2018年05月09日

輻輳(ふくそう)

1、四方から寄り集まること。
物事がひとところに集中すること。

・雑務が輻輳する
・荷船や小舟の輻輳する川口

2、電話やインターネットなどの回線において、
多数の利用者が特定の時間帯に集中することにより処理可能な容量を超え、
不具合が生じたり機能が停止したりすること。

・災害時には通信の輻輳が発生しやすい

私には物珍しい語でした。
上記の説明を読んでもボンヤリとしたまま。
<輻輳とは、ものが一ヶ所に集中して混雑している状態のこと>
この説明で飲み込めました。

辞書の括弧書きの説明に、
“車の輻(や)が轂(こしき)に集まる意” とありました。
「や」?、「こしき」?
何ですかー?

「轂」(こしき)
車輪の軸を受ける部分。
車輪の中心の丸い部分で、ここに輻(や)が集まる。

「輻」(や)
車輪の軸と外側の輪とを結ぶ、
放射状に取り付けられた数多くの細長い棒。

文字で読むとピンとこないものですね。
自転車の車輪だと、
・ハブ hub = 轂(こしき) --- 中心部分
・スポーク spoke = 輻(や)
・リム rim ---- 外周の環状部分

車輪の図から入ればすんなり理解できた語でした。
日常生活にはあまり登場しませんが、
医学や通信関係で使われているようです。

目の動きに「輻輳開散運動」というのがあります。
視標を目に近づけると、目が内側によります。
この近くを見るときの動きが「輻輳運動」
逆に、視標を遠ざけると目が外側に動きます。
この遠くを見るときの動きが「開散運動」
*
輻輳開散運動は立体テレビを見るときにも生じ、立体感の成因の一つ。
立体テレビでは、画像を表示するスクリーン面が固定されているため、
飛び出している画像を見ると輻輳運動は生じるが、
目のレンズのピント調節機構は変化しない。
そのため輻輳と調節機構の不一致が生じ、
目に疲労感を生じるともいわれている。
*

「輻」の付く熟語に「輻射」があります。

「輻射」(ふくしゃ)
1、車の輻(や)のように、中央の一点から周囲に射出すること。
2、放射

「輻射」と「放射」の違いは?

かつては「輻射」が使われていましたが、
戦後の当用漢字表に「輻」の字が含まれなかったため、
当初は「ふく射」と表記され、
その後「放射」と言い換えられました。
ただ、まだ「輻射」が使われていることもあって、
輻射と放射の併用が混乱を招くとの指摘も出ていました。









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2018年05月07日

尾籠(びろう)

1、不潔であること。また、そのさま。
2、わいせつであること。また、そのさま。
3、礼儀をわきまえないこと。また、そのさま。無礼。

語源辞典によると、
「尾籠」は “愚かなこと” “ばかげていること” という和語「痴」(おこ)の当て字でした。
当て字が使われるようになったのは鎌倉時代以降で、
文書で「尾籠」と書かれているうちに「びろう」と音読されるようになりました。
室町時代には “無礼” “無作法” の意で用いられるようになり、
その後 “汚い” 意も含まれるようになりました。

下の話しをする時などに、
「尾籠な話しですが・・・」と切り出しますが、
どうにも口にしにくい言葉というものがあります。
例えば「鼻くそ」
自然現象ですし鼻くそに貴賎はありませんが、
いかんせん「くそ」の響きが強烈で、
口にしたとたん、元々ない品性がさらに下がる気がします。

「鼻腔内固形性粘着物」
こういう医学的語に変換しても、
“粘着物” あたりに不快感を感じてしまいます。
「鼻をほじくる」もなんだか子どもじみた言い方に聞こえますが、穿る(ほじくる)、穿る(ほじる)も標準語なんですね。

穿る(ほじくる)
1、穴を掘るようにつつく。また、つつき回して中の物を出す。ほじる。
2、隠されているわずかなものを、ことさらに追及する。ほじる。

何か抵抗のない言い回しがないものでしょうか。
上品な方々はどのような表現をされているのでしょう。

「尾籠」と同じように汚い話しの前に使うのが、
「卑近」かと思っていましたが、勘違いしていました。

「卑近」(ひきん)
身近でありふれていること。
高尚でなくわかりやすいこと。また、そのさま。

「卑俗」(ひぞく)
1、いやしく下品なこと。
品がなく俗っぽいこと。また、そのさま。
2、(鄙俗)田舎びていること。また、そのさま。

「下世話」(げせわ)
世間で人々がよく口にする言葉や話。
「下世話」の「下」は「下々」=「庶民」、
「世話」とは、世間でされる話という意味。

「下世話」に “下品” の意味は入っていませんが、
“げ” の音に品のなさを感じてしまいます。








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2018年05月06日

結構(けっこう)

「結」も「構」も “組み立てる” 意で、
「結構」は家や文章の構成を指していました。
古代中国では 優れた文章や建築物に対して、
・見事な結構
・この結構はよろしい
と言っていました。
それが漢文として日本に入り、
江戸時代頃からは「結構」だけで “見事” “立派” という意味で使われてきました。

組み立てる

企て。計画。

用意。準備。

準備が行き届いて、心づかいが十分で結構である。

このような流れで「結構」は、
相手への賞賛の心情を表す語になりました。
・結構なお住まい(住居の結構)
・結構なご馳走(ご馳走の結構)
・結構なお召し物(着物の結構)

辞書で確認します。

「結構」
<名詞>
1、全体の構造や組み立てを考えること。構成。
2、もくろみ。計画。
3、したく。用意。

<形容動詞>
1、すぐれていて欠点がないさま。
2、満足なさま。
3、それ以上必要としないさま。
4、気だてがよいさま。

<副詞>
完全ではないが、それなりに十分であるさま。
・結構やるね
・結構おもしろい


「もう結構」は元を辿れば、
「大変よくしていただきまして、これ以上 結構なものをいただくわけにはまいりません」
という丁寧なお断りの言葉でした。
さりながら、
・結構です
・もう結構
・もう結構です
・もう結構でございます
言い方で、ずいぶん印象が違います。

「結構」を伝える時は気をつける必要があります。

セールスを断る時に「結構です」では、
「よい」とも取られかねないので、
「いりません」ときっぱり断りましょう。
なんて注意がありましたね。

「結構」はアクセントにも気をつけましょう。
名詞は後ろに、形容動詞と副詞は前にあります。

普段よく使っている副詞の「結構」は、
片仮名の「ケッコー」が似合っている気がします。








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2018年05月05日

「続柄」の読みは?

年末調整の書類にも出てくる「続柄」
これ「ぞくがら」と読んでいましたが、
「つづきがら」と読むことを最近知りました。
が、最近では「ぞくがら」読みも広まっているようです。
Web上に以下のような記事を見つけました。

・明治中期〜後期の辞書
  「続柄」のことば自体が見あたらない。
・昭和初期〜戦前の辞書
  「つづきがら」の見出し語はあるが「ゾクガラ」はない。
・昭和30年代後半以降の辞書
  小型辞典でも「ぞくがら」を参照見出しで採録するものが多い。
  ただし「つづきがらの誤り」「俗な言い方」としているものもある。

「続柄」は昭和に広まった言葉なんですね。

正しい書き方としては「続き柄」なのですが、
役所の書類に仮名を省いた「続柄」が使用され、
誤読が進んだとする見解もあるようです。

Goo辞書やコトバンクも「つづきがら」で出ていますが、
「ぞくがら」も俗な言い方として載っています。
入力は、
「ぞくがら」------「続柄」
「つづきがら」----「続き柄」--「続柄」となっています。

Webに「続柄」記入に関する
法律上の夫婦でない人からの質問があり、
以下のような回答が寄せられていました。
*
住民票のとおりに書けばよいのです。
あなたの住民票には、世帯主のところには彼の名前、
続柄には妻(未届)と書いてあるんですよね。
続柄というのは、世帯主から見た世帯構成員のこと。
続柄の欄は狭いので「(未届)」を省略してもかまいません。
この欄は税額を計算する上で必要な情報であり、
年末調整をするような共働きなら、
未届であろうと届済みであろうと税額は変わりませんから、
何も問題はありません。
*
住民票と戸籍は別の書類です。
世帯主という言葉は住民票でのみ使う言葉で、
戸籍では世帯主という言葉は存在しません。
代わりに筆頭者という言葉を使います。
*

事実婚の人は(未届)を付けるということ、
住民票と戸籍とは違うということを知りました。

戸籍に比べて住民票のほうがより実態に近い記載になっているようです。
別居中の夫婦では、戸籍は筆頭者と妻。
住民票はそれぞれが世帯主。

戸籍のことを調べていて、
「改製原戸籍」という語を知りました。

明治時代の初めに全国統一の戸籍が生まれてから現在までに戸籍制度は何回かの大きな改正を行っています。
改正で書き換えられた新しい戸籍が「現在戸籍」
それ以前の元の戸籍が「改製原戸籍」です。
1994年6月に戸籍の電算化が可能となりましたが、
すべての市区町村で電算化が行われたわけではありません。
電算化されデータとして保存された内容が「現在戸籍」で、
それまでの紙の戸籍簿は「改製原戸籍」となります。

「改製」が付かないほうがわかりやすいですね。
私の故郷はまだ紙戸籍でした。















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2018年05月04日

使いこなせてる?

●あたら
もったいないことに、残念なことに。
“惜しい” という意の「あたらし」から。
・あたら若い命を散らすとは
・あたら好機を逃した

●あまつさえ
おまけに、その上さらに。
「あまりさえ」が転じた語。
・働きにも出ず、あまつさえ妻に暴力をふるうとは
・道に迷い、あまつさえ風雨がひどくなってきた

●いやが上にも
その上ますます。
「いや」は「嫌」ではなく「弥」
・競技会でいやが上にも気持ちがたかぶる
・ファインプレイ連続で球場はいやがうえにも盛り上がった

●いやしくも
かりにも、少なくとも。
漢字は「苟も」
「苟」は、かりそめに。一時的
・いやしくも教師たるものがすべきことではない
・いやしくもこれが事実なら見逃せないことだ

●すべからく
当然のこととして。
下に「べし」を付ける。
“すべての” という意味はありません。
・すべからく精進すべし
・学生はすべからく学問を本分とすべし

●つらつら
よくよく、つくづく。
念入りに物事について考える時など。
・つらつらと考えてみるに

●ゆめゆめ
下に打ち消し・禁止の語を伴って、“決して” ない。
・ゆめゆめ考えないことが現実化した
・ゆめゆめ油断なさらぬように

●よしんば
仮にそうであったとしても。
「縦し」(よし)を強めた語。
“よし” と仮に許す意。
・よしんば反対されても私は家を出る
・よしんばミスをしても大事には至らない









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