
契約書と同等の法律的効果をもちます。
尚、収入印紙の貼付は税法上の問題にすぎず、印紙が貼ってなくても法律的には全く問題なく有効とのことです。




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2010年05月23日

旁が「肖」の漢字

前回「哨戒」を取り上げましたが、
今回は、旁(つくり)が「肖」の漢字を追ってみました。

悄・逍・銷・鞘・蛸・鮹・梢・稍・・
読みが「ショウ」以外、特に共通項のようなものは見つかりませんでしたが、私にはいくつかの発見がありました。

「悄」
しょんぼりする。しおれる。
「悄然」(しょうぜん)という熟語はよく聞きます。
失望したり、叱られたりして元気を失う。

「しょげる」とよく言いますが、漢字は「悄気る」なんです。

「逍」
ぶらぶら歩き回る。
「逍遥」(しょうよう)は、
坪内逍遥という作家の名前だと思っていましたら、
熟語で“気ままにあちこちを歩き回ること。散歩”という意味を持っていたんですね。

「稍」
やや。ようやく。(漸)

「鞘」
さや。

「銷」
金属を溶かすこと。消える。
「銷夏/消夏」(しょうか)
夏の暑さをしのぐこと。

金属を溶かすような酷暑の形容かと思ったら、暑さをしのぐこと。


「蛸/鮹/鱆」
いずれも「タコ」です。
なんで、3つも漢字があるのでしょう。
本来の漢字は「鱆」です。
「蛸」は本来は足高蜘蛛(あしたかくも)のこと。
タコに足が何本もあるところから
「海の蛸」→「蛸」となったようです。
さらに「虫」を「魚」に変えた「鮹」の字ができたということです。


漢字を拾っているうちに、疑問がわきました。
「蛸」と「鮹」では違う旁の字なのではないだろうか、と。
月の上が「小」の字になっているものと、「ツ」のような形のもの。
それとも書体の違い?
漢和の「肖」を見てみると、
肉(月)と音をしめす「小」とを合わせ・・
とあり、「肖」の下に「鮹」の旁の字も載っていました。
同じ字と考えていいようです。






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2010年05月16日

哨戒(しょうかい)

敵の襲撃を警戒して見張りをすること。

哨戒機・哨戒ヘリ・哨戒艇・哨戒艦
何度も耳にしながら「哨戒」の意味を調べないままにしていました。

「哨」の意味は“みはり。みはりをする”
読みは「ショウ」訓読みはありません。

そういえば「歩哨」という語がありました。
軍隊で、警戒・監視などの任務につく兵士。「哨兵」「番兵」

「立哨」(りっしょう)は、
歩哨などが、その位置を動かずに監視・警戒にあたること。

「哨戒機」とは、
主に海軍が装備して、潜水艦や艦船を探知・攻撃する航空機。
対潜水艦戦以外にも、洋上監視、捜索救難、輸送、映像情報収集、通信中継など、任務の多目的化が進んでいる。
機内にはレーダー、ソーナー、磁気探知機、赤外線カメラなどの捜索機材が搭載載されており、空飛ぶコンピューターとも呼ばれる。
(Wikipediaより)

「索敵」(さくてき) という語が哨戒機の説明の中に出てきました。
戦闘中、敵軍のありかなどを捜し求めること。

・領空を哨戒する
・哨戒飛行
・機上から索敵を続ける
・基本的な索敵方法は目視である

ところで、
「戦略」と「戦術」の違いを説明できますか?

「戦略」は大局的・長期的な視点で練られ、
「戦術」はより具体的な目的達成のための方法・手段。
戦略の下に戦術があるという構図でしょうか。

それでは、
「宣撫」という語はご存知ですか?
「宣」に「撫でる」で、どういう意味になるのかまるで想像できませんでした。
「宣撫」(せんぶ)
占領地で、占領政策の目的・方法などを知らせて、人心を安定させること。
・住民を宣撫する
・宣撫工作
・宣撫官

不気味な語です。

最後に、
使い古された感はありますが、
検索してみるとまだまだ使われている「超ド級」
・超ド級の新人
・超ド級マグロ丼
・鳩山デフレ、超ド級不況
語源は、
20世紀初頭にイギリスが造った、超性能の戦艦ドレッドノートに由来。
各国はこの戦艦に対抗する戦艦の建造に狂奔しました。
「超ドレッドノート級」が省略されて「超ド級」

まさか戦艦名からきていたとはビックリです。
この「ド」はカタカナでなくてはいけないわけですね。






posted by 空凛 at 22:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月09日

揶揄(やゆ)

からかうこと。なぶること。

日常よく見聞きしているわりには、書けない「揶揄」です。

「揶」ヤ
からかう。あざける。
「揄」ユ
なぶる。からかう。

どちらも“からかう”という意味でした。
他での使用は見られず、「揶揄」として生き残っています。

“あざける”“なぶる”には、悪意しか伝わってきませんが、
“からかう”には、おふざけの軽さも感じます。
ひやかす・おちょくる・茶化すに近い語感です。

「からかう」
1、冗談を言ったりいたずらをしたりして、相手を困らせたり、怒らせたりして楽しむ。揶揄する。
2、抵抗する。争う。

「嘲る」(あざける)
人をばかにする。あざける。

「嬲る」(なぶる)
1、弱い立場の者などを、おもしろ半分に苦しめたり、もてあそんだりする。
2、からかってばかにする。愚弄する。
3、手でもてあそぶ。いじりまわす。

「弄ぶ/玩ぶ」(もてあそぶ)
「持て遊ぶ」から。
1、手で持って遊ぶ。いじくる。
2、心の慰みとして愛する。
3、思いのままに操る。
4、人を慰みものにする。なぶる。

Wikipediaには、
「揶揄」は、社会的立場が強い人に対して用いられ、風刺の意図が強い言葉として定義する。
とありました。

確かにWebでも政治に関するものが目に付きます。
・自民党の追及も、皮肉や揶揄のレベルを出ていない。
・首相の言葉を揶揄する発言
・政治家を揶揄するイラスト
・髪が薄い男性を揶揄する「かっぱ寿司」CMに非難の声

言い方が直接的でないということでは、
「あてこする」や「皮肉る」という語もあります。

「当て擦る」
ほかの話にことよせて、遠回しに悪口や皮肉をいう。

「皮肉る」は「皮肉」の動詞化で、
遠まわしに意地悪く相手を非難すること。

「皮肉」と「当てこすり」は同じ意味でした。
それでは
「風刺」は、
社会や人物の欠点・罪悪を遠回しに批判すること。

「愚弄」「嘲弄」よりは、「揶揄」や「皮肉」の方がじわじわボディブローに効いてくるような気がします。




posted by 空凛 at 21:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする